2020年は新型コロナウイルス感染症の世界的流行によりビジネススタイルに大きな変革を迫られたビジネスパーソンも多かったのではないでしょうか?
今回は欧米の記事を参考に2021年の営業トレンドをご紹介いたします。
営業トレンド最新2024年度版はこちら▶2024年のセールストレンド7選|AI活用による顧客中心型営業の進化
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この記事の内容
1. AIを用いた営業活動の促進
過去10年間で、50%の営業担当者しかノルマを達成できていないと言われています。数字を上げるには、AIソフトウェアを用いて営業プロセスや他のタスクを効率的に進めることが必要です。
AIを使用して営業成績を上げてマーケティング戦略を改善するために、顧客に関する価値のあるデータを集めることが可能になります。さらに、最終取引に応じて、消費者に提案をすることで営業支援も可能になります。そして、自身の業界のトレンドを見積もることができるようになります。
現在、約40%の営業タスクがAIを用いて行うことができるとされており、2020年までに85%に増えると予測されています。そして営業組織のAIの導入も次の3年間で139%に増えると推定されています。
参照
(Everything you need to know about sales automation)
https://automationhero.ai/blog/sales-ai-automation-101/
(26 Sales Statistic That Prove Sales Is Changing )The Future of Sales, from Salesforce
https://www.salesforce.com/blog/15-sales-statistics/
(Segment Survey Finds Consumers Will Spend More When Their Shopping Experience Is Personalized , but Most Retailers are Missing the Mark)2017 State of Personalization Report
https://www.globenewswire.com/news-release/2017/10/25/1300518/0/en/Segment-Survey-Finds-Consumers-Will-Spend-More-When-Their-Shopping-Experience-is-Personalized-but-Most-Retailers-are-Missing-the-Mark.html
AI導入のメリットを以下にまとめました。
1. 生産性向上
メモやアポ取りなどといった仕事をAIが行い、営業担当者がリードナーチャリングにより集中することができるようになります。
2. リード(見込み客)のステータスの可視化
リードを探す際、どのリードがコンバージョンの見込みが高いかをAIが判断するため、受注までのプロセスにかかる時間やリソースを無駄にせずに済みます。
3. より高い顧客満足度
AIが自社のビジネスに対して提案と判断をすることでより高い顧客満足度とリードナーチャリングプロセスを実現することが可能になります。
2.顧客体験に基づいた営業
顧客によりパーソナライズされた体験を提供することで顧客がコンバージョンに結びつくようになります。実際に、購買担当者の49%がパーソナライズされた購買体験を受けた後に購買意欲が生じるとのことです。
顧客の60%が、よりパーソナライズされた体験に対して個人情報を提供することに抵抗がなくなるというデータがあります。顧客がウェブサイトにプロフィールを開示できるようにすることで顧客によりパーソナライズされた体験を提供できるようになります。
体験をパーソナライズするもう一つの方法は、「リアルタイムに対応する営業チーム」を通してどんな質問にも答えることです。では、具体的にはどのようにすればいいのでしょうか?
ウェブサイトでライブチャットを通して、顧客がセールスチームに電話する、もしくは会話ができる仕組みを作りましょう。
会話によって顧客が持っている疑問点が解消でき、営業担当者がクロージングを行いやすくなります。
顧客体験を向上させ、それをパーソナライズさせる方法を他にお探しであるなら、顧客がカスタマーサービスに求めているもの、つまり、スピード、便利さ、お問い合わせ対応、そして顧客に寄り添ったサービスを念頭におきましょう。顧客体験に基づいた質の高いカスタマーサービスを創出するメリットは以下の3点です。
関連記事:フライホイールとは?マーケティング施策への活用方法|顧客体験(CX)における5つの価値
1. コンバージョンの増加
パーソナライズされた顧客体験によって顧客がよりコンバージョンに結びつきやすくなる。
2. 顧客のエンゲージメント
顧客がチェックしているページに基づきウェブサイトから提案することで顧客が長くサイトに滞在し、顧客のニーズを把握しやすくなる。
3.カスタマーリテンション(顧客維持)
顧客に関して集められたデータを用いて、購買に意味のあるサービスの提案ができ、レギュラー顧客を獲得することができる。
3.ソーシャルセリング
セリング(売り込む手段)は過去10年間で大きく変わりました。購買担当者は以前よりも購買するモノに対して、最終決定の前にリサーチをするなど情報を求めるようになりました。
