生成AIを活用するなかで「思ったような回答が得られなかった」という経験がある方も多いのではないでしょうか?

ChatGPTやClaude、Geminiなど、生成AIの活用が急速に広がるなか、成果を最大化するために欠かせないのが「プロンプト力」です。

プロンプト力とは、AIに的確な指示や質問を与えて、欲しいアウトプットを引き出すためのスキルのこと。単にAIに話しかければよいというものではなく、問いの立て方や前提の伝え方ひとつで、AIの応答の質が大きく変わってきます。

本記事では、プロンプト力とは何かという基本から、ありがちな失敗パターン、スキルを高める具体的な方法、そして実践に役立つフレームワークまでを体系的に解説します。

生成AIを業務や学習に本格的に活用したいと考えている方は、ぜひ参考にしてみてください。

プロンプト力とは

生成AIを活用する上で欠かせないのが「プロンプト力」です。

これは、AIに対して適切な指示や質問(プロンプト)を投げかけ、欲しい情報や成果物を引き出すスキルのことを指します。

ただ単に「こうしてほしい」と伝えても、AIは意図を正確に読み取れないことがあります。目的を明確にし、論理的かつ具体的に伝えることが成果につながります。

プロンプト力が高い人ほど、生成AIを自在に扱い、業務の効率化や成果創出につなげることができます。

関連記事:生成AIの活用による営業効率化とは|効率化できる業務とリスクも解説

プロンプト力の構成要素

プロンプト力は、主に2つのスキルで構成されています。

質問力

質問力とは、AIにとって理解しやすく、かつ目的に即した問いを立てる力です。

例えば「マーケティング戦略について教えてください」では質問の抽象度が高く、回答も曖昧になりやすいですが「中小企業向けのSNSを活用した戦略を、成功事例付きで教えてください」とすれば、明確な回答が得られやすくなります。

仮説立案力

仮説立案力は、「こうすれば成果が出るのでは」という仮の答えを立て、プロンプトに反映させる力です。

例として「営業の成果を上げたい」という課題に対して、「インサイドセールスの導入が有効では?」と仮説を立てれば、「その手法を使った改善事例を教えてください」と具体的な指示が可能になります。

プロンプト力向上が重要な理由

生成AIが普及し、さまざまな業務やアイデア創出に活用される中で、「プロンプトの質」が成果を左右する場面が増えています。

プロンプト力の有無によって、AIから得られる情報の正確性や実用性に大きな差が生まれるのです。

プロンプト力の向上の重要性について、2つの観点から解説します。

出力結果を左右するから

AIは人間のように文脈を深く読み取るわけではなく、入力されたプロンプトに忠実に反応します。そのため、問いの立て方次第で出力結果の精度・有用性が大きく変わってしまいます。

極端な例ですが「提案書を作ってください」とだけ伝えるのでは、何の資料を・誰向けに・どのような形式で作ればよいかが不明確なままです。

一方、「営業向けプレゼン資料として、製品の特徴と導入効果を5枚のスライドでまとめてください」といった具体的な指示ができれば、実用的なアウトプットが得られます。

このように、プロンプト力はAIの出力をコントロールする鍵となります。

作業効率に直結するから

質の高いプロンプトを使うことで、AIとのやりとりの回数が減り、無駄な修正や確認の手間を省くことができます。

結果として、作業時間の短縮や業務効率の向上につながります。逆に、曖昧なプロンプトでは何度も再入力が必要となり、手戻りが増えてしまいます。

例えば、社内報用の記事を作成する際に「今月の取り組みをまとめて」と指示しても、具体性が不足していればAIは使えない文章を出力する可能性があります。

そこで、「マーケティングチームが実施したキャンペーンとその成果を含めて、500字程度でまとめてください」と伝えれば、必要な情報が一度で得られる確率が高まります。

プロンプト力の高さは、AIを“効率的なアシスタント”に変えるためのカギとなるのです。

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AIでの失敗のパターン

生成AIを活用する中で「うまく使いこなせていない気がする」と感じた場合、原因の多くはプロンプトの設計に潜んでいます。AIの性能ではなく、使い方に課題があるケースがほとんどなのです。

