多くの企業が「会社の数字がわからない」という悩みを抱えており、それは自身の仕事の貢献度や経営層の意図が不透明であること、そしてチームの現状が把握できないことなどが原因で、社員の当事者意識や組織全体のパフォーマンス低下を招いています。

感覚や経験に頼った経営から脱却し、客観的なデータに基づいた意思決定を行うためには、計数管理が不可欠です。

本記事では、計数管理の基本から、多くの企業が直面する課題、そしてその解決策までをわかりやすく解説します。計数管理を正しく理解し、ビジネスの成長に繋げましょう。

計数管理とは

計数管理とは、統計データや原価データなどの「計数」を用いて、経営を科学的に管理することです。

これは、経営管理における重要な2つの柱のうちの一つであり、もう一方の「人間的管理」と対をなす概念です。

過去の経営が個人の「勘」や「経験」に頼ることが多かったのに対し、近代経営では、計数管理によって客観的な数字に基づいた意思決定を行うことが重視されています。

計数管理の主な目的は、過去の実績や現状を数値で把握し、将来の予測や経営戦略の策定に役立てることです。

具体的には、売上、コスト、利益といった財務データだけでなく、顧客数、成約率、生産効率など、ビジネスに関わるあらゆるデータを分析し、経営の健全性を保つための指標として活用します。

計数管理の理解が浸透しない理由

多くの企業が、社員に会社の数字を理解させるための取り組みを行っています。経理部が主体となり、会社の利益管理(計数管理)について講義を開くケースも少なくありません。

自社の管理会計の仕組みを伝えることは重要ですが、こうした講義が本当に社員の理解に繋がっているかというと、疑問が残ります。

計数管理の理解が浸透しないことには主に2つの原因があります。

1つは、教える側と学ぶ側の知識ギャップです。経理部の担当者は数字のプロですが、人に物事を教えることに慣れていないことが多いのです。

専門知識が深いがゆえに、何が初心者にとって難しいのか、なぜ理解できないのかを把握しにくいという課題があります。難しい内容を難しいまま伝えてしまうため、受講者はついていけず、退屈に感じてしまいます。

もう1つは、人材開発担当者の「数字」に対する苦手意識です。人材開発担当者自身も財務感覚に自信がないため、経理部に対して「どのような内容を教えてほしいか」といった具体的な要望を伝えたり、講義後のフィードバックを適切に行ったりすることが難しいのが現状です。

これらの理由から、多くの企業では「経理部に任せておけば大丈夫」という思考が生まれがちです。しかし、そこには「わかるはずだ」「理解してほしい」という教え方の問題が潜んでおり、それが社員の「会社の数字がわからない」という声につながっています。

計数管理を理解するメリット

計数管理は、単なる数字の記録ではありません。計数管理を理解し、活用することで得られる具体的なメリットを見ていきましょう。

業績の見える化が実現する

「なんとなく売上が上がっている」「最近うまくいっていない気がする」といった感覚的な経営から脱却し、定量的なデータに基づいた共通認識を組織全体で持つことができます。

売上、利益、粗利、稼働率、顧客数といった主要な数値を定期的に可視化することで、組織の「健康状態」が一目で把握できます。

例えば、売上が好調でも粗利が減少している場合は、原価管理に問題がある可能性があります。このような兆候を早期に発見することで、迅速な対策を講じることができ、手遅れになる前に改善を図ることが可能になります。

コストに対する意識の醸成

計数管理を導入すると、社員一人ひとりが「売上」だけでなく、「利益=収益-コスト」という視点を持つようになります。

自分の業務がどれだけのコストをかけ、どれだけの価値を生み出しているのかを考える習慣が身につくためです。

例えば、営業担当者が顧客訪問にかかる交通費や時間を意識したり、製造部門が材料費や人件費を効率化しようと工夫したりするようになります。

意思決定の精度が高まる

感覚や経験に頼った意思決定は、大きなリスクを伴います。計数管理は、数字を複眼的に見て分析することで、判断のズレを防ぎ、精度の高い意思決定を可能にします。

「売上は上がっているのに利益が落ちている」場合は、コストが増大している可能性を示唆します。「商談数は多いが受注に結びつかない」場合は、営業プロセスや提案内容に課題があることがわかります。

