KPIの設定が重要だと耳にするものの、具体的な意味や効果を十分に理解していない方も多いのではないでしょうか。
KPI(Key Performance Indicator:重要業績評価指標)は、営業成績の可視化や成果の向上を図るうえで欠かせない指標です。
この記事では、KPIの基本的な定義に加え、営業活動で成果を最大化するための設定方法を解説します。
営業成績を伸ばしたい、効率的に営業したいという人はぜひ参考にしてください。
この記事の内容
営業におけるKPIとは?
KPIとは、「Key Performance Indicator(重要業績評価指標)」の略称で、設定した目標の達成度を測定するための指標です。
営業活動の進捗を数値化し、「どの業務を、どの程度達成すれば目標達成に近づくのか」を判断するために活用されます。
例えば、法人営業では「新規見込み客100社に対して電話営業を行う」などの具体的なKPIを設定することで、日々の業務進捗が可視化されます。
このように、KPIを用いることで業務の進行状況を把握しやすくなり、結果として売上目標の達成確率を高められます。
また、KPIの導入は、曖昧な指示から具体的な行動指標への転換にも効果的です。「売上を向上させよう」などの抽象的な指示ではなく、「売上向上のために〇〇件の新規アプローチを実施する」のように、注力すべき行動が明確になります。
KPIの活用により、営業担当者は優先すべきタスクを判断しやすくなり、業務の効率化やパフォーマンス向上につながるでしょう。
▶︎▶︎営業のKPI達成に必要不可欠な営業データ活用法を基本から応用まで
KPIとKGIの違い
KGI(Key Goal Indicator)は、「重要目標達成指標」の略称であり、ビジネスにおいて最終的に達成したい目標を指します。 一方で、KPI(Key Performance Indicator)は、KGIを達成するための中間指標であり、各プロセスの達成度を測定するために用いられます。
KPIは、営業担当者の行動レベルで管理される具体的な数値目標(例:「月に100件の新規顧客へのアプローチ」)を指し、KGIは企業全体の最終的な成果(例:「年間売上10億円達成」)を示します。
各KPIの達成が積み重なることで、最終的にKGIの達成につながると理解しておくとよいでしょう。
KPIとKFS(CSF)の違い
KFS(Key Factor for Success)は、CSF(Critical Success Factor)とも呼ばれ、「重要成功要因」を意味します。 KPIやKGIと異なり、KFSは目標達成のために必要な「要因」を示す概念であり、特定の数値指標ではありません。
例えば、営業成績向上のためのKFSとして「効果的なトレーニングの実施」「顧客データの正確な管理」などが挙げられます。これらの要因が整っている場合、KPIの達成が促進され、結果としてKGIの実現につながります。
KGI、KFS、KPIの関係性
KPI、KGI、KSFのそれぞれの関係性は下記のようになります。
- KGI(重要目標達成指標):組織の最終的な目標(例:「年間売上10億円」)↓
- KFS(重要成功要因):目標達成に必要な要因(例:「営業トレーニングの実施」「顧客データの管理」)↓
- KPI(重要業績評価指標):目標達成までの行動指標(例:「月100件の新規アプローチ」)
営業のKPIを設定するメリット
KPIとは目標を達成するための指標です。それでは、営業活動でKPIを設定することのメリットは何でしょうか。
目標の明確化
KPIを設定することで、営業チームや個々の営業担当者に明確な目標が与えられます。
これにより、何を達成する必要があるかが明確になり、業績向上に向けた努力が集中しやすくなるのです。
また、KPI達成による達成感やインセンティブ獲得が営業担当者のモチベーション向上の要因にもなります。
評価基準の設定
KPIは業績を測るための基準となります。営業活動の成果を定量的に評価し、目標達成度を把握することができます。
これにより、チームや個人の強み・改善点を明確にできます。
改善の促進
KPIは定期的に評価されるため、業績が目標に達していない場合や改善の余地がある場合には、問題点を特定し、改善策を導入するきっかけとなります。
これにより、営業プロセスや戦略の効率性が向上します。
関連記事:業績改善・業績向上とは?強い営業組織を作るための4つの条件と成功のポイント
営業戦略の調整
KPIの分析により、営業戦略やアプローチの効果を評価し、必要に応じて調整することができます。
市場の変化や競合状況に適応するためには、柔軟性を持った戦略が求められます。
営業のKPIを設定する上での注意点
KPI設定方法の解説の前に、KPIを設定するうえでの注意点を説明します。
設定するべきKPIは組織によって異なる
営業のKPIを設定するにしても、組織によって設定するべきKPIは異なることを意識する必要があります。
例えば、不動産営業と健康食品の営業では、業界が違うため、設定した方が良いKPIは自ずと異なります。
さらに、同じ不動産営業でも会社によって業務形態が異なるので、設定するべきKPIは異なります。
具体例として、インサイドセールスのKPI設定方法をこちらの記事内にまとめています。
関連記事:インサイドセールス(SDR)のKPI|目標設定と管理のポイントとは?
