いわゆる「内勤営業」とも言われるインサイドセールスは、今や企業の営業活動に欠かせない役割となってきました。

電話やメールなどを使った非対面の営業活動やアポイントの獲得のみならず、現在ではオンライン商談ツールなどを活用して実際に顧客へ提案して受注を取るフェーズまでインサイドセールスが受け持っているケースもあります。

少ないリソースで受注に至ることができたり、消費者の購買行動に合わせてスピーディーに対応できたりするインサイドセールスを、社内で立ち上げたいと検討している企業も多いのではないでしょうか。

今回は、インサイドセールス立ち上げの失敗例を参考に、成功させるためのポイントを解説します!

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インサイドセールス立ち上げの拡大

インサイドセールスの拡大

 

電話などのツールを使った非訪問型の営業手法の歴史は古く、1950年代頃から低単価で説明が難しくない商品の販売方法として用いられていたと言われています。

その後、欧米を中心にインサイドセールスは拡大を続けています。

2015年のアメリカ合衆国労働省労働統計局の調査によると、2008年のリーマンショック以降、アメリカのインサイドセールスの市場は急激に発展しているそうです。

また、2017年にInsideSales.comが欧米の企業を対象に実施した調査では、アウトサイドセールスの売上高は52.8%、インサイドセールスの売上高は47.2%であり、インサイドセールスが企業の売上に大きく寄与していることが分かりました。

一方、日本でのインサイドセールスの拡大を見てみると、欧米に比べてはまだ普及率が低いものの、着実に導入企業数は増えています。

2019年のHubSpot Japan調査によると、日本企業のインサイドセールス導入率は11.6%。

そのうち、2009年以降に導入したという企業が80%で、更に2014年以降に導入したという企業は48%という結果になっています。

2019年から本格始動した「働き方改革」に、国内の人材不足、ITの発展などの要素が加わり、今後更に日本国内でもインサイドセールスが広がることが予想されます。

インサイドセールスについては、こちらの記事内で詳しく解説しています。
関連記事:インサイドセールスとは?定義から組織化・有効なツールまで完全網羅

インサイドセールス導入による効果

実際にインサイドセールスを営業活動に導入した企業は、どのような効果を実感しているのでしょうか。

MAツールの販売やマーケティングコンサルティングを行っているMtame株式会社が2019年に実施した調査によると、インサイドセールス導入企業のうち、「商談の回数がとても増えた」と回答したのは43.6%でした。

これは、従来はフィールドセールス担当者が商談・訪問の合間にリードへ連絡してアポイントを獲得していましたが、インサイドセールスを導入することでリードへのアプローチ件数を格段に増やすことができるからでしょう。

また、リードの流れがマーケティング部門→インサイドセールス→フィールドセールスというシステマチックな管理体制になることで、次の部門へ引き継ぐ際のリードの質が担保され、確度の高いリードとの商談が可能になります。

つまり、インサイドセールスの導入により、受注率の向上も期待できるのです。

更に、業務を分担することで、インサイドセールスはインサイドセールスの仕事に専念でき、フィールドセールスはフィールドセールスの仕事に専念できるため、今までは70%のリソースしかかけられなかった業務にも100%のリソースをかけられるというメリットもあります。

インサイドセールス立ち上げ・構築の問題点

インサイドセールス立ち上げの問題点

 

先ほどと同様のMtame株式会社による調査では、インサイドセールス導入企業が感じた立ち上げの際の課題の上位は下記のようになりました。

  • 1位:インサイドセールス人材の確保、教育
  • 同率2位:インサイドセールス経験者がいない
  • 同率2位:どのように始めたらいいかわからない

上位3つのうち、2つが「人材」に関わる課題だったのです。

実際に非対面型であるインサイドセールスはフィールドセールスとは違うスキルやナレッジが必要となるため、適切に教育をしていかなければいけません。
ツールを活用する場合は、ITリテラシーの有無や分析が得意/不得意かも加味して人材を配置する必要もあります。

