セールスイネーブルメント(Sales Enablement)とは、ビジネスで中・長期的に成果を上げるために行う、営業組織の強化や最適化のための取り組みです。
これまでの営業は、営業活動が属人化し、活動内容が組織内で共有されていなかったというケースも多々ありました。
セールスイネーブルメントはテクノロジーを活用しながら売上を上げる仕組みを作ったり、営業の人材を育てるための仕組みを作るなど、組織全体で「成果を出す営業パーソンを輩出し続ける人材育成の仕組み」を作っていきます。
今回はセールスイネーブルメントについて、意味や定義、実践することで得られるメリットを事例を交えて解説します。
この記事の内容
セールスイネーブルメントとは?
ここ数年で認知をされてきたセールスイネーブルメントですが、ここではセールスイネーブルメントの定義や内容について紹介します。
セールスイネーブルメントの定義
セールスイネーブルメント(Sales Enablement)とは、簡単に言うと「テクノロジーを活⽤した売れる営業の仕組み化」を意味します。
人事採用や新人研修、顧客流入経路、コーチングなど各部門で行われる施策が売上に対してどれぐらい影響を与えているか?という視点で施策を管理していくのが特徴です。
それぞれの施策が売上に対してどの程度の成果を出せたのか?を測定可能な(数値化できる)状態にすること、数値を基に売上に対する成果を上げていくことが大切になってきます。
これまでは研修や教育はHR(人事部門)、営業プロセスの管理や営業戦術の決定は営業部門、ツール設計や開発はシステム部門など、それぞれの仕組みを部門で分けて取り組んできました。
しかし、“売上を最大化する”という目的に立ち返った時、分業化した人材育成の方法では、なかなか成果に結びつきません。
各種施策を部門によって分断せずに一貫して設計・測定(全体設計)する方が、より高い効果が見込めるのではないかと考え、生まれたのがセールスイネーブルメント(Sales Enablement)という概念です。
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セールスイネーブルメントの主な取り組み
セールスイネーブルメントの主な取り組みを3つ紹介します。
営業コンテンツの作成・管理
セールスイネーブルメントの重要な取り組みの1つは、営業チームが顧客との対話で使用する資料や情報(営業コンテンツ)を作成して営業ナレッジを仕組み化し、管理することです。
営業コンテンツには、製品情報、ケーススタディ、ホワイトペーパー、プレゼンテーション資料などが含まれます。
コンテンツを作成したら、効果を定期的に評価し、最新情報や市場動向に合わせて更新・最適化しましょう。
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営業担当者のトレーニング
営業担当者が必要な知識とスキルを習得するため、トレーニングを体系化することもセールスイネーブルメントの取り組みです。
具体的には、新規営業担当者が迅速に業務に適応できるよう、企業の製品・サービス、販売プロセス、企業文化に関する基礎的なオンボーディングプログラムを実施します。
既存の営業担当者に対しては、最新の知識とスキルを持ち続けるために、定期的なワークショップ、ウェビナー、eラーニングプログラムを提供します。
トレーニング後にはフィードバックを提供し、改善点を明確にしましょう。
関連記事:オンライン研修とは?種類・選び方とツール・サービスを紹介
ITツールの活用
セールスイネーブルメントを「テクノロジーを活⽤した売れる営業の仕組み化」と定義したように、営業にテクノロジー、つまりITツールの導入がセールスイネーブルメントの主要な取り組みです。
具体的には、CRM(顧客管理システム)やSFA(営業支援システム)などのITツールを活用し、営業プロセスの効率化と効果的な管理を実現します。
営業の効率化の面では、営業プロセスの自動化ツール、見積書作成ツールなどのツールも有効です。
また、営業データ分析ツールを活用すると、パフォーマンスのレポーティング・分析機能によって営業戦略の改善点を特定し、データに基づいた意思決定を実現できます。
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セールスイネーブルメントが注目されている背景は?
