新型コロナウイルス感染症の世界的な大流行は、私たちの生活に大きな変化をもたらしました。
特に、ソーシャルディスタンスや3密回避など対人関係の変化を感じている人が多いのではないでしょうか。
▶︎▶︎コミュニケーションや評価が難しくなり、「ジョブ型」の導入が進んでいます
人との関わり方の変化はビジネスシーンにも影響を与え、テレワークという働き方がニュースタンダードになりつつあり、オンライン商談や電子契約などデジタルツールを活用してなるべく直接顔を合わせない工夫が広がっています。
今回は、ビジネスパーソンを対象に行われた調査結果を基に、新型コロナによるビジネスシーンや働き方の変化とこれからの予測を解説します。
本記事を参考に、これからの「withコロナ」時代の働き方を考えてみてください。
この記事の内容
社外(顧客)コミュニケーションの課題と変化
関連記事:テレワークを活用するやり方とは?テレワークの実態と導入成功のポイント紹介
最初に、コロナ・ショックにおいて顧客などの社外の人とのコミュニケーションはどのように変化したかを見てみましょう。
まずは株式会社マンダムの調査結果をご紹介します。
「緊急事態宣言中、職場や学校、外出先などで直接人と対面するコミュニケーション機会は、コロナ禍以前の平常時と比べてどう変化したか」という質問に対し、96.0%もの人が「減った」と回答。
そのうち58.3%が、コミュニケーション機会が6割以上減ったと答えました。 その一方で緊急事態宣言中、家の中でPCやスマートフォン越しに人と対面するコミュニケーション機会は、コロナ禍以前の平常時と比べてどう変化したか」という質問では60.6%の人が「増えた」と回答しており、代わりにオンラインでのコミュニケーションが増えたことが分かりました。
この調査はビジネスシーンだけを対象にしているわけではありませんが、ビジネスシーンに限定した調査でも同様の結果になることが予想できます。
(https://saleszine.jp/news/detail/1769)
次に、当社が2020年4月20日~4月24日に実施した調査結果をご紹介します。
企業の経営者層、営業部門の管理職・マネージャー、営業担当者などを対象に営業活動のリモートワークについての調査を実施しました。
その調査において「新型コロナウイルス対策開始後、商談機会の数は以前と比べてどう変化していますか」という質問をしたところ、84.1%が「減ってきている」と回答。
そのうちの35%がオンライン商談を実施することで対策していると答えました。
商談をオンラインに切り替えている一方で、オンライン化に課題を抱えている組織が多いことも判明。
「リモートワークでの営業活動を行う中で、課題に感じていることは何ですか。」という質問では、なんと44.9%が「オンラインでの商談や社内会議での意思疎通」に課題を抱えていることが分かったのです。
ツールが発達してオンラインでも対面のように商談が展開できるようになってはいるものの、どうしてもタイムラグが生じてしまったり顔色や雰囲気が分かりにくかったりするため、対面と同等のコミュニケーションを実現するのは難しいようです。
(https://mazrica.com/press-release/p200430/)
社内(マネージャーと部下)のコミュニケーションの課題と変化
次に、コロナ・ショックによって社内メンバーとのコミュニケーションはどのように変化したのかを確認してみましょう。
関連記事:部下とのコミュニケーション7つのコツ|成長を加速させる指導術
先ほどの当社・株式会社マツリカの調査結果で「オンラインでの商談や社内会議での意思疎通」に課題を感じている人が44.9%いるということが分かったように、社外だけではなく社内会議などの社内メンバーとのコミュニケーションのシーンでも意思疎通が難しいと感じている人が多いようです。
関連記事:テレワーク営業の不安解消!管理職と現場に4つのポイントを聞いてみた
次点では「案件情報や営業活動の共有・可視化」が課題という組織が39.6%でした。
さらに回答者層別に分析すると、営業担当者層では「案件を進める上で必要な他部署との連携」に課題を感じている人が38.7%とトップ。
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マーケティングやインサイドセールス、カスタマーサクセスや営業事務など、業務を遂行するうえでさまざまな部署と関わる必要がある営業。
しかしオフィスに出社しないため社内メンバーと関わる機会が減ったことにより、仕事を進めることに支障が出てきているようです。
