インサイドセールス、セールステックという言葉が浸透し、営業のあり方もIT技術の発展とともに刻々と変化しています。
Sales Ops(セールスオペレーション)は、セールステックツールの運用を効率化し、効果を最大化する次世代の役割です。
今回は、このSales Ops(セールスオペレーション)の役割や必要性について解説します。
この記事の内容
セールスオペレーション(Sales Ops)とは?
セールスオペレーション(Sales Ops)とは、営業部門のパフォーマンスを最大化するための戦略から実行までを包括的に指します。
その具体的な業務内容は企業によって異なりますが、主に営業部門を支援し、効率化と成果向上を目指す役割を担っています。
セールスオペレーションの組織内での位置づけは企業ごとに異なります。
一部の企業では独立した部門として存在し、他の企業では「レベニューオペレーション(RevOps)」の一機能として統合されている場合もあります。
大規模な企業では特に、複数の部門と連携するための重要な役割を担っています。
セールスオペレーションは、セールスプロセスの効率化や最適化、データ分析を活用した現場への洞察提供を行う役割を担います。
また、マーケティング部門やカスタマー部門との連携を強化するブリッジ(橋渡し)としても機能します。
セールスオペレーションを導入することで営業現場への効果的な支援が可能となり、結果として収益の向上が期待されています。
Sales Ops(セールスオペレーション)の必要性
Sales Ops(セールスオペレーション)とは、セールスを効率的に行うためのテクノロジーやプロセスを整理し効率化、成果を最大化する役割を指します。
日本では、営業企画や営業推進などのイメージが近いです。まだまだマイナーなポジションではありますが、アメリカでは比較的注目されている役割として知られています。
セールステックツールの浸透と課題
日本において、Sales Ops(セールスオペレーション)があまり認知されていない背景には、セールステックツールの普及がまだ進んでいないことが大きな要因として挙げられます。
具体的には、どのような課題があるのでしょうか?
セールステックについては、こちらの記事内で詳しく解説しています。
関連記事:セールステックとは?7つのカテゴリーを解説|今後の営業に求められる4つのスキル
入力方法や入力手段が分からない
従来のテレアポや飛び込み営業といった手法から、近年はテクノロジーの変化により、インサイドセールスと呼ばれる営業方法にシフトしつつあります。
セールステックツールは日々進化しているものの、まだ人的リソースを割いて操作や管理が必要で、特にITリテラシーが低い方は、入力や作業に苦戦し、結果的に業務効率が下がってしまいます。
業務量が増えるという先入観がある
セールステックツールに限った話ではありませんが、報告書や提案書の作成、往訪などの日々の業務の他に、入力業務が加わるため、「なんとなく業務量が増える」という心理的なストレスがかかり、導入にネガティブになります。
営業活動に使える時間は全体のわずか1/3
Sales Force Reserchの調査によると、営業パーソンが実際に営業活動に使える時間は1/3程度しかないという統計データもあります
このデータから、これ以上実際の営業業務以外に時間を取られたくない、というセールスパーソンの声が聞こえてきそうです。
業務フローを変えることが億劫
セールステックツールを導入すれば、従来の業務フローの変更を余儀なくされることもあるでしょう。
例えば、勘と根性をもとに、テレアポや飛び込みをしているセールスパーソンにとっては、SFAツールなどにデータを入力する、または既存のエクセルなどに記入した顧客データをツールに移行させるよりも、少しでも多くの顧客に営業したいと考えるかもしれません。
実はSFAを導入しても半数以上が不満足というデータもあります。
Sales Ops(セールスオペレーション)定着の効果
次に、セールスオペレーションが定着することによる効果について解説します。
顧客データの活用の定着
セールスチームに限らず、事業企画、カスタマーサクセスなど他の部門と連携し、ビジネス全体のバランスを見つつ、設計を構築することで、実用的なセールスツールの運用が可能となります。
営業の効率を高められる
データをより緻密に収集・分析することで、より最小限のコストと労力で、確度の高いターゲットに向けて営業が行えます。結果的に生産性向上・会社全体の売上アップにもつながります。
属人化しない営業活動ができる
「勘」や「根性」といった部分を、セールステックツールで成果に直結する営業データとして蓄積・可視化することで、成果の出る営業プロセスや失注するケース・ノウハウを共有できます。
また、新入社員や営業スキルのない中途社員の即戦力化も期待できます。
Sales Enablement(セールスイネーブルメント)とSales Ops(セールスオペレーション)の違い
セールスイネーブルメントとセールスオペレーションは似ているようで、その範囲と目的に違いがあります。
セールスイネーブルメントは、CRMやSFA、MAなどのツールを活用し、顧客情報や取引履歴を分析して営業プロセスを仕組み化します。
この仕組みにより、営業スキルの標準化や向上を図り、組織全体のパフォーマンスを高めます。また、蓄積されたノウハウは新人研修にも活用され、マーケティングや人事部門にも貢献します。
一方、セールスオペレーションは、テクノロジーやデータを駆使して営業活動全体の生産性向上を支援します。