ここではありがちな失敗パターンを3つ紹介し、どのような点に注意すべきかを解説します。

情報量が不足している

AIは与えられた情報をもとに回答を生成します。そのため、前提条件や目的が不足していると、AIは適切な出力ができません。

先に挙げた例でいえば「提案書を作ってください」とだけ入力しても、何の提案書か、誰向けなのか、どんな構成が望ましいのかが分からず、AIは曖昧な内容を返してしまいます。

こうした失敗を防ぐには、「背景情報」「対象読者」「目的」など、必要な前提を丁寧に伝えることが重要です。

指示が抽象的すぎる

「わかりやすく説明して」「魅力的にまとめて」など、抽象的な表現で指示してしまうのもよくある失敗パターンです。

AIは人間のように行間を読むことはできないため、「どのように」「何をもって魅力的とするか」を明確に伝える必要があります。

例えば「商品の魅力を伝える文章を作って」と依頼する場合、「30代女性向けに、価格の手頃さとデザイン性を強調して」といった具体的な指示を加えることで、より狙い通りの結果が得られやすくなります。

情報を詰め込みすぎる

一方で、情報を詰め込みすぎるのも逆効果になることがあります。複数の要素を1つのプロンプトで一気に伝えようとすると、AIが焦点を定めきれず、回答が散漫になってしまうのです。

よくあるケースとして「この文章を添削しつつ、要約して、さらに改善案も出して」といった欲張りな指示では、どこに注力すべきかAIが判断しにくくなります。

そのような場合は、タスクを分割し、「まずは要約」「次に改善案」とステップごとにプロンプトを設計するのが効果的です。

プロンプト力を向上する方法

プロンプト力は、生まれつきの才能ではなく「改善可能なスキル」です。

AIとの対話を繰り返しながら、意識的に問いの立て方や伝え方を工夫することで、誰でも着実に向上させることができます。

ここでは、プロンプト力を構成する2つのスキルを高める具体的な方法をご紹介します。

質問力を上げる方法

質問力を高めるためには、「相手(AI)が理解しやすい構造で伝える」ことを意識しましょう。ポイントは以下の通りです。

目的を明確にする

例えば、「競合との違いを教えてください」ではなく、「自社商品のAと、競合商品のBとの違いを、価格・機能・導入事例の観点から比較してください」と具体化します。

背景情報を補足する

AIが状況を正しく判断できるよう、「誰向けの内容か」「なぜ知りたいのか」などの文脈を伝えるようにしましょう。

問いを分割する

一度に複数の質問をすると回答が曖昧になるため、「まずは概要を説明して」「次に具体的な事例を出して」と段階的に指示すると効果的です。

このように、質問の粒度や順序を工夫するだけでも、出力の質が大きく向上します。

仮説立案力を高める方法

仮説立案力を高めるには、日頃から「問いを持つ習慣」を持つことが大切です。

ただ情報を得るのではなく、「なぜこうなるのか?」「もし〜だったらどうなるか?」といった視点を持つことで、より思考の幅が広がります。

具体的な実践方法は以下の通りです。

ゴールを明確にする

「何が知りたいか」だけでなく「どのような結果を得たいか」までを明確にしておくと、仮説が立てやすくなります。

事前にストーリーを描く

例えば「社内報の企画を提案する」場面では、「メンバーの取り組みを紹介 → 雰囲気の良さを伝える → 採用広報に活用」という仮の流れを考えてからプロンプトを組み立てると、狙いのある質問ができます。

