「自社の業務にもAIを導入してみたい」
「AI導入を検討しているが、システム開発や運用が難しいのでは?」
AI技術が進歩している中で上記のように企業活動にAIを取り入れたいと考えている企業も増加傾向にありますが、自社でAIシステムを企画・開発し、さらに管理や運用していくことは大変そうなイメージがありますよね。
しかしAIの可能性を考慮すると、やはりAI導入に興味がある人も多いのではないでしょうか。
実はAI導入はいきなり大きなシステム導入を行うのではなく、また、近頃はChatGPTを始めとした、新たな生成AIツールが高頻度で生み出され、ビジネスへの活用が感心事項にある方も多いことでしょう。小規模から気軽に行うことも可能です。
今回は、日本のAI活用の実態を踏まえ、ビジネスへのAI導入のポイント、そして手軽にAIが導入できるおすすめツールについて紹介します。ぜひAI導入の参考にしてください。
【おすすめ無料ebook】営業におけるDX(デジタルトランスフォーメーション)成功の秘訣とは?日本企業でも上手くいく方法を解決!
この記事の内容
AI導入の基礎知識
AIとは「Artificial Intelligence(アーティフィシャル・インテリジェンス)」の略で、日本語では「人工知能」と訳されます。端的に説明すると、コンピューターの技術を用いて人間の知的活動を人工的に再現することと表現できます。
AIを活用した製品やサービスは多岐にわたりますが、イメージしやすいものはiPhoneに搭載されている「Siri」やソフトバンクが開発したロボット「Pepper」(通称:ペッパーくん)などが挙げられるでしょう。
AIは大きく分けて「汎用型AI」と「特化型AI」の2種類に分けられます。
さまざまな分野について思考や判断を行い人間と同じように振る舞える汎用型AIに対し、特定の分野でのみ思考・判断ができるのが特化型AIです。お掃除ロボットや自動運転技術などが該当します。
また「強いAI」「弱いAI」と分類されることもあります。強いAIは意志や自我をもつとされており、汎用型AIに対応するものとされています。
AIの代表的な技術としては、たとえば「機械学習」が挙げられます。機械学習とは、データを分析(学習)して導き出した規則性をもとに予測し、学習を再現することです。機械学習をさらに高性能にした「深層学習(ディープラーニング)」も注目されています。
最近では、ChatGPTなどを始めとした、生成AIツールが次々に発表され、AIが常にビジネスの話題の中心に位置しています。
このようにAIは私たちの生活にも浸透しつつあります。もちろん日常生活だけでなく、ビジネス分野でもAIが人間の代わりに作業を行うことが当たり前になってくると予測されています。
実際、生産ラインにAIを導入している工場や、AIがユーザーの質問へ回答するチャットボットなどが活躍しています。
関連記事:AIを活用した経営戦略とツール8選
AI導入のメリット
AIの特徴を踏まえ、AIを導入することで得られるメリットについて見ていきましょう。
大量のデータ処理
まず、大量のデータ処理はAIの得意分野です。
膨大なデータの処理は、人間の手で行うと時間がかかったりミスが発生してしまったりするリスクがあります。
その一方、AIはビッグデータでさえも短時間で簡単に処理してしまいます。
AIを大量のデータを扱う営業現場等に導入することで、データ入力、分析、修正などの工数を大幅に削減することができます。
規則性や傾向を導き出せる
さらに、処理したデータの結果を基にして規則性や傾向を導き出すことも可能です。
そのルールに基づいて作業を反復したり自動化したりすることもできます。
マーケティング現場では、AI搭載ツールによって顧客の閲覧ページや滞在時間などの情報から次の購買行動を予測する、といった活用事例があります。
画像・音声・文章(自然言語)の解析や理解が可能
またAIは、画像や音声、文章(自然言語)の解析や理解なども可能。
たとえば、画像解析の顔認証システム、音声理解のスマートスピーカーなどが該当します。自然言語処理は、文章の翻訳や記事作成などで用いられています。
食品業界などでは、AIの画像認識技術によって食品の検査が自動化でき、人間の目視よりも精度の高い検査ができるようになった事例があります。
コールセンターの電話対応などで活躍するAIは、電話口のユーザーの音声を自動でテキスト化し、AIがリアルタイムで解決策をよくある質問リストなどから検索してオペレーターを助けてくれます。
これらのことから、AI導入によって、「生産性」、「利便性」、「正確性」の向上が図られることがわかります。さらに、人材費等のコスト削減や、労働力不足の解消、顧客満足度の向上といった具体的なメリットが生まれ、売上の拡大に繋がります。
関連記事:自動文字起こしツールおすすめ10選|音声・OCRを活用した営業DXの促進
業務効率化につながる
AIツールを活用することで、様々な場面で業務効率化を図ることもできます。
例えば、リサーチ業務では、過去事例や分析の補助的な役割として利用ができたり、営業業務の場合は、AIを使った受注予測なども可能です。
▶︎▶︎営業業務をAIで効率化!おすすめのツール詳細はこちらから!