さらに、この1年で日本でも新型コロナウイルスがもたらした環境の変化がありました。株式会社マツリカが2020年4月に営業のリモートワーク率に関して行った調査によれば、約9割の企業がテレワークを導入したそうです。
つまり、今年はデジタルツールを使って顧客と接点を持つ必要性がさらに高まっているということです。
参照
(営業活動のリモートワークに関する調査結果を発表。約8割が「生産性が上がったとはいえない」。ツール導入後は「オンライン商談や社内間の意思疎通」が課題に)営業活動のリモートワーク調査
https://mazrica.com/press-release/p200430/
ソーシャルセリングを通して、関心を既に持っている購買担当者に対してプロダクトの情報を与えることによってナッジを与えることができます。
ソーシャルメディアは顧客との関係をナーチャリングする重要な場となっています。BtoBの専門家の31%は調査で、ソーシャルセリングは顧客とのより良い関係を構築しやすくすると述べています。
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0%の企業は、ナーチャリングされた顧客は他のリードに比べてより早くコンバージョンに結びつくと考えているため、関係を構築できればナーチャリングのチャンスができます。
参照
2016-Sales-Enablement-Optimization-Study
(5 ways to convert online leads into paying customers)
https://www.superoffice.com/blog/how-to-convert-online-leads-into-paying-customers/
そしてナーチャリングできたときに、お気に入りの商品やサービスを提案することで顧客はより満足するでしょう。ソーシャルセリングのメリットを下にまとめました。
1.ブランドがより可視化される
消費者が商品・サービスとオンライン上でも強くつながっていることによってブランドを前面に押し出すことができ、より高い視認性と認知度を得ることができる。
2. 質の高いリードへナーチャリングできる
自社が顧客に商品やサービスをより深く理解させようとしているため、質の高いリードがつく。潜在的な顧客は、こちらが提供したいモノをさっと調べるだけではなくコンバージョンに結びつく傾向がある。
3. 営業成績の向上
ナーチャリングによる関係構築で質の高いリードが生まれ、高い営業成績が見込める。
4.アウトソーシングセールス(営業代行)
企業が営業プロセスを改善するための方法に、アウトソーシングセールスがあります。アウトソーシングセールスとは、自社の営業活動を外部委託することを指します。
小規模企業の37%は、ビジネスで商談までのプロセスの1つ以上をアウトソーシングに頼っています。
世界のアウトソーシング市場は2018年に総額856億ドルの価値があり、2022年までに822億ドルに成長すると予測されています。
参照
(Small Business Outsourcing Statistics in 2019)Clutch’s Survey
https://clutch.co/bpo/virtual-assistants/resources/small-business-outsourcing-statistics
(Outsourcing Facts & Statistics You Need To Know!)Statistica
https://www.yourteaminindia.com/blog/outsourcing-facts-statistics/
アウトソーシングセールスを活用することで、自社専任の営業組織は、リードの特定、異なるプラットフォームを使用した異なるセグメントへのマーケティング、潜在顧客のコンバージョンなど、自社がすべきことに集中できるようになります。
営業チームをアウトソーシングするメリットは以下の通りです。
1. 営業の人材不足を解消できる
新しく人材を育てるコストをかけずに、営業のプロの力をすぐに借りることができます。
2.従来の営業活動ではアプローチできなかった顧客の新規獲得を狙うことができる
営業を専門とする人材のスキルによって、新たな方法で顧客を獲得できる可能性があります。
3.営業の人材を育成するコストを抑えることができる
営業を得意とする人材の力を今すぐ借りることで営業職を自社で雇う必要がなくなり、コストパフォーマンスが大きくなります。
5.CRMが営業に不可欠になる
北米の企業の91%がCRMを導入しています。そして、機能的なCRMが営業手法の強化に役立つ理由があります。
実際、モバイルCRMを使用している営業担当者の65%が、ノルマを達成する確率が高いという結果が出ています。理由としては、CRM を使えば、営業担当者が必要とするすべてのデータが一元化されたシステムに、わかりやすい形式で保存されるからです。
また、CRMは過去の購買情報などの顧客データを保存することができるので、システムを用いることで、顧客の最近の購買に応じて、より多くの製品を提案できます。
成績上位の営業チームの49%がCRMツールをプロセスの一部として導入しています。これにより、91%の営業担当者がノルマを達成することができています。
参照
(Slideshare)Mobile CRM
https://www.slideshare.net/SathishMariappan/mobile-crm-6803102
