「営業メンバーによって営業プロセスやトークがバラバラだ」「営業の教育に時間がかかる」
このような課題を感じている場合は、営業マニュアルが有効な可能性があります。

営業マニュアルには営業業務のポイントやノウハウが詰め込まれているので、マニュアルを参考に営業活動を進めることで成果を高めることができます。

本記事では、営業マニュアル作成におけるポイントや手順を詳しく解説します。

営業マニュアルとは?

営業マニュアルとは、営業活動の流れや営業で成果を出すためのノウハウなどがまとめられたものです。

営業活動では、顧客の購買意欲を刺激するトーク力や、顧客の課題を聞き出すヒアリング力など、さまざまな営業スキルが必要になります。しかし営業活動が属人化している組織では、営業担当者一人ひとりの営業スキルが均一ではないため、成果にもバラつきが生じます。

そこで営業マニュアルを活用し、自社の営業プロセスやノウハウを理解することで営業のスキルを底上げでき、成果の均一化が実現します。

また営業経験がある人材を採用したとしても、業界や商材の特性が変わると営業業務も異なるため、即戦力として現場に出るのが難しいこともあります。そういった場合にも営業マニュアルがあれば、自社の業界や商材、ターゲットなどの理解が深まり、即戦力として活躍できるでしょう。

実際に営業現場へ行く前の事前準備をフレームワークで整えておくことも効果的です。詳しくは下記の記事をご覧ください。

関連記事:営業準備・商談の事前準備で使える4つの営業フレームワークとは?

営業マニュアル作成のメリット

営業マニュアルを作成しておくことで、以下のメリットが期待できます。

営業の属人化を防げる

営業マニュアルには、今まで培ってきた営業ノウハウや営業の型が詰まっています。

営業が属人化していると、受注につながりやすい営業ノウハウを持っていても、他の営業メンバーには共有されません。また営業の型も各営業担当者でバラバラなので、当然ながら成果にも差が生じてしまいます。

しかし営業のノウハウや型がまとめられたマニュアルがあれば、営業メンバー全員の営業の質が均一になります。一人ひとりの成果が高まれば、組織として大きな成果になるでしょう。

関連記事:営業の属人化はなぜ起こる?何が悪いのか、解消するためにやるべきこと

業務効率が改善できる

営業マニュアルにより、業務効率の改善にもつながります。

営業活動を進めるなかで「顧客からの無理な要望には、どう対応したら良いのだろう」「意思決定者にはどうやってアプローチしたら良いのだろう」といった疑問が生じます。こういった疑問を解決するために、上司や先輩社員に聞いたり、自分で過去の営業事例を調べたりしていると時間がかかってしまいます。最悪の場合、対応が遅れて失注するリスクもあるでしょう。

一方で、営業マニュアルがあればこれらの疑問をすぐに解決でき、スピーディに営業活動を進められます。上司や先輩社員も対応する時間を削減できるため、営業チーム全体の業務効率化が実現するのです。

関連記事:業務効率化とは?手法4つと成功事例、おすすめツールを紹介

コスト削減に繋がる

マニュアル作成は、コスト削減の効果も期待できます。

業務に関する疑問を解決するために上司や先輩社員に聞いたり自分で調べたりしていると、そのぶん営業業務が後ろ倒しになり残業時間も増えてしまいます。

また営業スキルにバラつきがあると、個々のスキル向上のための研修にも時間を割かなければならず、顧客へのアプローチや商談などの時間を充分に確保できません。

さらに新人営業が入社した際には付きっきりで教えなければいけなくなり、教育のための時間や労力の負担が非常に大きくなってしまいます。

しかし営業マニュアルがあればこのような時間を削減できるため、顧客対応のための営業時間を確保することができます。また残業時間を減らす効果もあります。結果として、人件費や教育費などのコスト削減につながるのです。

営業マニュアルに必要な項目とテンプレート

ここでは、営業マニュアルに必要な項目をご紹介します。ここで紹介する項目を、目次のテンプレートとして参考にしてマニュアル作成を行ってみてください。

営業活動の基本的な知識

営業パーソンとしての基本的な知識やスキルの情報は記載しましょう。具体的にはビジネスマナーと言われる電話・メールの作法、身だしなみやコンプライアンスについての情報や、スキル面では、プレゼンテーションスキルや市場動向などの情報を記載すると良いでしょう。