得られた回答を検証する癖をつける

AIの回答を鵜呑みにせず、「なぜこういう結果になったか?」を考えることで、より精度の高い仮説が立てられるようになります。

場合によっては、AIに対して「この回答にたどり着いた思考プロセス」まで質問すると、質の高い検証ができます。

プロンプトは“聞いて終わり”ではなく、“考えながら試す”もの。仮説と検証のサイクルを回すことが、プロンプト力向上への近道です。

プロンプト作成に役立つフレームワーク

プロンプトの質を高めるには、「どのような構成で答えてほしいか」をAIに明確に伝えることが重要です。

その際に有効なのが、ビジネスコミュニケーションの基本であるPREP法(Point → Reason → Example → Point)です。

PREP法は「結論→理由→具体例→結論の再提示」の順に情報を整理するフレームワークで、わかりやすく説得力のある文章構成を実現できます。

この構成をAIの出力に活かすためには、プロンプトに「PREP法で構成して回答してください」と明示するだけでも効果があります。

プロンプト作成での注意点

プロンプト力を磨くうえで、技術的な工夫と同じくらい大切なのが「姿勢」や「マインドセット」です。生成AIは万能ではなく、使い方次第でその効果は大きく変わります。

ここでは、プロンプト作成時に意識しておきたい2つの注意点をご紹介します。

完璧なアウトプットを求めない

生成AIは便利なツールですが、最初から100点満点の回答を出すわけではありません。

むしろ「たたき台として使う」くらいの心構えでプロンプトを設計し、出力結果を見ながら軌道修正していくのが現実的です。

例えば「1回の入力ですべての情報を引き出そう」と考えて複雑な指示を詰め込むと、逆に回答が散漫になることもあります。

そうではなく、「まずは概要を出してもらい、そこから肉付けしていく」といったように、AIとの“対話”を前提としたプロンプト設計が効果的です。

完璧を求めるよりも、「試して・修正して・仕上げる」というプロセスを前提にすると、より柔軟に活用できます。

継続的に練習する

プロンプト力は一朝一夕で身につくものではなく、日々の業務や調べ物のなかで「ちょっとAIに聞いてみようかな」と思ったときに、意識的にプロンプトを設計して試すことで、自然とスキルが高まっていきます。

「メール文面の下書き作成依頼」「課題に対するアイデアを複数案出してもらう」といった、日常の業務に落とし込む形で触れていることで、AI活用の練習を重ねることができます。

また、プロンプトとその出力結果を記録して振り返ることで、自分なりの「効く型」や「やってはいけない表現」も蓄積されていきます。

これは、PDCAやOODAといったビジネス思考法にも通じるアプローチです。

関連記事:PDCAサイクルとは?業務改善につながる回し方のコツやOODAとの違いを解説

まとめ

生成AIを活用するうえでは、適切な問いを立て、意図を明確に伝えるための「プロンプト力」が欠かせません。

プロンプト力は、質問力や仮説立案力といった思考スキルによって支えられており、ただAIに話しかけるだけでは十分に活用できません。

プロンプトの設計によって、AIから得られる回答の質も精度も大きく変わります。

だからこそ、失敗パターンを知り、PREP法のようなフレームワークを活用しながら、意図の伝わる問いかけを試行錯誤していくことが重要です。

また今後は、こうしたプロンプト設計の先にある「AIエージェント」の時代がやってきます。

人の指示を待つのではなく、自律的に思考し、行動するAIが、営業やマーケティングの現場に本格的に入ってくるでしょう。

次のステップとして、AIエージェントとは何か、その活用方法や導入メリットを知ることで、生成AI活用の幅はさらに広がります。

ぜひ、以下の資料も参考にしてみてください。

投稿者プロフィール

山本和希
山本和希

営業代行企業でIS・FS支援事業に携わった後、スタートアップ企業でインサイドセールス・マーケティングチームの立ち上げを経験。リテール系商材からIT・SaaS商材まで、幅広い領域の営業実績を持つ。その経験から、マス向けのマーケティング観点と現場での営業観点を掛け合わせた戦略立案を得意としている。

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