それではなぜ、セールスイネーブルメントは注目されているのでしょうか。
営業活動(Sales)の領域でテクノロジーを活用することを「Sales Tech(セールステック)」と言い、欧米を中心に市場が確立されています。
関連記事:セールステックとは?7つのカテゴリーを解説|今後の営業に求められる4つのスキル
2019年にMILLER HEIMAN GROUPが発表した「CSO-Insights-5th-Annual-Sales-Enablement-Study」によると、2010年代からアメリカにおいてセールス・イネーブルメントに取り組む企業が増え、2019年には61.3%の企業が取り組んでいるとの報告がなされています。
また、2018年に同グループが発表した調査では、セールス・イネーブルメントに取り組んでいる会社と、そうでない会社との比較では、「取り組んでいる方が約25%目標達成率が高くなっている」との報告が上がっています。
ビジネスにおいて、大きなインパクトがあるからこそ、取り組む企業が増えていると言っていいでしょう。
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セールスイネーブルメントの市場規模は高い成長率が見込まれている
Sales Enablement Platforms(Global Industry Analysts、2024)によると、セールスイネーブルメント市場規模は近年大幅な伸びを見せており、2022年度の売上金額は25億ドルと推定され、2030年までに79億ドルに達すると予想されています。
これまで2016-2023年の間にも年16.4%以上の成長率を継続しており、今後も高い成長率が見込まれています。
さらに、セールスイネーブルメントの市場規模の拡大を機に、今後も新規企業の参入があると見られています。
WEBマーケティングやMAの普及によりリードの質と量が向上している
セールスイネーブルメントが普及した背景の一つには、WEBマーケティングやMAが普及したことによってリードの質と量が向上したことが挙げられるでしょう。
コンテンツマーケティングやSEO、SNS広告などを活用し、ターゲットに最適化された情報を発信することで、関心度の高い見込み顧客(リード)を効率的に集められるようになりました。
さらに、MAを活用することで、リードの行動履歴や興味関心を分析し、適切なタイミングでアプローチを行うことが可能になり、より 購買意欲の高いリード を営業に引き渡せる環境が整っています。
このように、質の高いリードが増えることで、営業チームには「リードをどう成約につなげるか」という課題がより重要になってきました。従来のように経験や属人的なスキルに頼るだけではなく、データを活用した 営業プロセスの最適化や、営業パーソンのスキル強化 が求められています。
そこで、リードの購買意欲を高めるためのコンテンツ提供や、営業チームが効率的に商談を進めるための教育・ツール活用を体系的に支援する 「セールスイネーブルメント」 の重要性が高まっているのです
マーケティング部門からテクノロジーの進歩によって質の高いリードが大量に供給されるようになったことで、営業が質の高いリードに対して、効率的にアプローチする体制が必要になったのです。
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営業活動の属人化(可視化されていない)
メンバーが個々のやり方で営業を行っていることで営業の質にばらつきが生まれており、かつ営業情報が共有されておらず不透明な状態、すなわち「営業の属人化」です。
近年、多くの企業で 営業活動の属人化 が深刻な課題となっています。経験豊富な営業担当者が 個人のスキルやノウハウに依存 して商談を進めているケースが多く、営業プロセスが可視化されていない ことが大きな問題となっています。
属人化が進むと、成功パターンの共有が難しくなり、新人や他のメンバーの成長が遅れる だけでなく、トップ営業の退職や異動により、蓄積されたノウハウが失われるリスクも高まります。さらに、マネージャーが営業チーム全体のパフォーマンスを正しく把握できず、適切な改善施策を打ち出せないという課題も生じます。
こうした状況の中で、営業プロセスを可視化し、データに基づいて営業活動を最適化する「セールスイネーブルメント」 が注目されています。
営業活動をシステム上で管理し、成功事例やベストプラクティスを共有することで、組織全体の営業力を底上げし、成果の再現性を高める ことが可能になります。また、SFAやCRMなどのツールを活用することで、営業データをリアルタイムで可視化し、各メンバーの課題を明確にしながら個別の育成や戦略立案を行うことができます。
関連記事:営業の属人化はなぜ起こる?何が悪いのか、解消するためにやるべきこと
セールスイネーブルメントの効果とメリット
セールスイネーブルメントがビジネスにもたらすメリットは、主に以下の4つです。
- 営業活動や人材育成の「仕組み化」
- 営業サイクルの短縮
- 施策効果の可視化
- 売上の増加
- 営業・マーケティング部門間の連携強化
営業活動や人材育成の「仕組み化」
セールスイネーブルメントによって見込まれるビジネスへの効果・メリットは営業活動や人材育成を「仕組み化」できることです。
営業活動や人材育成の「仕組み化」によって営業活動を「最適化」できるため、効率的に売上を上げられます。
営業組織の中には「売れる営業パーソン」がいる一方で、「売れない営業パーソン」も存在します。セールスイネーブルメントの導入によって「営業の属人化」の問題が解消し、営業パーソン全体のパフォーマンスが向上し、会社全体の売上の向上が可能です。
営業活動はどうしても属人化する傾向にあります。「売れる営業パーソン」が感覚で行っていることを見える化し、仕組みとして落とし込むことで、組織全体としての底上げが可能になり、「営業研修がどの程度売上に貢献しているのか?」なども可視化できるでしょう。
▶▶【売れる営業の秘訣】トップセールスが実践している4つの法則を徹底解説!
