今回のテーマは、仕事の進め方によく使われる「PDCA」についてです。

といっても、PDCAを解説するだけなら他の書籍やサイトにも書いてあります。
そこで、Senses Lab.ならではの視点を加えてPDCAサイクルが上手く回らない理由や、PDCAを上手く回すには何が不足しているのか、お伝えしたいと思います。

PDCAサイクルを上手く回そうとはしているけれど、なかなか改善に繋がる効果が出ない経験をしたことはありませんか?

実は、PDCAサイクルが上手く回せない経験をしているのはあなただけではありません。

その原因は、PDCしか回していないことにあります。

あなたは、PDCAの「A」段階で具体的に何をするか説明できますか?

「できない」と答えた方の為に、PDCAサイクルの正しい回し方と事例をご紹介します。

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PDCAサイクルとは?

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まずは、PDCAについて簡単におさらいしておきましょう。

  1. Plan(計画):過去の実績や将来の予測などをもとに業務計画を作成する
  2. Do(実行):計画に沿って業務を実行する
  3. Check(検証):実行した業務が計画に沿っているかどうかを検証する
  4. Action(改善):検証結果で見えた課題の解決策を考え、改善する

1周したら終わりではなく、最後のAction(改善)を2週目のPlan(計画)の「過去の実績や将来の予測」の部分に使って、2周、3週、と続けていくことがポイントです。

こうすることで螺旋階段のように1周ごとにレベルを向上させ、継続的に改善や成長を続けることができるのです。

ちなみにPDCAサイクルは、もともと工業製品の生産における品質管理や生産管理を円滑に進めるために、業務効率改善の手法として考えられたものです。

今でこそいろんな仕事で使われていますが、本来の目的はちょっと違うということだけ、ここでは覚えておいていただければと思います。
(後ほど、別の項目で詳しく説明します。)

関連記事:PDCAサイクルを効率的に回す3つのコツを紹介

あなたがPDCAを上手く回せない理由

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上述した通り、PDCAはとても役に立つ手法です。
しかし、「PDCAを回しているのに何も良くならない・・・。」と感じている方も多いのではないでしょうか。

ここで一度、あなたが普段どんな風にPDCAサイクルを回しているのかを振り返ってみてください。

頭の中で思い浮かべているだけだとこんがらがってきてしまうので、できれば簡単に紙に書き出してみましょう。

たとえば、みなさんのPDCAは下記のようになっていませんか?

Plan(計画):
ざっとした計画を立てる
例:受注率を上げるために、サービス紹介資料を新しく作り直す

Do(実行):
新しいサービス紹介資料で提案をしてみる

Check(検証):
効果があったか、なかったかを確認する

Action(改善):
①効果があった場合→やった!効果があった!
②効果がなかった場合→うーん、残念・・・。よし、新しいサービス紹介資料を作ろう!

一見すると、PDCAが回っているように見えます。
しかし、大きな問題点が2つ隠されています。

<問題点①>

具体的な仮説や、施策による効果の見込みを立てずにPlan(計画)を作ってしまっている

<問題点②>

Action(改善)が単なる感想になってしまっていて、Plan(計画)→Do(実行)→Check(検証)だけを繰り返してしまっている

これでは、いつまで経っても改善もレベルアップもしないのは、当然のことですね。

PDCAサイクルに不足していること

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先ほど少しお伝えしたように、PDCAサイクルは本来、品質管理や生産管理を効率的に進めたり、改善するために編み出された手法です。

ですが、現在の日本では、営業やマーケティングでの「売上改善」に使われることが多いように思います。

品質管理や生産管理と、マーケティングや営業はどう違うかというと、品質管理や生産管理は主に機械が稼働するため、数値に落とせるプロセスです。

マーケティングや営業は人間に対する行動なので、数値だけではなく、感情、モチベーションなどの不確定要素があります。

品質管理などを理解するためには、数値さえあれば問題ないですが、営業などを理解するためには、相手が考えていることを理解することが必要不可欠です。

ですので、PDCAを営業やマーケティングで使う際には、Action(改善)に代わる施策が必要です。

ある目的で開発されたフレームワークを他にも応用するといいのですが、そのまま当てはめてしまうと使い勝手が悪いこともあります。

たとえばマーケティングや営業の場合、「この施策をするとどんな効果がでるのか」が、未知数なことも多いので、生産分野のように数字を確認するだけでは不十分です。
そこで、Learn(学習)というステップを取り入れてみます。

