マネジメントの役割のひとつに部下を育てることがあります。

業務を教えたり、間違いを正したり・・・といったことも大切ですが、忘れてはならないのが、やる気を引き出すことです。

やる気を出す方法には給与を増やす、昇格させるなどいろいろな方法がありますが、一番効果が高くすぐにできるのが「褒める」こと。

そこで今回は褒めることの効果と、いい褒め方・ダメな褒め方をご紹介していきます。

・・・ところで、最近、いつ、どんなことで、部下を褒めたか覚えていますか?

「なんだか照れくさい」「褒め方がわからない」とためらってしまう気持ちもわかります。

ですが、上手く褒めることで、部下のモチベーションが上がり、自ら積極的に考え、動くようになることで、部下が成長し、ひいては組織への成長へと繋がる、いいスパイラルを生み出すことができるのです。

褒めることには、コストも時間もかかりません。

必要なのは、たったひとつの言葉だけ。

―これはもう、やらなきゃ損ですよね?

なぜ、部下を褒めるべきなのか?

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褒めることで、部下はやる気を出し、仕事を好きになります。

褒められてやる気が出た経験は誰にでもあると思いますが、実は科学的な裏付けもあるんです。

人間は本能的に快楽を求める生き物です。

もちろん、褒められることでも快楽を感じます。

仕事をする→褒められるという流れが繰り返されると、どうなるか?

仕事をすると快楽ホルモンであるドーパミンが分泌され、仕事が好きになるというわけです。

ちなみに、褒められる側だけでなく、褒める側にもいい影響があることがわかっています。

意識して褒めるという行為により、前頭前野はフルに働き、脳が活性化し、思考力が鍛えられたり、前向きになってやる気が出るそうです。

つまり褒めることで、褒める側にも褒められる側にも、やる気を引き出すことができるということになります。

部下の成長を加速させる6つの褒め方・褒めるタイミング

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ここでは、部下の成長を促す6つの「いい褒め方」をご紹介していきます。

中には「本当に効果があるの?」と思うものもあるかもしれませんが、紹介するのは、すべて効果が実証されているものです。

まずは一度、騙されたと思ってやってみてください。

①いいことをしたらすぐに褒める

アポが取れた、成約した、プレゼンが上手くいったなど、「いいこと」や「すばらしいこと」をしたら、可能な限りその場で褒めることが大切です。

脳は「同時」に起こったことを結びつける性質があります。

・・・といえば、もうおわかりですよね?

仕事をする=褒められるが結びつくことで、仕事をすることが好きになります。

なお、時間が経ってからだと、ただ気分が良くなっておしまい、ということもあるので、お気をつけください。

②人そのものを褒める

たとえば、契約を取ってきた部下がいたとします。

「契約おめでとう!」と褒めることはいいのですが、これだけでは30点といったところ。

もしかしたら契約が取れたのは、取引先の担当者がたまたま知り合いだった、というように「運がよかった」ということもあり得ます。

この状態で、契約が取れたという結果だけ褒められても、あまり嬉しくはありませんよね。

そこで、褒める時には結果だけではなく、その人の行動や努力など、「その人がすごいから結果が出た」という点も一緒に、褒めてあげるようにしましょう。

例えば「〇〇さんの丁寧なサポートが契約に繋がったね!」と褒めるとその人自身が良かったということが伝わります。

こうすることで、「認められたい!」という承認欲求を満たしてあげることができます。

③具体的な行動を褒める

上述したことと似ていますが、褒める時には具体性を持たせることが重要です。

単に「よくやった!」、「がんばったな」と言うのではなく、どの部分がよかったのか、どこをがんばったのかを伝えるのです。

契約件数や売上など具体的な数字を挙げたり、「プレゼン資料のグラフがわかりやすかった」「気難しい担当者と交渉を続けた」といった感覚的な部分でも構いません。

要は、部下の仕事をちゃんと見ているというメッセージが伝わることが大切なのです。

また、具体的な行動を褒めることには、もうひとつ利点があります。

たとえば、

「顧客とのスピーディーなやり取りがすばらしいね」

「この前の書類、誤字・脱字が1つもなかったよ!」

と伝えることで、部下にどう動いてほしいのか、どこに重点を置いて仕事を任せているのかを、暗に伝えることもできます。

④失敗したときも褒める

失敗は、いつまでも頭に残りやすいものです。

ですが、こうしたマイナスの状態をずっと引きずっているのは、本人にとっても、組織にとっても良くありません。

もちろん、怒るなどもってのほか。

危険を避けるという人間の本能によって、さらに仕事嫌い(ついでに上司も嫌い)になってしまいます。

そこで試されるのが、上司の褒める技術です。

ビジネスの世界では、契約できたか/できなかったかなど、0か100かで評価・判断をされることが多いですが、たとえ失敗しても、褒めるべきことはあるはずです。(プロセスを褒めるという方法があるのですが、これについては後述しますね)

