マーケティング活動では、適切に見込み顧客の獲得・育成・抽出を行って確度の高い案件を創出することが重要なのは、広く知られています。
この3つのプロセスを包括し、連動して行っていくことで、見込み顧客の需要(=Demand)を高めていく「デマンドジェネレーション」が注目を集めています。
そこで本記事では、デマンドジェネレーションの概要や意味、注目されている背景を踏まえ、デマンドジェネレーションを実現するためのポイントを解説します。
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この記事の内容
デマンドジェネレーションとは?
デマンドジェネレーションとは、見込み顧客(リード)を創出して営業部門へ引き渡すまでの、新規案件創出に関わる活動です。
「Demand=需要」「Generation=創出する」という意味があるように、見込み顧客のニーズを掘り起こすところから始まります。そのため、デマンドジェネレーションではすでにニーズが顕在化している層だけでなく、潜在的なニーズを持っている層も対象として施策を打ちます。
また、ニーズを掘り起こして見込み顧客を獲得したあとも重要です。継続的にアプローチして見込み顧客の購買意欲を高めていき、確度が高くなった時点で営業部門に引き渡して新規案件を創出します。
つまり、デマンドジェネレーションは以下の3つのプロセスから成り立ちます。
- 見込み顧客の獲得(リードジェネレーション)
- 見込み顧客の育成(リードナーチャリング)
- 見込み顧客の抽出(リードクオリフィケーション)
この3つのプロセスを包括したマーケティング戦略と言えるでしょう。
デマンドジェネレーションが必要な理由
見込み顧客は、自社商材への購買意欲の高さと、自社商材を利用する必要性の高さによって、以下の4属性に分けられています。
- 今すぐ客:購買意欲も必要性も高い
- そのうち客:購買意欲が高いが、必要性は低い
- お悩み客:必要性が高いが、購買意欲は低い
- まだまだ客:購買意欲も必要性も低い
獲得した見込み顧客すべてが「今すぐ客」であれば、すぐに案件化して受注につなげることが可能です。
しかし、実際には「今すぐ客」は全体の4分の1以下しかいないため、見込み顧客のほとんどはすぐに案件化できるわけではありません。特にリードタイムが長引きがちなBtoBビジネスでは「今すぐ客」は1%ほどしかいない場合もあります。
このような状況の中、見込み顧客に中長期的にアプローチして、自社商材に関する購買意欲や必要性を高めていかなければいけません。
ところが「見込み顧客の獲得から案件化まで営業部門が担当している」「マーケティングが見込み顧客を獲得し、すぐに営業部門にパスしている」といった組織の場合、営業のリソースが足りずに中長期的なアプローチが難しくなります。
どうしても「今すぐ客」を優先してしまうため、その他の見込み顧客層にはアプローチできず営業チャンスを損失しているのです。
そこで、デマンドジェネレーションによる中長期的な取り組みが必要になります。
マーケティングが集客をして見込み顧客を獲得し、それぞれの購買意欲・必要性に合わせて最適なアプローチを行うことで、営業の機会損失を防ぎ成果を高めることができるのです。
デマンドジェネレーションを構成する3つのプロセス
デマンドジェネレーションは、見込み顧客の獲得から案件化までの3つのプロセスから構成されています。
- 見込み顧客の獲得
- 見込み顧客の育成
- 見込み顧客の抽出
今までは、それぞれの施策を独立して考えている組織が多い傾向でした。しかしそれでは、見込み顧客全体に画一的な施策になってしまったり、施策内容が共有されず見込み顧客の確度が不透明になったりして、成果を出しにくい状況になります。
デマンドジェネレーションでは、3つのプロセスの統合により、全体を俯瞰的に見ることができます。
見込み顧客の獲得(リードジェネレーション)
デマンドジェネレーションのプロセスは、まずは見込み顧客の獲得から始まります。マーケティング用語では「リードジェネレーション」とも言われます。
見込み顧客を獲得する方法は、以下のように多岐にわたります。
- 展示会やイベントへの出展
- セミナーやウェビナー(WEBセミナー)の開催
- テレアポ
- WEBサイト運営(検索エンジンからの流入など)
- ホワイトペーパーやeBookの提供
- WEB広告の出稿
- SNSアカウントの運用
上記は一例ですが、見込み顧客獲得方法はオフライン・オンラインともにさまざまな方法があります。
これらの方法を通じて獲得した見込み顧客のデータを、ツールやシステムに蓄積して管理します。
このとき、氏名や連絡先、企業名だけでなく、どのチャネルで獲得した見込み顧客なのかわかるようにしておくと、後のプロセスにも役立つでしょう。
関連記事:リードジェネレーションとは?意味や手法・おすすめのツール3選を紹介
見込み顧客の育成(リードナーチャリング)
次は、獲得した見込み顧客を育成します。「リードナーチャリング」とも言われます。
購買意欲が低い層や、必要性を感じていない層は、しっかりと育成して購買意欲・必要性ともに高めていくことが重要です。特にリードタイムが長引きやすいBtoBビジネスや高額商材の場合は、適切に育成しなければ失注する可能性が高まるため注意しましょう。
このとき、見込み顧客の度合いに合わせて施策内容を変えると効果的です。
例えば「購買意欲が低い層には、お役立ち情報のメルマガやホワイトペーパーを配信して意欲を高める」「自社商材の必要性を感じていない層には、テレアポで直接課題をヒアリングして解決策を提案する」など、見込み顧客に合わせて最適な施策を行うことで、度合いを向上させていきます。
関連記事:リードナーチャリングとは?意味や手法・リードジェネレーションとの違いを解説
見込み顧客の抽出(リードクオリフィケーション)
デマンドジェネレーションでは、「リードクオリフィケーション」と言われる見込み顧客の抽出も重要です。