CRMやSFAで顧客データを管理し、AIを活用して見込み顧客を特定するなど、営業チームの成果最大化を目指します。
これにより、効率的な営業活動を実現し、顧客満足度や解約率の改善にも寄与します。
要するに、セールスイネーブルメントは営業スキルやプロセスの標準化に重点を置き、セールスオペレーションは営業活動の効率化と生産性向上にフォーカスしています。
関連記事:セールスイネーブルメントとは?意味や事例・運用方法を紹介
セールスオペレーション(Sales Ops)が担う役割
セールスオペレーション(Sales Ops) は、企業によってその構造や機能が異なりますが、主に以下の4つの分野に分けられます。
- ストラテジー(戦略)
- テクノロジー
- オペレーション
- パフォーマンス
それぞれの役割を詳しく見ていきましょう。
ストラテジー(戦略)
Sales Opsは営業組織のビジョンを定義し、それを達成するための戦略を立案し実行します。
具体的には、以下のような業務を担当します
- 営業プロセスの最適化
- セールステックツールの導入と施策評価
- 計画立案と目標設定
- データ分析と売上予測
これらの業務を通じて、営業チームが戦略的に動ける環境を構築します。
テクノロジー
近年、SaaSアプリケーションやセールステックツールの導入が進み、営業活動を支えるテクノロジーの役割が重要性を増しています。
しかし、新しいツールの導入は複雑で、営業担当者が使いこなすまでに時間がかかることもあります。
Sales Opsは以下のような方法でツールの管理を行い、営業担当者が本来の業務に集中できるよう支援します
- アプリやツールの統合
- CRMの導入とカスタマイズ
- コミュニケーション管理
- データ管理とレポート作成
- 営業業務の自動化
これにより、業務効率を向上させ、営業プロセスをスムーズに進めることが可能です。
オペレーション
Sales Opsは、営業担当者が営業活動に専念できるよう、運用や管理タスクを引き受けます。
また、データ分析やプロセスの最適化を通じて、営業チームのスキルアップや知識共有を支援します。
主な業務内容は以下の通りです。
- 営業研修とプロダクトトレーニングの実施
- 優秀な人材の採用とオンボーディングプロセスの管理
- 市場理解を支援する情報提供
- 契約管理とサービス品質保証
パフォーマンス
営業活動の生産性と成果を向上させるためには、営業担当者が直面する障壁を取り除き、業務プロセスを合理化することが重要です。
Sales Opsが注力する主な業務は以下の通りです
- KPIや販売指標の設定
- リード管理と効率的な運用
- 報酬やインセンティブ計画の作成
これらを通じて、営業チームが目標を達成しやすい環境を提供します。
Sales Ops(セールスオペレーション)に向いている人材
Sales Ops(セールスオペレーション)には、どのような人材が適しているのでしょうか。セールスオペレーションを実行する際に必要なスキルを以下で解説します。
営業経験と市場理解
営業活動やマーケティングの経験は、セールスオペレーションにおいて非常に重要です。
現場の文脈や課題を理解していないと、営業チームが直面している具体的なニーズや問題を把握できず、信頼を得ることが難しくなります。
例えば、営業担当者の手間を減らすツール選定や、実際に売上につながる変革の提案を行うためには、実務経験が役立ちます。
さらに、市場や顧客行動の変化にも敏感である必要があります。従来の営業手法が通用しなくなった場合でも、新しい状況に対応できる柔軟な思考と提案力が求められます。
セールス・マーケティングツールの知識
営業ツールやマーケティングツールの理解は、セールスオペレーションにおいて欠かせません。
CRMやSFA(営業支援システム)、マーケティングオートメーション、タスク自動化ツール、コラボレーションツールなど、多岐にわたるツールを使いこなすスキルが必要です。
特に、営業とマーケティングの情報が分断されないように、両部門の連携を強化するツールの選定が重要です。自社の課題やITリテラシーに適したツールを選び、それを活用することで、業務効率を高めるだけでなく、チーム全体の成果を向上させることができます。
また、ツールの導入後にはトレーニングを行い、メンバーが実務に活用できるようにサポートすることも大切です。
営業プロセスに精通している
データ管理ができても、非現実的な施策は机上の空論に過ぎません。
営業の経験者でなくても、営業プロセスの理解、インサイドセールスなど近年の営業手法の動向のキャッチアップ、営業の戦略立案スキルあたりは、最低でもおさえておく必要があるでしょう。
データ分析力
データ分析は、セールスオペレーションの中核的な役割の一つです。営業活動のデータを解析することで、営業チームのパフォーマンスを可視化し、改善点を特定することができます。
例えば、営業担当者が顧客に最大限の価値を提供しているか、リードの質や顧客ロイヤルティの推移などを分析することで、効果的な営業施策を提案できます。
また、売上予測やインセンティブ設計、KPIの設定など、戦略的な意思決定をサポートすることも可能です。
分析結果を分かりやすく提示し、意思決定を支援する能力が求められます。
セールスオペレーション(Sales Ops)の導入を成功させるポイント
セールスオペレーション(Sales Ops)をただ単に導入するだけでは効果は得られません。
セールスオペレーションを組織に根付かせて初めて、その成果を最大化できます。
1. 現状把握と目的の明確化
