「商談は準備で決まる」と言われているほど、営業活動では事前準備が重要視されています。商談前の準備だけでなく、営業活動に必要となる知識・スキルを習得して継続的に成長していくことで、いつでも準備万端な状態を築くことができます。それが「セールスレディネス」です。

本記事では、セールスレディネスの意味やメリットから、促進できるツールなどを紹介していきます。セールスレディネスに興味がある方だけでなく、「組織として成果を高めたい」「メンバーのさらなる成長を促したい」という方も、ぜひ参考にしてみてください。

セールスレディネス(Sales Readiness)とは

セールスレディネスとは

セールスレディネスとは、「Sales=営業」「Readiness=準備ができている状態」という意味から、営業担当者が必要なスキルや知識を持ち営業活動を遂行できる状態であることを指しています。

また、一人ひとりの営業担当者に必要なスキルと知識を身につけさせ、全員が効果的な営業活動を実施できるようにするための営業組織の取り組み自体を「セールスレディネス」と言います。営業活動に関する知識やスキルを習得させるだけでなく、研修やコーチングなどがどのくらいの成果につながったのか検証し、改善・ブラッシュアップしていくことも含みます。

関連記事:営業に必要な8つのスキルとスキルアップの方法とは?

セールスレディネスの必要性とは

営業シーンでは、営業担当者が万全な準備を行うことは以前から推奨されていました。しかし、なぜ近年になって「セールスレディネス」として改めて注目されるようになったのでしょうか。

理由はさまざまありますが、大きな理由として「顧客の消費行動の多様化」が挙げられます。

インターネットが発達している現代では、顧客は営業担当者から話を聞くことなく、自身で商品・サービスについてさまざまな情報を得られます。商品・サービスの魅力やベネフィットだけでなく、ネガティブな意見を入手することもあるでしょう。

そのため、顧客は営業担当者との商談の際には、インターネットでは得られないような詳しい情報や魅力を知りたがっています。

こうした顧客の意図を理解せずに商談に臨んでしまうと、顧客にとって価値の低い情報のみの提供となり、購買意欲を後押しできません。場合によっては、他社商材のほうに魅力を感じてしまうでしょう。

したがって、営業担当者は自社の商品・サービスについてより深い知識を得て、さらに顧客が他社商材に流れないような信頼関係を築ける営業スキルを身につける必要があるのです。そのために、営業組織としてセールスレディネスに取り組むことで、すべての営業担当者が自信をもって営業活動を行えるようになり、成果の向上が期待できます。

セールスレディネスのメリット

セールスレディネスを実施するメリットは多岐にわたりますが、主なメリットは以下の点が挙げられます。

・営業担当者のパフォーマンス向上
必要なスキルと知識を持ち合わせていることで、どのような商談にも自信を持って対応できるようになり、パフォーマンスが向上します。

・顧客満足度の向上
準備が整った状態で商談に臨むことで、それぞれの顧客に最適な情報を提供できるため、顧客満足度が向上して受注につながりやすくなるでしょう。

・チームのコラボレーションの促進
適切なセールスレディネスを実施するには、お互いにナレッジを共有したりフィードバックをし合ったりする組織作りが必要なため、チームのコラボレーションを促進できます。

・新人の育成
適切なセールスレディネスを構築できていれば、新人営業がジョインした際にもスムーズに育成でき、独り立ちを促せます。

・営業マネジメントのしやすさ
今までは属人化していた営業活動を、一人ひとりの習熟度や組織としての成果を管理できるようになるため、営業マネジメントがしやすくなります。

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セールスレディネスの主な要素

セールスレディネスの主な要素は、以下のポイントです。このほかにも、組織に合わせて柔軟にプログラムを組みましょう。

・営業のマニュアルとプレイブック
営業活動のルールやプロセスをまとめたマニュアルと、ノウハウやナレッジを整理したプレイブックを活用しましょう。

・研修の実施
営業活動に必要となる、商品・サービスに関する知識や営業スキルについて学べる研修を定期的に行います。

・ロールプレイング
研修で学習した内容が見についているか、実践形式でのロールプレイングを行います。

・営業コンテンツの作成
提案資料や事例集など、営業活動に必要なコンテンツを作成して提供します。

・KPI設定と検証方法の策定
プレイブックや研修などが成果につながっているか判断するために、KPIを設定してどのように検証するか策定します。

・フィードバックとコーチング
営業担当者一人ひとりの成果を検証し、マネージャーが適切にフィードバックとコーチングを行って成長を促しましょう。

・ツールの導入
最適なツールを活用することで、必要な情報にすぐにアクセスできるようになり、日常的なセールスレディネスを促せます。また、数値化して検証することも容易になるでしょう。

▶︎▶︎顧客が欲しい情報を適切に提供するのに必要なツールとは?

