営業チームのメンバーで売上に大きな差が出てしまっていて、悩んでいる営業マネージャーは意外と多いものです。
売れない営業をなんとしてでも引っ張り上げるために、毎日のようにロープレをしたり、「今日こそ契約を取って来い!」と発破をかけたりしているかと思いますが、もし効果が出ていないのであれば、違うアプローチを考える必要があります。
それが、属人化を解消すること。
売れる営業の知識やノウハウを共有することで、「売れない営業」が「売れる営業」へと変わり、新人の教育コストを削減できるというメリットもあります。
それでは早速、営業の属人化を解消し、全員で情報共有するための方法を見ていきましょう。
営業の属人化とは?
営業が「属人化」しているとは、どういうことなのでしょうか?
実用日本語表現辞典を調べてみると、属人化とは、「企業などにおいて、ある業務を特定の人が担当し、その人にしかやり方が分からない状態になることを意味する表現」となっています。
営業の仕事に当てはめると、営業担当それぞれのカンやコツ、経験、モチベーションによって、売上げが左右されしまっている状態ということですね。
なお、属人化してしまうことで、
①個人が長時間かけて築きあげてきた営業活動のノウハウが社内に残らない
②営業活動を分析して課題を抽出したり、改善策を考案・実行できない
③ノウハウが共有されないので、新人の教育に時間がかかる
④担当が異動や退職をした場合、既存顧客との引き継ぎが上手くいかないなど、トラブルが発生しやすい
・・・といったデメリットが生じます。
これでは個人事業主やひとり社長として営業をしているのと変わらず、チームとしての力を発揮することができません。
営業はなぜ属人化してしまうのか?
では、属人化を防ぐ・解消するにはどうしたらいいのでしょうか?
「属人化」してしまう理由を考えてみると、解決の糸口が見えてきそうです。
①立場を守りたい
知識を共有することで他の人にも成果を上げられてしまうと、売上実績や組織の中で自分が優位に立てなくなるのでは・・・という考えから、知識やノウハウを自分だけのものにしたがる人は多いです。
特に、相対的に社員を評価して給与やボーナスを決めている場合には、相手を優位に立たせてしまうという恐れから、情報を隠しておきたがる傾向が強くなります。
②ミスが発覚しないようにしたい
すべての情報を共有するということは、成果だけでなくミスも共有されてしまうということです。
ミスがみんなに知れ渡るのは誰にとっても嫌なことなので、隠したくなる気持ちもわかりますが、これによって客観的なチェックができなくなったり、ミスの発覚が遅れ、対応が後手に回ってしまいます。
③自分の仕事で手一杯
これは単純に、忙しすぎて情報共有ができてないという状態です。
上述した①、②と違って意図的に隠しているわけではないものの、必要な情報すら伝達できていないというのでは、トラブルやミスが起きかねません。
また、「自分でやった方が早い」との考えから周囲に仕事を回さない人もいますが、属人化に繋がるだけでなく、新人教育の観点からもあまり好ましいこととは言えません。
④属人化を防止する仕組みや対策がない
基本的な行動が標準化・平準化されていなかったり、組織として属人化することを良しとしている場合、いつまで経っても属人化した状態から抜け出せません。
営業の属人化を解消するためにやるべきこと
前項で見てきたように、意図しているにせよ、していないにせよ、「属人化」している方が本人たちにとってはメリットが多いという状態に変わりはありません。
つまり、情報共有をするよう個人の意識を変えるのは、なかなか難しいということです。
では、どのようにすれば属人化を解消し、チーム内で情報を共有できるようになるのでしょうか?
ポイントを3つご紹介いたします。
①情報共有を大切にする社風をつくる
「もっと情報共有をしよう!」という話は、定期的にマネージャーやメンバーから出てきます。
その時々で、チャットを導入したり、週一回の定例でランチミーティングをすることにしたりと、さまざまな案が出て、実行されると思いますが、効果を感じられなかったり忙しかったりといった理由で、なかなか続かないのではないでしょうか。
これらはあくまでも情報共有のツールだったり、手段に過ぎません。
使う側の人間の意識が変わらなければ、使わなくなってしまう(やらなくなってしまう)のは当然だとも言えます。
しかし逆に言えば、使いたくなる・やりたくなる仕組みを作ればいい、ということになります。
例えば、情報共有をするごとにThanks(ありがとう)ポイントが溜まり、四半期ごとに集計してトップだった人には賞品が出たり、コメントに必ずフィードバックがあるだけでも「情報共有しよう」というモチベーションに繋がります。
②管理するデータを決める
情報というのは際限なく増えていくもので、そのすべてをみんなで共有する=見える化したり、管理することは、不可能です。
しかも、その情報すべてが必要だとは限りません。
そこでまずは、共有すべき情報・データを決めることから始めます。
営業の組織であれば、以下の情報・データを網羅できるようにしておくといいでしょう。
■取引先・コンタクト・顧客管理
企業や担当者の情報、商談の履歴・進捗
■目標管理
組織と個人の目標と、目標の進捗や達成度合い
■案件管理
商談日、取引先、営業担当者、商材、商談経緯、商談内容、案件の進捗受注の確度(見込度)、受注予定日、売上予測額(見込額)、営業の行動履歴
■行動管理
営業が取った行動の内容、担当者、フェーズ、改善施策と実施結果、使った資料(提案書など)
これにより、「いつ」「誰が」「どんな案件を」「どのように処理したのか」を全員で共有できるようになります。
ただし、いきなり全ての情報を共有するのは営業にとって負荷になりかねません。
上記の情報にも優先順位をつけておき、共有の範囲を少しずつ広げていくと良いでしょう。
③営業プロセスを見える化・共有する
売れない営業を売れる営業にするには、売れる営業のやり方を真似させるのが、一番の近道です。
提案資料やお客さまに伝えるフレーズ、メールを送るタイミング一つを取っても、各営業担当それぞれに特徴があります。
それらを分析して、良いパフォーマンスと悪いパフォーマンスを明確にすることで、成約に結びつく理想の営業プロセスを見つけることができます。
さらに売れる営業は、お客さまに合わせてアイスブレイクを変えたり、取引の危険信号を敏感にキャッチしたりといった、高度なノウハウやスキルを持っている人が多いです。
本人も意識していなかったり、言語化しづらい部分ではありますが、先輩や上司が上手にヒアリングすることで、引き出すことができます。
おわりに
これまでの解説からわかるように、情報共有を効果的・継続的に行うには、仕組みをつくることが大切です。
しかし、直接的な利益がなかったり、仕事が進まなければ、なかなか情報共有はしないもの。
特に、売れる営業、優秀な営業からしてみたら、自分は情報を提供するばかりで、そのための資料を作ったりなど、不利益を被っていると感じてしまうことにもなりかねません。
そこで有効なのが、何もしなくても情報共有できる仕組みを作ってしまうことです。
例えばSFA(営業支援ツール)を導入すると、いつものように案件登録やメール送信などをするだけで、
・営業活動に関する情報を全員が閲覧できるようになる
・案件の更新、各担当者の行動情報などが通知される(営業の動きがリアルタイムで分かる)
・ツールが、成果に繋がる最適なネクストアクションを提案してくれる
・・・といったように、簡単に情報共有ができ、属人化することを防げます。
SFAには、さまざまな機能や価格のものがあり、自社に合ったものを選ぶことが重要です。
比較や検討をする際にはぜひ、「営業支援ツール・システム(SFA)39選比較 | 2017完全版 | 価格・特徴・導入事例」をご覧いただければと思います。
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