Googleが「サードパーティークッキーの廃止」を公式にアナウンスしました。WEBマーケティングに関わる人たちの間では、どのような影響が出るのか憶測が飛んでいます。
そこで今回は、サードパーティークッキーの特性をふまえ、廃止になる背景について理解しましょう。また廃止に向けて留意すべきポイントについても解説します。
この記事の内容
サードパーティークッキー(Cookie)とは
サードパーティークッキーとは、どのようなものなのでしょうか。ここでは、WEB上におけるクッキー自体の仕組みを解説しながら、サードパーティークッキーの特性について解説します。
クッキー(Cookie)とは?
「クッキーについて、あまり理解できていない」という人も多いのではないでしょうか。まずはクッキー(Cookie)とはどのようなものなのか解説します。
クッキー(Cookie)とは、WEBサイトがユーザーのブラウザに残すデータのことです。
たとえばIDとパスワードを使用してログインしたWEBサイトに、一定の時間が経ってから再度アクセスすると、IDとパスワードを入力しなくてもログインできることがあります。それは、WEBサイトがクッキーを利用してユーザーの情報をブラウザに残しているからです。
ほかにもECサイトやインターネットバンキングなど、クッキーを利用しているWEBサイトは多岐にわたります。
またクッキーはユーザーの利便性を向上させるだけでなく、WEBサイト運営者にもメリットがあります。クッキーを利用するとユーザーの閲覧履歴や購入履歴などを解析できるため、マーケティング戦略にも活用されているのです。
クッキーが生まれた背景
WEBサイトのURLには「http」が含まれていますが、このHTTPとはインターネット上で情報をやり取りする通信方法です。HTTPはステートレス・プロコトルという状態を保てない通信規則のため、軽量で動作がシンプルな特徴をもちます。
しかし状態を保てないため、WEBサイトの閲覧に不便が生じてしまいます。たとえばログインが必要なWEBサイトでは、WEBページを移動するたびにログインしなければいけなくなります。
このような不便を解消するために生まれたのがクッキー(Cookie)の仕組みです。そのため、クッキーは「HTTPクッキー」と言われることもあります。
クッキーの正体は小さなテキストファイルですが、WEBサイトは訪問者のブラウザにこのテキストファイルを発行します。そして同じブラウザが訪問したときにWEBサイトへテキストファイルを戻すことで、前回と同様の要求をWEBサイトに送ることができるのです。
サードパーティークッキーの特性
クッキーについて理解したところで、本題となるサードパーティークッキー(3rd party cookie)について解説します。
まずクッキーには2種類あり、今回の本題である「サードパーティークッキー」のほかに「ファーストパーティークッキー」があります。
ファーストパーティークッキーとは、訪問したWEBサイトのドメインから直接発行されるクッキーです。WEBサイトがログイン情報を保持したり、ECサイトがカート情報を維持したりするために利用します。
一方のサードパーティークッキーとは、サードパーティーつまり第三者のドメインから発行されるクッキーです。なぜ訪問したWEBサイトではないドメインからクッキーが発行されるのかというと、訪問したWEBサイトにバナー広告があると、そのバナー広告のドメインがユーザーブラウザにクッキーを発行するのです。
サードパーティークッキーの最大の特徴は、ドメインを横断してトラッキングできる点。ファーストパーティークッキーはそのWEBサイトでしかデータが利用されませんが、サードパーティークッキーはユーザーが他のWEBサイトに移動してもデータを解析できます。
そのため、サードパーティークッキーはリターゲティング広告の配信やアフィリエイトの効果測定などに利用されます。
サードパーティークッキーの問題点
WEBマーケティング施策で役に立つサードパーティークッキーですが、最近では規制される傾向になっています。
規制の傾向が強まっているのは、サードパーティークッキーのプライバシーが問題視されているからです。
個人情報漏洩のリスク
先述の通り、サードパーティークッキーはWEBサイトを横断してユーザーの閲覧履歴や行動を解析できる仕組みです。企業はその情報を利用して、ユーザーに最適な広告を配信することが可能になります。
一見すると、企業にとってもユーザーにとってもメリットのあるものに思えますが、実際には「知らない企業が自分のデータを見ている」という事実に嫌悪感や恐怖心を抱く人も多いのではないでしょうか。
