法人営業を成功させるためには、顧客の担当者ではなく、顧客のキーマン(決裁者)へアプローチをすることが重要なポイントです。
そこで今回は、「売れる法人営業パーソン」を目指すためにおさえておきたい、キーマンを見極める方法をご紹介します。
売れる法人営業パーソンの特徴とは
法人営業を成功させるためには、担当者ではなく「決裁者」をおさえるのが重要なポイントです。
いくら積極的な営業を行ったとしても、キーマンである決裁者と商談をしないと、決裁の段階で断られてしまうケースは珍しくありません。
キーマン(決裁者)とは
製品やサービスの導入を決定する権利を持っている人のことで、例えば人材系のサービスなら、人事部の部長がキーマンとなります。
ただし、決裁者が上司とは限らないケースもありますので注意が必要です。
こちらについては後ほどご紹介します。
企業規模や組織構成からキーマンを見極める方法
キーマンを見極める際に注意したいのが「企業の規模」です。
大企業の場合には、人事部の部長が決裁権を持っていることが多くありますが、中小企業の場合、社長が直接決裁権を持っているケースもあるのです。
そのため、企業ごとにキーマンの分析を行う必要があります。
キーマンを見極めるためにおさえておきたいポイント
キーマンを見極めるためには、企業の規模や組織の構成が重要です。
企業の規模
従業員の数が200人以上の規模になると、決裁者が社長ではなく役員や担当部署のトップになるケースが多くあります。
200人以下の場合には、社長に直接商談をした方が、話がスムーズにすすむケースが多いです。
組織の構成
組織図を確認することによって、指揮系統が分かる場合もあります。
例えば、対象部署が社長直下の場合には、社長がキーマンになるケースが多いですし、検討にかかわる部署が複数ある場合には、キーマンが対象部署のトップではないこともあります。
また、会社概要で役員が複数人いると、いずれかが決裁権を持っている可能性が高いといえます。
歴史や沿革
注意したいのが一族経営の場合です。
社長や、同じ苗字を持つ方がキーマンの可能性が高いので、歴史や沿革についても確認をしておきましょう。
決裁者アプローチの主な手法とポイント
手紙
担当者宛てに手紙を送るのは「レター営業」とも言い、メールが普及していない時代からよく使われている手法です。
担当者に必ず届くため、テレアポや飛び込み営業ではなかなか担当者につないでもらえない場合にも有用です。また手書きの手紙は誠意が伝わりやすい点もメリットでしょう。
けれども、一通一通を手書きしていると多大な時間がかかってしまいます。全てのターゲットにレター営業をするよりも、手紙を書くべき相手を選定し、他の施策と併用することをおすすめします。
外部イベントへの参加
製品の見本市や展示会、異業種交流会などの外部イベントに営業決裁者が個人として参加し、そこで知り合った人々と名刺交換を行い、新規開拓につなげる方法も効果的です。
たとえ一度の出会いであっても、面識があることでアポイントが取りやすくなります。名刺交換直後の印象が鮮明なうちにアポイントを取ることで、早期に訪問の機会を得ることができるでしょう。
テレアポ
アポイントを取るための施策として多くの企業で導入されているテレアポ。
リストなどを基にして手当たり次第にテレアポを掛けているイメージが強いかもしれませんが、実は実際のアポイントに繋がるのはたったの2%なのだそうです。
約50回の架電で、ようやく1件のアポイントを獲得できるということですね。
確かに、急に知らない企業から電話が来ても警戒してしまい、なかなか会う気にならないことは理解できます。
そのためにも、架電の前にコールドメールを送ったり、MAツールでユーザーの温度感を確認してから架電したりするなど、ちょっとした工夫でテレアポ獲得率が高まるでしょう。
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勤務開始後はオフィスでメールチェックやその日のスケジュール確認などをする人が多いため、午前中に外出している人が少ないということから、出勤直後の午前中のほうが電話に出てくれる可能性が高くなるというデータもあります。
更には、月曜の朝は週末に溜まったメールチェックやタスクチェックなどで多忙なことが多かったり、金曜の夕方は土日に向けて仕事モードを切り替えている人も多かったりするので、月曜の朝と金曜の夕方を避けてテレアポをすると良いというデータもあります。
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電話営業
遠方でなかなか訪問に行けないエリアや、営業担当者のリソースが少なく訪問に行けない時のための新規開拓の方法として、電話営業という方法があります。
お互いに顔や表情が見えない状況のため、むやみに電話をかければいいというものではありません。