営業サイクルの短縮
セールスイネーブルメントの導入によってCRMシステムや自動化ツールを活用することで、営業担当者は必要な営業資料や顧客情報に迅速にアクセスできるようになります。
これにより、顧客のニーズを即座に把握し、適切な提案を迅速に行えるのです。
同時に、営業プロセスが可視化され、ボトルネックと対処が効率化されるため、商談成立までの時間が短縮します。
関連記事:セールスベロシティーとは?計算方法や向上させるポイントを分かりやすく解説
施策の効果を可視化できる
セールスイネーブルメントによって、営業活動の効果を可視化し、最適な戦略立案が可能になります。
これにより、各種施策の効果や貢献度を明確に把握できるようになります。具体的には、顧客に対してどのようなセールスコンテンツが最も刺さるかを詳細に分析できます。
例えば、どの資料や提案書が顧客の関心を引き、商談を進展させているのかが明らかになります。
この分析結果を基に、今後どのようなコンテンツを制作すべきか、戦略的な判断が可能になります。効果の高いコンテンツの特徴を洗い出し、それを踏まえた新たな資料作りにつなげられるのです。
売上の増加
セールスイネーブルメントにより、営業チーム全体がパフォーマンス向上のための知識やスキルを共有できます。さらに、体系化されたトレーニングを通じて、営業担当者は顧客のニーズを正確に把握し、最適な提案を行えるようになります。
このように、営業チームの総合力の強化と個々の営業マンの教育によって、成約率が向上し、その結果、売上が増加するのです。
加えて、セールスイネーブルメントはクロスセルやアップセルの機会を見逃さないようにするため、既存顧客からの追加売上も期待できます。
関連記事:売上拡大に必要なことは?拡大を妨げる要素と8つの具体施策
営業・マーケティング部門間の連携強化
セールスイネーブルメントの導入によって、営業部門とマーケティング部門の連携強化を見込めます。
従来、別々に活動しがちだった両部門が、より緊密に協力し合う体制を築くきっかけとなるのです。
特に、マーケティング部門が蓄積したデータ分析結果を営業部門が有効活用することで、リード獲得や成約率の向上につながる効果的な営業戦略を展開できるようになります。
顧客行動の傾向や市場動向といったマーケティングインサイトを営業活動に反映させることで、より的確なアプローチが可能となるのです。
現代の営業力強化には、データの戦略的な利活用が不可欠です。セールスイネーブルメントの導入は、必然的に各部門間の横断的な連携体制の構築を促します。
この過程で、営業部門とマーケティング部門の間に新たなコミュニケーションチャネルが生まれ、情報共有や戦略策定の場が自然と形成されていきます。
セールスイネーブルメントの実施手順
セールスイネーブルメントを成功させるには、段階的な取り組み が不可欠です。データを収集・分析し、自社に最適なプログラムへと進化させながら、効果を最大化していくことが重要です。
取り組みが一貫していないと成果が出にくくなるため、PDCAサイクルを回し、継続的な改善を行うことが成功の鍵となります。以下の3つのステップで導入を進めましょう。
①データの整備
まず、顧客情報や営業活動のデータを収集・分析し、営業プロセスの現状を可視化 します。
ここでのポイントは、単にデータを集めるのではなく、売上や商談の成約率、営業担当者ごとの成果、リード獲得経路など、多角的な視点でデータを整理すること です。
収集すべきデータの具体例として、以下のようなものがあります。
- 顧客情報(業界・企業規模・担当者・購買履歴・問い合わせ履歴など)
- 営業活動の記録(商談回数・訪問履歴・案件の進捗状況・受注確率など)
- マーケティングデータ(リード獲得経路・キャンペーン反応率・ウェブサイト訪問履歴など)
- 営業パフォーマンスデータ(各営業担当者の成約率・商談成功率・対応スピードなど)
これらのデータをSFAやCRMなどのツールで 一元管理し、分析することで、営業プロセスにおけるボトルネックを特定 できます。
例えば、「商談数は多いが成約率が低い」場合はクロージングスキルの向上が必要と考えられ、「リードは多いが商談につながらない」場合は、ターゲティングやリードナーチャリングの改善が必要になります。