このようにサードパーティークッキーは、どんな企業が自分のどんなデータを保有しているのかをユーザーが把握できないため、プライバシーの観点から大きな問題となっています。なかには不正にサードパーティークッキーを利用する発行元も出てくる可能性があり、知らないうちに個人情報が漏洩してしまうリスクもはらんでいるでしょう。
サードパーティークッキーはユーザー自ら無効に設定することもできます。しかしITリテラシーの低いユーザーは設定方法が分からないことも珍しくありません。
Googleは2023年にサードパーティークッキーの廃止を予定
サードパーティークッキーが問題視されていることを受け、Googleも本格的に規制に乗り出しました。
Googleの公式ブログでは、2023年を目途にサードパーティークッキーを廃止するとしています。
Chrome は 2023 年半ばから 2023 年後半までの 3 か月間でサードパーティ Cookie を段階的に廃止します。
(出典:サードパーティ Cookie 廃止に関するタイムラインの変更について|Google Japan Blog)
サードパーティークッキーの廃止に伴い、Googleでは新しく「プライバシーサンドボックス」という機能を開発しています。プライバシーサンドボックスとは、既存WEB機能を維持しつつ、ユーザーのデータを保護する取組みです。
ユーザーは保護された環境でインターネットを利用できるため、サードパーティークッキーのようにプライバシーの心配もありません。
(参考:The Privacy Sandbox)
マーケターが留意すべき3つのこと
サードパーティークッキー廃止に向けた動きが加速化するなか、WEBマーケターはどのようなポイントを意識すべきなのでしょうか。
以下のポイントを留意し、2023年までに対策を打っておきましょう。
リターゲティング広告への影響
サードパーティークッキーの廃止により、リターゲティング広告には大きな影響を与えそうです。
リターゲティング広告はサードパーティークッキーを利用してユーザーの興味・関心にパーソナライズした広告を配信していますが、サードパーティークッキーが使えないとなるとユーザーデータを取得できないため広告配信が困難になります。そのためリターゲティング広告を運用している企業は、パフォーマンスの低下が懸念されます。
リターゲティング広告に依存している企業は、早急に運用方法の見直しが求められるでしょう。また、リターゲティング広告に代わる広告の運用や、コンテンツマーケティングへの注力など、クッキーを使用しないマーケティング施策も視野に入れる必要があります。
関連記事:コンテンツマーケティングとは?実践のメリット・手法・具体事例を紹介
コンバージョン計測への影響
もう一つの懸念点が効果測定への影響です。
WEB解析のツールではクッキーを使用しており、多くのツールではサードパーティークッキーを使用して数値を測定しています。
つまりサードパーティークッキーを使用できなくなれば、正確な効果測定はできなくなるのです。自社が利用しているアクセス解析ツールのトラッキング方法などを確認しておく必要があるでしょう。
ただし、Googleアナリティクスではファーストパーティークッキーを使用しているため、アナリティクスを使用したアクセス解析は問題ないと言われています。
(参考:Google アナリティクスによるウェブサイトでの Cookie の使用)
尚、コンバージョンを計測する際に必要な「アクセス解析」については、こちらの記事で詳しく解説しています。
関連記事:アクセス解析とは?目的・指標・手順とおすすめツール9選
ファーストパーティーデータが活躍する時代へ
今後サードパーティークッキーが規制される一方、ファーストパーティークッキーのデータは変わらず使用が可能です。
サードパーティークッキーが使えないからと言ってデータ解析が不可能になったわけではありません。むしろ、これからはファーストパーティーデータを活用する時代になるでしょう。
ファーストパーティーデータには、Googleアナリティクスによるアクセス解析データのほか、自社サイトの会員情報やECサイトの利用状況などのデータが該当します。これらのデータがあれば、ユーザーのニーズを分析することはそれほど難しくないでしょう。
また、点在しているファーストパーティーデータを統合する仕組み作りも必要になります。MAツールにデータを集約し、管理・分析すると効率的です。インサイドセールスや商談の内容も一緒に管理しておきたい場合は、CRMやSFAの活用も一つの手です。
