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アファーマティブアクションという言葉を聞いたことがある方も多いかと思いますが、欧米での人種差別に対する措置という印象が強いのではないでしょうか?

男女雇用機会均等法が施行されてから30年以上経つ日本でも根強く残っているのが就職や昇進における男女格差です。

本記事では、アファーマティブアクションを積極的に導入し、男女の雇用と評価に平等性を持たせた日本の企業の事例と、アファーマティブアクションのメリットとデメリット、課題などをご紹介いたします。

アファーマティブアクションとは?

アファーマティブアクションとは?|企業への活用 | Senses Lab. | 1

現在の社会においてアファーマティブアクションは重要だと言われていますが、アファーマティブアクションとは何でしょうか?

アファーマティブアクションは、日本語訳として「積極的格差是正装置」や「積極的差別是正装置」と呼ばれます。基本的な理念は、「少数派(マイノリティ)が過去に受けてきた教育などの差別を改善する」ことです。

歴史的に差別を受けてきた少数派の代表例として、黒人(有色人種)、女性、障がい者などがあり、こうした人々が他の多数派の人々と変わりなく暮らしていける社会を作ることが、アファーマティブアクションの目的なのです。

日本においては、男女格差の是正という文脈で用いられ実施されます。

アファーマティブアクションの企業への実践

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企業の実践事例

アファーマティブアクションはどのように企業で実践されているのでしょうか?日本企業での事例を2つご紹介いたします。

日本航空株式会社

JALグループの半数は女性従業員であるため、女性が活躍できる場の発掘と女性の視点を積極的に事業運営に取り込むことが新たな企業価値の創造につながると考えて、以下の取り組みを行いました。

・最大3年取得可能な育児休暇制度の整備

・家庭と仕事の両立を支援するため、勤務に応じた制度(深夜勤務免除、育児短時間勤務制度など)を整備

・2014年度から一時保育補助、月極保育補助育児用品レンタル補助、家事代行などの補助サービスを拡大

・業務効率の向上により、全社員のワークライフバランスを推進し、女性をはじめとする多様な人材が能力を十分に発揮できるよう、男女ともに働き方の柔軟性を高める

・個々の業務の繁閑に合わせた柔軟な働き方を促進する観点から、2015年度からフレックスタイム制の適用部門を拡大し、さらなる利用を促進

女性の活用推進のための体制整備に取り組んだ結果、女性管理職の数と比率が年々増加し他とのことです。

野村證券株式会社

2005年まで総合職・一般職の区分が存在し、男女間で職種役割がはっきり分かれていました。

・採用関連のイベントで女性の働き方に特化したセミナーを実施

・性別に一切関係のない採用選考を行う一方で、女性社員の話を聞くことで、女子学生が入社後のイメージを持ちやすいようにしている

・総合職で働くイメージが持てるよう、女性の働き方についての講演を行い、女性が働く上で大切なキャリア支援制度やワークライフバランスなどについて紹介

・面接官を男性・女性ともに設置し、採用選考に必要な内容の研修を受講し対応

アファーマティブアクションに取り組む以前である50歳以上の世代を除けば、社員の男女比がどの世代でもほぼ同数になっています。

取り組みの進め方

アファーマティブアクションを効果的に進めるにはどのようにしたら良いのでしょうか?必要なプロセスは以下のようになります。

1.ヒアリングやアンケートを実施して、男女の従業員の活躍状況やデータの比較を行い、現場の分析と問題点の発見を行う。

2.その結果をもとに定量的な目標値を定めるなどして、具体的な取り組み計画を策定する。

3.この計画に基づいて取り組みの実施を進めながら、適宜現状の評価、修正を行っていく。

また、アファーマティブアクションを実施する手法には以下のようなものがあります。

・指導的地位につく女性の人数枠を設定する方式
性別を基準に一定の人数などを割り当てるクォーター制などがこれに該当します。

・ゴール・アンド・タイムテーブル方式
指導的地位につく女性の数値に関して、数値の目標とそれを達成するまでの期間を示して、実現のために努力をします。

・基盤整備を推進する方式
各種研修の実施やワークライフバランスの向上など、女性の参画の拡大を図るために基盤を整備します。

正当な人事評価へ

▶︎▶︎こちらの記事で人事評価ツールをご紹介しています。

アファーマティブアクションを導入し、正当な人事評価につなげるためのポイントをご紹介します。

1.経営トップのリーダーシップ
アファーマティブアクションの取り組みが進む企業には、経営トップのリーダーシップがあります。先行き不透明な今日、社員は企業トップの発言・行動に強い関心を寄せています。

