ビジネスパーソンの心と身体は日々の業務で疲弊しています。

忙しい毎日ですが息をつく暇もないほど働きすぎることは長い目で見るとパフォーマンスに悪影響を及ぼすことでしょう。疲れを癒し集中力を高める方法があれば最高ですよね?

本記事では、マインドフルネスについて解説し、マインドフルネスの状態になれる方法と、組織風土改革への応用についてご紹介いたします。

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マインドフルネスとは?

マインドフルネスとは?|実践方法と企業への導入例 | Mazrica Sales (旧 Senses) Lab.|1

私たちは、実は多くの時間、過去や未来のことを考えながら生きています。特に、過去の失敗や未来の不安といったネガティブなことほど考えを締める時間が長くなりがちです。

つまり、自分自身で不安やストレスを増幅させてしまっているのです。こうした心ここにあらずの状態から抜け出し、心を「今」に向けた状態を「マインドフルネス」といいます。

マインドフルネスの状態に到達する手段として、瞑想が行われます。マインドフルネス瞑想は、脳を活性化させ、ストレスをたまりにくくしたり、仕事のパフォーマンスを上げる効果があり、医学やビジネスの世界で大きな注目を集めています。

IT企業を中心に、マインドフルネス瞑想を社員研修に取り入れる会社も増えています。

マインドフルネス瞑想において最初に目指すべき状態は、「フロー・ゾーン状態」です。フロー・ゾーン状態とは、リラックスかつ集中している状態のことです。

まず初歩的なマインドフルネスのやり方をマスターすれば、誰でもすぐにフロー・ゾーン状態に入ることができます。

次では具体的な要素をお伝えします。

関連記事:仕事に集中する方法とは?仕事が捗らない時は【集中タイム】で効率化

マインドフルネスの要素と効果

マインドフルネスの重要な要素

マインドフルネスについては、多くの人が様々な定義を提唱していますが、それらには共通する以下の2つの要素があります。

1. 判断をしない
自分の今の状態がどのようなものであっても、評価や判断を一切せず、完全に受け入れる気持ちでその状態をありのままに観察します。

自分の今の状態を判断せずに受け入れ、ありのままでいることができるようになると、出来事や自分の状態をはっきりと見ることができるようになり、適切に対応できるようになると考えられています。

2.「今この瞬間」に意識を向ける
マインドフルネスの概念では、私たちは普段、身の回りの出来事などに対して自動的に反応したり、過去や未来のことを考えたりして、多くの注意力を浪費していると考えます。

「今この瞬間」に目を向けると、外部の出来事に気を取られなくなるため心が穏やかになり、洞察力が高まるとされます。

また、浪費していた注意力を集めて利用することにより、以前なら不安や恐怖に襲われていた状況においても、より冷静に対処できるようになると考えられています。

簡単なマインドフルネス瞑想の方法

代表的な5種類の瞑想法のうち、ここでは簡単にできる3種類のマインドフルネス瞑想についてご紹介します。

・静座瞑想法
頭と首と背筋が一直線になるよう、椅子や床に垂直に座り、注意を呼吸に集中します。1日1回、10分から始め、30分以上集中できるようになるまで少しずつ時間を伸ばしていきます。

ある程度の時間、呼吸に集中できるようになったら、次は注意を体全体や浮かんでくる思考に向けます。最後の段階では意識を完全に解放し、注意を何にも向けずにただ座っている状態になります。

・ボディー・スキャン
横たわって目を閉じ、注意を呼吸に向けながら、体の様々な部分にも順番に向けていきます。

左足の先から足の付け根、右足の先から足の付け根、骨盤から胴体を上方向へ移動して肩へ、次に両手の指先から肩へ、首から顔、後頭部へと注意を向ける部位を移動させていき、最後に頭の頂上に向けます。

注意を向けている部位が感じている感覚や、生じてくる思いを感じ取ります。

・歩行瞑想法
私たちは、日常生活の大半を無意識のうちに過ごしています。歩行瞑想法は、日常生活の中でも注意を集中するための訓練法です。

周りの景色を見ずに視線を前方に固定して、普段より少し遅い速度で歩きながら、呼吸や足の感覚、体全体の動きや、自分の内部に生じてくる感覚に注意を集中します。

マインドフルネスの効果

先ほどご紹介したマインドフルネス瞑想によって、マインドフルネスの状態になったことによりどのような効果が期待されるのでしょうか?

