今日は「最新の営業トレンド2019 セールスチーム進化の最前線」というテーマをお伝えしていきます。海外のセールスチームの大きなトレンドとしては、マーケティング部門と営業部門の融合とSFA/CRM/MAなどのテクノロジーの活用の大きく2点が見てとれます。
欧米のセールスチームと日本のセールスチームには企業文化の差があるとはいえ、取り入れ学ぶことができる考え方も多いのではないでしょうか。
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この記事の内容
ミレニアル(ジェネレーションZ)世代への営業
ミレニアル世代とはインターネットが普及した環境で育った世代(1980年代ごろ〜1995年ごろ)を指す言葉です。ミレニアル世代の年上の層は今30代半ばとなっており、職場において決裁権を持つようになっています。Google社の調査によるとB2Bにおいて現在半数以上の顧客はミレニアル世代だそうです。
これが示すのは「ビジネスにおいて今まで通用してきた手段ややり方はもはや通用しない」ということです。なぜならこの世代では幼少期よりインターネットと親しんできたからです。
また、ここ数年ミレニアル世代(1981-1995生まれ)同様にジェネレーションZ(1996-2012)が大きな購買力を発揮するようになり、多くの営業やマーケターの注目を集めています。彼らはおよそ29億ドル〜1430億ドルの購買活動を行なっていると言われており、2020年までに最大の消費者になるという統計も出ています。彼らは生まれたときからソーシャルメディア、スマートフォン、ネットショッピングなどとふれあっている、いわゆるデジタルネイティブです。さらに、他の世代よりも社会問題、特に環境問題について大きな関心をもつという特徴を持っています。そのため、営業には彼らの趣向に合わせた販売手法を考えることが求められています。
例えば、Facebook、Instgram、Twitterマーケティング、インフルエンサーの起用などが重視されるようになったのはこの流れに位置付けられます。また、ミレニアル世代は意思決定を行う判断材料としてオンラインの情報を重視していることから、多くのBtoB企業はその意思決定を助ける手段としてオウンドメディアをはじめました。
オムニチャネルマーケティング
今急速に購買力を獲得しているジェネレーションZですが、彼らが望んでいるのは「全てのビジネスチャネルをまたいだ購買活動」です。これを「オムニチャネルマーケティング」と言います。 Z世代は購買活動の前に長い時間をオンライン上での製品やサービスのリサーチに費やすという特徴を持っています。そのため彼らには、チャネル(購買経路:ECサイト、実店舗など)からチャネルにシームレス(継ぎ目なく)に移っていける販売手法が向いているのです。
実はこのオムニチャネルマーケティングというトレンドは営業に大きな影響を与えています。チャネル間の連携が求められた結果、長い間別々に活動することが多かった、リアルを担う営業部門と、オンラインを担うマーケティング部門も緊密に連携を取ることが求められるようになったのです。
これはマーケから営業に時々リードを送るといった表面的な協力を指しているのではなく、もっと両者の境界線がなくなった緊密な関係性をさしています。
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それでは、セールスにおいてオムニチャネルを組み込み、活かすために何をすれば良いのでしょうか?例えば、以下の3点が挙げられます。
・ユーザーが使っているプラットフォームとチャネルを特定し、活用する
・顧客が使っているチャネルとプラットフォーム間をシームレスに移動する
・ソーシャルメディアを実店舗に組み込む
オムニチャネルとマルチチャネルの違いは?