AI導入のデメリット
AIは優れた技術ですが、あくまでもロボットのため機械的な思考・判断にとどまります。そのため、AIには不可能なことや苦手なことも少なくありません。
人間の感情や空気までは読めない
AIが不可能なことの代表格が、人間の気持ちを憶測したり空気を読んだりすることです。
たとえば顧客の過去の購入データを分析して、時期や性別などに合わせた商品をおすすめすることはできるでしょう。しかし人間の店員のように顧客一人ひとりの表情や反応を見ながら感情を読み取れないため、その人が本当に求めている商品を提案することは難しいのです。
関連記事:営業不要論は本当か?ーAI時代の営業職の将来性とは
臨機応変な対応が難しい場合がある
つまり、AIは臨機応変な対応も苦手と言えるでしょう。
あらかじめプログラムされていることや自身が学習してルールを見つけたことに対しては、その通りに実行できます。しかしプログラムされていない内容に直面した際、AIは対応ができないのです。
一方、人間は相手や場面に合わせて臨機応変に対応できるため、AIよりも優れている点であると言えます。
0から何かを創造したりアイデアを出すことはできない
またAIは過去のデータをベースにして作業を行うため、0から何かを創造したりアイデアを出したりすることは得意ではありません。そのためクリエイティブな作業は苦手とされています。
しかし過去の絵画のデータを基にAIが描いた絵画が高額で落札されるなど、AIがクリエイティブの領域で活躍しつつあります。
特に画像生成の分野では、Stable DiffusionやMid journeyなどのツールの精度が日に日に成長し、大手企業の広告クリエイティブとして使用されたりもしています。
AI導入の基本的な考え方
AI導入のメリット・デメリットについて解説して来ましたが、実際にどのようにしてAIを活用するか具体的なイメージが湧かない方も多いのではないでしょうか。
現状の技術では業務の一部分をサポートしてくれる存在であり、全てをとって変わるようなものではありません。
そこで、まずは確実に取り組みたい業務上の小さな問題点を解決するためにAIを活用するのがおすすめです。
いきなり大きなテーマに取り組み、結果が出ないとかえってAI導入の流れが停滞するかもしれません。
小さな成功体験から、AIの性質を理解して、徐々に扱う問題点を増やしていくといいでしょう。
AI導入の現状と課題
AIは優れた技術ですが、難しそうなイメージもありなかなか導入に踏み切れないという企業も多いのではないでしょうか。実際、AIを導入したのに失敗してしまった企業も少なくありません。
日本企業のAI導入の実態について紐解いてみましょう。
日本におけるAI導入の課題
日本でもITツールをビジネスに活用する事例が増えてきています。データベースで情報を管理したり、システムで受発注をしたりしている企業も多いことでしょう。
それでは、AI導入の現状はどのようになっているのでしょうか。
実は、日本企業のAI導入率は24.3%。アメリカは35.1%なので、約10ポイントもの差があるのです。
日本企業の導入率が最も高いクラウドサービスの導入率54.2%と比較しても大きな差があり、まだまだAIはビジネス分野で活用しきれていない現状です。
AIの導入で失敗する理由
AIが注目されている一方でなかなかAIのビジネス導入が進まない理由の一つに、AI導入で失敗するケースも少なくないという事実があります。
AI導入で失敗してしまう原因はさまざまですが、主に以下の理由が考えられます。
現場の使いやすさが考えられていない
まず一つ目が、現場の業務を把握せずにAIを導入したことによるミスマッチです。
現場の負担を減らすために高性能のAIシステムを開発しても、実際の業務フローにAIシステムを取り入れるのが難しいことは少なくありません。
結果として、AI活用のために新たに業務プロセスを組み直して現場から反感を買ってしまったり、AIが活用されずに宝の持ち腐れとなってしまったりして、AI導入が失敗してしまうのです。
AI導入の目的が明確でない
また、AI導入の目的を明確にしないまま、AIへの期待値だけで導入するケースも多く見受けられます。AIで実現したいことが不明確なため「あれも、これも」とスコープを広げすぎてしまうのです。
その結果、AIシステムの開発に多大なコストがかかったり、膨大なデータ入力やプログラム登録の手間がかかったりしてしまいます。
複雑なAIであれば、運用のために新たに人材を採用しなければいけないケースもあり、導入後の運用にもコストがかかる場合があります。