経営層やマネージャーは、限られた人材や予算といったリソースをどこに配分すべきか、どの事業に投資すべきかといった戦略的な判断を下す際に、計数データが不可欠となります。

計数管理を行う方法

計数管理は、単に数字を記録するだけでは意味がありません。経営に活かすためには、体系的なプロセスが必要です。

ここでは、具体的な計数管理の手順を4つのステップで解説します。

管理すべき指標(KPI・KGI)を定義する

計数管理の第一歩は、何を測るべきかを明確にすることです。ここでは、KGI(重要目標達成指標)とKPI(重要業績評価指標)という2つの指標を理解することが重要です。

KGIは最終的な目標であり、KPIはKGIを達成するためのプロセスを測る中間指標です。

たとえば、「年間売上1億円」がKGIなら、それを達成するために必要な「新規商談数」「成約率」などがKPIになります。

やみくもに数字を集めるのではなく、「なぜこの数字を追うのか」という目的を常に意識しましょう。これにより、データ収集が自己目的化することを防ぎ、本当に必要な情報だけを効率的に管理できます。

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2. データの収集方法・頻度を決める

次に、定義した指標をどのように収集するかを決めます。日々の業務から手作業でデータを集めるのは非効率的で、ミスも起こりやすいため、可能な限り自動化することが大切です。

たとえば、営業管理ツール(SFA)と連携させ、日報から自動で案件数を集計したり、会計ソフトから月次の粗利を自動で抽出したりする仕組みを構築しましょう。

また、データの収集頻度も重要です。KPIの性質に応じて、最適な頻度を設計します。
たとえば、商談数やWebサイトのアクセス数は日次で確認することで、その日のうちに課題を発見できます。一方、粗利や月次のコストは、月次で集計することで、より長期的な視点で分析が可能です。

3. 見える化の仕組みを作る

集めたデータをただ保管しているだけでは意味がありません。誰が見ても一目で状況がわかるように「見える化」することが不可欠です。

データを見える化することで、組織全体の気づきや改善行動を促すことができます。たとえば、Excelのグラフ機能やピボットテーブル、条件付き書式などを活用して、数字の推移や異常値を視覚的に捉えられるダッシュボードを作成しましょう。

「売上が右肩上がりになっている」「特定の商品の粗利だけが低い」といった事実に、誰もがすぐに気づけるような仕組みを作ることが重要です。

関連記事:ダッシュボードとは?機能・活用方法の解説とツール13選

4. 分析・解釈の習慣をつくる

計数管理で最も重要なのが、数字の背景にある「なぜ」を考えることです。

単に「目標未達でした」で終わるのではなく、その原因を数字から読み取る習慣をつけましょう。

たとえば、「受注率が下がっている」という数字が見えたら、「提案の質が落ちたのではないか」「競合が増えたのではないか」といった仮説を立て、さらに深掘りしていきます。

成功した場合も同様に、「なぜうまくいったのか」を分析することで、再現性のある成功パターンを導き出すことができます。

この分析と解釈のサイクルを回すことで、組織全体の課題解決能力が向上します。

計数管理に役立つツール

計数管理をより効率的に、そして効果的に行うためには、適切なツールの活用が不可欠です。ここでは、特に営業部門の計数管理に役立つ「SFA」について解説します。

SFAとは

SFA(Sales Force Automation)とは、営業活動を効率化・自動化するためのツールです。顧客情報、商談履歴、営業進捗状況などを一元管理できます。

従来のExcel管理では、営業担当者が手入力でデータを更新し、管理職が手作業で集計・分析する必要がありました。

しかし、SFAを導入すれば、日々の営業活動の記録が自動的にデータ化されます。これにより、「記録→可視化→分析→改善」という計数管理のサイクルをスムーズに回すことが可能になります。

SFAは、単なる営業日報の電子化ツールではありません。入力されたデータをリアルタイムで集計し、グラフやダッシュボードとして自動で表示するため、組織全体の計数管理を劇的に効率化できます。