また、人材サービスのアデコが管理者のみを対象に緊急事態宣言下でのテレワークの実態を調査。
本調査では「2019年末までにテレワーク経験がある管理職(以下、テレワーク経験のある管理職)」300人と、「緊急事態宣言後に初めてテレワークを経験した管理職(以下、テレワーク未経験の管理職)」300人の合計600人を対象としており、テレワーク経験者と未経験者で差異があることが分かりました。
部下とのコミュニケーションについて、テレワーク経験者の管理者は67.0%が「十分にコミュニケーションを取れた」と感じているのに対し、未経験者では52.7%という結果になり、コロナ禍で初めてテレワークを導入することになった組織ではマネージャーと部下のコミュニケーションに影響があったようです。
他にも、部下とのコミュニケーションの時間と頻度、コミュニケーションツールについての調査では、以下のような結果が出ました。
【コミュニケーションの時間】
●テレワーク経験のある管理者
・増えた:30.3%
・変わらない:41.3%
・減った:28.3%
●テレワーク未経験の管理者
・増えた:22.7%
・変わらない:35.7%
・減った:41.7%
【コミュニケーションの頻度】
●テレワーク経験のある管理者
・増えた:37.0%
・変わらない:38.0%
・減った:25.0%
●テレワーク未経験の管理者
・増えた:24.3%
・変わらない:37.3%
・減った:38.3%
【コミュニケーションツール】 ※もっとも利用頻度が高かったもの
●テレワーク経験のある管理者
・メール:38.0%
・オンライン会議:28.7%
・チャット:19.3%
・電話:13.7%
・その他:0.3%
●テレワーク未経験の管理者
・メール:49.0%
・オンライン会議:25.0%
・チャット:13.7%
・電話:11.7%
・その他:0.7%
この結果から、テレワーク未経験の管理者はコミュニケーションの時間も頻度も減ってしまった人が多いことが判明。
さらに興味深いのは、テレワーク経験のある管理者のコミュニケーション頻度が増えたという割合は、テレワーク未経験者よりも12.7ポイント高い結果になりました。
テレワーク経験のある管理者は、テレワーク下では対面での仕事よりも部下の状況把握や困りごとなどに気を配る必要があることをそれまでの経験で分かっているため、コミュニケーション頻度を高めて細かく気を配っているのではないかと仮説が立てられます。
また、テレワーク未経験ではメインのコミュニケーション手段がメールですが、テレワーク経験のある人はさまざまなデジタルツールを組み合わせて使っているようです。
このようなコミュニケーションの課題に対しての工夫は、テレワーク経験のある管理者のうち「部会・課会(オンライン)」が最も多く62.3%、「個別面談(オンライン)」が次点で54.7%。
一方のテレワーク未経験では「業務報告(日報)」が最も多く46.0%で、オンラインの会議などに消極的な人が多いことが分かりました。
また「新たに始めたことは何もない」と回答した人の割合は、テレワーク経験者では16.7%だったのに対して未経験者は25.3%だったため、テレワーク未経験ではテレワーク下での工夫に積極的ではないようでした。
(https://saleszine.jp/news/detail/1780)
コロナ禍で明らかになったテレワークの人事評価の難しさ
コロナ禍で始まったテレワーク推進により、組織内でのコミュニケーションに大きな影響が出ていることが判明しましたが、コミュニケーションだけでなく人事評価にも課題が生まれています。
株式会社あしたのチームが従業員数5名以上300名未満の企業に勤める300名を対象に実施した調査によると、テレワークでの仕事ぶりをどのように評価してもらえるか不安を感じたのは半数の50%(「感じた」13.3%、「やや感じた」36.7%)。
年代別で見ると、社歴やキャリアの浅い20代では「感じた」「やや感じた」を合わせて約6割となり、他の年代よりも多いことが分かりました。
また、今後もテレワークを継続する可能性がある場合、「予め設定した目標の達成度」で評価したほしいと回答したのは半数以上の55.2%でした。
テレワーク下では勤務態度を見てもらえないため、成果を基に評価してもらうしかないと感じているのでしょう。
(https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000224.000025661.html)