成果を見越したKPIを設定する
例えば、「営業のKPI訪問件数を設定すればいいんじゃないの?」と思っている人もいるかもしれませんが、訪問件数だけ設定しても効果は薄いです。
なぜなら、訪問件数を100件と設定しても、「100件訪問したけど、成約はありませんでした」という事態にもなるからです。
あくまでも目標からKPIを算出し、設定することが大切です。
それでは、ここからKPIの設定方法について細かく解説していきます。
▶︎▶︎KPIの設定から測定まで成功させるための更に詳しいコツはこちらから
営業のKPIの設定方法
それでは、ここからKPIの設定方法について詳しく解説します。
KGI(重要目標達成指標)を設定する
KPIを設定する前にKGI(Key Goal Indicator)を設定しましょう。
中間目標であるKPIを設定するには、先に、最終目的であるKGIを設定して方向性を明確にする必要があります。
関連記事:KGIとは?ーKPI・OKRとの違いをまとめて解説
SMARTの法則を意識する
KGIを設定したら、いよいよKPIの設定をします。
kintoneKPIを設定する際は、「SMARTの法則」を意識すると効果的なKPI設定に役立ちます。
kintoneSMARTの法則とは、KPIが満たすべき5つの観点の頭文字をとったフレームワークです。
- kintoneSpecific:「具体的な」
- kintoneMeasurable:「計測可能な」
- kintoneAchievable:「達成可能な」
- kintoneRelevant:「関連する」
- kintoneTime-bound:「期限が明確な」
これら5つの観点をふまえてKPI設定をし、KGI達成までの精度を高めましょう。
数値化できるものを洗い出す
SMARTの法則の「M:Measurable」と関連しますが、KPIを設定するためには、まず自社の営業活動の中で数値化できるものを洗い出すことから始めましょう。
具体的には以下のようにいろいろと出てくると思います。
- アポイントの件数
- 訪問した件数
- 資料請求の数
- 成約率
- 代金回収率
- 顧客単価
- 解約件数
- Payback Period
- クレーム数
上記のようなKPIを見える化するためのツールとしてはSFAがあります。
なお、「営業パーソンのやる気」のような概念は、確かに営業活動に対して大きく影響しますが、数値化できないので、KPIにはなり得ません。
KPIは営業パーソンが動かせるものを設定する
KPIを設定する際は、営業パーソンが動かせる数字を設定しましょう。
例えば、訪問件数や成約率は営業パーソンが動かせる数字ですが、商品の利益率は動かせない数字となります。
KPIの数は絞る
「KPIを設定しよう」と思い張り切って複数のKPIを設定してしまうと、営業パーソンは混乱してしまいます。
そのため、設定するKPIの数は必要最低限にとどめましょう。
測定の期間を決めて測定し適宜見直す
KPIを設定したら、1ヶ月や2ヶ月という期間を決めて、測定しましょう。
そして、設定したKPIが適切かどうかを定期的に見直しましょう。
▶▶KPIを毎期達成し続けるための営業改革とは?【営業組織の到達度診断シート】
営業で実際に使えるKPIの具体例
それでは、実際に使える営業のKPIについてお伝えします。
それは以下の5つです。
- 成約が見込める営業機会数(訪問件数)
- 見込み客の成約率(コンバージョン率)
- 営業案件数
- 顧客単価
- 受注期間(リードタイム)
それぞれ順番に解説しています。
営業のKPI例①成約が見込める営業機会数(訪問件数)
当然のことながら、営業成績を上げるためには、営業機会が必要です。
外回りの営業なら訪問件数とも言えます。
それもただ営業機会ではなく、成約が見込める営業機会です。
例えば、投資用のマンションの営業の場合、不動産投資に関心のある富裕層への営業機会なら成約が見込める営業機会と言えます。
逆に、収入のない学生にしても成約する可能性はかなり低いので、成約が見込める営業機会とは言えません。
以下はクラウド営業支援ツールMazrica Salesの営業行動のレポートイメージです。
▶︎▶︎ 営業行動、KPI管理が驚くほど簡単にできるSFA/CRM『Mazrica Sales』の豊富な機能を紹介!