かつては、見込み顧客の度合いが重視されず、すべての見込み顧客に訪問することも珍しくありませんでした。しかしその中には度合いの低い見込み顧客もいるため、訪問が無駄打ちとなり、コストが余計にかかってしまう課題がありました。
そこで度合いの高い見込み顧客を選別することで、受注可能性の高い見込み顧客に対して効率的にアプローチができます。
抽出の際には、見込み顧客のアクションに応じて点数を加点していく「スコアリング」がよく使われます。
「WEBサイトに訪問したら1点」「メルマガを開封したら2点」「ホワイトペーパーをダウンロードしたら5点」というように点数化し、点数の高い見込み顧客は度合いが高いと判断する方法です。
ただし、度合いが低いからと言って軽視するのではなく、それぞれの度合いに応じて育成していくことで度合いを向上させていくことができます。
関連記事:リードクオリフィケーションとは?効果的なスコアリング方法も解説
デマンドジェネレーションのためのシナリオ設計
デマンドジェネレーションを成功させるためには、上記3つのプロセスを通して見込み顧客の度合いがどのように変化していくのか意識して、それぞれのプロセスを連動させなければいけません。
そこで重要になるのが、シナリオの設計です。
たとえば「SNS広告から流入してきたら、ランディングページAを表示させる」「ホワイトペーパーをダウンロードした見込み顧客には、ウェビナーについての案内メールを配信する」というように、見込み顧客のアクションや度合いに合わせてシナリオを設計します。
シナリオ設計がうまくいかないと、思ったように見込み顧客の度合いを高められず、成果には結び付きません。
そのため、デマンドジェネレーションを実現するためにはシナリオ設計がカギと言えます。
デマンドジェネレーションを実現するMA(マーケティングオートメーション)ツール
3つのプロセスを連動させたシナリオを設計するためには、MAツールの活用がおすすめです。
MAツールとは、マーケティング業務を自動化・効率化するためのツールを言います。
MAツールでは、ランディングページやお問い合わせフォームを作成したり、シナリオに沿ってメール配信やWEBサイトのポップアップ表示をしたりできます。そのため、見込み顧客の獲得と育成を連動できるのです。
またスコアリング機能もあるため、見込み顧客の度合いを数値化して選別でき、見込み顧客の抽出も可能です。
このように、デマンドジェネレーションを実現するためにはMAツールの活用が欠かせません。
関連記事:MA(マーケティングオートメーション)とは?意味や導入メリット・おすすめのツールを紹介
デマンドジェネレーションにおすすめのMAツール
リードタイムが長引きやすいBtoBビジネスでは、緻密なシナリオ設計やデータ分析によるデマンドレーションが成功のポイントです。
そこで、BtoBビジネスでのデマンドジェネレーションを加速させるおすすめのMAツールを3製品紹介します。
関連記事:MAツール比較12選!失敗しないマーケティングオートメーションの選び方とは?
Marketing Cloud Account Engagement (旧 Pardot)
Salesforce社が提供する「Marketing Cloud Account Engagement」は、同社のSFA「Sales Cloud」とシームレスに連携できるMAツールです。
見込み顧客の獲得・育成・抽出それぞれのプロセスに適した機能が搭載されており、細かくシナリオを設計して一連の機能を連動できます。
分析機能を活用すると、各シナリオの効果も確認可能です。定期的に効果測定をして、シナリオをブラッシュアップしましょう。
Marketo Engage(マルケトエンゲージ)
「Marketo Engage」では、メールやアプリ、SNSやWEB広告など、さまざまなチャネルを活用したマーケティング施策が可能です。シナリオを設計して施策実行を自動化できるため、業務が効率化します。
見込み顧客のアクションに応じてスコアリングをして、度合いが高まったホットなタイミングで通知されるため営業チャンスを逃しません。
搭載されたAIが、見込み顧客の属性やステータスに応じてパーソナライズした施策をサポートしてくれる点も特徴です。
▶︎ Marketo(マルケト)で営業成果につながるマーケティング活動を行う方法とは?
HubSpot(ハブスポット)
「HubSpot」はマーケティングや営業など目的に合わせたツールを連携できるCRMプラットフォームです。
HubSpotの中のMAツールは「Marketing Hub」です。細かくシナリオを設定できるので、複雑な施策内容でも自動化できます。
一人ひとりの見込み顧客に関するスコアリングも自動で行われるため、デマンドジェネレーションを効率化します。
SFA「Sales Hub」とも連携できるため、デマンドジェネレーションの内容を営業部門に引き継ぐことで、スムーズな営業活動が実現するでしょう。
関連記事:HubSpot(ハブスポット)の評判・口コミ・価格も紹介!導入検討時に注意すべきポイントとは?
終わりに
マーケティング活動において、見込み顧客の獲得・育成・抽出を連動させることが重要です。それぞれを個別に考えていると、見込み顧客の度合いに合わせた施策を実行できず、確度の高い案件を創出できません。
そこで、この3つのプロセスを連動させて度合いを高めていく「デマンドジェネレーション」が求められます。
ただし、デマンドジェネレーションを成功させるためには、見込み顧客に合わせた施策を実行できるようシナリオを設計する必要があります。
自動でシナリオ通りに施策を実行するには、MAツールの活用がおすすめです。ぜひ本記事で紹介した内容を
参考に、MAツールを活用してデマンドジェネレーションを促進しましょう。
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