②育成プログラムの開発・提供
データ分析をもとに、営業チームの強み・弱みを明確にし、個々のスキル向上を目的とした育成プログラムを設計します。
特に、営業プロセスのどのフェーズで課題があるのかを把握し、それに応じた研修やトレーニングを提供することが効果的です。
育成プログラムの具体例として、以下のようなものが挙げられます。
- 商談スキル向上研修(プレゼンテーション、ヒアリング、クロージングの技術)
- 営業プロセス改善ワークショップ(案件管理・進捗管理の最適化)
- SFA/CRMの活用トレーニング(データ入力・分析・活用方法の習得)
- マーケティングとの連携強化(リードの育成、インサイドセールスとの連携方法)
- ロールプレイングとケーススタディ(実際の商談を想定したトレーニング)
また、育成プログラムは 単発ではなく継続的に実施することが重要です。
定期的なワークショップや勉強会を開催し、営業担当者が常に最新の知識とスキルを身につけられる環境を作ることで、組織全体の営業力を底上げできます。
効果測定と改善
育成プログラムや営業施策の効果を検証するために、具体的なKPIを設定し、進捗を定期的にモニタリング します。効果測定の指標としては、以下のようなものが考えられます。
- 成約率の向上(トレーニング前後での比較)
- 商談件数の増加(営業担当者の活動量の変化)
- リードから商談への転換率の向上(マーケティングと営業の連携効果)
- ツールの活用度(SFA/CRMの入力率、分析レポートの活用頻度)
- 営業担当者のスキル向上度(ロールプレイングやフィードバックの評価)
これらの指標をもとに、トレーニングや施策が営業成果にどのような影響を与えたのかを分析 し、営業チームのフィードバックを収集します。
例えば、あるトレーニングの受講後に 商談成約率が向上した場合 は、その内容をより強化して他のメンバーにも展開するのが効果的です。
一方で、効果が薄かった取り組みについては、フィードバックをもとに改善し、再度実施することで精度を高める ことができます。
セールスイネーブルメント成功のための6つのポイント
セールスイネーブメント成功のためのポイントは以下の通りです。
- 専用の担当者を配置する
- CRM/SFAツールを活用して営業業務を効率化する
- DSRツールを活用して営業コンテンツを一元管理する
- BIツールを活用してデータ分析を行う
- 施策ごとの貢献度を測定する
- 営業パーソンの強みや弱みを可視化して評価する
それぞれ解説していきます。
専用の担当者を配置する
セールスイネーブルメントの実装には、営業に関する知識だけでなく、人事やシステム開発などに関するスキルやノウハウが必要です。
そのため、組織内にセールスイネーブルメント推進のための専用の部署と担当者を配置することをおすすめします。
専門の担当者は、セールスプロセスの改善やツールの導入に関する戦略を策定し、プロジェクトをリードすることで、セールスイネーブルメントをスムーズに実施できるでしょう。
自社内での進行が難しい場合は、外部のコンサルタントに依頼するのも1つの手です。
SFA/CRMツールを活用して営業業務を効率化する
セールスイネーブルメントを実現するためには、SFA/CRMの活用が欠かせません。
SFAは営業支援ツール・システムとして商談開始から受注までの営業情報の可視化と共有をサポートし、CRMは顧客管理システムとして顧客との関係を構築しながら満足度を向上させ、売上の増加を促進する役割を持ちます。
関連記事:
セールスイネーブルメントツールとして、SFA/CRMが必要な理由は以下の通りです。
営業活動や顧客情報の管理が重要なため
セールスイネーブルメントにおいては、営業活動や顧客情報の管理が重要になります。
なぜなら、セールスイネーブルメントの目的は「営業活動の仕組み化」によって売上を最大化することだからです。
従って、顧客情報や商談の履歴内容などの様々な情報をデータとして蓄積する必要があるため、SFA/CRMが必須となるでしょう。
量的な数字で可視化し計測するため
