インターネットが普及した現代では、顧客は営業に接触する前に情報収集を終え、購買プロセスの大半を進めてしまいます。
購買行動の変化に対応し「今まさに検討を始めた顧客」を競合より早く見つけ出す鍵となるのが「インテントデータ」です。
本記事では、インテントデータの定義から、自社の状況に合わせたファースト・セカンド・サードパーティデータの収集方法、そして新規開拓やABM、リードスコアリングへの具体的な活用法までを徹底解説します。
営業・マーケティング活動の精度を向上させる方法を知りたい方は、ぜひ最後までご覧ください。
この記事の内容
インテントデータとは
インテントデータとは、ユーザーや企業がオンライン上で示す関心や意図などを表している行動データの総称です。
具体例を挙げると、検索エンジンでのキーワード入力、Webページの閲覧履歴、SNSでの発言などがインテントデータに該当します。
インターネット上の行動は、ユーザーや企業が今どのような課題や悩みを抱えているのか、何に興味・関心を持っているのかを読み取る手がかりとなります。
インテントデータを分析することによって、ユーザーや企業の潜在的なニーズや購買意欲などの兆候をいち早く察知できることが特徴です。
また、インテントデータは、リアルタイムで取得、更新されるため、現在進行形で関心や行動をより正確に把握することが可能となります。
営業やマーケティング活動において、ターゲティングやアプローチの精度を大きく高めることができるでしょう。
インテントデータが重要な理由
インテントデータは、現在のユーザーや企業の購買行動の変化に対応し、より効率的な営業やマーケティングを実現するために非常に重要となります。
主な理由は以下の4点です。
| 理由 | 詳細 |
|---|---|
| 顧客行動の変化に対応できる | 顧客は営業が接触する前に情報収集を完了しているケースが増加しています。 インテントデータを活用すれば「今まさに検討を始めた顧客」を早い段階で特定することができます。 |
| ターゲティング精度と効率の向上 | 「属性が合う」だけでなく、実際に興味・関心を示している見込み顧客を優先することで、無駄なアプローチを減らすことができます。 |
| 競合との差別化 | 検討の初期段階のシグナルを掴むことができれば、競合よりも先に接点を持つことができます。 商談における主導権も握りやすくなり、差別化のチャンスにもなります。 |
| データドリブンな戦略の基盤 | インテントデータを活用することで、リード育成から営業引き渡し、提案までをデータに基づいて最適化できます。 「どのタイミングでどんな内容を伝えるべきか」をデータを元に判断することができ、データドリブンな営業やマーケティングを実現することができます。 |
インテントデータは顧客の意図や関心を把握し、最適なタイミングでアプローチするにあたって重要となります。
インテントデータの種類と取得方法
インテントデータを活用するには、どのような種類のデータがあるかを把握し、次に自社の状況に合った取得方法を整えることが重要です。
主に「ファーストパーティ」「セカンドパーティ」「サードパーティ」の3種類に分類され、それぞれ取得経路・活用範囲・精度に違いがあります。
ファーストパーティデータ
ファーストパーティデータとは、自社が直接取得するデータのことを指します。
具体的には、以下が該当します。
- 自社Webサイトの訪問履歴
- 資料ダウンロードやフォーム入力
- メール開封・クリック
- 会員ログイン時の行動
取得ができたデータは、個人・企業を明確に識別できるケースが多く、精度が高く信頼できる情報源となります。
ただし、自社接点に限られるため、未接触の企業・ユーザーにはリーチしづらいという制約があります。
セカンドパーティデータ
セカンドパーティデータとは、他社(提携先・ビジネスパートナー)が取得したファーストパーティデータを、自社に提供・共有してもらうデータのことを指します。
例えば、業界メディアの閲覧データ、展示会主催会社の参加者行動、パートナー企業の会員データなどが挙げられます。
自社で取得が難しい「興味・関心の動き」を追加補完できるため、自社だけでは見えない検討段階の兆しを補える点がメリットです。
ただし、提供元との契約・データ整備・更新頻度・プライバシー管理など運用的な準備が必要となる場合があります。
サードパーティデータ
サードパーティデータとは、外部データプロバイダーやリサーチ企業が、Web上の複数サイトで収集・分析したデータを提供することを指します。
具体例として、検索キーワードのトレンド、複数比較サイトの閲覧履歴、特定テーマのホワイトペーパーDL動向などが挙げられます。
取得範囲が広く、未接触の見込み顧客発掘や市場トレンド把握に強みがあります。
ただし、個別企業や担当者を高精度で特定できないこと、データ鮮度・正確性・プライバシー対応などに課題を伴うこともあります。
インテントデータの活用が進まない理由
インテントデータを活用することの重要性が高まる一方で、実際に十分に活用ができている企業が多くはありません。
その背景には、さまざまな障壁が存在しており、本章では、代表的な3つの課題を解説します。
そもそもデータが取得できない
最初の課題として、インテントデータを収集する仕組み自体が整っていないということがあります。
WebサイトやMA(マーケティングオートメーション)ツールなどの基盤が整っていなかったり、外部データプロバイダーのカバレッジが不足していると、そもそも取得できるデータがないというケースが少なくありません。