マインドフルネスの効果を5点解説いたします。

・記憶力と学業成績を向上させる
心理学関連ブログ PsyBlogによると、ある研究では学生に注意力を鍛える訓練を行ったところ、集中力と短期記憶力の向上といった効果が見られました。GRE(大学院進学適性試験)のような、対策が難しいとされる試験の成績すら良くなったそうです。

・減量や健康的な生活に役立つ
マインドフルネスの考え方を食事に当てはめれば、五感をフルに使いながら、一噛み一噛みを意識してゆっくり食べることになります。米ハーバードメディカルスクール、米誌Women’s Healthによると、この食べ方を実践した被験者たちのカロリー摂取量は、空腹時でさえ、対照グループに比べて低く抑えられました。

・意思決定能力を高める
英国心理学会のブログによると、いくつかの実験によって、マインドフルネス瞑想を実施した人や、もともと性格的にマインドフルネスの状態に近い人は、「サンクコストの誤り」を免れているという相関関係が確認されました。

ちなみにサンクコストの誤りとは、それまでに費やしたエネルギーや時間を惜しんで、先の見込みのない交際や仕事にしがみついてしまう傾向のことを指します。

・ストレスを減らし、慢性的な健康問題の改善を助ける
専門誌Journal of Psychosomatic Researchによると、20の実証研究を対象にしたメタ分析によって、マインドフルネスは、慢性疼痛、がん、心臓病などの患者の心身の健康をいずれも改善させることが明らかになりました。

・免疫力を高め、脳に好ましい変化をもたらす
専門誌Psychosomatic Medicineに掲載された研究では、実験協力者に8週間に渡ってマインドフルネス瞑想を指導し、その前後に脳の活動を測定したことによって証明されています。

それでは次に、マインドフルネスをビジネスに活かす方法をお伝えします。

マインドフルネスのビジネスへの応用

マインドフルネスとは?|実践方法と企業への導入例 | Mazrica Sales (旧 Senses) Lab.|2

マインドフルネスの企業への導入事例

ストレス解消や集中力向上にも繋がるマインドフルネスですが、企業の実際の導入事例について3つご紹介します。

・社員からボトムアップでマインドフルネスを始めた株式会社メルカリ
フリマアプリで知られる株式会社メルカリですが、仕事の効率を上げるために、社員からのボトムアップでマインドフルネスの部活動が始まりました。

社内報でもその様子は掲載され、「実際にモニターを見ながらの作業が多い中でも集中力が途切れがちな時に、リフレッシュできる」と社内でも業務効率アップを実感する声が多く上がっています。

・スティーブ・ジョブズのこだわりが息づくApple
Appleの創始者、スティーブ・ジョブズもマインドフルネスが持つ創造性を高める効果に着目し、技術者に瞑想の実施を推奨しています。社内に瞑想ルームが完備され、瞑想やヨガの講習を実施。

職務時間内の30分を瞑想に使って良いというルールがあり、スティーブ・ジョブズのマインドフルネスへのこだわりは彼の死後も受け継がれています。

・日本で初めてマインドフルネスを研修で導入したSansan株式会社
名刺管理ツールで有名なSansan株式会社は、日本企業として初めてマインドフルネスを使った研修を行いました。

社員一人一人が今起こっている状況に注意を向け、過去や未来ではなく「今」に集中することでパフォーマンスを向上させることを目的とし、「研修を通して自分の価値観を再認識することに繋げられた」との声もありました。

組織風土とマインドフルネス

組織風土においてもマインドフルネスはとても重要です。

ビジネスパーソンが自分の感情や思考に気づかないまま知識やスキルを身につけていったとしても、自分の感情や思考をマネジメントできなければ、メンタルに支障をきたす恐れがあります。

組織をコンピューターに例えると、様々なアプリケーションを次々とインストールしていったとしても、OS(感情や思考のマネジメントスキル)を更新しなければ、多くのビジネスパーソンがバーンアウトしてしまいます。自分の感情や思考への気づきの力を深めることがOSのバージョンアップになるのです。

そして、組織のリーダーは、自分の組織風土の特徴に気付けなければ、より良い方向へ導くことはできません。

関連記事:リーダーシップとは?種類や10の必要スキルと取るべき8つの行動

自分の組織に対する気づきと自己開示はリンクしています。組織のリーダーが、自分の属する組織風土に気づき、自己を開示することで、リーダーが自分にも他者にも開いた存在になります。

そうなることで組織全体にも開示の文化が生まれるのです。リーダーを含む個々のメンバーがマインドフルネスであることが、やがては組織風土の改善にも繋がります。

終わりに

日々の業務でビジネスパーソンは多かれ少なかれストレスが溜まっています。自分の感情や思考をおざなりにして働き続けるといずれ心身に不調をきたし、本末転倒になってしまいます。

マインドフルネス瞑想を実践して自分や組織をマネジメントし、業務改善と組織風土を図っていきましょう。そして、風通しが良くなった組織で業務効率化や新たなノウハウの導入でさらなる成果が期待できるでしょう。

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