また、ほとんどの日本企業では「インサイドセールスが商談を獲得して、フィールドセールスが実際に商談をして受注を取る」という営業プロセスを構築するため、インサイドセールス担当者が「売上に直結しない仕事をしている」と思ってモチベーションが下がってしまうことも。

このように、人材の適切なトレーニングとコーチングは、インサイドセールス立ち上げにあたって大きな課題になっています。

また、そもそも最初の段階で自社について詳しく分析してからでなければ、インサイドセールスを導入しても効果を感じられません。

自社の商材の特徴や現在の営業プロセスをきちんと分析し、どの業務をインサイドセールスが担当するのか、そしてどのように部署間を連携させるのかという全体像を構築しましょう。

これに伴い「インサイドセールスのKPIをどのように設定するか」ということも問題となります。

KPIを「商談の獲得数」に設定してしまうと商談の質が悪くなってしまい、フィールドセールスが訪問しても無駄足に終わってしまうことにもなりかねません。
そのため、獲得数だけでなく、クロージング率や受注金額などにもKPIを設定することで、インサイドセールスが責任を持って確度の高いリードを獲得するようになります。

インサイドセールスのKPI設定については、こちらの記事で詳しく解説しています。
関連記事:インサイドセールス(SDR)のKPI|目標設定と管理のポイントとは?

インサイドセールスのタイプとそれぞれの失敗事例

インサイドセールスは大きく分類して3つのタイプに分けることができます。

  1. アポイント獲得型:リードを創出・育成して初回アポイントにつなげる
  2. クロージング型:フィールドセールスとは分離し、インサイドセールスがクロージングまで行う
  3. 既存アップセル型:既存顧客への受注後のフォローアップやヒアリングを実行し、アップセル・クロスセルにつなげたり契約解除を防いだりする

これらのタイプ別の失敗例を確認してみましょう。

【アポイント獲得型の失敗例①】

今まで営業担当者がリード創出からクロージングまで行っていたが、負荷が大きいためリード創出とアポイント獲得を担当するためにインサイドセールスを導入。
ところが、引き継ぐ際の情報共有の方法を構築しないまま見切り発車してしまったことで、現場が混乱してしまった。

【アポイント獲得型の失敗例②】

インサイドセールスからの事前情報では確度はまずまずとのことで、フィールドセールスが初回商談に訪問。

しかし、リードの関心が低いような気がして詳しい話を聞いてみると、インサイドセールスから「まずはお話だけでも聞いてください」と強引にアポイントを入れられたとのこと。

インサイドセールスのKPIが「アポイント獲得数」のために起こった失敗であった。

【アポイント獲得型の失敗例③】

インサイドセールスは主に電話でリードへアプローチする営業戦略だったが、なかなか商談数が増えなかった。

電話の内容を分析してみると、セールストークばかりのトークスクリプトだったため、リードは不信感を招いてしまいアポイントに結び付いていなかった。

【クロージング型の失敗例】

大企業などの大型の契約はフィールドセールスが商談から成約までを担当し、単価が低い案件はインサイドセールスがオンライン商談などを活用して成約までを担当するという分業体制にしていた。

インサイドセールス担当者一人ひとりにも数値目標を課したために、インサイドセールスとフィールドセールスの間で対抗心が生まれてしまい、フィールドセールスに引き継ぐべき案件もインサイドセールスで処理してしまうようになった。

【顧客アップセル型の失敗例】

新商品の発売に合わせて既存顧客全員へ電話でアプローチしていたが、なかなか購入に結び付かなかった。

購入履歴を分析してみると、高価格帯の商品を購入していた顧客と低価格帯の商品を購入していた顧客に分けることができたが、それぞれのセグメントに合わせた商品提案をできていなかったために受注されなかったとわかった。