ビジネスにCRMを導入するメリットは以下の通りです。
1.顧客の360度の視点を提供
CRMは顧客に関する正確な情報を提供してくれるので、顧客の好みや購買履歴に基づいてより良い提案をすることができます。
2.チームコミュニケーションの向上
効果的なCRMは、営業、マーケティング、サポート、その他の部門の連携を維持することができるため、社内のさまざまな部門に簡単に連絡が取れるようにします。
3. 顧客との関係構築
CRMを通じて、企業は顧客との関係をより良く構築し、より多くの売上につなげ、リピーターの数を増やすことができます。
6.オムニチャネル営業
オムニチャネル営業とは、それぞれの営業チャネルを連携させ、顧客が購買に至るまでのプロセスを一元化することを指します。これにより、顧客は製品やサービスをどこでどのように入手したいかを自由に選択することができ、それぞれのチャネルで同じサービス品質を期待できます。
顧客の約73%は、製品を探している間にさまざまなチャネルを見ています。これには、eBayやAmazonなどのウェブサイト、ソーシャルメディア、実店舗などが含まれます。
よって、これらのすべてのチャネルが連携化されることで、顧客が自身の会社を選びやすくなります。そうして、顧客の購入経験をより快適にします。
参考記事
(A Study of 46,000 Shoppers Shows That Omnichannel Retailing Works)
https://hbr.org/2017/01/a-study-of-46000-shoppers-shows-that-omnichannel-retailing-works
オムニチャネル営業を活用している企業は、89%の顧客を維持しています。これは、顧客が任意の営業チャネルを通じて自社ブランドのサービスを体験できるからです。
55%の企業がオムニチャネル戦略を導入していないため、オムニチャネル戦略を利用することで、他のベンダーよりも優位に立つことができます。他にも以下のようなメリットがあります。
1. 顧客満足度の向上
様々な手段で製品を見ることで、顧客は購入前に商品をより詳細に把握することができ、顧客満足度を向上させることができます。
2.より良い営業
顧客が選択したプラットフォームから商品を選択するようにすることで、営業の可能性を高め、より多くの人々にリーチすることができます。
3.より良い購買体験
顧客が使用するチャネルでサービスが利用可能であるため、顧客が使いやすいチャネルを使用することで心理的負担が減ります。そこで顧客は簡単に貴社のサービスにアクセスすることができます。
7.営業のパイプラインの各フェーズが顧客中心になる
顧客中心の購買プロセスの話が増えてきているのに、なぜ今でも営業担当者の行動に応じた営業のフェーズ管理をするのでしょうか?
これまでは、営業担当者の行動に応じて、リードから顧客に至るまでの営業プロセスの各フェーズを表すのがセールス・パイプラインのフェーズでしたが、今では「プロスペクトリストが特定された」、「リードクオリフィケーションが行われた」、「ミーティングが予約された」、「提案が行われた」など、リードから顧客になるまでの各フェーズを表現しています。
パイプラインのフェーズは、営業パーソンが何をしたかを表すものから、顧客の行動を追うものへと変化していくと考えられます。
パイプラインを見て、「ニーズを特定した」「ベンダーを選定した」「予算と導入予定日を決定した」などの段階に分けて機会を分割した方が、より有益なものになるでしょう。今日のBtoBでは、それが理にかなっています。
8.人間とデジタルの相互作用
デジタルによる顧客体験を作ることは重要ですが、カスタマージャーニー全体をオンラインに移してはいけません。
個人間のコミュニケーションは、どのような企業の営業プロセスにおいても、依然として不可欠な要素です。営業担当者との対話は、関係を構築し、信頼を築き、新たな機会を特定し、最終的にはその機会からのコンバージョンを増やすことができます。
Finances OnlineとMcKineseyによると、「全く新しい製品やサービスを購入したい場合、BtoBの購買担当者の76%が、直接会って話をするか、電話で話をするのが便利だと感じている」ということです。
当然のことながら、52%の購買担当者ーは、以前に購入した製品を購入する際に、コミュニケーションの方法を変えて購入したいと考えています。同じサービスや製品を購入したいときに、対面で話をしたいと思う人は15%にとどまっています。
そして、常にデジタルでのコミュニケーションを好む購買担当者はわずか4%にとどまっています。
よくある間違いとして、電子メールやソーシャルメディアでのやりとりはデジタルに分類されているのに、個人的なものとしてカウントしてしまうことがあります。
人同士のコミュニケーションを取り入れるための最善の方法は、ウェブサイトにビデオチャットオプションを含めるか、必要なときにいつでも専門家を顧客に近づけるためにZoomを介して相談ができるようにすることです。
終わりに
以上、欧米の記事を参考に2021年の9つの営業トレンドについて紹介してきました。
全体的な傾向としては、CRMやAIなどのテクノロジーを駆使するだけでなく、顧客体験を重要視することへの必要性が高まっていると言えそうです。つまり、よりパーソナライズされた営業の価値が高まっており、むしろソフトな面が重要になってくることでしょう。
営業パーソンの皆様はこれを参考に2021年も活躍していきましょう。