みなさんの会社の経営管理はどんな状態でしょうか?
- 3ヶ月以上先の予定や利益の予測がついていない
- 10年前のやり方から変わっていない
- なんとなく、数字の管理をしているがベストなやり方が分からない
・・・といった状態なら、せっかく経営管理をしていても、経営に活かせていない可能性が大きいと言っても過言ではありません!
ぜひこの記事で、経営管理をする目的、経営管理に欠かせないKPI管理やデータ管理の改善方法を知って、自社の経営管理に活かしてください。
経営管理とは?
経営管理とは、目標達成のために「ヒト・モノ・カネ」といった会社経営に必要な資源を配分する管理や技術のことです。
たとえば、新しい設備を導入したり、人を雇ったりするのには、たくさんのお金がかかります。
しかし、翌月の仕事がどのくらいあるかも不透明という状態だと、投資をすることは不可能です。
こうした「行き当たりばったり」の経営をしていては、いつまで経っても会社を大きくすることはできません。
それどころか、コストや利益を把握していなければ、いきなり倒産してしまうという可能性もあります。
そこで必要となるのが、経営管理です。
3〜5年ほどの中長期計画から年次、月次、日次にまで落とし込んでおくことで、計画的に効率よく「ヒト・モノ・カネ」を使えるようになります。
また、上手くいっていないことにも早く気付けるので、すぐに改善策を打ち出し、軌道修正を図ることもできます。
関連記事:経営戦略とは?作り方の基本・フレームワークを紹介!
経営管理の目的とは?
経営管理ではどんなことを目的にすべきかを見る前に、まずは、「経営管理で何をするのか」について、いま一度、おさらいしておきましょう。
経営管理でやるべき業務
会社での業務は、大きく以下の4つに分かれます。
①カネに関すること・分析業務
業績管理、予算管理、原価/収益管理(一部、販管費を含む)
→主に、経営者が担当する
②カネに関すること・オペレーション業務
一般会計、債権管理、債務管理、固定資産、原価計算、制度連結、財務管理など
→主に、経理や財務部門が担当する
③モノに関すること・分析業務
業績管理、S&OP(顧客・マーケティング分析、サプライチェーン最適化、リスクマネジメント)など
※Sales and Operations Planning:経営層、生産、販売、在庫などの情報を共有することでサプライチェーン全体を最適化する手法
→主に、生産、販売・営業、在庫管理、マーケティング部門が担当する
④モノに関すること・オペレーション業務
研究開発、調達、生産、物流、販売、マーケティングなど
→主に、開発、生産、販売・営業、マーケティング部門が担当する
上記を見てわかるように、経営者自らが関わらなくてはならないのは、お金に関する分析業務(業績管理、予算管理、原価/収益管理(一部、販管費を含む))だけです。
ですが実際のところ、特に中小企業の場合には、会社で起きているすべてのことに対して社長が首を突っ込みたがる傾向にあるようです。
しかしここは、ぐっと堪えてください。
どんな会社でも経営者の「鶴の一声」にはなかなか逆らえないもの。
そうなると、すべてが社長の決定を待たなければならず、ビジネスは停滞してしまいますし、指示待ち社員だけになってしまいます。
社長は経営管理と会社の舵取りだけに集中して、各事業部のことは、事業部長に任せるようにしましょう。
業績管理のポイントについては、こちらの記事内で詳しく解説しています。
関連記事:業績管理とは?成功のポイントとKPI・KGIについても解説
経営管理の目的
経営管理の目的は、「社員一人ひとりを、経営者が策定した戦略と同じベクトルに向かわせ、行動させること」にあります。
この目的を実現させるためには、経営管理をしていく上で3つのポイントがあります。
①戦略
企業にはそれぞれ、違ったビジョンや目標があり、そのための戦略も千差万別です。
つまり、経営管理の仕組みも、会社ごとに異なっているのが当たり前だということです。
②ベクトル
いくら素晴らしい戦略を立案して、お金をたくさん使っても、実行する社員が同じ方向を向いていなければ意味がありません。
社員が同じベクトルを向くようにするには、業績評価指標(KPI)を設定することが有効です。
こうすることで、目標や数字に向かって自ずとに努力するようになります。
③実現可能性
どんな目標や戦略、計画も、実行できなければ意味がありません。
たとえば、毎日16時間働くことを前提に達成される受注額なんていうのは、どう考えても実現不可能ですよね。
経営管理方法を定期的に変えるべき理由
経営側のビジョンや戦略が決まったら、次は、中長期計画や年度予算といった具体的な計画や方法を考えていくのですが・・・もしかして、毎年数字をちょこっと変えるだけで使いまわしている、なんてことはありませんか?