セールスイネーブルメントのポイントの一つは「数値化・計測」で、感覚的な部分ではなく、きちんとデータで裏付けされた情報をもとに、成果を分析する必要があります。その際にもSFA/CRMは重要です。
SFA/CRMでは「売上予測」や「受注率」、「案件進捗率」などの情報を分かりやすく可視化できますのでセールスイネーブルメントを促進できます。
関連記事:
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DSRツールを活用して営業コンテンツを一元管理する
DSR(デジタルセールスルーム)ツールとは、企業が見込み顧客と営業コンテンツを共有し、効率的な営業活動を行うことを目的としたツールです。
DSRでは営業資料、プレゼンテーション、デモンストレーションなどのコンテンツを一元管理し、リアルタイムでの情報共有を可能にします。
コンテンツ管理や顧客とのコミュニケーションの効率化が重要なセールスイネーブルメントにおいて、DSRの活用は欠かせません。
関連記事:デジタルセールスルーム(DSR)とは?複雑化するBtoB営業プロセスに有効な情報共有の場
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BIツールを活用してデータ分析を行う
ビジネスインテリジェンス(BI)ツールは、企業内にある様々なデータを基に分析・可視化するツールであり、セールスイネーブルメントの成果向上に役立ちます。
BIツールを用いて売上動向、顧客の傾向、市場の変化などの情報を可視化することで、営業担当者はデータに基づいた戦略の立案ができるようになるのです。
関連記事:BIツールとは?仕組み・機能・料金とおすすめツール比較9選
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施策ごとの貢献度を測定する
営業力強化の取り組みには、多岐にわたる施策が含まれます。
具体的には、教育研修の実施、営業プロセスの改善、新たなツールの開発・導入など、様々なアプローチが考えられます。
しかし、これらの施策を単に実行するだけでは不十分です。重要なのは、各施策が実際にどれだけの成果をもたらしているかを正確に把握することです。
具体的には、教育研修が営業スキルの向上にどの程度寄与しているか、プロセス改善が商談の効率化にどれほど貢献しているか、新ツールの導入が成約率の向上にどう影響しているかなど、施策ごとの効果を詳細に分析する必要があります。
同時に、最終的な目標に対する進捗状況も定期的にチェックしなければなりません。売上目標や顧客獲得目標など、設定した指標に対して、現状がどの程度達成できているかを常に把握しておくことが肝要です。
このような継続的な効果測定と進捗管理を通じて、各施策の有効性を評価し、必要に応じて戦略の見直しや改善を図ることができます。効果の低い施策は修正または廃止し、高い効果を示す施策にリソースを集中させるなど、柔軟な対応が可能となります。
営業パーソンの強みや弱みを可視化して評価する
セールスイネーブルメントの成功には、営業担当者の強みや弱みを明確に把握し、適切なトレーニングや支援を行うことが不可欠です。
パフォーマンスの測定とフィードバックを通じて、個々の営業担当者の成長を促進し、チームの営業力向上に努めましょう。
関連記事:営業パーソンの適切な評価とは?営業力を向上させる評価基準・評価項目を解説
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企業でのセールスイネーブルメントの具体的な事例
セールスイネーブルメントは、海外だけでなく日本でも広がりを見せています。 具体的には、どのような取り組みが行われているのでしょうか? 代表的なものについて見ていきましょう。
事例①営業教育におけるセールスイネーブルメントの事例
企業の営業教育において、セールスイネーブルメントは体系的なスキル向上と成果の可視化に貢献します。
中小企業庁の調査によると、多くの企業では「従業員の自主的な取り組み」や「資格取得支援」が主な育成方法となっており、教育体制が個人の意欲に依存している現状があります。
