女性の就業率が増加している現代では、優秀な女性人材を確保することが企業成長のポイントと言っても過言ではありません。

しかし結婚や出産などのライフイベントを経て、時間や体力的な問題で営業職を辞めてしまう女性が多いことも事実。
働く女性が活躍し続けられる営業組織を作るために、会社や営業マネージャーができることとは何なのでしょうか。

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現代の働く女性を取り巻く環境

まずは、現代の女性の労働状況などを確認しましょう。

労働力調査から見る女性の就業状況

まずは内閣府男女共同参画局による労働力調査を参考に、女性の就業率を確認しましょう。
調査結果によると、15~64歳の女性の就業率は72.4%(2022年)。
(出展:第1節 就業 – 内閣府男女共同参画局)
10年前の2012年は60.7%だったので、10ポイント以上上昇していることがわかります。

また、2022年と2012年の年齢階層別の就業率を見てみると以下のデータになっています。

【年齢階層別の女性の就業率(2012年、2022年)】

年齢\就業率 2012年 2022年
20~24歳 70.1% 72.3%
25~29歳 77.6% 84.8%
30~34歳 68.6% 78.4%
35~39歳 67.6% 77%
40~44歳 71.7% 79.7%
45~49歳 75.7% 80.4%
50~54歳 73.4% 79.2%
55~59歳 64.6% 74%
60~64歳 45.8% 62.7%
65歳以上 16.3% 18.3%

20代から50代までの女性のうち、働いている人の割合は7~8割という高い数値になっています。

2020年の年齢階層別の就業率と2012年のものを比較してみましょう。

どの年齢層も、2022年よりも低い数値となっています。
この10年間で働く女性が増えたことがわかりますね。

ここで気になるのが、その働く女性たちの働き方です。
同調査では非正規雇用の割合も出ているので、2022年のデータを確認してみましょう。

【女性の非正規雇用の割合(2022年)】

年齢\非正規雇用率 2022年
20~24歳 32.4%
25~29歳 25.1%
30~34歳 30.8%
35~39歳 38%
40~44歳 43.9%
45~49歳 46.4%
50~54歳 47.7%
55~59歳 47.2%
60~64歳 49.2%
65歳以上 16.3%

20代後半~50代前半までは半数ほどの人が正規雇用として働いていることがわかります。

女性は結婚や出産を機に正社員を退職してパートタイムや派遣社員として働くというイメージともたれがちですが、実際には年齢を重ねても正社員として働いている人は一定数いるということですね。

共働き世帯の増加

独立行政法人労働政策研究・研修機構では、専業主婦世帯数と共働き世帯数の統計データを出しています。
10年ごとの比較を見てみましょう。

【専業主婦世帯数と共働き世帯数(2012年、2022年)】

年\世帯数 専業主婦世帯 共働き世帯
2022年 539万 1,262万
2012年 787万 1,054万
2002年 894万 951万
1992年 903万 914万

(出展:図12 専業主婦世帯と共働き世帯|独立行政法人労働政策研究・研修機構

1992年(平成4年)時点でははほぼ同数だったようですが、その後どんどん共働き世帯が増え、今では専業主婦世帯の2倍以上になっています。

つまり結婚や出産などを経て、子育てや家事をしながら仕事を続けている女性が多いということが理解できます。

働き方改革の推進

厚生労働省が主導して取り組んでいる「働き方改革」。

働き方改革では、時間外労働の是正や非正規雇用の待遇是正に焦点が当てられることが多いですが、多様な働き方や女性の活躍も謳われています。

男女雇用機会均等法や女性活躍推進法などの法律整備、テレワークの推進など、多様な働き方を実現して女性が活躍できる社会を実現する取組みが盛んです。

女性が働きやすい環境整備が進んでいることも、働く女性が増えている要因のひとつと言えるでしょう。

下記記事では、男女格差の是正に有効な「アファーマティブアクション」について解説しています。
関連記事:アファーマティブアクションとは?|意味とメリット・問題点

女性に営業がきついと言われる理由

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売上金額や受注数などの数字目標がある営業職は、男女関係なく大変な仕事であることは確かです。

しかし、特に女性にとって営業は厳しい世界だというイメージが強く、事務職やサービス業で働く女性が多いことも事実。
それでは、なぜ女性が結婚したら営業職として続けることが大変なのでしょうか。