関連記事:アップセルとは?クロスセルとの違い・具体事例を解説

インサイドセールス立ち上げ・設計で失敗しないための4つのポイント

インサイドセールス立ち上げで意識すべきこと

インサイドセールスの業務設計を行い、立ち上げる際に成功のための注意すべきポイントを確認してみましょう。

インサイドセールス立ち上げのポイントは以下の通りです。

  • 運用のルール化
  • KPIの設定
  • 適したツールの選定
  • SFA(営業支援システム)選定のポイントと活用例

1.運用のルール化

まずは、インサイドセールスをどのように運用していくのかというルールを決めることで、スムーズな定着に繋がります。

例えば「インサイドセールスがどの営業プロセスを担当するか」「具体的にどのような業務を担当するか」といったルールを明確にします。

また、インサイドセールスはリードの確度でランク付けを行い、優先度が高いリードと低いリードでアプローチ方法を変更したりするなどの詳細な運用方法も決めたほうがいいでしょう。

まずは自社の営業スタイルや商材の特徴を分析し、インサイドセールスの運用ルールを決めてくださいね。

2.KPIの設定

インサイドセールス立ち上げの際には、事前にKPIも設定しておきましょう。

失敗例でも見たように「アポイント獲得数」にKPIを置いていると、見込みの薄い商談ばかりが増えてしまうことにもなりかねません。

インサイドセールスがうまくいっている組織では、インサイドセールスのKPIを最終的な受注金額やクロージング率にしていることも少なくありません。

インサイドセールス担当者が責任を持って確度の高い商談を生み出すために、KPIは商談数だけでなく、売上目標から逆算するようにしましょう。

KPIについては、こちらの記事で詳しく解説しています。
関連記事:KPIとは?営業のKPI設定方法とKGIとの違いを簡単に解説

3.適したツールの選定

インサイドセールスを導入する場合、マーケティングやフィールドセールスとの部門間連携は欠かせません。

つまり、部門間でのスムーズな情報共有の基盤ができていなければいけないのです。

そのため、顧客情報やアプローチ履歴などを一元管理できるSFA、CRM、MAツールなど、運用に適したシステムを導入しなければ失敗してしまうでしょう。

他にも、通話内容の録音や架電業務の効率化ができるクラウド型電話システム、ビデオ通話や画面での資料共有ができるオンライン商談ツール(WEB会議システム)など、インサイドセールスと親和性の高いいろいろなツールを検討してみましょう。

インサイドセールスを機能させるツールについては、こちらの記事内で詳しく解説しています。
関連記事:インサイドセールス徹底解説|定義~組織化・有効なツールまで完全網羅

4.SFA(営業支援システム)選定のポイントと活用例

営業組織にインサイドセールスとフィールドセールスを配置する場合、営業部署全体で共通のツールを活用したほうがスムーズです。
そこでおすすめなのが、営業支援システム=SFA。

関連記事:SFAとは?CRM・MAとの違いは?意味・役割・主な機能を徹底解説

リードの基本情報や、どのチャネルから流入してきたのか、インサイドセールスがどのような営業活動をしたのか、そしてどのような反応だったのかという情報を蓄積しておくことができるため、フィールドセールスは商談時に必要な情報を充分に得ることができます。

また、フィールドセールスが商談から受注までの行動履歴も蓄積しておけるため、インサイドセールスは自身が創出した商談の動きを追いかけることができ、フィールドセールスが逐一フィードバックする手間や時間を省くことも可能です。

これらの情報を蓄積しておくことで「インサイドセールスがどのようなアプローチ方法をしたら最終的な受注に結び付くのか」「インサイドセールス担当者によって成果に差はないのか」などの分析にも役立てることができ、数値で成果を把握したりPDCAを回したりすることもできるようになります。

SFA導入をお考えの方は、こちらもご覧ください。
BtoB向けおすすめ営業支援ツール(SFA)10選!企業タイプ別の活用事例

終わりに|事例を参考にインサイドセールス立ち上げを成功させよう

インサイドセールス立ち上げの際には、今回ご紹介した失敗事例や成功のポイントを参考に、事前に準備をしてから立ち上げましょう。

大前提としてインサイドセールスは他の部署との情報共有や連携が欠かせないため、ツールの導入などの情報共有基盤の整備を検討し、スムーズな運用につなげてくださいね。

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