このため、成長の度合いにばらつきが生じ、営業全体のスキル底上げが難しくなっています。
さらに、日本企業では営業部門のOJTが主流であり、新入社員研修は採用担当者、OJTは現場任せ、外部研修はコンサル会社といった形で教育体制が分断されています。この結果、営業知識の偏りや指導者による品質のばらつきが発生し、企業の成長を阻害する要因となっています。
この課題に対し、セールスイネーブルメントを導入することで、営業スキルの標準化と継続的な改善が可能になります。
営業部門で成果を上げている社員とそうでない社員を比較し、どのようなスキルが売上に直結するのかを特定した上で、データを基に必要なスキルを明確に定義し、研修プログラムを設計します。
トレーニング後は、営業担当者からのフィードバックを収集し、研修の効果を数値で測定することで、毎年研修のクオリティを向上させることが可能です。また、現場での営業活動に直結する競合情報や顧客分析のポイントを研修に取り入れ、実践的なスキル強化を図ります。
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事例②マーケティングにおけるセールスイネーブルメントの事例
営業の成果を最大化するためには、マーケティング部門が質の高いリードを提供し続けることが不可欠です。
しかし、従来のマーケティング手法では、リードの数が重視される傾向があり、営業部門との連携が十分に取れていないケースも少なくありません。
セールスイネーブルメントの考え方を取り入れることで、各マーケティングチャネルの受注率を可視化し、営業成果に直結する施策を強化することが可能になります。
例えば、商談から受注への進捗が悪い場合は、失注要因を分析し、顧客の懸念点を事前に解消するコンテンツを作成することで受注率を高めることができます。
営業代理店経由の受注率が低い場合は、代理店向けに営業支援ツールや成功事例を提供し、営業手法を改善することで受注率の向上を図ります。
また、ウェビナー参加者の商談化率が低い場合は、受講後のフォローアップを強化し、アポイント獲得率を向上させる施策を実施することで、成果を改善できます。
さらに、展示会経由の受注率が極端に低い場合は、リソースの配分を見直し、他のチャネルへの投資を増やすことで、より効果的な集客につなげることができます。このように、マーケティングの施策を営業成果に直結する形で設計することで、売上向上につながります。
事例③採用におけるセールスイネーブルメントの事例
営業の成果を最大化するためには、適切な人材を採用し、育成する仕組みが必要です。営業教育におけるセールスイネーブルメントと同様に、採用においても、まず自社営業として活躍するために必要なスキルや特性を明確にすることが重要です。
例えば、HubSpot社では、成功する営業に求められる要素を「コーチング応用力」「事前準備」「好奇心」と定義し、これらのスキルを測るために模擬商談を導入しました。
1回目の商談では、複雑な顧客情報を与え、候補者がどのように顧客と対話するかを評価しました。その後、フィードバックを行い、2回目の商談でアドバイスを活かした対応ができるかを確認しました。このようなプロセスを通じて、候補者の適性を正確に把握し、営業に適した人材を採用することが可能になりました。
さらに、採用後の営業担当者のパフォーマンスを継続的に追跡することで、選考プロセスの精度を向上させることができます。データを基に、成果を上げている営業担当者の共通点を抽出し、採用基準を見直すことで、より効果的な採用戦略を構築できます。
このように、採用にもセールスイネーブルメントの基本的な考え方である「全体設計」「数値測定」を活用することで、組織全体の営業力を強化することができます。
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セールスイネーブルメントが学べるおすすめ書籍
最後に、セールスイネーブルメントをご自身で学び、実践したい方のために、おすすめの書籍をご紹介します。
今回ご紹介するのは「セールス・イネーブルメント 世界最先端の営業組織の作り方」、「営業力を強化する世界最新のプラットフォーム セールス・イネーブルメント」の2つです。