また、個人情報保護の観点から、Cookie規制やプライバシーポリシーの同意設計が整備されていない企業も多く、データの取得が制限される場合もあります。
仕組みの面と法的制約の面で、インテントデータの収集はハードルが高く難しいです。
データが膨大で、分析・活用できない
データを収集することができたとしても、次に障壁となるのが「量の多さと管理の難しさ」です。
企業によっては、営業・マーケティング、カスタマーサクセスなどの部門ごとにそれぞれ異なるツールを使用しており、データが分断されたまま(サイロ化)で共有されないケースが見受けられます。
さらに、企業によっては、データ分析をする人材が不足している、あるいは、分析ノウハウが社内に蓄積されていないため、データを取得できたとしても「見て終わりで活用できていない」状態に陥りがちです。
取得したデータを活用できていない状態では、今後のアクション(スコアリング・ナーチャリング設計・リード優先度)に活かされません。
データの有効活用を実現するためには、ツール間のデータ統合に加えて、取得したデータを活用できる人材・仕組みの整備が重要となってきます。
有用なインサイトを得られない
インテントデータは単体では断片的な情報にすぎず、他の情報と組み合わせて分析する力が必要となります。
具体例で言うと、検索履歴などのデータを、顧客属性・商談履歴・業界動向などと組み合わせながら分析することで「ユーザーや企業がどんな課題意識を持ち、どの段階にいるのか」という、非常に解像度の高いインサイトを得ることが可能となります。
一方で、データ分析に必要なスキルや人材、組織としての体制が整っていない企業も多く、収集したデータを十分に活用できていないケースが少なくありません。
インテントデータの活用方法
インテントデータは、顧客の関心・意図、行動の今を読み解き、営業やマーケティングの精度を高めるために非常に有効です。
また、その活用範囲は多岐に渡ります。本章では、6つの代表的な活用方法について解説します。
新規顧客開拓
まだ接点のなかった個人や企業の興味・関心の兆しを捉えることで、効率的な新規顧客の開拓が可能となります。
例えば、特定のキーワードで検索を行ったり、比較サイトなどを頻繁に閲覧している企業を抽出して「課題に対する解決策を探している可能性が高い」リストとして優先的にアプローチをするというものです。
検索や閲覧履歴といったオンライン上の具体的な行動パターンを把握できれば、展示会で獲得した名刺や無差別リストよりも質の高い見込み顧客を短期間で獲得することができます。
関連記事:顧客獲得の方法とは?新規開拓からリピーター獲得の5ステップ
ABMの実践
アカウントベースドマーケティング(ABM)とは、特定の企業をターゲットにして関係構築をすることを指します。
インテントデータを活用すると「その企業が今どんなテーマ・キーワードを調べているか」などを把握することができ、ターゲット企業に対してよりパーソナライズされたコンテンツの発信などが可能となります。
ターゲット企業との関係構築のスピードが上がり、提案から受注までの時間を短くできる可能性もあるでしょう。
関連記事:ABM(アカウントベースドマーケティング)とは?メリット・導入手順・成功事例を解説
リード・スコアリングの改善
インテントデータを活用することで、従来の企業属性や過去の接触回数だけで行っていたスコアリングでは捉えきれなかった「今動いている可能性が高いリード」を見える化できます。
例えば「特定のキーワードで検索している」「競合比較ページを閲覧している」などの行動をスコア化することで、営業に引き渡すリードの質が高まり、結果的に営業の効率・生産性も向上します。
ターゲティング強化
インテントデータを活用することで「どの企業、どの役職、どんなテーマで」アプローチすべきかを従来より深く設定できます。
属性情報だけでは「興味段階」まで把握することはできませんが「行動データ」を加えることで「今悩んでいる」「現在比較を始めている」層に絞ったアプローチが可能となり、広告やナーチャリングの精度を高めることができます。
関連記事:ターゲティングとは?代表的なフレームワーク(STP分析・6R)を紹介
競合他社との差別化
インテントデータは、競合サービスを比較・検討している動きを捉えるヒントにもなります。例えば、ある企業が「A(競合) 製品 評価」や「B(競合) 導入 成功事例」などのキーワードで検索している場合、その企業は「どの会社のサービス・商品を選ぶか」を比較・検討している可能性が高いと考えることができます。
競合製品に関心を示している企業に対しては「競合からの乗り換えの提案」や「自社にしかない強み」を前面に出したアプローチが有効でしょう。
つまり、競合他社よりも早く、かつ適切なアプローチをすることによって、商談をより優位に進めることができます。
営業・マーケティングの部署連携強化
インテントデータを活用することで、マーケティング部門と営業部門で共通の「見込み顧客の判断基準」や「アプローチのタイミング」を持つことができます。
例えば「特定のスコアが一定以上になったら営業へ引き渡す」などの共通ルールを定めることで、誰が、いつ、どの顧客にアプローチするべきかが明確になります。
共通のルールを定めることによって、部門間の連携もスムーズになり、重複したアプローチや、チャンスを逃すリスクを減らすことができるでしょう。
関連記事:マーケティングと営業の連携の秘訣とは?メリット・トラブル解決策を解説!