顧客の信頼を失わないために最低限必要な情報を盛り込んでおくことが重要です。

自社商材の情報

自社商材の理解なくして、営業は務まりません。具体的な内容としては、自社商材の特徴や競合との比較、ターゲット層、事例の説明などは必ず入れた方が良いでしょう。

自社商材の理解が深まれば、その分成約率も高まります。

複数のトークスクリプト

状況ごとのトークスクリプトをまとめておくことも有効です。顧客の受注確度の違いによって、複数のアプローチ方法をあらかじめ記載しておくことで、アプローチの違いによるズレがなくなり、成約率の向上が見込めます。

また、営業に対して不安を抱えている社員にとって、トークスクリプトがあることで、商談の流れや会話の進め方が明確になっていることは大きなメリットとなります。

顧客管理の方法

それぞれの社員が抱えている顧客情報を管理するためのルールも明記することをおすすめします。

顧客管理が適切になされていないと、見込み顧客の取りこぼしや重複、引き継ぎの際のトラブルなどの問題につながる可能性があります。

SFA/CRMなどのツールを利用している場合、入力方法や分析、管理の操作方法までマニュアル化されていると、利用の定着に繋がります。

トラブルへの対処方法

トラブルやクレームが発生した際にどのように対処するかも内容に盛り込みましょう。具体的には、トラブル発覚時からの連絡経路や、その後の対応方法についてです。

マニュアルとして明記されていることで、迅速な対応が可能になり、更なるトラブル発生を防ぐことができます。また、過去に起こったトラブルとそれに対する対処方法を記載すれば、同じトラブルの発生は無くしやすくなります。

営業マニュアルの作り方

行き当たりばったりでマニュアルを作成しても、本当に役に立つものには出来上がりません。営業部内の生産性を向上させる営業マニュアルを作成する際には、以下の手順を意識して進めましょう。

マニュアル作成の目的を明確にする

マニュアル作成前に、目的を明確にしておきましょう。目的や対象者に応じてマニュアルの内容も異なるため、事前に方向性を定めておかなければ的外れな営業マニュアルになってしまいます。

たとえば新卒の営業社員向けのマニュアルの場合、名刺交換や見積書作成など基礎的な内容を盛り込む必要があります。また時代の変化で変わることがないと思われる業務なので、動画で作成しても問題ないと判断できます。

一方、チーム全体の営業力を底上げする目的で作成する、営業社員全員に向けたマニュアルの場合は、受注につながりやすい営業トークのコツなどのノウハウを入れると良いでしょう。

このように、目的や対象者によってマニュアルの内容や最適な形式が変わるため、事前に目的を明確にしてください。

関連記事:営業管理とは?6つの基本項目と効率的な管理方法を解説f

マニュアルの対象者を決める

先ほど、新卒の営業社員向けのマニュアルを例に出しましたが、そのマニュアルを誰が使用するのか、あらかじめ明確にして置くことが重要です。

逆に中堅社員向けのマニュアルの場合、盛り込むべき知識の内容が変わります。新卒社員向けのマニュアルを流用すると、知っている内容ばかりで時間が無駄にかかってしまう可能性があります。

作成する側も、対象が明らかな方が作りやすいというメリットがあります。

マニュアルの概要を作成する

目的が決まったからと言って、すぐにマニュアルを作成するのは避けましょう。後から「この項目も必要だ」「これはあまり意味がない項目だから削除しよう」などと、大きな修正作業が発生することになり、リソースが無駄になってしまうからです。

そのため、まずはマニュアルに入れる項目を洗い出した概要の作成をおすすめします。概要を作ることでマニュアルの内容を整理できます。

概要は、実際にマニュアルを利用する営業メンバーに確認してもらいましょう。実際の現場のニーズとすり合わせ、必要と思われる項目を追加します。

トークスクリプトをマニュアルに落とし込む

トークスクリプトがある場合は、マニュアルの中に落とし込むことがおすすめです。営業マニュアルのほかにトークスクリプトの資料もあると、運用に手間がかかり煩雑になります。