セールス・イネーブルメント 世界最先端の営業組織の作り方
山下貴宏(著)/2019年12月18日発売/ISBN:4761274581
一冊目にご紹介するのは「セールス・イネーブルメント 世界最先端の営業組織の作り方」です。
セールスフォース・ドットコム(Salesforce)社のセールス・イネーブルメント本部長としてグローバルトップの営業生産性を実現した著者によって書かれた一冊。
事例を含めた具体的な手法も紹介されているのが特徴です。
セールスイネーブルメントに取り組みたいと考える企業が、何をどのような手順で進めればいいのか、進めるうえで前提として整備すべきことが何なのか?営業に関わる全ての方に向けて解説しています。
購入リンク:https://www.amazon.co.jp/dp/B082VW6554
営業力を強化する世界最新のプラットフォーム セールス・イネーブルメント
バイロン・マシューズ 他(著)/2019年1月17日/ISBN:4877718052
次に紹介するのは「営業力を強化する世界最新のプラットフォーム セールス・イネーブルメント」です。
営業力強化分野のリーディングカンパニーであるミラーハイマングループの手法を、豊富なデータやベストプラクティス事例と共に紹介した「セールス・イネーブルメント」の実践的ガイドブックとなっています。
BtoBビジネスにおけるセールス、マーケティングチームを強化していく意味でも有用な一冊です。
購入リンク:https://amzn.asia/d/4hHkFqb
THE BUILDING BLOCKS ビルディングブロック式セールスイネーブルメント営業パフォーマンスを劇的に変える実践的戦略
猪瀬 竜馬 (翻訳), マイク・カンクル (原著)/2024年2月5日/ISBN:9784344949980
次に紹介するのは「THE BUILDING BLOCKS ビルディングブロック式セールスイネーブルメント営業パフォーマンスを劇的に変える実践的戦略」です。属人化されやすい営業現場をセールス・イネーブルメントでいかにシステマティックに変革するか。セールス・イネーブルメントの構造を網羅的に理解できる、変革推進者必見の一冊です。
購入リンク:https://amzn.asia/d/00QhXLGQ
データを活用してチームの業績を底上げする セールス・イネーブルメントの教科書
徳田泰幸 (著)/2023年5月17日/ISBN:9784781622040
次に紹介するのは「データを活用してチームの業績を底上げする セールス・イネーブルメントの教科書」です。企業の大小を問わず、セールス・イネーブルメント推進の具体的な方法を、用語解説を含め平易に解説した決定版・教科書です。
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まとめ
営業施策をトータルで設計・管理するセールスイネーブルメント。
運用するためには、ここまで述べてきたようにSFA/CRMの活用が必要です。
SFAに蓄積された多くの情報で、セールスイネーブルメントがどのくらい営業実績に結び付いたのかを分析できます。
営業達成度(売上目標・実績、または前年対比など)は、営業施策がどれだけの成果に結びついたのかを具体的に把握する指標となります。
そして、トレーニング履歴やコンテンツの活用履歴は、人材開発施策をどの程度活用されたのかを把握する指標になります。
この二つのデータを掛け合わせてプロット図を作ると、どの営業担当者にどのようなトレーニングを施すべきなのかが見えてきます。
この検証・分析を経て、次に提供すべきトレーニングやコンテンツの開発を行い、再度数値を検証することで、体系的・継続的にセールスイネーブルメントを実践できるのです。
つまり、セールスイネーブルメントを継続して行い、自社の営業力を更に強化していくためには、PDCAサイクルを回していくことが最も大事です。
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自社内の営業情報を見える化し、セールスイネーブルメントに活用していきましょう!