まず、組織の現状を正確に把握することが重要です。
年間業績、予算、営業担当者の人数などを分析し、セールスオペレーション導入の必要性や目的を明確にします。
次に、セールスオペレーションのミッションや目標を全社的に共有するミッションステートメントを作成します。
これにより、組織全体が同じ方向を向き、戦略策定や意思決定の指針となります。
2. 適切な人材の選定
セールスオペレーション導入には適切なスキルを持つ人材が不可欠です。社内の人材から選ぶか、新たに採用する形でポジションを埋めましょう。
具体的には、以下の2つのポジションを作ることをおすすめします。
セールスオペレーションマネージャー
営業プロセスの理解、リーダーシップ経験、データ分析スキルを持ち、戦略立案と実行をリードします。
セールスオペレーションアナリスト
データ分析やツール活用に強く、マーケティングや営業プロセスを横断的にサポートします。3年以上の実務経験が望まれます。
3. 最適なツールの選定
データ管理や業務効率化には適切なツールの導入が必要です。
CRM(顧客管理):顧客情報を一元管理し、属人的な営業を防止
SFA(営業支援):営業付帯業務の自動化により、営業プロセスを効率化
営業現場の現状を分析し、自動化・効率化が必要な箇所を明確にした上で選ぶことがポイントです。
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4. トレーニングの実施
セールスオペレーション部門のスキル強化には、個々のレベルやニーズに応じたトレーニングが必要です。
さらに、営業チームにもトレーニングを提供し、セールスオペレーションのリード提供や契約管理などの支援を効果的に活用できるようにします。
これにより、営業チーム全体のパフォーマンス向上が期待できます。
セールスオペレーションを効果的に導入するには、現状把握、人材選定、適切なツール導入、そして継続的なトレーニングが欠かせません。
今後のSales Ops(セールスオペレーション)と必要なツール
Sales Ops(セールスオペレーション)は、今後どのように変容していくのでしょうか?
マーケティングオペレーション・カスタマーオペレーション
今後は、Sales Ops(セールスオペレーション)・Marketing Ops(マーケティングオペレーション)から発展し、カスタマーオペレーションと呼ばれる役割が求められると言われています。
カスタマーオペレーションとは、顧客データを用い、そのデータの分析、またはデータを運用するシステムの管理などを中心に行う役割・チームです。
カスタマーとは直接、接点を持ちませんが、データを集客し活用することに専門・特化した部署であるため、個々のスキルに依存せず、より効率的で緻密な分析のもと、有効な施策を打つことができます。
カスタマーオペレーションは、Sales Ops(セールスオペレーション)・Marketing Ops(マーケティングオペレーション)と比べると、さらに広範的なデータも統合します。
すなわち、バックオフィス部門や開発部門が持つカスタマーのデータも統合し、それをレポーティング・マッピングし、カスタマーサクセスに貢献します。
今まで活用されていなかったデータを発掘し、それを事業に活かすことが可能になります。
▶︎▶︎マーケティングとセールスにて共有すべきデータやオペレーションについてはこちらを参考に
例えば、過去に解約した顧客データから離脱する顧客の傾向を把握し、ヘルススコア(サービスの利用状況に応じてランク付け)管理することです。
スコアの低い顧客に対してフォローすることでいわゆるチャーンレート(解約率)の減少につながります。更に日々のサポートのオペレーションの最適化など、結果的にLTV(顧客生涯価値)の最大化につながります。
セールスオペレーションがますます必要になる理由
少子高齢化で労働人口の減少が進む中で、新規顧客へのアプローチの最適化、そして顧客離れを防ぐ施策を考えることが重要です。
そのためには、最適なタイミングで見込み客にアプローチし、効率的に受注し、さらに売上を伸ばすような日々の営業活動の手順の整備が不可欠です。
また受注した顧客に対しても同様に、解約リスクを早期に発見し、解約率を下げる仕組み作りや顧客のサクセスに伴走できるような最適なオペレーションの整備が欠かせません。
この役割を担うのが、セールスオペレーションやカスタマーオペレーションです。
海外では「Operation Excellent(オペレーショナル・エクセレンス)」という言葉が普及しており、常により良いオペレーションを追求しようという考え方が現場の末端まで浸透し、継続的なオペレーションの改善をする仕組みができていることが多いです。
日本でもこのような考え方はこれまで以上に重要になり、セールスオペレーションのポジションはますます注目されていくでしょう。
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まとめ
Sales Ops(セールスオペレーション)の整備により、営業プロセスの整理・効率化が進み営業成果が最大化されます。
解説してきたように、セールスオペレーションを実践するには、セールステックツールの活用が欠かせません。しかし、最適なツールを選ぶのは容易ではありません。
セールスオペレーションの実践にはデータの収集と活用が必ず必要になります。入力の負担が小さく、設定の容易なツールがおすすめです。
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