同じようにやっていれば、大きな失敗はないかもしれません。
しかし、ライバル企業や世の中が刻一刻と変わっている中で、自社だけが変わらないというのは停滞どころか、後退していることを意味します。
コストの割り振り(配賦計算)を変えてみるとか、業績予測を複数出してリスクに備えるなど、できることは、何かしらあるはずです。
改善しようという視点で経営管理や会社全体を見渡して、考えてみてください。
なお、変更する頻度についても、管理手法と同様、会社によって違います。
目安としては、中小企業なら1〜2年に1回、大企業なら3〜5年に1回。
変化の速いベンチャーなら、年に数回ほど変更してもいいと思います。
そのほか、経営が停滞していたり、しばらく変化や挑戦をしていないと感じたタイミングでも、見直しをしてみるといいでしょう。
整合性のあるKPI(業績評価指標)管理の方法
上述したように、KPIを設定することで、社員を同じベクトルに向かわせ、会社の戦略に沿った行動を実行させることができるようになります。
では、具体的にはどのように指標を設定したらいいのか、見ていきましょう。
▶▶【無料ダウンロード】KPIの正しい管理方法を分かりやすく解説!
整合性を考えてKPIを設定する
目標や戦略に沿った指標であるだけでなく、部門間で整合性が取れていることが重要です。
たとえば、オフィス用品のレンタルサービスをしている会社で、リピートでの受注を増やして、さらに紹介にも繋げるという戦略をとっている場合を考えてみましょう。
営業部門では既存顧客からの受注率をKPIとして重視しているのに対し、マーケティング部門ではWebサイトのアクセス数を指標にしているとしたら、どうでしょうか。
Webサイトのアクセス数を指標にしているということは、新しいユーザーの流入増加を目指しているということ。
これでは、全社の戦略とはちぐはぐになってしまいます。
もちろん、アクセス数を見ること自体がマーケティングの役割として間違っているわけではありませんが、それはマーケティング部門だけでの話。
一部門だけの部分最適ではなく、全体最適を考えて重視する指標を設定すべきです。
KPIを設定するときのポイント
そのほか、以下の点を踏まえたKPIを設定することで、経営改善に活かすことができます。
①財務指標と非財務指標
KPIは、財務指標と非財務指標に分けることができます。
- 財務指標:粗利、原価差異、売上高総利益率、自己資本利益率など
- 非財務指標:顧客満足、研究開発、リーダーシップ、ブランド力向上など
短期的な利益を生み出すには、財務指標が重要となります。
一方で企業は、将来に渡ってキャッシュを生み出すために、新規事業を開発したり、顧客満足度を高めたりといった活動も行う必要があります。
こうした活動の達成度を測定するための指標が、非財務指標です。
短期的な利益に結びつかないため、指標として設定していない企業もあるようですが、長く会社を成長させ続けるには、きちんと測定し、必要ならば改善も行うべきです。
②他社との比較
財務指標・非財務指標という分け方の他にも、一般的なもの、業界特有のもの、自社独自のもの、という切り分けもできます。
・一般的な指標:
営業部門における売上、粗利、受注額、入金額など
・業界特有の指標:
百貨店における月坪効率(坪あたり売上・営業利益)や、通信キャリアにおける解約率など
・自社独自の指標:
女性活躍推進度、資格取得率、ミステリーショッパーの平均点数など
特に、業界特有の指標は、新聞や業界紙などから競合他社との比較をすることができ、自社のポジショニングを知る上で役立つ指標となります。
関連記事:営業のKPIとは?設定方法や指標例・KGIとの違いを簡単に解説
Excel管理から抜け出す方法
経営管理の目標、KPIを決めたら、最後は、予算など実際の計画に落とし込んでいきます。
この予算編成業務に、必要以上に時間をかけてしまっていませんか?
