「営業はもういらない」「ネットで比較・購入できるから担当者は不要」「AIがセールスを代替する」などの営業不要論が語られ始めて久しく、実際この15年で国内の営業職は約60万人減ったと言われます。

では、営業という仕事は本当に消えてしまうのでしょうか。

本記事では、営業職をとりまく現状から、営業職の必要性、そして、今後どのような営業パーソンが必要とされていくのか、などについて解説します。

営業の現在:15年で営業職の人数は60万人減か

労働力調査結果(総務省統計局)によると、2023年の労働者人口は約6740万人であり、そのうち営業職の人口は約810万人でした。労働者数の約12%が営業職として働いていることが分かります。

ですが、15年前の2008年には、労働者人口は約6385万人、営業職人口は約870人と、労働者の総人口は現在よりも少ないにもかかわらず、営業職の人口は60万人も多かったのです。

出典:労働力調査年報(総務省統計局)

では、15年間の間に、営業職の人々に何が起こったのでしょうか。

営業職の人数が減少した3つの原因

60万人の営業が消えた原因は、以下の3点が挙げられます。

①販売の構造が変わった

かつて日本の流通はメーカーから卸、代理店、小売まで重層的に利害が絡み合う形が一般的でした。

各段階で価格交渉や在庫調整を担う営業は、取引先同士の利害を取りまとめる存在として不可欠な存在だったのです。

ところが2000年代以降、コンビニ、ECモールといった大手プラットフォーマーが台頭し、取引構造がフラット化しました。「メーカー⇔小売(または直接EC)」というシンプルな関係が増えた結果、従来の調整型営業が入り込む余白は急速に狭まりました。

加えて大手小売はバイヤー部門を社内に持ち、商品選定や価格交渉をデータドリブンで進めるため、営業が関係構築だけで付加価値を示すことが難しくなっています。

②モノやサービスの売り方の多様化

ここ数年で、購買プロセスは「店頭で営業が提案→顧客が購入」という流れから、オンライン広告・SNS・ウェビナー・サブスクなど多様化しました。

企業はデジタル上で見込み客を獲得・育成するインサイドセールスやマーケターを重視し、フィールドセールスの役割をクロージングに特化した存在としてスリム化しています。

「足で稼ぐ営業」は消えたわけではなく、デマンドジェネレーション、カスタマーサクセスなど専門領域へと分化・統合され、統計上の“営業職”が別職種にカウントされるケースが増えたことも数字減少の一因です。

③テクノロジーの変化

SFA/CRM、MA、オンライン商談ツールの普及により、案件進捗や顧客データはクラウド上でリアルタイムに共有可能になりました。

移動時間はWeb会議へ置き換わり、提案書作成もテンプレート化・自動化が進んだため、営業1人あたりの生産性は飛躍的に向上しています。

実際、ある調査では営業担当者の月間訪問件数はコロナ禍前比で約1.4倍に増えた一方、移動距離は半減したというデータも報告されました。

こうした効率化により「10人でこなしていた業務を6~7人で回せる」組織が増え、総数としての営業人員が縮小したと考えられます。

関連記事:2024年のセールストレンド7選|AI活用による顧客中心型営業の進化

営業職が無くならない理由

営業職が減っているように思われても、営業という仕事がなくなることは決してないでしょう。以下でその理由を3点紹介します。

①専門的な知識を持つ人が必要なため

消費者がネットなどの手段でモノやサービスに関する情報を簡単に手に入れられる時代になりました。

しかし、そうして知識を得るのには限界があるのも事実。どこかで必ず頭打ちになってしまい、分からない部分が出てくるのです。

それゆえ、専門的な知識を持った営業の力がどこかで必ず必要となります。

換言すると、これからの営業には豊富な専門知識が必ず重要になるともいえるでしょう。

②顧客の課題を見つけ出し、解決する営業力が重要なため

見込み顧客と接触し、モノやサービスを売る重要性が高まっていくでしょう。

モノやサービスを初めから携えていくのではなく、顧客の課題を一つ一つ洗い出し、それに対して自社のサービスに何かできることがないかを提案するのです。

すなわち、このソリューション営業と呼ばれる営業の形がより求められています。

③インサイト営業の需要が高いため

ソリューション営業のもっと新しい形、それがインサイト営業です。

ソリューション営業もますます需要が高まって行くと考えられますが、顧客もまだ気が付いていない課題を発見し、その解決に向けてモノやサービスを提案するインサイト営業こそが次世代の新しい営業であり、重要であると考えられます。