インテントデータの活用シーン
インテントデータが実際にどのようなシーンで活用されているのかを理解することは、活用のイメージを持つ上で非常に重要となります。「インテントセールス」と「インテントマーケティング」の2つの主な活用シーンについて解説します。
インテントセールス
インテントセールスとは、Web上でのユーザーや企業の行動データをもとに「今検討を始めている顧客」を特定した上で絞り込み、最適なタイミングでアプローチを行う手法です。
例えば、ある企業が「営業管理ツール 比較 値段」などの検索を繰り返している場合、その企業の購買意欲が高まっていると判断して、すぐにアプローチを行います。
購買意欲の高い企業に対してタイミングを逃さず接触することで、営業活動の効率を大幅に向上させることができるでしょう。
関連記事:インテントセールスとは?仕組みやおすすめツールを紹介
インテントマーケティング
インテントマーケティングとは、ユーザーや企業がどんなテーマ・キーワードを調べているか把握して、その関心・興味に合わせてコンテンツや接点などを最適化するマーケティング手法のことを指します。
例えば「SEO分析ツール 効果」「MAツール 値段」などの検索や閲覧データを活用して、その関心を持つ層に向けたノウハウ記事やウェビナーを配信するといったことが考えられます。
ユーザーや企業の「興味・関心」に基づいた情報を届けることで、より良い反応を示してくれる可能性が高まります。従来のような一律の配信ではなく「今ユーザーが知りたいテーマに絞った発信」ができることが、インテントマーケティングの特徴です。
関連記事:インテントマーケティングとは?顧客解像度を上げる新しいマーケティング手法
インテントデータの取得・活用におすすめのツール
インテントデータを有効に活用するためには、データを収集して終わりにせず「見える化」から「行動」に繋げる仕組み・体制が欠かせません。
しかし、多くの企業では、データの運用負荷や人材不足などにより、実践まで至らないケースもあります。
データの運用負荷や人材不足といった課題を解決する方法の1つが、DSR(デジタルセールスルーム)の活用です。
DSRとは、営業担当者と顧客が商談を行う際の「資料・メッセージ・タスク」などを1箇所で共有することができるオンラインスペースのことです。
全てデジタル上にまとめることで、コミュニケーションの効率化と行動データの可視化を同時に実現することができます。
具体的には次のようなメリットがあります。
| メリット | 詳細 |
|---|---|
| 顧客の興味・関心を可視化 | どの資料やテーマに反応しているかが分かり、検討の温度感を把握できます。 |
| 最適な営業タイミングの把握 | 資料閲覧直後など「関心が高まった瞬間」に営業フォローが可能です。 |
| ナレッジの蓄積 | どの行動が受注につながったかを分析でき、チーム全体の提案精度が向上します。 |
DSRの中でも、Mazricaが提供する「Mazrica DSR」は、営業と顧客のやり取りを一元化した上で、顧客が「どの資料をいつ、どのくらい」閲覧したかを自動で記録できるため、閲覧データをインテントデータとして活用できます。
以下にMazrica DSRについての資料を無料でご用意しておりますので、ぜひ併せてご覧ください。
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まとめ
インテントデータは、顧客の「今知りたいこと」や「抱えている課題」を行動から読み取ることで、営業・マーケティングの精度を高めるための強力な手段です。
データの種類を理解し、適切に取得・分析・活用することで、新規顧客の開拓やABMの実践、リードスコアリングの改善、ターゲティング精度の向上など、さまざまな成果を生み出せます。
一方で、多くの企業が「データをうまく活かせない」「分析体制が整わない」といった壁に直面しています。
壁を乗り越えるには、データを“集める”だけでなく、行動や判断につなげる仕組みが重要です。
その解決策の一つが、営業活動や顧客とのやり取りを一元化し、行動データを可視化できるDSR(デジタルセールスルーム)です。
Mazrica DSRはデータ活用を商談成果に直結させたい企業にとって最適な、日本初のデジタルセールスルーム(DSR)ツールです。
インテントデータを単なる分析で終わらせず、戦略につなげたい方はMazrica DSRの資料をぜひご覧ください。





