たとえば、
- 予算編成の目的が、なぜか数字当てゲームになっている
- 予算編成に3ヶ月以上を要している
- 自部門の費用予算確保になってしまっている
- コストの割り振りに不公平感が募っている
こんな状態であれば、予算をつくること自体が目的と化してしまっていますし、
- データを分析、検討する時間より、会議資料の作成に時間がかかる
- 経営会議は資料を読み合わせするだけで終わってしまう
- データの速報性より、数字合わせに熱心な経営者や管理職が多い
- 必要なデータを検索する仕組みがなく、結局すべてのデータを確認している
- 資料の形式(表の色柄、罫線など)にこだわる経営者や管理職がいる
・・・といったように、資料作成に膨大な時間がかかっていることもあると思います。
はっきり言うと、こんなことをしているのは時間の無駄です。
ビジネスはスピードが命。
できるかぎり早く予算を組んで、PDCAを回しながら改善をしていくことが、ビジネスの成功の鍵になります。
とはいっても、適当に予算をつくるわけにはいかないですし、人がやっている作業をスピードアップさせるには、限界があります。
そこで役立つのが、データを効率的に集め、分析ができる情報システムです。
たとえば、以下のようなツールがあります。
・マーケティングオートメーション(MA):
Webサイトやメールのトラフィック、顧客に合わせたメールの自動送信など、見込顧客を発見し、育成するためのツールです。
関連記事:MA(マーケティングオートメーション)とは?意味や導入メリット・おすすめのツールを紹介
・営業支援ツール(SFA)
顧客情報や案件の進捗、営業活動を可視化することで、業務の効率化や受注率アップに繋げることを目的としたツールです。
関連記事:
・会計ツール:
自動で仕訳などを行ってくれるツールで、経理や簿記の知識がなくても決算書の作成をしたり、確定申告がスムーズに行えるようサポートしてくれるツールです。
・データ分析ツール:
マーケティングや財務はもちろん、経営分析に特化したツールもたくさんあります。
関連記事:営業データ分析3つの手法!見るべき項目やSFAを活用した分析手法
すでに自社で使っているITツールに加えて、さらに新しいものを導入するとなると、ツールを使いこなしたりデータを確認するだけで、時間や手間がかかってしまう・・・という心配をしている方も多いと思います。
そんな時は、Googleアナリティクス、Mixpanel、Optimizely、Intercom、MailChimp、Zendesk、Slackなど、200以上のツールのハブとしてデータを表示することができる「Segment」というツールがおすすめです。
海外のツールなので、国内サービスへの対応はまだ少ないので自社のツールが使えるかどうかの確認は必要ですが、一つのツールですべてのデータが見れるので、とても便利です。
まとめ
経営管理をする目的・メリットと、経営管理を改善する方法についてお伝えしてきました。
経営手法や経営管理については、さまざまなメディアや書籍などでたくさん紹介されており、ついつい、その通りにやってしまいがちです。
ですが、記事でお伝えしてきた通り、会社の目標や戦略は一社一社違うものであり、当然、経営管理手法も違ってきます。
つまり、自社にあった経営管理方法を見つけることが、成長への一番の近道なのです。
もし、経営管理をしていない、または5年以上変えていないというのであれば、ぜひこの機会に一度、見直してみてください。