営業のKPI例②見込み客の成約率(コンバージョン率)
営業においてKPIにしておくと良いのは、見込み客の成約率(コンバージョン率)です。
例えば、訪問件数が100件の営業パーソンがいたとしても、成約率が1%なら成約するのはわずか1件のみです。
その点、成約率が50%の営業パーソンなら10件の訪問件数で5件の成約を獲得できます。
見込み客の成約率(コンバージョン率)は以下の式で出すことができます。
見込み客の成約率(コンバージョン率)=成約件数÷営業件数
関連記事:受注率を上げるには?受注率向上のための5つの方法とツールを紹介!
営業のKPI例③営業案件数
KPIとして意外と見直しやすいのは、各営業パーソンが現在抱えている営業案件数です。
営業案件数が少ないと営業パーソンの時間が有効活用できません
しかし、多すぎると営業案件ごとの対応が雑になりやすくなります。
ゆえに、営業パーソンが抱えている営業件数をKPIにすることも有効です。
案件管理にはSFAの導入が非常におすすめです。現場メンバーが扱いやすいUIで、直感的に日々の行動や案件情報を入力出来ます。
案件数の管理はもちろん、しばらくアプローチできていない案件は自動で色が変わる機能もあり、営業機会の損失を防ぐことが出来ます。
Mazrica Salesの画面では、何もアクションしていない案件は白、しばらくアプローチできていないものは「青⇒黄色⇒赤」というように変わっていき、一目でわかるようになっています!
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営業のKPI例④顧客単価
顧客単価もKPIに設定するのも有効です。
顧客単価が上がれば、顧客数が同じでも売上は上がるからです。
売上に関して言えば、粗利1万円の商品を10人に売るよりも粗利が50万円の商品を1人に販売した方が売上は40万円も大きくなります。
▶▶KPIを毎期達成し続けるための営業改革とは?【営業組織の到達度診断シート】
営業のKPI例⑤受注期間(リードタイム)
営業をかけてから契約を受注する前までの期間も数値化できるので、受注期間をKPIにしても良いです。
例えば、契約まで2ヶ月かかっていたところを1ヶ月で受注できるようにすれば、単純計算で倍の営業活動ができるようになり、売上UPに繋がります。
関連記事:営業のリードタイムとは?リードタイム管理の重要性と短縮方法を解説
営業のKPIのマネジメント方法
KPIは設定して終わりではなく、継続的に管理し、目標達成までの進捗を把握することが重要です。
目標を達成するためには、設定後の進行状況を確認し、必要に応じて調整を行う「KPIマネジメント」が欠かせません。
ビジネスの現場では、計画通りに全てが順調に進むことは稀です。
そのため、KPIの達成度を定期的にモニタリングし、成果が見込めない場合には改善策を講じる必要があります。
関連記事:KPIマネジメントとは?目標達成のための5ステップと事例3選を解説
KPIマネジメントの3つのステップ
KPIマネジメントの方法を3つのステップで簡単に紹介します。
- 進捗の可視化
専用のツールやSFAのダッシュボード機能を活用し、進捗データをリアルタイムで可視化します。 - 定期的な評価と見直し
週次や月次で進捗を確認し、計画との乖離が生じた場合には、原因を特定して修正を行います。 - 改善施策の実行
目標未達の場合、営業プロセスの見直しや追加トレーニングなど、具体的な対策を講じて改善を図ります。
効果的なKPIマネジメントにより、営業活動の精度が高まり、目標達成率の向上につながります.
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終わりに:営業の“正しいKPIマネジメント” について知ろう
KPIの設定は、営業成績向上のスタート地点にすぎません。効果的に成果を出すためには、KPIを設定した後に継続的な測定と改善を繰り返す必要があります。
一度設定したら終わりではなく、観測と見直しを繰り返し、PDCAサイクルを継続的に回していくことが重要です。
以下の資料では、KPI設定から運用、改善までの具体的手順を詳しく解説しています。
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