株式会社パフ 代表取締役社長 吉川様(左)、システム担当 水流様(右)
この記事の内容
1)企業紹介
1997年に設立された株式会社パフ。社名の由来は、なんと’60年代フォークソングトリオであるピーター・ポール&マリーの「Puff」から来ているという。
株式会社パフは「顔の見える就職と採用」をポリシーに、新卒採用のコンサルティングや業務代行を行っている。学生と企業が語り合える場所として「職サークル」も運営中。
同社の特徴は、単なる採用活動のサポートではない点だ。「学生よし、企業よし、社会よし」の三方よしの採用活動に重点を置いている。
具体的には、学生の入社後の定着と活躍を見据えた採用を目指し「辞めないで活躍し続ける人材の確保」をサポートする。
学生が納得感を持って会社に入社することで長く活躍し続け、企業にとっても大きな資産となる。人材が活躍できる企業に成長できれば、世の中にとっても大きな貢献ができる。
この好循環を作り出すのが株式会社パフの事業である。
2)導入前の状況
株式会社パフは2019年夏からSFA/CRM活用を検討し始め、2020年7月にMazrica Sales(旧Senses)の運用を開始した。まずは、それ以前の営業組織の状況について伺おう。
話を伺ったのは同社社長の吉川氏。2001年に新卒一期生として入社し、2020年9月に社長に就任した。
創業期から営業として活動しており、同社の営業組織の変遷を理解しているからこそ、営業組織の課題は売上を左右する大きな要素だと思ってきたという。
「もともとExcelで数字管理をしていました。営業一人ひとりが数字管理をしていて、さらにそれをまとめるExcelが存在していたんです。Excel管理のあるあるだと思うのですが、リアルタイムでの数字の変化が見えないことが大きな課題でした。」
リアルタイムでの営業状況が見えないことは、もう一つの大きな課題にもつながっていた。
「提案からクロージングまでのリードタイムが長すぎたんです。もちろん、新卒採用は年間でスケジュールを立てるものなので、1週間で結論が出る話ではないことは理解しています。それにしても、申し込み回収まで長すぎると感じていました。今だから言えるのですが、実はクロージングまで平均3ヵ月かかっていたんですよ。それだけリードタイムが長いと、お客様の熱量も下がってしまって失注してしまう案件も出てきますよね。」
さらに同社の営業業務を複雑化させた要因が、SFA/CRMやその他ツールの利用だったと言う。
「Mazrica Sales(旧Senses)ではないのですが、他社SFA/CRMをExcelと併用していました。とはいえ、顧客情報データベースとしての入れ物という存在。案件管理はしていないので対応漏れも頻繁にありました。ほかにもメルマガ配信ツールも使っていたので、ツールがバラバラで管理しきれない状態。」
本来は営業活動を効率化するためのSFA/CRMであるのに、活用しきれていないことに問題を感じていた。
3)Mazrica Sales(旧Senses)導入の背景と決め手
最初に、同社のリプレイス検討からMazrica Sales(旧Senses)導入までの流れを時系列で確認しよう。
2019年夏 問題提起・検討開始
2020年4月 Mazrica Sales(旧Senses)導入決定
2020年5月 Mazrica Sales(旧Senses)契約・データ移行
2020年7月 運用開始
2020年9月 吉川氏が社長に就任しトップダウンでDX化推進
問題に気付きSFA/CRM活用を検討し始めたのは、実は営業担当者ではなかったと言う。
「営業現場は頑張っているという自負があるし、なるべく現状を変えずにやっていきたいから、なかなか問題提起はできないんです。当社では、全体のなかのボトルネックに気づき改善しなければいけないと言い出したのが、システム担当の水流。私も同感し、推し進めることにしたんです。」(吉川氏)
こうして検討が始まった同社のSFA/CRMリプレイス。なんと10社以上のSFA/CRMを実際に見て検討したと言う。その中で大きな決め手となったのは、充実した機能。
「機能面では、まずはCSV出力。いざとなればCSVでアップしたり落としたり、いかようにも加工できる便利さが決め手でした。他社と比べてのCSVのテンプレが使いやすかったですしね。
また、今まではSFA/CRMとメール配信ツールは別でしたが、Mazrica Sales(旧Senses)はメール一斉配信機能もついていたというのが大きかったです。」(水流氏)
「カスタムレポートを作れる点もメリットでした。部署や人によって営業の中でも見たい数字が違いますが、計算式を入れておけば自動で抽出できるので、Excelを活用しない運用がイメージできました。」(吉川氏)
Mazrica Sales(旧Senses)の機能面だけでなく、営業担当者の提案力も決め手となったと言う。
「当社の業界についての理解が深かったので、実際の運用提案が現実的なものでした。常に当社にとってどのように活用したら効率化するかを考えて提案してくれたので、この運用ならやっていけると感じ、Mazrica Sales(旧Senses)に決めました。」(吉川氏)
4)Mazrica Sales(旧Senses)導入後の変化と効果
株式会社パフがMazrica Sales(旧Senses)導入による最大の成果は、リードタイムの圧倒的な短縮だ。もともと3カ月かかっていたものが、なんと1カ月に短縮されたのだ。
「当社の事業は営業も納品に関わるため、営業がどうしても目の前にある納品タスクを優先しがち。クライアント様への営業としてのフォローや連絡が後手になりリードタイムが伸びていました。今はMazrica Sales(旧Senses)でアクション予定登録を徹底し、その予定が実行できているかをペアでチェックする仕組みを作りました。これにより、お客様への連絡を忘れずに実行するようになり、リードタイムの短縮につながったんです。」(吉川氏)