また、AIの導入自体が目的になってしまい、その後の運用などについて熟慮されていないケースも目立ちます。AIはあくまでも課題解決のための手段であり、どんな問題解決をしたいのか、目的を持って導入しなければ真価を発揮することはできません。
AI導入に必要な3つの段階と9つのステップ
AI導入に必要なステップは全9ステップあります。
9つのステップを構想、検証、実装・運用の3つの段階に分けて考えることが重要です。
このステップに従って、AI導入プロジェクトを計画・実施し、成功に導くことができます。
1.構想
AI導入プロジェクトの最初の段階で、目的や課題の設定から始まり、必要なデータの確認と初期費用の見積もりを行います。
①AI導入の目的・目標設定
まず、課題を抽出し、AIで解決したい課題を決めます。
②データの確認
まず、手元のデータ整理から始めましょう。今後必要になるデータが分かれば、蓄積方法を考えます。そして、データを継続的に活用・取得する方法を検討します。
③実務での活用イメージ検討
AI予測結果をどの業務に活用し、業務の改善や意思決定にどのように利用するかを検討します。具体的な予測の対象、集計期間、粒度、およびタイミングも検討します。
④初期費用の検討
検証期間と必要最低限の初期費用の見積もりを設定しましょう。
2.検証 (PoC)
Proof of Concept(PoC)とも呼ばれ、AIモデルの構築と検証、業務への適用可否の検討、本番実装計画の策定を含む段階です。
⑤モデル構築・ 検証・ 最適化
AI構築においては、ビジネス理解が重要です。専門家だけでなく、ビジネス担当者も積極的に関与し、仮説を立てる必要があります。精度向上や結果の解釈について積極的な議論を行いましょう。
⑥業務への適用可否検討
現行業務プロセスを整理し、AI予測モデルの組み込み箇所を検討します。そして、AI予測結果の活用方法とネクストアクションを設計します。
⑦本番実装計画の策定
AIモデル導入による価値創出を評価し、導入にかかるコストを計算します。
3.実装・運用
AIモデルの実際の導入と運用に関連し、業務への統合やモデルの定期的なモニタリングと再学習が行われます。
⑧業務への活用・ システム実装
なぜ現在変革やAIを導入する必要があるのか、その理由を現場の関係者に詳細に説明します。現場担当者と協力して、AIモデルを業務システムに組み込む方法を検討します。
⑨AI精度モニタリング・再学習
AIモデルが適切に機能しているかを定期的に評価します。精度の低下や外部環境の変化に対応するために、必要に応じてAIモデルを再学習します。AI運用が安定したら、AIの適用範囲を拡大し、システムとの連携を強化することを目指します。
(出典:「AI導入ガイドブック」|経済産業省)
AI導入時の問題点
AIを活用するメリットは多岐にわたりますが、その導入には一定のハードルも存在します。 具体的には、以下の3点です。
- 効果測定が難しい
- イニシャルコストがかかる
- 専門人材が必要
効果測定が難しい
AIの導入効果を事前に正確に測ることは簡単ではありません。自社の課題との整合性や、導入目的が明確でない場合、具体的な改善ビジョンを描きにくくなります。
この課題を乗り越えるには、まずは導入目的を明確化し、自社事業に精通した外部の専門家と協力することが重要でしょう。
イニシャルコストがかかる
AIシステムの構築には一定の初期投資が必要となります。特に独自の高度なシステムを構築する場合はコストがかさむ可能性があります。
ただし、適切な活用ができれば中長期的には業務コストの削減にもつながります。導入に伴う費用対効果を詳細に検討し、最適な活用範囲を見極める必要があります。
専門人材が必要
AIに精通した人材を社内に確保できていないケースも多々あります。新しい技術を円滑に導入するには、専門知識を有する人材の確保が不可欠です。
社内で対応が困難な場合は、外部の専門コンサルティング企業などと連携することで、課題解決の糸口を掴めるでしょう。
AI導入を成功させる3つのポイント
以上の点を踏まえ、AIを導入する際のポイントを3点紹介します。
1. 導入の明確な目的を持つ
先述の通り「とりあえずAIを導入すればなんとかなるだろう」という期待値だけで導入するのは危険です。AIはあくまでもツールなので、どのような課題を解決するためにどのように活用していくのかは自分たちで考えなければいけません。
自社の課題を洗い出し、その課題を解決するための手段としてAIをどのように活用できるのかを考えたうえで導入しましょう。
2. AIの専門家・コンサルに相談する