褒めることで、マイナスの状態からプラマイゼロ、できれば、プラスの状態にまで持っていくのが、上司の役割です。

この時のポイントは、2つ。

1つは、「今回は」「今は」という言葉を使って、失敗を「限定」することです。

これにより部下は、自分のすべてが悪いわけじゃない、と感じることができます。

次は、失敗したという事実から、その人そのものへと視点を広げていきます。同時に、未来への期待なども伝えられるといいですね。

2つを繋げてみると、「今回は提案の時期が悪かったな。だけど、プレゼンは完璧だったし、次は上手くいくさ。」という感じになります。

⑤やり方を褒める

やり方、つまり、進め方やプロセスを褒めることです。

たとえば、

・顧客の担当者の部署全員にアプローチしにいった

・1年間も粘り強く交渉を続けた

・・・といったように、結果とは直接関係ない行動を褒めることがポイントです。

上記の褒め方を見るとわかるように、やり方を褒めるには日々の観察が必要です。

また、同じ結果が出たとしてもそこに辿り着くまでのプロセスは人それぞれです。

つまり、やり方を褒めるのは、部下と一番近くにいる上司だからこそできる褒め方だということ。

「自分のことを見てくれている」とわかり、喜びも倍増します。

⑥何度でも褒める

冒頭で、仕事を褒めると仕事が好きになる、とお伝えしましたが、たった1回の褒め言葉だけでは、仕事=快楽という回路は結びつきません。

筋トレと同じように何度も繰り返すことが必要です。

ちなみに、成功体験を重ねることでも、仕事が好きになるという効果を得られますが、ビジネスで成功するというのはなかなか難しいもの。

だからこそ、成功の前段階であっても、上司が褒めてあげなければならないのです。

とはいえ、無理して褒めるところを搾り出せと言っているわけではありません。

これまで紹介してきたように、その人そのものやプロセスを褒めればOKです。

褒めることが逆効果!?避けるべき褒め方

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「いい褒め方」があるなら、もちろん、逆もあります。

この項目では、褒めたのに、部下の反応がいまいちだったり、やる気を削いでしまうような、「ダメな褒め方」を4つご紹介します。

①本気で思っていないのに褒める

・遅刻をしないなど、当たり前のこと

・心にもないお世辞

・無理やりこじつけたこと

このように、本気で「すばらしい」「よくがんばった」と思っていないのに褒めるのはNG!

本気でないことは、表情や声のトーンなどで、相手に伝わってしまうもの。

おだてるだけでは、ちっとも嬉しくありません。

褒める:優れているとして、その人や事を良く言う。

おだてる:しきりに褒めて得意にさせる。

この違いをしっかりと意識して、おだてたり、部下にごまをするなんてことのないようにしましょう。

②本人と無関係のことを褒める

容姿や年齢、家柄、交流関係を褒めても、あまり効果はありません。

褒められた側の立場になってみればわかりますが、「父親が大企業の役員だと人脈も広いね」「若い人はすごいね」と言われても、「はぁ・・・そうですね(でも、自分でがんばったことでもないし、褒められてもな・・・)」と思われるのがオチ。

褒める時には、本人のがんばりや行動を褒めることがポイントです。

③不本意に行ったことを褒める

サービス残業、休日出勤、接待、飲み会など、社会人であれば、嫌々ながらもやらなければならないことはたくさんあります。

たしかに、休日出勤までして仕事を成し遂げようとする姿勢は、すばらしいものです。

しかし本人は、まず間違いなく好きでやってるわけではありません。

こうした行動を褒めてしまうのは、嫌味に聞こえてしまったりと逆効果になる可能性が高いので、注意が必要です。

もしどうしても、何かひとこと言いたいのであれば、「残業お疲れさま、大変だったね」と苦労をねぎらったり、「ありがとう」という感謝を伝えるだけの方が、部下は努力が報われたと感じることができます。

④気まぐれに褒める

機嫌の良し悪しや、相手を選んで褒めたり褒めなかったりするのは、上司として一番やってはいけないことです。

こうした不公平な態度は、部下の不信感を煽り、職場全体の雰囲気を悪くしてしまう、ということを肝に銘じておきましょう。

まとめ

部下の「いい褒め方」は、以下の6つでした。

①いいことをしたらすぐに褒める

②人そのものを褒める

③具体的な行動を褒める

④失敗したときも褒める

⑤やり方を褒める

⑥何度でも褒める

普段、何気なく部下を見ていると思いますが、「いいところ」と「変化」に着目して見るようにすると、自然と褒めるポイントが見つかるはずです。

さあ、「善は急げ」です!

今すぐパソコンから顔を上げて、周りの部下を見渡してみてください。

あなたに褒められたくてうずうずしている部下が見えるはずです。

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