関連記事:SFAとは?CRM・MAとの違いや選び方と営業の成功事例まで解説

SFAで見れる管理項目

SFAを導入することで、営業活動における様々な計数をリアルタイムで把握できます。Excelでの手動集計では難しかったデータも、ボタン一つで瞬時に確認できるのが大きなメリットです。

SFAで把握できる主なデータ例は以下の通りです。

  • 商談件数・進捗状況: 今月、どの商談がどのフェーズにあるか、失注した商談の数はどれくらいかなどをリアルタイムで確認
  • 受注率: 商談件数に対する受注数の割合を自動で計算し、営業担当者やチームごとの強み・弱みを分析
  • 売上見込: 商談の進捗状況から、将来の売上見込みを自動で予測します。これにより、月次や四半期ごとの目標達成度合いを正確に把握

活動量: 営業担当者ごとの架電数、訪問数、メール送信数などを自動で記録し、活動量を客観的に評価

これらのデータを「リアルタイム」かつ「自動」で可視化することで、管理職は個人の勘に頼ることなく、数字に基づいた的確な指示やアドバイスを送れるようになります。

Mazrica Salesを活用した計数管理例

営業の計数管理を効率的かつ高度に行うには、専門ツールの活用が不可欠です。ここでは、SFAツール「Mazrica Sales」を例に、具体的な計数管理の方法を解説します。

確度ランクを用いた売上予測

Mazrica Salesでは、商談の確度に応じて自動で売上見込み金額を算出できます。

商談ごとに「確度ランク(例:A、B、C)」を設定すると、事前に定義した係数(例:A=80%、B=60%)が自動で乗算されるため、より現実的なフォーキャスト(売上予測)が可能です。

この機能の利点は、事業本部や案件種別ごとに異なる係数を設定できることです。これにより、ビジネスの実態に合わせた柔軟な売上予測を実現し、精度の高い経営判断に繋げられます。

KPIの一元管理・リアルタイムで可視化

Mazrica Salesは、営業活動における主要なKPIを一元的に管理し、リアルタイムで可視化します。複雑な設定やカスタマイズをしなくても、標準で提供されるレポート機能で、以下の項目をすぐに把握できます。

  • 受注金額、受注率、案件数
  • 営業アクション数(架電数、訪問数など)
  • リードタイム(商談開始から受注までの期間)

これらのデータは、ダッシュボード上でグラフやチャートとして表示されるため、チームや個人の進捗状況を一目で把握できます。

これにより、目標達成に向けた課題を即座に特定し、迅速な対策を講じることが可能になります。

BI連携による高度な分析

Mazrica Salesは、BI(ビジネスインテリジェンス)ツールであるMazrica BIとの連携により、さらに高度な分析が可能です。

単なる営業データだけでなく、会計システムや基幹システムとデータを連携させることで、予算や実績、粗利といった財務データと組み合わせた柔軟な分析を実現します。

たとえば、案件ごとのコストや粗利を詳細に分析することで、どの商談が最も利益を生み出しているかを把握できます。このような多角的な視点での分析は、経営の精度とスピードを向上させます。

関連記事:BIツールとは?選び方・機能・メリットを徹底解説

まとめ

「勘」に頼る経営から脱却し、数字に基づいた計数管理を導入することは、企業の成長に不可欠です。売上やコストを「見える化」することで、問題点の早期発見や精度の高い意思決定が可能になります。

しかし、その実践には「人材育成の難しさ」や「アナログな集計作業」といった課題が伴うことも事実です。

こうした課題を解決するのが、SFAツール「Mazrica Sales」です。

Mazrica Salesは、日々の営業活動の記録から、KPIの可視化、売上予測までを自動化します。専門的な知識がなくても、誰でも直感的に使えるデザインになっているため、入力や集計に時間を取られることなく、本来の業務である「営業活動」や「数字の分析」に集中できます。

計数管理は、一部の専門家だけが行うものではありません。Mazrica Salesを活用すれば、営業のプロである現場の社員が自ら数字を管理し、成果を出すためのアクションを起こせるようになります。

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