  1. Plan(計画):過去の実績や将来の予測などをもとに業務計画を作成する
  2. Do(実行):計画に沿って業務を実行する
  3. Check(検証):数値がどう変ったのかを確認する
  4. Learn(学習):結果から得られる知識を明確にする

※次のPlan(計画)はLearn(学習)から得られた知識をもとに作る

Action(改善)にも学習の要素は含まれますが、「Learn(学習)」と定義したほうが、学習の重要性をしっかりと意識することができます。

また、PDCA(PDCL)のサイクルの中で、本来は「Do」が実行のステップであり、「Action」は「改善」を意味するステップです。

ただ、「Action」だと改善ではなく実行のステップと勘違いされやすいので、Action(改善)→Lean(学習)とした方がわかりやすいです。

PDCA/PDCLではPlan(計画)が一番重要

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PDCLの事例をご紹介する前に、どのようにPlan(計画)を作るのがいいのかについて、お伝えしておきたいと思います。

自分たちが何のために行動しているのかを見失わないにようにするためにも、Plan(計画)を作ることは非常に重要です。

また、実行した施策の検証をするには、「どんな施策を行い」、その施策により「どんな効果が見込めるのか」という仮説を立てることが必要です。

そこでこの項目では、仮説を立てるためのフレームワークを2つご紹介しておきます。

①ICEフレームワーク

グロースハックという言葉の生みの親でもあるSean Ellis(ショーン・エリス)氏が考案したフレームワークで、仮説の優先度を決めることができます。

下記、3つのポイントでスコアを測定します。

なお、スコア(数値)は自由に設定することができますが、1〜10を使うことが多いです。

I: Impact (効果)

何を測定するのか

どれだけの効果を見込めるのか?

スコアの付け方(例)

見込み効果を予測して売上が1%上がるだけならImpactスコアは低く(1か2)、逆に売上が50%上がると予測できるならImpactスコアは高くなります(9か10)。

C: Confidence(成功する自信)

何を測定するのか

効果を出す自信がどれだけあるのか?

感覚ではなく、過去の実績や他社の事例などデータをもとに判断します。

スコアの付け方(例)

「社内に仮説をサポートするデータがあるか?」
「他社が同じことをして効果があったか?」といったデータがなければConfidenceスコアは1。

データがあればあるほどスコアが高くなります。

なお、仮説を立てる際は必ず参考のデータやURLを貼るようにします。

E: Ease(難易度)

何を測定するのか

施策を行うことは簡単か?難しいか?

スコアの付け方(例)

すぐにできる簡単なことなら9か10、何週間もかかる難しいことなら1か2になります。

②PIEフレームワーク

IECと同じように、仮説の優先度を決めるためのフレームワークです。

スコアについても同様で、自由に設定はできますが、1〜10の間で測定することがほとんどです。

P:Potential(効果が出る可能性)

※ICEフレームワークのImpactと同じ

I:Importance(重要性)

何を測定するのか

仮説を実行することで、どの程度まで影響があるのか?

一連のフェーズ全体に渡って大きな影響を及ぼす、または、影響を及ぼす度合いが高いほど、スコアが高くなります。

スコアの付け方(例)

認知ファネル(認知から受注に至るまでの流れのうち、最初の認知の段階のこと)に関することであれば、全体に影響を及ぼすためスコアは10になります。

一方で、あまり使われていない機能やページを改修するのであれば、スコアは低く(1か2)になります。

E:Ease(難易度)