Mazrica Sales(旧Senses)に営業アクションの予定と履歴を入れておくことでリードタイムの短縮だけでなく、営業会議の時間を削減することにも成功した。
導入前までは、自分の営業状況を会議用資料に転記しなければならず、各営業が、30分~1時間は事前準備に時間をかけていた。また会議が始まると、マネージャーは、その結果に至った経緯を営業本人からヒアリング。準備と事実確認に膨大な時間を使っていたそうだ。
「Mazrica Sales(旧Senses)を導入してからは、数字も経緯もすべてMazrica Sales(旧Senses)に蓄積されているので、準備もヒアリングも不要になりました。ヒアリングの場としての会議が、対策に向けた議論の場となっているのは大きな変化です。またマネージャーたちが、数字と営業アクションから、事実に基づいた的確なアドバイスができるようになり、成約率も上がっています。」(吉川氏)
さらに導入後の嬉しい変化はこれだけではない。
今までも、過去のセミナーの参加者には担当部署から定期的にメールを送りフォローしていたが、営業担当者がいつ誰にどんなメールを送ったのかは確認できなかった。しかし今ではMazrica Sales(旧Senses)から一括送信しているため、自分の顧客にどんなメールが送られているのか把握できるようになり、情報共有がスムーズに。
さらに、Mazrica Sales(旧Senses)でデータを一括管理できるようになったことで、手厚くフォローすべき顧客を抽出できるようになった。それにより、顧客の掘り起こしにつながる新しい取組みにも着手した。
「抽出した顧客には、営業担当者ごとに個別で“プライベートメルマガ”を配信する取組みを始めました。営業個人の顔写真と近況を入れ、新商品やイベントの案内も記載しています。親近感が湧くようで、忙しくて電話がつながらないお客様もプライベートメルマガには返信してくれるんですよ。そこから商談につながることも少なくありません。」(吉川氏)
5)Mazrica Sales(旧Senses)運用定着の成功ポイント
Mazrica Sales(旧Senses)の活用により成果が見えるようになった同社。活用につながったのは、吉川氏をはじめとする経営陣やシステム担当の水流氏だけでなく、若手の営業担当者の存在が大きかったと言う。
「Mazrica Sales(旧Senses)にデータを入れておけば、会議の準備もヒアリングも必要ない。忙しい営業にとって、時間短縮ほど嬉しいことはないですよね。こうして効率化を求める若手たちがMazrica Sales(旧Senses)をおもしろがって使ってくれるようになったんです。Mazrica Sales(旧Senses)によって営業アクションが整理できている人ほど、次にやるべきことが定まり、自然と営業成績にもつながっていきました。」(水流氏)
もちろん吉川氏のMazrica Sales(旧Senses)活用に対する意識も強かった。「Mazrica Sales(旧Senses)にだけ入れてくれれば良い」「数字を確認したいときはMazrica Sales(旧Senses)を見て」と言い続けたことで、営業マネージャーもMazrica Sales(旧Senses)のデータを基に分析・アドバイスをするようになっていった。
現場は事実を入力するだけ。そのデータを見た先輩やマネージャーからは的確なアドバイスをもらえて、案件が前に進んでいく。
トップの強い意志と若手の活用により好循環を生み出したことが、同社における成功の秘訣だった。
6)今後の展望とMazrica Sales(旧Senses)への期待
導入から1年ほど経った現在、株式会社パフは今後の活用方法についても道筋を立てていた。
「今後は営業全員分のファネル分析レポートを出し、案件化率やクロージング率が高いメンバーの比較をしようと思っています。数値が高いメンバーのノウハウやナレッジを全体に共有し、営業力の底上げをしたい。営業本人も、自分の数値の変化が可視化できるので成長を実感できると思います。」(吉川氏)
個々のナレッジを共有しチーム全体の組織力を強化する活用方法は、弊社でも積極的に提案している使い方だ。その活用方法を視野に入れてくれていることは嬉しい。
また、株式会社パフならではの使い方も検討しているようだ。それが、制作物の進捗管理。
今は営業案件管理のみで利用しているが、案件ボードを分けて、制作物の管理にも活用しようと考えている。
「一つの制作物を納品するまでに、取材・日程調整・初稿・調整・校了などのプロセスがあります。これをフェーズとして設定し、進捗に合わせて案件カードで管理したい。実はこの使い方、Mazrica Sales(旧Senses)営業担当者からご提案された方法なんです。当社の業務内容を理解してくれているからこそ、Mazrica Sales(旧Senses)を応用した活用の幅まで提案してくれました。当社は営業管理と制作管理ですが、企業によって応用できるのではないでしょうか。業務内容の変化や事業の拡張にも、Mazrica Sales(旧Senses)があれば対応できると思います。」(吉川氏)
最後に、Mazrica Sales(旧Senses)への要望を伺った。
「フォーム作成機能がありますが、もっと充実させて使いやすくしてほしいと思っています。これまでも何度も要望を伝えていて、そのたびに対応してもらいアップデートしていただいています。気軽に要望を伝えられる環境、そしてその声を吸い上げて柔軟に対応してくれる姿勢に、今後のアップデートも期待したいと思います。」(水流氏)
われわれはツールベンダーだが、ツールを売ることが終わりではない。顧客がツールを使った先にある「快適になった」「効率が上がった」といった成果にコミットすることが目的だ。
パフ様のように、ツールが変わっただけで成果につながっただけでなく、その先の展望まで見据えられるようになることも往々にしてある。われわれは、顧客の可能性をともに探っていきたい。