企業の生産性を向上させるため、何らかのツールを導入したいと考えている人は少なくありません。しかし「ERP」や「SFA」など多様なツールがあり、どれを導入すべきか頭を抱えてしまう人も多いようです。

そこで本記事では、ERPとSFAの違いや関係性について解説します。ツール同士の連携についても触れるので、生産性向上に興味のある方はぜひ参考にしてください。

SFAとは

SFAとは、「Sales Force Automation」の略語で、営業支援ツール・営業支援システムを意味します。

SFAは企業の営業活動全般を支援するシステムおよびその活用方法を指し、商談開始から受注までの営業情報の可視化と共有をサポートします。

具体的には、営業活動における情報をデータ化して蓄積し、分析・活用することを目的としたソフトウェアです。

関連記事:SFAとは?CRM・MAとの違いや選び方と営業の成功事例まで解説

SFAが生まれた理由

SFAには、営業業務の効率化を支援するさまざまな機能が備わっています。

製品ごとに細かな違いはあるものの、基本的な機能はほぼ共通しています。

ただし、SFAは導入するだけで自動的に成果が上がるものではありません。

その効果を最大限に発揮するには、営業情報を正確に入力し、蓄積されたデータを活用して分析を行うことが不可欠です。

SFAのメリット

SFAには営業業務を効率化するための多彩な機能が搭載されています。

では、SFAを使ってどのようなことが可能なのか、いくつかご紹介します。

関連記事:SFAの機能15選!SFAでできることを営業フローに合わせて解説

営業部門の情報を一元管理

営業業務では、顧客情報や売上データ、さらには数値化しにくい情報まで多くのデータを取り扱います。

SFAを活用することで、これらを一括で管理することが可能です。SFAがあれば、過去の取引履歴を探すために古いファイルを見直したり、パソコン内を検索したりする必要はなくなります。

さらに、一度入力した情報は自動で他のデータにも反映されるため、再入力の手間が省け、生産性が向上します。

チーム内で情報共有が可能

入力されたデータは、チーム内で即座に共有されるため、時間効率の向上につながります。

たとえば、案件の見積額や成約の可能性を入力しておけば、いつでも簡単に売上予測を立てることができます。

スマホでの操作に対応しているSFAは、外出先からでも最新情報を確認し、次の行動をスムーズに決定することが可能です。

営業戦略立案に役立つ

SFAに蓄積された情報は、営業戦略や経営戦略に役立つよう分析できます。

顧客データを解析すれば、「どのターゲット層にアプローチすれば成約率が高いか」が明らかになり、トップセールスの行動を分析すれば「成功する営業ノウハウ」が見えてきます。

これらの分析結果を基にすれば、ターゲット層を絞った効率的なアプローチが可能になり、営業チーム全体のスキルアップにもつながります。

さらに、経営陣が常に最新のデータを把握していれば、中長期的な見通しを立て、迅速な経営判断が可能になります。

SFAのデメリット

SFA導入における大きな課題のひとつは、データの質を維持する難しさです。SFAは蓄積された情報を活用して営業活動を効率化するシステムですが、データの入力精度や更新頻度が低下すると、期待する効果を十分に発揮できません。

例えば、営業担当者ごとに入力の内容や表現が異なると、データの整合性が取れず、正確な分析が難しくなります。

また、商談の進捗や顧客情報を細かく記録する必要があるため、入力作業を負担に感じるケースも少なくありません。

その結果、情報の更新が滞り、古いデータが蓄積されることでシステムの信頼性が低下するリスクが生じます。

さらに、SFAにデータが蓄積されるまでには一定の時間がかかるため、導入直後は十分な効果を実感しにくいという側面もあります。

また、せっかく営業データを収集しても、それを戦略的な意思決定に活用できなければ、SFA本来の価値を十分に引き出すことができません。

データを蓄積するだけでなく、分析結果をもとに営業活動の改善につなげる仕組みがなければ、システムが形骸化してしまう恐れがあります。

ERPとは

ERPとは「Enterprise Resources Planning」の略称で、日本語では「企業資源計画」と訳されます。企業経営に必要なヒト・カネ・モノ・情報といった資源を適切に分配し、企業経営を効率化させる手法や概念のことです。

ただし近年は、この経営手法を実現させるためのツールやシステムを「ERP」と呼ぶようになっています。その場合、日本語では「統合基幹業務システム」や「基幹系情報システム」などと呼ばれます。

関連記事:経営管理とは?その目的とKPI管理・データ管理の改善方法

ERPが生まれた理由

ビジネスの現場でコンピューターが導入され始めたのは、1960年代のことです。

当時のコンピューターは大型かつ高価であり、「1人1台」という環境には程遠いものでした。

そのため、主に製造・販売管理、在庫管理、受発注管理といった企業の基幹業務に限定して活用されていました。

しかし、これらのシステムはそれぞれの業務に特化していたため、部門間での情報共有や連携が難しいという課題がありました。

そこで登場したのが、各部門の基幹システムを統合し、一元管理を可能にするERP(Enterprise Resource Planning)でした。

ERPのメリット

ERPの導入によりどのようなメリットが期待できるのか見ていきましょう。

前提として、ERPは各部門に最適化された基幹システムの機能を併せ持っているため、ERPさえあれば企業経営に必要な情報を網羅することが可能です。

一例として、以下のような機能が搭載されています。

  1. 生産管理
  2. 購買管理
  3. 在庫管理
  4. 受注管理
  5. 販売管理
  6. 財務・会計管理
  7. 人事管理
  8. 会計管理
  9. 経費管理
  10. 資産管理
  11. 債務・債権管理
  12. セキュリティ機能
  13. 権限管理機能
  14. バックアップ機能
  15. 分析機能