一つ目の理由は、時間外労働が発生してしまう可能性が高いからです。

例えば、お客さまとの大事な商談を決める際にも、お客さまの都合で業務時間外の時間を指定されてしまうこともあります。
打合せが長引いて業務時間を過ぎてしまうことも。

家事や子どものお迎えなど、仕事が終わってからもやらなければいけないことがたくさんある女性にとって、時間外労働はなるべく避けたいもの。

しかし営業職は残業が発生してしまう可能性が高いため、既婚女性は続けることが難しくなってしまうのです。

関連記事:営業は残業が増えがち?その理由と残業を減らす4つの解決策

また、子どもの体調不良で急な休みや早退をしなければいけないときもあります。

子どもの体調不良は急に起こってしまうため、事前に仕事を調整することはできません。

大事な商談の日や、展示会やウェビナーなどのイベントの日に、休んだり早退したりしなければいけないときもあるのです。
自分の代わりに商談をしたり展示会を担当したりできるメンバーがいなければ、仕事を回せなくなってしまいます。

女性が営業部で働き続ける3つのメリット

時間や体力などの問題があり、結婚や出産を機に辞めてしまう人が多い営業の世界。

しかし、周囲の理解や環境整備によってそれらの問題を解決することが可能です。
結婚・出産などを経た女性が営業職として働き続けることは、さまざまなメリットをもたらします。

関連記事:優秀な営業職を採用する際の5つのポイントと5つの質問

会社にとってのメリット

優秀な社員が辞めてしまうことは、会社にとっても痛手になります。
少子高齢化で労働力が不足している現代では、優秀な人材を見つけることはとても大変なこと。

しかし女性が働き続けられる環境を整えることにより、優秀な社員が活躍できる場を作ることができます。
離職率も低下し、企業イメージの向上にもつながるでしょう。

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営業チームにとってのメリット

既婚女性が働き続けることで、営業チームとしてもメリットがあります。

例えば、商談相手が女性だった場合、女性の営業担当者が訪問することで、早い段階で打ち解けることができ信頼関係を構築しやすくなります。

女性ならではの細やかな心配りや華やかさが評価されることもあるでしょう。

本人にとってのメリット

結婚しても営業職を続けることで、本人は慣れ親しんだ職場でさらなるキャリアアップを目指すことができます。

結婚や出産などで環境が変わった女性にとって、さらに転職をするとなると、精神的な負担は大きいです。

しかし、慣れ親しんだメンバーや職場環境で働き続けることができれば、精神的な負担が少なく、スキルや経験を積んでキャリアアップしていくことが可能になるでしょう。

営業に向いている女性の3つの特徴

では、営業に向いている女性の特徴にはどのようなものがあるでしょう。

もちろん、男性にも共通することでもあるので、営業に向いている人の特徴とも言えます。

①コミュニケーション能力が高い

営業職は、主に人との円滑なコミュニケーションが求められるポジションであり、人との出会いや交流が特に多い仕事です。そのため、コミュニケーション能力が高い人が営業に向いています。

ただし、お客様の中には話すことが好きな人もいれば寡黙な人もいるように、相手に合わせた対応を心がけることが重要です。コミュニケーション能力が高いということは、顧客のニーズや要望を理解し、それに適したアプローチ方法を見つけ出す力も備えているといえるのでしょう。

②ポジティブである

営業は成果がすぐに表れないこともあります。営業成績を上げるにも、顧客との信頼関係を築くにも、忍耐強さが求められます。

 困難な状況に直面しようとも前向きであり、チャレンジを楽しむことができるポジティブな人こそが営業職に向いています。

③勤勉である

営業は市場の変化や動向に敏感でなければなりません。そのため、新しい情報やトレンドに対する学習意欲があることが重要です。

アポイントメントの取得や顧客との頻繁な連絡など、基本的な作業もコツコツとできる人が営業に向いている人材です。日々営業活動を振り返り、反省点を次に活かすことで、良い成果につながるでしょう。

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女性が働きやすい営業組織の作り方

女性が結婚や出産を経ても働き続けるためには、もちろん周囲の理解やサポート体制は必須です。

そして、会社やチームとして組織作りを強化することも求められます。
会社や営業マネージャーはどのようなことができるのか、紹介します。

制度の整備

まずは、会社として制度整備を設計しましょう。
産休・育休はもちろんですが、多様な働き方を導入することもおすすめします。

例えば時短勤務。1日の勤務時間を短縮する働き方です。

9時~18時までの勤務だとしたら、時短勤務を活用して9時~16時までの勤務とする方法を言います。
出退勤時刻や労働時間を社員みずからが選択できる、フレックスタイム制も導入する企業が増えています。