※ICEフレームワークのEaseと同じ

いくつもの施策を一度に行ってしまうと効果がわかりづらくなってしまいます。

そこで、上記のようなフレームワークを使って仮説の優先度を調べて施策を絞り込んでから、実行に移すようにしましょう。

ICEフレームワークを使って、PDCLを回した事例

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最後に、PDCLを回した事例をご紹介します。

弊社マツリカで実際にやったことなので、参考にしていただける部分が多いと思います。

1.Plan(計画):仮説を立てる

仮説:facebook広告を出せば、コンバージョン数が20%上がる

※コンバージョン数:広告をクリックしてサイトに訪れたユーザーが、商品購入や資料請求など、広告主にとって成果とみなされる行動をとった数

まずは、ICEフレームワークを使って、仮説の優先度を測ります。

Impact(効果): 8

全体的なコンバージョンが20%上がれば、効果としてはかなり大きい。

Confidence(成功する自信): 4

Facebook広告を本気で出すのは初めてなので、社内にデータはない。

競合企業ではFacebook広告を出している会社が多い。
つまりある程度、効果があると判断できる。(とはいえ、詳細は不明)

Ease(難易度): 8

広告のクリエイティブと文言を作るだけなので、割とすぐできると判断。

2.Do(実行):広告の制作と設定を行う

以下ようなの6つの広告を制作して、Facebookに掲載します。

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3.Check(検証):広告の効果を検証する

設定した期間(1週間)後に、効果を検証します。

仮説で設定した通り、コンバージョン数をどれだけ取れたのかを確認します。

<1週間後のコンバージョン数> ※広告ごとに測定

・もうエクセルでの営業管理はやめませんか?:2

・営業案件の状況把握のため時間を費やしていませんか?:6

・現場が営業案件をSFAに入力してくれない:2

・SFAに高い費用を払っていませんか?:4

・この取引先にはどんなメールを送ればいいだろう:0

・受注率を精確に把握できていますか?:1

4.Learn(学習):検証結果から得られた知識を明確化する

「効果が出てよかった!」で終わらせるのではなく、検証結果から得られた知識を明確にし、できれば文章にして残しておきます。

こうすることで、変化があったときや、似たような施策を行う時に分析したり、振り返ったりすることができます。

<検証結果から得られた知識(例)>

・一番コンバージョンが取れたのは、営業案件の状況把握と費用に関する広告

・具体的な課題を挙げる広告の方がコンバージョンが取れた

・コンバージョンが取れた広告のうち、クリエイティブの共通点はない(サービス画面、全く関係ない画像、人間が写った画像・・・など。)

これで、PDCLのサイクルが一周終わったことになります。

PDCAの説明でも同じことを言いましたが、サイクルは繰り返すことが重要です。

Learn(学習)で得られた知識を使ったPDCLを繰り返し、得られた知識を上手く使うことで「Plan(計画)」の質が上がり、成功率も上がります。

では、2週目にはどんな仮説が考えられるでしょうか。

<仮説①>

「営業案件の状況把握のため時間を費やしていませんか?」の広告に「低費用」などの文言を入れるとコンバージョンが上がる。

仮説の根拠:

費用に関する広告でコンバージョンがたくさん取れたので、他の広告にも費用の話を入れるとコンバージョン率が上がる可能性がある。

<仮説②>

「受注率を精確に把握できていますか?」の文言を「あなたの営業ファネルはどこがボトルネックか、分かっていますか?」に変えれば、コンバージョン数が上がる。

仮説の根拠:

具体的な課題を挙げた広告の方がコンバージョン数が多かったため、文言を課題っぽくするとコンバージョン率が上がる可能性がある。

このように、Learn(学習)で得られた知識を次のPlan(計画)の仮説の根拠とすることで、PDCLサイクルを回せば回すほど、成果が大きく、成功率が高くなっていきます。

さいごに

もし、自分自身の業務や会社のプロジェクトで「PDCAを上手く回せていない」「成果が出ていない」と感じているなら、ぜひPDCLサイクルを試してみてください。

学ぶことを意識することで新たな気づきやたくさんの発見があり、大きく成長したことを実感できるはずです。

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Mazrica Business Lab.はクラウドアプリケーションMazricaの開発・提供を展開する株式会社マツリカが運営するオウンドメディアです。営業・マーケティングに関するノウハウを中心に、ビジネスに関するお役立ち情報を発信しています。
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