経営判断のスピードが上がる

各部門で基幹システムを運用していると、情報は各部門にとどまってしまいます。適切な経営判断をするためには一つの部門だけでなく全体を見る必要がありますが、各部門に情報が点在していると全体像を把握できないため、誤った経営判断をしかねません。

ERPにより部門を横断して情報を一元管理できれば、企業の状況をタイムリーに把握できるため迅速な経営判断につながるでしょう。

予算や売上管理ができる

部門ごとに情報が点在していることで、他部門の状況が見えないため予算や売上の管理がしにくくなります。たとえば、正確な受注状況を把握できないまま生産してしまい、大量の在庫を抱えてしまうということにもなりかねないでしょう。

そこでERPを導入すれば、製品の生産から代金の受領までの一連の流れを1つのシステム上で管理できるため、予算や売上の管理が効率化します。

関連記事:売上管理とは?目的やエクセル/SFAでの管理方法を具体例で解説

情報を一元管理できる

在庫管理システムや会計システムなどの基幹システムはそれぞれの部門の業務効率化に役立つ一方で、部門ごとにシステムを導入するために情報が分断されてしまい部門間の連携がうまくいきません。

しかし、ERPを活用すると各部門の情報を集約・一元管理でき、部門間の連携を促す効果があります。

ERPのデメリット

ERP導入にあたってのデメリットは、「社内への浸透」が挙げられます。

ERPは複数部門が関係するシステムのため、以下のような取り組みが必要となります。

  1. 導入の理解を得る
  2. 社員に使い方を教育する
  3. 各部門に最適化した設定やカスタマイズを行う
  4. データ入力のルールを決めて周知する
  5. 既存システムからデータを移行する

このように、ERP導入は企業によっては大きな変革となるため、社内へ浸透させるのに時間がかかってしまい途中で頓挫してしまう事例も少なくありません。スケジュールを決めてプロジェクト体制を整え、計画的に導入を進めることがポイントです。

SFAとERPの違い

SFAとERPの違いを一言で表すと、SFAは「営業活動の効率化を目的としたツール」、ERPは「企業全体の経営資源を統合・管理するシステム」です。扱う情報の範囲が違うとも言えます。

SFAは営業に特化したツールである一方、ERPは基幹業務を網羅したツールであるため、導入目的や機能などが大きく異なります。

また、ERPには顧客管理機能が搭載されているものもありますが、案件管理やアクション管理など営業に特化した機能が搭載されているものは少ない傾向にあるため、営業部門がERPのみ導入することは珍しいでしょう。

しかし、営業現場で「商談後の受注管理を効率化したい」「入金状況を確認しながらネクストアクションをしたい」といったニーズがある場合や、マネージャーが「他部門の状況も踏まえて営業戦略を立てたい」といったニーズがある場合には、SFAとERPを併用する場合もあります。

ERPとCRMの違いについては以下の記事で解説しています。
関連記事:CRM・ERPの違いとは?役割や機能やメリットを徹底比較

ERP・SFAを導入する際のポイント

企業の生産性向上のために、ERPやSFAを導入したいと考えている人もいるでしょう。

ここでは、ERP・SFAを導入する際のポイントについて解説します

導入の目的を明確にする

ビジネスツールやシステムを導入する際には、具体的に「何を実現したいのか」をはっきりさせることが重要です。

目的が曖昧なままだと、「期待した効果が得られなかった」という事態に陥りかねません。

SFAとERPのどちらを導入すべきか迷った場合は、「フロントオフィスを強化したいのか、それともバックオフィスを最適化したいのか」を基準に考えると良いでしょう。

扱う情報の範囲を決める

SFAとERPは、それぞれ扱う情報の範囲が異なります。SFAは営業活動に関連する情報に特化していますが、ERPは財務や会計など、営業以外の幅広い情報を管理します。

そのため、導入目的とともに、どの範囲の情報を統合したいのかを考えることが有効です。

また、SFAとERPには一部共通する機能があるものの、設計思想が異なります。

SFAは営業業務の自動化や効率化を目指して設計されており、ERPは経営資源の一元化や異部門間での情報共有を目的としています。

そのため、似た機能があっても完全に同じ使い方ができるわけではない、という点を理解しておきましょう。

SFAとERPの連携メリット

SFAとERPはまったく別物のツールですが、連携することで多くのメリットが期待できます。

SFAを活用する営業部門にとっては、ERPにより生産部門や経理部門など他部門の情報が可視化できるため、社内の状況を踏まえて最適な営業戦略を立てられます。たとえば、生産状況がわからないのに営業活動をしていると、受注を獲得しても生産が追い付かずに納品できないという事態にもなりかねません。

また、営業部門以外の部門にとっては、営業部門が抱えている顧客情報や取引履歴などを確認できるというメリットがあります。

営業部門が獲得した新規顧客の情報をスピーディに他部門に展開できるため、部門を横断して情報共有できます。

まとめ|ERPとSFA/CRMは連携して併用するのがおすすめ

ERPとSFA/CRMはまったく別物のツールですが、連携すると補完し合うことができ、部門間の連携や生産性の向上につながります。企業全体の成長を見越し、ERPとSFA/CRMの併用を検討してみてください。

国産SFAの「Mazrica Sales」は、営業現場での使いやすさにこだわり、設定やカスタマイズの簡単さから手軽に導入できるSFAとして知られています。多くの外部ツールと標準連携でき、それ以外のツールともAPI連携が可能です。ERPとSFA/CRMの連携に興味がある方は、ぜひ一度ご相談ください。

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Mazrica Business Lab.はクラウドアプリケーションMazricaの開発・提供を展開する株式会社マツリカが運営するオウンドメディアです。営業・マーケティングに関するノウハウを中心に、ビジネスに関するお役立ち情報を発信しています。

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