オムニチャネルとよく似た言葉でマルチチャネルというものがあります。その両者の違いは「チャネル同士の連携があるか」という点にあります。
・「マルチチャネル」→一つの企業が実店舗やECサイトなどあらゆるチャネルをもっている状態を指す言葉です。このとき、それぞれのチャネルは独立していてチャネルをまたいでの購買活動を行うことはできません。チャネルの例としてはスマホアプリ、メールマガジン発行、SNS公式アカウントなどがあります。
・「オムニチャネル」→あらゆるメディアで顧客との接点を作り、購買の経路を意識させない販売戦略をさします。実店舗とECサイトの情報管理システムを統一することで顧客フォローをし、顧客損失を防ぐなどの取り組みがなされています。
ここではチャネル間の連携がキーワードになり「実店舗で商品チェックをし、ネットで自分の欲しい色やサイズを選んで注文、それが自宅にすぐ届く」といった連携や、「SNSの口コミで気になった商品を1クリックで購入でき、近くのコンビニで受け取れる」といったことが求められています。
また、オムニチャネルが広まっていった背景としては、「実店舗のショールーム化」という顧客の購買行動の変化が挙げられます。ネット通販が普及したことで、実店舗で商品を選んで、試着もするが、購入はネットでするというケースが増えたのです。
パーソナルアプローチ
パーソナルアプローチはソーシャルメディアなどのテクノロジーを用いることで最適化された営業を行う手段のことです。そのためには、顧客個人の人格と行動を理解することで信頼関係を構築することが大切になってきます。
WTREの調査によると実に66%の購買担当者がその会社とオンラインもしくはセミナー、商品説明会などで3〜7回の接点を持ってはじめてその営業と接触したいと思うそうです。そのため、営業パーソンは信頼関係を構築し、付加価値を与えられるようなインパクトのある営業トークが求められます。また、営業は購買担当者とそもそもどこで接点をもったのか、その接触は営業につながるような良質なものであるのかといったことを見直すことが必要になってきます。成功につながった案件を分析することで、いつが接触を図る最適なタイミングかわかるのです。
また、このような手法を営業に導入するにはSFA/CRMやMA(マーケティングオートメーションツール)を使いこなしていくことが必要です。
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ツールを用いることで特定の情報を引き出し、個人にあったアプローチをしていくことが可能になるのです。パーソナルアプローチの具体例としては以下のようなものがあります。
・one to oneメール
メルマガやセミナー案内メールを送る際、差出人のメールアドレスと名前を差出人の名前にすることで、個人的に送られてきたメールに見せかけることで、メール開封率アップを狙う手法。
例)メルマガ事務所(info@mazrica.com)→マツリカ株式会社 松山 梨花(matsuyama@mazeica.com)
・SNSでの関係構築
欧米では日本に比べ、SNSでのビジネスの議論、意見交換が盛んなためよくとられる手法。顧客がよく閲覧するブログサイト、Facebook、Twitterなどで有益な情報を流したり、その業界の人間としてトレンド、具体的解決策を示すことで関係構築をしていきます。ここで信頼関係を構築できると、商品の営業が「営業」ではなく「信頼できる友人の口コミ」になるため導入がスムーズにいったり、丁寧な商品フィードバックが得やすいなどのメリットがります。
AIを活用した営業活動
現在AI、機械学習、ディープラーニングを営業に活用しようとする動きも盛んになっています。
例えば以下の3点です。
・データ分析をセールス戦略に活かす
・データに基づくおすすめ機能により、適切なフォロー、適切な担当へのつなぎが実現し、作用時間が短縮される。最近では過去の案件との類似点を見つけてレコメンドを行うSFAもでてきたそうです。
・データ分析による未来予測
他にも、実に営業の40%以上が最もつらい仕事であると述べているテレアポをボット化する製品も商品化されたそうです。ドリフト社の「ボットマーケティングプラットフォーム」などがその製品にあたります。
アカウントベースドセールス
従来のマーケティング手法や販売手法は多くのコンテンツを、多くの顧客に届けるということに主眼が置かれていたのに対して、アカウントベースドセールスは「予算や人員を特定の顧客に絞ってアプローチする」ことに主眼が置かれた手法です。
一般的には、対象市場が広く見込み顧客がたくさん存在するため、それを優良顧客に絞る必要がある業界にこの手法が向いていると言われています。他にも、商材の購入に関与する関係者が複数いる場合に適した手法として注目されていました。購入に関わる人数が増えると、購入率や成約率が減っていくことから、企業単位でいかに早く商品購入の意思決定者を見つけ出し、集中的にアプローチしていくかなど効率よく営業活動を行っていくかが大切となってきたのです。
この企業単位での営業活動とも言い換えられるアカウントベースドセールスについてCRMを販売しているHubspot社のチャネルアカウントマネージャーであるKeith Grehanはこう述べています。「ターゲットとすべき業種を特定したら、あとは意思決定者を特定し(①)、彼らをペルソナに対応付けて、非常に関連の高いコンテンツを提供したり、リターゲティング広告でプロモーションする必要がある(②)」