セールスレディネスと営業トレーニングの違い

ここまでの内容で「セールスレディネスは営業トレーニングのこと?」と思った方もいるかもしれません。

営業トレーニングとは、営業活動に不可欠となる知識やスキルを学ぶという点ではセールスレディネスと同じです。

ただし営業トレーニングは、座学研修やeラーニングコンテンツ、ロールプレイングなどで自主的な学習を促すことが多い傾向にあります。また、一時的な研修ではどのくらいの成果につながったのか測定しにくい側面も見られます。そのため、トレーニングを受けたとしても成果につながっていない営業担当者も少なくありません。

一方、セールスレディネスは、一人ひとりの自主性に任せるのではなく組織として取り組みます。また、営業担当者は営業活動に必要な情報にいつでもアクセスできるため、日常的に学習を続けることができ、長期的な成長につながります。

このように、セールスレディネスは学習することが目標なのではなく、学習した内容を身につけて成果につなげ続けることが目標となります。

関連記事:新人営業をトップ営業に教育!効果が出る3つの営業教育メソッド

セールスレディネスとセールスイネーブルメントの違い

セールスイネーブルメントも、近年注目を集めているキーワードです。

セールスイネーブルメントとは、営業組織が成果を出し続けるために、今まで部門ごとに分断されていた戦略・施策を一気通貫で行うことを指します。

たとえば「採用や研修は人事部」「ツール導入は情報システム部」「日々の教育は営業部」というように、部門ごとに分断された取り組みとなっています。これでは、実際の営業目標と乖離した施策が実行されてしまったり、施策ごとの成果が測定できなかったりするリスクが生じます。

そこで、全社横断的に営業人材の育成に取り組み、すべての営業担当者が成果を出し続けられる「セールスイネーブルメント」が必要となります。

そのため、営業に必要な知識・スキルを身につけて営業活動の準備を万全にするセールスレディネスは、セールスイネーブルメントの一部であると言えるでしょう。

関連記事:セールスイネーブルメントとは?意味や事例・運用方法を紹介

▶︎▶︎【無料配布】営業組織に「今」必要なセールスイネーブルメントを実践するための詳しい方法とは?

主なセールスレディネスツール

セールスレディネスの効果を高めるためには、適切なツール活用をおすすめします。そこでセールスレディネスに活用できるツールを紹介します。

DealPods

「DealPods」は顧客との専用サイトを構築できるツールです。営業活動に関する資料を一元管理し、顧客と情報を共有できます。いつ・誰が・どのコンテンツを・どのくらい見ているか把握できるため、顧客の関心度を客観的に理解できるため、顧客が求めている情報を把握する際に役立ちます。

営業フォロー(後追い営業)はなぜ重要?正しいフォロー法と便利ツール紹介|DealPodsエンゲージメントレポート

また専用サイト(ルーム)をテンプレート化することもできるので、初回商談準備のその後のアカウントプランの管理をスムーズに行うことができます。

セールスレディネスに特化したツールではありませんが、こうした活用方法もあるため、ぜひ検討してみてください。

URL:https://product-senses.mazrica.com/lp-enterprise-sales-dealpods-lab-io

Seismic

「Seismic」は、営業やマーケティングで必要となるコンテンツの配信・管理や、営業ノウハウの共有などができるプラットフォームです。営業プロセスの適切なタイミングで、営業担当者に最適なコンテンツやトレーニングプログラムなどを提案してくれます。また、成功事例を共有できるため、成果につながった営業資料やセールストークなどを他の営業担当者にも展開できます。

URL:https://seismic.com/

Showpad

「Showpad」は、学習コンテンツを作成・提供して継続的な成長を促せるセールスレディネスツールです。AIによるコーチング機能もあり、人手による作業を減らして業務効率化が期待できます。他にも、営業コンテンツの管理や、顧客とのコミュニケーションなどの機能が搭載されています。

URL:https://www.showpad.com/

Mindtickle

「Mindtickle」は、オンボーディングやトレーニング、コーチングなどセールスレディネスに活用できる機能が充実したツールです。各営業担当者にパーソナライズした学習コンテンツを提供し、AIによるサポートによって、営業の知識・スキルの習熟度を高められます。また、データに基づいて最適化されたコーチングで、さらなる成長を促せるでしょう。

URL:https://www.mindtickle.com/platform/analyze-sales-team-performance-sales-readiness-index/

Brainshark

 

営業のトレーニングやコーチングに関するコンテンツを作成・提供できる「Brainshark」。モバイルデバイスでもアクセスできるため、新しい営業スキルや新製品に関する情報などを場所を問わずに入手できます。また、誰がどのようなスキルを持っているのか可視化できる「スキルカード」という機能があり、学習状況や習熟度などを可視化できます。

URL:https://www.brainshark.com/

TalentIQ

営業プラットフォーム・AuctusIQの中の「TalentIQ」は、営業組織のマネージャー、リーダー、担当者それぞれが持ち合わせているスキルと必要とするスキルを洗い出し、さらなるスキルアップにつなげることができるツールです。スキルとパフォーマンスをマッピングしてくれるため、強み・弱みを客観的に把握し、最適な学習ができるでしょう。

URL:https://auctusiq.com/solutions/talentiq/

Mazrica Sales

これまで紹介してきたのは海外製品ばかりですが、日本国内でもセールスレディネスに活用できるツールがあります。

営業活動を支援するSFA「Mazrica Sales」も、セールスレディネスを促進できるツールの一つです。

それぞれの案件に紐づけて営業資料や営業アクションを管理できるため、成功につながった過去案件を自身の営業活動に活かせます。また「AI Insight機能」では、搭載されたAIが過去の類似案件から提案資料やアクションをおすすめしてくれるため、営業スキルの向上が促進されて自信を持って営業活動ができるでしょう。

URL:https://product-senses.mazrica.com/

終わりに

顧客の消費行動や価値観が多様化している今の時代、属人化した営業活動を脱却し、営業組織全体で成果を高めていく必要があります。行き当たりばったりの営業ではなく、全員がしっかりと準備できた状態で営業活動に臨むことができる「セールスレディネス」は今後ますます注目されていくでしょう。

セールスレディネスを円滑に進めるためには、適切なツールの活用が必要です。今回紹介したツールを活用し、セールスレディネスに取り組んでみてください。

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