そんな今だからこそ、経営トップはリーダーシップを発揮し、男女区別なく意欲と能力を平等に評価し、活躍の機会を提供するための環境を作ることが必要になっているのです。

2.会社一丸となって取り組むこと
男女雇用機会均等法の施行後、徐々に女性の活躍の場が広がってきました。しかし、いくら意欲のある女性が努力しても、会社全体が意識改革を行い、取り組んでいかなければ、女性の昇進や昇格には繋がりません。

アファーマティブアクションを進める企業の多くは、「女性活躍推進室」の設置など、社内にプロジェクトチームを設けて、女性の活躍を推し進めていきましょう。

3.具体的でわかりやすい目標作り
「男性と女性の平等を実現する」といった抽象的な目的ではなく、「管理職における女性比率を◯◯%にする」「女性の定着率を上げる」等、具体的な目標を立てることが効果的です。

さらに結果が出た段階で取り組みを評価し、次に活かしていくという繰り返しによって、アファーマティブアクションを進めていきましょう。

アファーマティブアクションのメリットと問題点

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アファーマティブアクションのメリット

アファーマティブアクションには次のようなメリットがあります。

・女性のキャリア意識の向上
アファーマティブアクションにより、女性社員の可能性が広がることは明らかで、キャリアアップ意識の醸成に役立てられています。

義務的に仕事をこなしていくのではなく、自らの能力を上げれば活躍の場があり、より充実した仕事をし、貢献度を高めたいという意欲につながります。

このことで、女性社員のチャレンジ精神も促し、より高度な経験ができる機会が増え、能力を向上させることにもつあんがっているようです。

・女性視点の新しい価値を創り出す
現代女性の社会進出の高まりは、女性の判断や意思決定の反映されるシーンが増えていることとも言えます。つまり、社会のニーズに女性視点も含まれるということです。
アファーマティブアクションは、企業の意思決定の場に女性を置くことで、女性視点を活かし、社会ニーズに沿う新しい価値を提供していくことにもつなげられます。

・労働力不足への対応
女性は結婚、出産、育児といったライフスタイルの変化がキャリアに影響を及ぼしやすいものです。
仕事との両立を支援する積極的な取り組みによって、退職ではなく働き続けるという選択のできる女性を増やせるでしょう。企業の従業員定着や優秀な人材の確保にも役立っています。

・男性社員にも刺激となり社内活性化
女性の意識向上や仕事への関わりが深くなることで、社内の男性社員にも良い刺激となるようです。組織の全体的なモチベーションの向上、ひいては業績アップ、社会的企業評価の向上につながっていきます。

 

アファーマティブアクションの注意点

アファーマティブアクションの取り組みは、表面上だけ見ると女性優遇だと勘違いされやすいため、男性社員が不満を感じてしまう可能性があることに注意が必要です。

アファーマティブアクションに対する勘違いを防ぐためには、取り組みの内容が女性の優遇や男性の冷遇を行うものではなく、女性が男性よりも能力を発揮しにくい環境に置かれている状況の是正が目的であることを説明し、社員の理解を促すことが大切です。

アファーマティブアクションに取り組むデメリットとしては、女性活躍の推進によって「男性からの応募数が減るのでは」「母集団を減らしてしまうのでは」という不安があることや、女性社員は妊娠や出産、育児や介護によって継続就業を阻まれる可能性があることなどが、現実的な問題として存在します。

問題を解決する施策としては、時短勤務やテレワークを活用した働き方の多様化や、公平で明確な評価制度の導入などが挙げられます。働き方が多様化すれば人材の獲得対象の幅も広がり、評価制度が明確になれば既存の社員のモチベーションアップにも繋がります。

働き方の多様化や評価制度の明確化は、女性だけでなく男性にも同じメリットがあるため、アファーマティブアクションへの理解を促す施策としても効果的です。

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アファーマティブアクションの課題

メリットが多いように思われるアファーマティブアクションですが、課題がいくつか残されています。例えば、女性の採用について「女性だから採用枠がある」という状況が発生し、個人の能力や個性を無視した採用が行われてしまうおそれがあります。また、女性の採用枠数に決まりを設けると、より能力が高い男性を不採用にしなければならないケースも発生します。

今まで正当に評価されにくい立場に置かれてきた人々(女性)を救済するという目的に対し、どこまでの優遇が許容されるかは、いまだに社会的な議論になっています。

企業において、アファーマティブアクションの実施は重要です。
差別を是正し、誰でも働きやすい職場環境を実現してこそ、企業として成長していけるからです。そして、企業における差別の是正と同時に、人事評価制度を整備することも必要になります。

評価者の偏見や主観にとらわれず、従業員を適切に評価することで、より高いモチベーションで働いてもらうことができるようになります。

終わりに

今まで冷遇されてきた女性の地位を積極的に是正することは様々なメリットがあります。女性たちの能力を正当に評価し相応の役職を与えることによって、当人たちのモチベーションが上がるだけでなく、企業全体に刺激を与え、企業の外からの評価も高まるでしょう。

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