SFAに関する記事はこちら:
AIエージェントツールでゼロパーティデータを蓄積・活用
AIエージェントとは、ユーザーや他のシステムに代わってタスクを自律的に実行できるシステムです。大規模言語モデル(LLM)を中核技術として、意思決定や問題解決、外部環境とのやり取りなどの幅広い機能を備えています。
参考記事:営業活動で使えるAIエージェントとは?活用事例と導入までの流れを解説
AIエージェントの特徴は自律性にあり、与えられた指示に基づいて情報収集や分析を行うことが可能です。実際の活用場面は多岐にわたり、カスタマーサービスや自動運転、サプライチェーン管理など様々な分野で導入が進んでいます。
- 顧客データの自動分析と優先順位付け
- 商談内容の文字起こしと分析
- 提案資料の自動生成と最適化
- リアルタイムでの商談支援とアドバイス
- 自動スケジュール調整と会議設定
- 顧客とのメールコミュニケーション自動化
ゼロパーティデータを活用したマーケティング活動
サードパーティーは規制がかかり始めており、ゼロパーティーデータに注目が集まっています。
ゼロパーティーデータ(Zero-Party Data)とは、顧客が自らの意思で企業やブランドに提供する情報を指します。これは、アンケートへの回答、好みや興味に関する情報、購入意向など、顧客が積極的に共有するデータです。この用語は、調査会社のフォレスターが2018年に提唱しました。
ゼロパーティーデータを活用するとより個人の興味関心が特定でき、マーケや営業に活かせる様になります。ゼロパーティーデータを取得できるツールがDealAgentです。
DealAgent
DealAgentは株式会社マツリカが提供するAIエージェントツールです。マーケティング・営業プロセスの各フェーズにおいてAIが営業担当者に代わって業務を担い、自律的に購買プロセスを前に進めるAIエージェントです。DealAgentを活用することで顧客対応・ナレッジ検索・事前調査・見込み顧客検知などの業務をAIにお任せ人間は「本来集中すべき業務」に集中できるようになります。
マーケティング担当は従来のリード情報の取得だけではなく、顧客ごとの興味関心をデータとして取得し営業へ連携することができるようになります。営業資料の共有においても単にPDFを顧客へ共有するだけではなく、DealAgentを活用すると顧客体験が上がり、より多くのデータを取得できます。営業は見込み顧客それぞれの興味関心を把握して、クロージングに活かすことができます。AIとの対話データをもとに、顧客が検討の上で、何を気にしているのかがわかるようになります。提案資料にAIチャットを仕込みむことで、閲覧データに加えて対話型のデータを取得することもできます。
DealAgentの特徴
- 自社で保有する資料や文書などのナレッジをAIに読み込ませることで、ほしい情報をAIに聞いてすぐに引き出すことが可能
- 社内の情報検索の業務をAIによって大幅に効率化することが可能です
- 自社専用のChatGPTのようなAIチャットを簡単に生成することができる
- AIチャットを顧客接点に設置することで、各見込み顧客それぞれが欲しい情報を対話を通じて届けることができる
- 従来のターゲティングを超えた一人ひとりにパーソナライズされた体験を届けることができる
顧客は資料に設置されたAIチャットを活用して、資料を読み込まずともAIとの対話で情報をすぐに取得可能です。営業は顧客のコンテンツ閲覧状況、AIとの対話データをもとに、顧客の興味関心度合いを可視化できます。
分析レポートを活用することで顧客のアクセスデータを分析しAIがホット顧客をリコメンドしてくれます。また、閲覧データから顧客の興味関心テーマ仮説をAIが整理します。さらに興味関心テーマ仮説Web上に存在する顧客の会社・個人のデータを調査して整理します。
公式サイト:https://product-senses.mazrica.com/lp-dealagent-ai
終わりに
サードパーティークッキーがGoogleで廃止になるものの、運用方法の見直しやファーストパーティーデータの活用などを行うことで、それほど大きな影響を受けずに済むでしょう。
Googleでサードパーティークッキーが廃止になる2023年に向け、自社でできる取組みを始めてみてはいかがでしょうか。

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