また、コロナ禍で注目を浴びているテレワーク。
テレワーク・リモートワークは自宅にいながらでも仕事ができるので、子どもの体調不良で出勤できないときでも、子どもの面倒を見ながら自宅で仕事をすることができます。

さらに、テレワークの導入は「在宅で仕事ができる」というメリットだけではありません。
夫の転勤などで遠方に引っ越すことになってしまっても、仕事を辞めることなくテレワークで続けることができるのです。

インサイドセールスの導入

優秀な社員に働き続けてもらうために、営業組織を変革することも検討すると良いでしょう。
例えば、インサイドセールスの導入。

インサイドセールスとはいわゆる内勤営業のことで、お客さまのところへ訪問するフィールドセールスとは異なる働き方です。
テレアポでアポを獲得してフィールドセールスに引き継いだり、電話やメールなどでリードとコミュニケーションを取って信頼関係を構築したりします。

また、組織によっては受注後のアフターフォローやクロスセル・アップセルをインサイドセールスが担当している場合もあります。

インサイドセールスはフィールドセールスのように訪問する必要がないため、オンラインで営業活動をすることができるという点がメリットです。

時間外残業がしにくい社員やテレワークの社員にとって、インサイドセールスは有効と言えるでしょう。

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ITツールの導入

テレワークや時短勤務でもスムーズな情報共有を実現できるよう、ITツールは積極的に導入しましょう。
具体的には、営業組織には以下のようなITツールがおすすめです。

・ビジネスチャット

電話やメールではなかなかコミュニケーションが取りにくいですが、ビジネスチャットは気軽に利用できますし、返信に時間を取ることもありません。

ツールによっては、資料や画像を送受信することができたり、スタンプで意思表示をしたりすることもできます。
また1対1の個人同士のチャットだけでなく、チームやプロジェクトごとのチャットも作ることが可能。
チームとしての情報連携もスムーズになるでしょう。

関連記事:ビジネスチャットツールおすすめ比較12選!失敗しない選び方を解説

・オンライン商談ツール

在宅でも商談や会議ができるよう、オンライン商談ツールやビデオ会議システムを導入しましょう。
顔を見ながらコミュニケーションを取ることができ、さらに資料共有や画面共有、議事録作成もできます。

ビジネスチャットにビデオ会議機能が搭載されているものもありますが、機能面・性能面など総合的に判断すると、オンライン商談ツールを導入することがおすすめです。

関連記事:【2024年】オンライン商談ツール比較10選〜導入メリットや選び方のコツを解説!

・SFA(営業支援システム)

営業チームでの情報共有のために、SFA(営業支援システム)を導入することを忘れずに。
顧客情報や案件情報、営業活動履歴など、営業に関わるさまざまなデータを一元管理することができます。

メンバー同士が顔を合わせる機会が少なかったり、複数の案件を抱えていたりすると、情報共有が遅れてトラブルになってしまう可能性もあります。

しかしSFAで管理することにより、止まっている案件がないかチェックしたり、売上が落ちている原因を探ったりすることができるのです。

関連記事:SFAとは?CRM・MAとの違いや選び方から成功事例まで解説

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1on1ミーティングの実施

マネージャーはなるべく1on1ミーティングの機会を作り、フォローする時間を確保するようにしましょう。
SFAやビジネスチャットでのコミュニケーションだけでは、なかなか把握できないこともあります。

もしかしたら、時短勤務なのに多くの案件数を抱えてしまっていて仕事が回っていなかったり、テレワークのためオン・オフの切り替えができずに業務時間外も仕事をしてしまっていたりする可能性も。

悩みや課題をヒアリングして、適切に対処できる機会を設けましょう。

終わりに|営業組織の到達度診断シートで組織レベルを確認する

これからの時代、優秀な社員が家庭や子育てと両立しながら仕事を続けていく会社作りが求められます。

営業職は続けることが難しいと思われがちですが、やりがいがありスキルアップができるので、続けていきたいという女性も多くいます。

制度設計やITツール導入などをして、女性が働きやすい環境を見直していきましょう。

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Mazrica Business Lab.はクラウドアプリケーションMazricaの開発・提供を展開する株式会社マツリカが運営するオウンドメディアです。営業・マーケティングに関するノウハウを中心に、ビジネスに関するお役立ち情報を発信しています。

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