営業電話や商談のトークスクリプトはマニュアルの内容に含み、営業メンバーが運用しやすいよう工夫しましょう。

関連記事:トークスクリプトとは?意味や作り方・営業で使える有能ツールも紹介

営業マニュアル作成のポイント

営業マニュアルを作成する際には、以下の3つのポイントを意識しましょう。

新入社員でも分かりやすい表現にする

営業マニュアルは、社歴や経験年数に関係なく活用するものです。専門用語が多すぎる文章や、専門知識がなければ理解できない内容では、マニュアルを充分に活用できません。

新入社員でもすんなりと理解できるように、内容を工夫しましょう。必要に応じてイラストや表などを使うと、さらに分かりやすくなります。

情報共有・アクセスのしやすさを重視する

営業マニュアルを作成するときは、クラウド上で共有できるファイルで作成するのがおすすめです。

ExcelやPowerPointでも作成できますが、内容を更新するたびにファイルを差し替えなければいけません。ゆえに差し替えるのを忘れたり、間違って前のファイルをアップロードしたりするリスクもあります。

また特定のパソコンでしか営業マニュアルを閲覧できないと、手軽にマニュアルにアクセスできずに内容の確認が遅くなってしまうこともあります。

そのため、リアルタイムで情報の更新が反映されるクラウド上のファイルで作成したり、クラウドストレージに保管したりするなど、情報共有やアクセスがしやすいよう構築しましょう。

関連記事:営業情報共有ツール3選!導入の目的と効果

マニュアル内容を継続的にアップデートする

営業マニュアルは一度作って終わりではありません。

営業マニュアルを運用していくうちに、新しいノウハウを構築できたり、より効果の高い方法を発見できたりします。

そのため継続的に内容を見直し、ブラッシュアップしていきましょう。

また、時代の変化によって消費者のニーズも変わってくるため、時代に合わせて営業活動も変える必要があります。

以前の営業ノウハウが通用しなくなることもあるので、PDCAサイクルを回しながら定期的な見直しが必要です。

関連記事:効率的にPDCAサイクルを回す3つのコツを紹介

営業マニュアルの運用・効果測定方法

「営業マニュアル作成のポイント」でも解説したとおり、営業マニュアルは作成して終わりではなく、継続的にブラッシュアップしていく必要があります。

そのためには定期的に効果測定を行い、営業マニュアルが本当に営業活動の役に立っているのか検証しましょう。

営業メンバーへのヒアリング

まずは営業メンバーへのヒアリングが重要です。実際に利用している営業メンバーに使いやすさを聞き、改善ポイントがないか検証します。

また、マニュアルの精度を高めるために、追加してほしい項目がないかも確認しましょう。

定量的な分析を行う

定性的な効果測定だけでなく、定量的な視点も必要です。売上金額や受注数、アポイント率やリードタイムなどのデータが改善されていれば、営業マニュアルの効果が出ていると判断できます。

また営業部全体だけでなく営業担当者一人ひとりのデータを見ていくと、マニュアルを活用できている人とできていない人の成果を比較できます。

ただし、営業マニュアルを作成したからと言ってすぐに効果が出るわけではありません。徐々に成果が向上してくるものなので、長期的な視点で取り組みましょう。

弊社が提供しているSFA/CRMの「Mazrica Sales」では、アポイント率やリードタイムなど、営業フローに関する数値を蓄積し、分析することで営業マニュアルの効果測定に役立てることが可能です。

さらに、営業担当者の入力負荷を下げるために使いやすさにこだわっているため、現場に定着しやすいSFA/CRMとなっています。

営業マニュアルの効果測定で営業組織の成果を上げたい方は是非以下の資料をダウンロードしてみてください。

▶︎▶︎営業マニュアル運用に最適なSFA/CRM「Mazrica Sales」の概要資料はこちらから

終わりに|営業マニュアルで営業力を底上げしよう

営業活動は明確な正解がないため、対応に悩んだり判断を迷ったりすることも少なくありません。そのようなときにヒントとなる営業マニュアルがあれば、対応や判断のスピードもアップし成果にもつながります。

社内の営業ノウハウを蓄積する意味でも営業マニュアルは有効です。成功しやすいパターンをマニュアル化しておけば、営業部全体の営業力底上げも実現するでしょう。

ぜひ今回紹介した内容を参考に、営業マニュアル作成に取り組んでみてください。

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