また、株式会社学情が20代を対象にした調査では、約半数の49.0%がテレワークで「評価」に不安があると回答。
テレワークの際に不安に思うことについては「上司にどう評価されているかが分からない」の回答が42.0%となり、若い世代の多くがテレワーク下での人事評価に不安を感じていました。
テレワークによるコミュニケーション不足よりも評価のされ方に不安を感じている層が多く、成果だけではないポイントでも評価してほしいと感じているようです。
(https://saleszine.jp/news/detail/1773)
テレワークは定着?|今後の働き方予測
コロナ禍でテレワークという働き方が広がりましたが、これは一過性のものなのか、それとも今後のニュースタンダードとなるのか、気になっている人は多いのではないでしょうか。
人材紹介会社エンワールド・ジャパンが、テレワークを実施しているグローバル企業189社を対象に調査を行いました。(調査期間:2020年6月29日~7月2日)
「7月以降もテレワークを継続する予定か」という質問に対し、「全社員を対象に継続」27%、「一部社員を対象に継続」50%という結果になり、約4分の3の企業がテレワークを継続すると回答しました。
外資系企業と日系企業の回答の差異はさほどなく、「全社員を対象に継続」と回答した割合は外資系企業が28%、日系企業が24%でした。
また「いつまでテレワークを継続するのか」という質問では、「半永久的」と回答したのは約半数の48%。
これを外資系と日系で比べてみると、外資系企業の52%が「半永久的」と回答したのに対して日系企業は36%であり、外資系企業のほうがテレワーク継続に積極的であることが判明。
さらに「どの程度の頻度でリモートワークを実施する予定か」という質問には、最も多い42%が「週に2~3日」と回答し、「週5日・全営業日」と回答したのは16%でした。
毎日ではないもののテレワークを続ける予定の企業が多数を占め、今後もテレワークで働く人が増えることが予想されます。
(https://saleszine.jp/news/detail/1681)
テレワーク定着に必要なことと社員へのメリット
同調査では、今後テレワークを定着させるためのヒントも得ることができました。
「テレワークで会社の課題となっているのはどのような点か」という質問に、外資系企業も日系企業も第1位は「社員間のコミュニケーション」。
先述のような社内コミュニケーションの課題がここでも判明しました。
同質問で外資系企業と日系企業でもっともポイント差が大きかったのは「社員の評価体制」で30ポイント差となり、もともと成果主義である外資系企業ではテレワークでも人事評価にさほど問題を感じていないようでした。
この結果からわかるのは、オフィスに出社しないというテレワークは特有の課題があるということ。
その課題を解決することがテレワーク定着のポイントとなるため、企業体制を整備することが必要となります。
つまり、テレワークを定着するポイントは“コミュニケーション手段の整備”と“プロセスよりも結果に比重を置いた人事評価制度の確立”であるといえるでしょう。
また、社員本人がテレワークに抵抗を感じている場合には、テレワークのメリットを理解してもらうことも重要。
「テレワークのどのような点が社員の利点になっていると思うか」という質問に対し、第1位は「通勤時間の削減、満員電車によるストレスの低減」で、特に日系企業は100%がこのように回答していました。
もともと時差出勤などの習慣がなく、通勤ラッシュが日常的な日本ならではのメリットでしょう。
また第2位は「時間をフレックスに使える」68%、第3位は「家族や知人と過ごす時間が増やせる」58%となっているように、これもまた通勤などで時間に縛られている日本の風習ならではのメリット。
ワークライフバランスが謳われている現代では、多くのビジネスパーソンがプライベートを充実させることで仕事のパフォーマンスを上げたいと思っています。
テレワークは、仕事での通勤や時間の縛りなどのストレスをなくしてプライベートを充実させることが期待できるのではないでしょうか。
(https://saleszine.jp/news/detail/1681)
終わりに
withコロナ時代には、さまざまな職種でテレワークが一般的になるでしょう。
もちろん営業職でも同様のことが言え、オンライン商談や電子契約などで顧客などの社外の人とコミュニケーションを取る機会が増えてきます。
テレワークを定着させるためには企業体制や制度を整備することが求められるため、課題に直面するまえに事前に対応策を考えておき、今後の時代に備えましょう。