日綜産業株式会社 左から小笠 様、柳井様、木下様
この記事の内容
業態の変化を背景に営業情報の一元管理・共有が課題に。データ活用による担当者の成長にも期待
1)企業紹介
「建設労働災害の撲滅」を掲げ、足場を中心とした仮設機材を手がけるメーカーとして1968年に創業した、日綜産業株式会社。
安全てすり「スタンション」を皮切りに、多様かつ独自性の高い仮設機材を開発・製造し、造船や建築、土木などの分野における現場の安全確保や工事効率の向上に貢献してきた。
昨今、新規建設需要に代わり既存の建造物を維持するメンテナンス需要が高まっていることを背景に、この新たな市場に対する事業展開も開始。橋梁から鉄道、法面、河川、さらにはオフィスビルや工場、プラント施設などまで多様な分野において、高い技術力を活かした保全・補修を推進している。
2)Mazrica Sales導入前の営業組織の状況と課題
日綜産業の営業部門においては、早期に案件情報を入手し自社製品の提案を行う必要があるため工事発注者から設計を担うコンサルタント、応札する元請企業、施工を行う専門工事会社まであらゆる工事関係者との関係構築に注力しており、営業担当者の活動は多岐にわたる。
当初の営業管理のあり方について、大阪支店 取締役 支店長を務める柳井氏はこう振り返る。
「実績は共通システムで、顧客情報は名刺管理ツールで管理・全社共有を行っていましたが、営業活動の管理には全社共通の仕組みはありませんでした。案件進捗や各担当者の活動は各エリアを管轄する店舗ごとに独自の方法で、Excelなどを用いて管理していたのです。
エンジニアリングの領域においては、例えば “東京ではビル建設が中心で法面工事は少ない” というようにエリアごとに異なる特色があるため、当初は情報を全社で共有し活用する必要性がさほど高くなかったとも言えます。」
しかし15年ほど前よりメンテナンス事業の展開を始めたことを背景に、全社での情報共有が必須の課題になったと、営業部門の業務改善を担う事業推進部の小笠氏、木下氏は語る。
「メンテナンス領域においては、例えばあるコンサルタントが全国のさまざまな案件を担当されるなど、エリアによる区分は明確ではありません。当社としてもエリアにとらわれず事業分野ごとに組織を設け、事業を推進する体制をとっています。これまでのExcel等を用いた管理では、商談を通じて得た大切な情報は店舗ごとに散在してしまっており、活用したい時に使うことが出来ませんでした。そのため、全社の案件情報を一元管理し共有できる “箱” を設けることが喫緊の課題となったのです。」(小笠氏)
「また共通の “箱” としてシステムを導入し情報を集約することは、案件の進捗を可視化するだけでなく、“どのような行動が受注/失注に繋がったか” を分析し、個々の営業活動に活かすことにも繋がります。これまで営業担当者の頭の中にあった情報を箱の中に入れ込み、行動と成果の可視化を行う。この取組により、再現性の高い営業活動の実現とデータを活かした営業担当者の成長を後押しできるのではとの期待もあり、システムを活用した新たな営業管理の仕組みづくりに取り組み始めました。」(木下氏)
“誰でも使えて、すぐに価値を実感できる” ことが導入の決め手
3)SFA/CRMの選定プロセスと決め手
まずは自社システム上で案件情報を可視化すべく取り組んだが、営業担当者の行動にまつわる情報まで紐付けて管理できる仕組みを作ることは難しかったという。そこでSFA/CRM導入へと舵を切り、複数のツールを候補に比較検討が行われた。
選定において特に重視したのは、データの可視化・分析に必要な機能が初めから備わっていること、UIが優れていて誰でも使えることの2点だったそうだ。
「自社の運用や基幹システムに合わせてツールを作り込む選択肢もありますが、導入自体や、管理項目を変更したい時に時間がかかってしまうことを懸念し、まずは “箱” を作るということを重視して選定を進めました。」(小笠氏)
「私は選定後から、関わり始めましたが、Mazrica SalesはUIが特に優れていて入力の流れがとても分かりやすいと感じました。」(木下氏)
「当社の事業推進部と密に連絡をとり、寄り添った解決方法を検討して下さった営業担当やカスタマーサクセス担当の方の姿勢も決め手の一つでした。」(柳井氏)
比較検討後、本導入に至るまでに約1年間のトライアルが行われた。