AIで解決したい課題があっても、実際にどのように導入して運用しなければいけないのか分からないという企業も多いことでしょう。AIシステムの開発や運用のリソースを持っていない企業はAIに馴染みがないため、なおさらAI導入がハードルの高いものと感じるかもしれません。
そのような場合は、AIの専門家やコンサルタントに相談してみましょう。専門家の知識や経験は、きっと自社のAI導入のヒントになるはずです。
しかし専門家に相談するのは非常にコストもかかるため、予算的に難しい場合もあります。さらに「大きな予算をかけたのに開発や導入がうまくいかなかった…」となったら、元も子もありません。
そのような場合は、導入の簡単なツールからAIを取り入れてみるのも一つの手です。
3. AI搭載のツールから導入を検討する
AIシステムの企画・開発・運用には、専門的なスキルや多大な予算がかかります。
そこで、すでにAIが搭載されているツールを導入してみるのも一案です。
現在、ソフトウェアやクラウドサービスなどさまざまなツールでAIが搭載されたソリューションが流通しています。そのため、自社の課題にマッチするAI搭載ツールもすでに開発されている可能性も少なくありません。
AIシステムを自社で企画・開発するよりも安価に導入でき、運用の際にも専門家の知見は必要ありません。運用定着を支援しているベンダーを選択すれば、スムーズに運用できるでしょう。
関連記事:AIの営業活動への活用例|よくある営業課題への解決方法
AI導入が手軽にできるツール
AIシステムの導入を検討している人におすすめしたい、AI搭載のツールを3製品紹介します。自社の課題や目的に合わせた製品選択の参考にしてください。
Mazrica AI|AIの力で営業・マーケティングを効率化
セールス・マーケティング領域でAIを活用したいと考えている企業には「Mazrica AI」をおすすめします。
Mazrica AIはSFA/CRM・MAに蓄積したデータを元に、セールス・マーケティング領域における生産性向上(売上の向上・コストの削減)を支援するAIソリューションです。
セールス領域で活用可能なAI機能の一つ、「インサイト機能」>では、AIが過去の営業データを分析して各案件の受注確率を予測する機能です。失注原因となりそうな要因リスクも想定できるため、リスクを避けるための対応を先読みして行動できます。
さらに過去の類似案件から、効果が高いと思われるアクションもリコメンドをしてくれます。営業経験が浅い新人であっても、Mazrica AIの提案をもとにして有効な営業アクションを打ち出していけるのです。
▶︎▶︎AIで営業組織の売り上げを向上させる!「MazricaAI」の詳細はこちらから
UiPathプラットフォーム|AIの力で業務を自動化するRPA
「UiPathプラットフォーム」は、特別なスキルがなくてもRPAを開発・運用できるAI搭載ツールです。それぞれの領域のソリューションが提供されており、目的やニーズに合わせてソリューションを組み合わせて導入できます。
UiPathプラットフォームでは自社業務の中で自動化できるものを発見し、その業務に対応するRPAを自社で開発できます。開発にはスキルは必要なく、シンプルな操作と豊富なテンプレートから簡単に作成可能。
RPAの管理や実行もでき、適切に運用できます。AI搭載のソリューションを追加すればさらに高度な自動化もできるため、自社の目的に合わせて運用ができるでしょう。
開発したRPAを他のシステムやデータと連動できる製品もあるため、より効率化を図れます。
AIアナリスト|AIが自動でアクセス解析するマーケティングツール
WEBマーケティング分野で活用できるAIツールは「AIアナリスト」です。自社のWEBサイトの成果が伸びないとお悩みの場合、役に立つツールとなってくれるでしょう。
AIアナリストはWEBサイトのアクセスを解析し、改善ポイントを予測して提案してくれます。施策の進捗管理や効果検証も簡単に行えるため、AIの力で自社のWEBサイトを成長させていけます。
Googleアナリティクスと連携するだけなので、導入も簡単。タグの埋め込みは必要ありません。
https://wacul-ai.com/
終わりに|AI導入で自社の課題を解決しよう
AIは「魔法のツール」ではないので、導入しただけで成果につながるわけではありません。人間がうまく活用し管理していくテクニックが求められます。
ただし、うまく活用できたときの成果は非常に高く、企業の成長にも影響を与えます。
しかし予算や人的リソースでAIシステムの企画や開発が難しい場合もあるでしょう。その場合は、今回紹介したAI搭載ツールの導入から進めるのも一案です。
まずは自社の課題や目的を明確にし、どのようにAIを活用したいのか考えてみてはいかがでしょうか。