HubSpot Japan株式会社が2016年に行った分析結果から、電話営業の成績が良い営業パーソンから導き出したいくつかの話し方について紹介します。
1. 相手の話を聞く
まず、デキる営業パーソンは、聞き役として相手の話を聞く時間を多く設けています。
平均的には会話全体の65~75%は営業担当者が話しているのですが、デキる営業パーソンの場合は「話す」と「聞く」の割合が43:57になっています。
相手の話をきちんと聞き出し、課題や気持ちに寄り添うことによって受注に繋がりやすくなるのです。
2. 価格提示のタイミング
また、価格を提示するタイミングにも統計データがあり、デキる営業マンは電話を開始して40~49分くらい後のタイミングで価格を提示しています。つまり、相手に商材のメリットや課題解決の方法を充分に伝えてから、価格を提示しているということが分かります。
3. リスクを軽減する言葉を使う
そして、もう一つが、デキる営業マンはリスクリバーサルな言葉を伝えていることです。初めての相手から初めて商品を購入する時には、誰しも不安を抱えてしまうものです。
しかし「2ヵ月契約だから、2か月後に解約してもOK」「返金保証」など、不安を和らげる言葉で成約率が約32%も上昇することがわかっています。
更に、受注に繋がった電話の内容を分析すると、いくつかの興味深いデータが出てきました。
まず、1度の通話で価格に関する話が3~4回出た場合は受注率が高まっていることが分かりました。
逆を言うと、3回未満もしくは5回以上価格の話が出ている場合は、受注に繋がる見込みは低いともいえるでしょう。
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コールドメール/手紙
知り合いではない相手にメールを送ることをコールドメールと言います。
コールドコールよりも短時間で多くの人にリーチできるので、導入している企業も多いことでしょう。
なんと、コールドメールを受け取った人のうち、92%の人は知らないアドレスからのメールを削除してしまうということが分かっています。
非常に高い割合ですが、少しでも削除されずに開封して読んでもらうためのポイントがあります。
メール配信サービスのMailChimpのデータによると、メールの開封率が最も高い時間帯は午前10時、曜日は木曜日なのだとか。
土日のメール開封率は平日の半分ほどになってしまうそうなので、平日の10時にメールを開いてもらえるように配信しましょう。
また、開封するかどうかを判断するための大事な情報がメールの件名です。
なぜなら、35%の人はメールの件名を見て開封するかどうかを決めているからです。
件名は、相手の興味を引くキーワードを入れて分かりやすく、そしてできるだけ短い方が開封に繋がるということも分かっています。
尚、メールマーケティングについてはこちらの記事で詳しく解説しています。
関連記事:メールマーケティングとは?メルマガとの違いや実施のための5つのステップ
ソーシャルセリング
TwitterやFacebookなどの近年人気のSNSを活用して、リードと繋がって受注の機会を作るソーシャルセリング。
Linkedinの調査では、SNSを活用している企業は、活用していない競合企業よりも45%も多くの販売の機会を得ているといいます。
また、実際の担当者のうち62%もの人が、ソーシャルセリングが顧客との信頼関係構築に役立っていると感じているそう。
定期的にSNSを利用している企業の78%が、利用していない競合企業よりも成果を出しているというデータもあるようです。
実際に米セールスフォース社では、リードにアプローチする前に、SNSを調べて社内の人間と、ターゲットの会社のキーマンとで繋がりがないかを調べているそうです。
コネを確保しておくのと、そうでないのとでは全く結果が異なってくると創業者のマーク・ベニオフは著書で説いています。
担当者の直属の上司がキーマンとは限らない
注意したいのが、キーマンが「役職の上下とは無関係のケースがある」点です。
例えば、責任を持たせて経験を積ませるために、プロジェクトの決裁権を上司ではなくプロジェクトリーダーが握っているケースもあります。
そのため会話に注意をして、決裁に関する事柄やプロジェクトの重要事項に回答している人物は誰かを確認しましょう。
おわりに
キーマンを見極めることで、営業を効率化し、営業成績をさらに上げることができます。
営業の効果がなかなか上がらないとお悩みの方は、決裁者であるキーマンに絞って商談を進めてみてはいかがでしょうか。
決算のタイミングと合わせて、キーマンに話をすることで、より効率よく営業活動を行いましょう。
Japan Sales Report 2021 〜コロナ禍における国内営業組織の動向調査〜
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