ネットなどで情報の入手が簡単になり、顧客自身が情報を得ることができるようになった今こそ、その上を行く営業の形が求められるようになってきているのです。

インサイト営業についてもっと詳しく知りたい方はこちら。
関連記事:インサイト営業とは?従来の営業との違い・メリットや3つの成功事例を紹介

今後も活躍できる営業の特徴

今後活躍する営業は、2つの形が考えられます。当たり前のことと思われるかもませんが、それでもとても重要なものです。

①専門知識を持っている

顧客がクリックひとつで商品スペックや口コミを調べられる現在、営業はカタログの読み上げ役では通用しません。

必要なのは、自社プロダクトの機能 ・ 価格 ・ 導入実績といった一次情報に加え、関連法規、業界動向、競合の最新事例まで踏み込んだ知識です。

たとえば SaaS を扱うなら、API 連携の可否だけでなく「投資回収までの期間は◯カ月」「規模別に推奨する運用体制は△名」といった実務視点のインサイトを提示できるかが差別化要因になります。
検索結果を上回る深度で解釈を添えてこそ、顧客は営業を頼る理由を見出すことができます。

▶︎▶︎「専門知識」は「人」から学ぼう!成果を出しているトップセールスが実践する4つの法則とは?

②顧客を第三者的目線から冷静に分析することができる

購入検討プロセスが自社で完結する傾向が高い現在、顧客は表面的なニーズを語る一方で、真の課題を把握しきれていないケースが増えています。

優秀な営業はヒアリングの段階から仮説を立て、データや事例をもとに現状と理想像のギャップを可視化します。

たとえば「広告費の最適化」要望に対し、実際にはターゲティング精度ではなくLTVの算出ロジックに問題がある、といった潜在的な課題を提示できれば、商談は単なる比較検討から共同のプロジェクトへ格上げされます。

冷静な第三者視点で顧客ペースに飲まれず、常に「本質的に解くべき問題は何か」を問い続ける姿勢が不可欠です。

関連記事:顧客分析とは?5つのフレームワークや分析に有用なツールを解説

営業の将来を支えるAI搭載ツール

営業が形を変えていく中で、営業が使うツールも進化し続けなくてはなりません。

営業組織が陥りがちな「属人化」問題を解決するため、実際に進化し続けているSFAやCRMを導入することも一つの手です。

関連記事:営業の属人化はなぜ起こる?4つの原因と7つの解決方法

進化するSFA

SFAとは、営業支援システムのことであり、営業の効率化を目指すサービスです。

現在では、SFAなどのサービスに顧客のデータや営業の成功事例を蓄積し、蓄積データを基にAIが営業戦略を立てる機能を搭載する動きが高まっています。

関連記事:

例えば、SFAの一つであるMazrica SalesはAIを搭載しており、成功した営業のパターンを蓄積し、営業戦略を立てる仕組みがあります。(AIフォーキャスト)

AIフォーキャストでは、蓄積した情報をもとにAIが案件の進展を予測します。

例えば、AIが「この顧客には、このタイミングで、このアクションを起こすべき」といったことを指示してくれるのです。

「AIが営業を無くしてしまう」という意見も聞かれますが、実際には、AIと営業が手を携えて行くことが重要なのです。

▶▶【無料資料&デモ動画】AI搭載のSFA「Mazrica Sales」の実際の操作画面を確認したい方はこちら!

尚、AIの営業活動への活用事例をこちらの記事内で詳しく解説しています。
関連記事:AIの営業活動への活用例|よくある営業課題への解決方法

終わりに

営業職の人数は右肩下がりでも、営業そのものが消えるわけではありません。

役割が変わり、担う使命を変えながら、これからも企業活動の前線に立ち続けます。

ただし、生き残る営業には常に学び直しが求められます。専門知識を深掘りし、顧客の課題を洞察する力を鍛え、そこへデータドリブンのツールを組み合わせて初めて次の時代の営業になれるからです。

テクノロジーを味方につけ、自らのスキルをアップデートし続けることこそが、これからの営業が持つべきスタンスと言えるでしょう。

投稿者プロフィール

Mazrica Business Lab. 編集部
Mazrica Business Lab. 編集部

Mazrica Business Lab.はクラウドアプリケーションMazricaの開発・提供を展開する株式会社マツリカが運営するオウンドメディアです。営業・マーケティングに関するノウハウを中心に、ビジネスに関するお役立ち情報を発信しています。

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