①→一つの商材を販売するのに、様々な立場にいる社員5.4人が購買決定に関与しています。これは、販売過程をより複雑にし、企業にとってはマーケティングチームと営業チームの連携が必要となってきていることを示していきます。
②→「関連の高いコンテンツ」とは自分の業界に向けられたコンテンツや自分の職種に向けられたコンテンツを指します。MarketingSherpaによれば、82%の見込み客が、自分の業界向けに特別に作られたコンテンツを高く評価し、さらに67%が、自分の職務向けに特別に作られたコンテンツを高く評価しているそうです。また、今日最新のCRMツールを使うと自分の会社に興味を抱いている企業をすばやく簡単に見つけることができます。それをウェブ上での行動データ履歴と組み合わせることでパーソナライズされた営業が可能になるのです。
つまり、アカウントベースドセールスの考え方においては、マーケと営業が協力して企業に刺さるコンテンツを目当ての顧客に届けること、接点を持ったあとは迅速に商品購入の意思決定者を見極め、迅速にアプローチしていくることが大切になってきます。
さらに詳しく、アカウントベースドセールスについて知りたい方はこの記事も参考にしてみてください。
セールスイネーブルメントへの取り組み
セールスイネイブルメントは「研修、営業管理、営業戦術などを分断せず一貫して設計することで、それぞれがどれだけ成果につながっているか数値化し、それをもとに効率化を図る方法」と定義されており、ここ数年で成長が見られる販売促進戦略です。
セールスイネーブルメント達成のためには以下の4点を意識するとよいでしょう。
・明確な目的と目的達成へのとるべきステップが明示されている戦略の策定
・営業が自分のスキルを伸ばし、仕事で上達することへの支援
・新しい営業が、仕事に馴染みやすくする方法
・販売促進プロセスと営業個人を助ける新技術への注力
このトレンドに乗るためには、新人営業を早期戦力化するためのコーチングなど、販売促進戦略を練り上げる必要があります。
詳しくはこの記事を参考にしてみてください。
https://product-senses.mazrica.com/senseslab/business-efficiency/sales-enablement
セールスイネーブルメントでは営業の一貫設計という要素が重視されているのですが、これは数値ベースでの検証を可能にするためです。しかし、多くの日本企業ではそもそもこの「数値化」という作業が行えていないように感じます。たとえば、新人研修やテレアポの内容を変更してみても実際にそれが実際に受注数にどう影響を及ぼしたか可視化できていないため検証を行えません。他にもメルマガや自社サイトを始めてはみたもののその効果を検証できていないといったケースが散見されます。
その解決策として営業効率化ツールを導入することがあげられます。例えば、チャネル別の流入数や営業フェーズ別の案件数、フェーズ進行に伴う顧客の離脱率などを数値化するツールとして営業支援システムSFAや顧客関係管理システムCRM導入という選択肢があります。また、メールの開封率を確認や改善、パーソナライズされたコンテンツの配信効果の観測にはマーケティングオートメーションツール(MA)の導入が挙げられます。また、新人研修やコーチングプログラムを作ったり、スキルを伸ばすためのロールプレイができるツールとしてMindTickleというものがります。
動画コンテンツによるリードジェネレーション
動画コンテンツを用いた販売手法はオンラインを利用している会社にとって、パーソナライズされた営業を行うことができる安価で優れた手法となります。動画は使い勝手がよく、起動までの時間が短いです。そのため、ミーティング前の背景説明、クイックデモ、フォローアップなどに使うことができます。一部のCRMは動画コンテンツの効果を分析するのに有用な統計を搭載しているため、顧客とのインタラクションを分析し全貌を把握することができます。
新しいビジネスを始めるにあたって懸念点となるのは、「途方もなく多くの営業担当がリーチする中で自分の製品を目立たせるにはどうすればよいか」ということでしょう。その観点においても、今動画コンテンツが注目されています。ブログやダウンロード資料を読むより動画の方が効率的で、わかりやすい。そのため、営業メールに動画を活用する企業も増えてきているのです。また、動画コンテンツはブランドに人間味を与え、顧客との信頼構築にもつながります。
終わりに
このように海外の営業トレンドを追ってきましたが、いかがでしょうか。今後の営業にはより一層インターネットの普及により進歩したテクノロジーを活かしていくことが大切になってきそうですね。しかし、その本質には今も昔も「顧客のニーズに応える」というものがあるように感じます。その本質を見失わなければ、自社の目的にあったツールや施策を選択していくことも容易になってくるのではないでしょうか。
急成長の米国メガベンチャーに共通する営業戦略
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