「いくつかの店舗において、小規模にトライアルを実施させていただきました。担当者によって入力状況にばらつきはありますが、入力情報を自分自身がどう活用していくか迄をイメージできている人は、行動と成果の分析まで行うことができていました。“全員がしっかり入力しなければ分析や可視化がうまく行えない” のではなく、入力に取り組んだ人がその価値をすぐに実感できる仕組みであることが、本導入を決める後押しになったポイントです。
また、カスタマーサクセス担当の方の、運用についての困り事や疑問へのレスポンスと柔軟な運用方法の提示については、このトライアル期間でも大変充実していたと感じており、感謝しております。」(小笠氏)
4)Mazrica Salesを定着させるための工夫
活用の定着に向け、まずは会議や期初の目標設定にMazrica Sales上のデータやレポートを組み込むなど “活用必須” の仕組みがトップダウンで示されたという。こうした会社としての姿勢を背景に、事業推進部でも現場での普及活動に力を注いだ。
「まずは本導入決定後に全国の拠点を回って説明会を実施し、導入の意図や運用方法などについて直接お伝えしました。また、運用が始まってからは、営業担当者一人ひとりのアクションを日々すべてチェックし、入力方法の誤りがあれば指摘したり勉強会を実施したり、個別に疑問点を聞いてケアしたりと、フォローアップを行っています。」(小笠氏)
「まずはデータを精度高く蓄積しなければ、その分析や活用も、引いては業務の効率化も戦略的な営業活動も実現できません。次のフェーズに早く到達するためにも、粘り強くフォローアップを続け、この新しい営業管理の仕組みを確立していければと思います」(木下氏)
ルールに則った情報の蓄積・共有が着実に浸透。担当者間、部門間での連携も加速
5)Mazrica Sales導入後の成果
2024年9月に本格的な運用を開始してからの約3ヶ月で実感する変化や成果について、三氏はこう振り返る。
「2024年内に、すべての営業担当者が決められたルールに則って情報を入力できるようになることを目標として運用を始めました。フォローアップを続けた結果として、データが正しく綺麗に蓄積されるようになってきており、肌感覚で目標達成率7割ほどに及んでいる手応えがあります。」(小笠氏)
「互いにメンション(@)して情報を共有し合うようなやりとりも増えてきました。まだこちらで “この内容は〇〇さんも知っておいた方がいいのでは” と共有を後押しする場面もありますが、それでも徐々に “一つの案件をみんなで獲得しにいこう” という気運が高まってきている印象です。」(柳井氏)
「部門内ではもちろん、部門間でも連携が進んでいます。実際に “こんなことはできませんか?” といった相談が事業推進部に寄せられ、一緒に取り組みを進める事例も生まれるなど、Mazrica Salesで可視化された共通の情報が取り組みの幅を広げてくれていることを実感しています。」(木下氏)
6)今後の活用に向けて
「まずは入力精度をしっかりと高め、可視化された案件進捗や個人の行動をもとに “この案件を前進させるためにどのような行動が必要か” といった業績の成長に繋がる分析・対話ができる状態を作っていきたいと思っています。」(木下氏)
「そのためにも、会社や支店の目標をBI機能で可視化するなど “Mazrica Salesを使えばこんなこともできる” という価値を示すことに事業推進部として注力し、ツール活用に取り組んでくれている皆さんのモチベーションを維持していきたいところです。」(小笠氏)
より長期的な視点では、Mazrica Salesを活用して “営業力を高める仕組みづくり” に取り組んでいくという。
「製品力には絶対の自信がありますが、それだけではお客様に選ばれる存在であり続けることはできません。組織力やお客様のご要望への対応力を、プラスアルファの力として育むことが欠かせないと捉えています。特にお客様からのご要望が多様化する昨今においては、与えられた時間の中でそれに応えるために、担当者一人ひとりを疲弊させることなく高い対応力を維持することは重要な課題だと言えます。
そうしたプラスアルファの力を育むべく、蓄積されたデータをもとに営業活動の “成功パターン” を可視化し水平展開するなど、Mazrica Salesを中心とした仕組みを作っていければと思います。
そのためにも、マツリカのご担当者様たちには、これまで以上に相談に乗っていただいたり、当社の業種や使い方にマッチするようにシステムアップデートを行っていただいたりと、手厚くサポ―トをしていただけると幸いです。引き続き、よろしくお願いいたします。」(柳井氏)