MAツール(マーケティングオートメーションツール)は、マーケティング活動を自動化し、業務を効率化できるツールです。しかし、運用による成果を最大化するには、最低限の知識やスキルが求められます。また、重要な指標を確認することで、より効果的な施策を実施できるでしょう。
そこで本記事では、MAツールの運用に求められる知識とスキルを4つずつ解説します。データ運用時に意識したい重要な効果指標もご紹介しますので、マーケティング活動の強化にお役立てください。
この記事の内容
MAツールの運用に必要な知識
MAツールの運用に必要な知識は以下の4つです。
- マーケティングに関する知識
- HTMLやCSS、JavaScriptの知識
- ITの基礎知識
- データ型に関する基本的な知識
どのような知識が求められるのかを具体的に解説します。
マーケティングに関する知識
MAツールの運用を行う際は、その前提として顧客行動や心理を理解したマーケティングに関する理解が必要です。いかに高機能なMAツールを導入したとしても、マーケティング知識がなければ、データを活かしきれないからです。
マーケティングでは、ターゲットのニーズや購買行動を把握し、適切なコンテンツを提供して顧客育成を行います。そのため、新規顧客獲得を目指すリードジェネレーションや購買意欲を醸成させるリードナーチャリングに関する知識が求められます。
また、データ分析や改善スキルを活かして、自社独自のカスタマージャーニーの設計や施策の最適化により、ROI(投資利益率)の向上を目指すことも必要です。マーケティングについては、次の記事も参考にしてください。
関連記事:マーケティング戦略とは?立案手順とフレームワーク・事例を解説
HTMLやCSS、JavaScriptの知識
Webマーケティング施策において、WebサイトやLPの構築・運用は不可欠です。近年は、ドラッグ&ドロップでWebを構築できるMAツールも増えている一方で、運用には、最低限のHTMLやCSS、JavaScriptの知識が必要です。
MAを運用してコンバージョンを獲得するには、UIやUXの最適化が必要であり、技術的視点と顧客導線の最適化のためのユーザー視点が求められます。また、トラブル発生の原因がフロントエンドかバックエンドにあるのかを探るために、システムの仕組みへの理解も重要です。
ITの基礎知識
MAツールはシステムであるため、ITの基礎知識をもっていることが運用の前提条件になります。例えば、IP制限を行う場合は、グローバルIPとプライベートIPの違いや、SFTPサーバーの役割を理解しておく必要があるでしょう。
また、メールマーケティングを実施するケースでは、なりすまし認証に関連するSPFやDKIM、CNAMEなどのIT設定を理解したうえでメール配信を行うことが重要です。
データ型に関する基本的な知識
データ型に関する基本知識を持っておくことも、MAツールの運用を容易にします。
従来はデータ抽出にSQLプログラミングスキル(データ抽出・セグメントスキル)が必要でした。
しかし、現在のMAツールはその機能を内蔵しているため必須ではなくなっています。ただし、データ型に関する基本的な知識は依然として重要です。
データベースの基礎は、スプレッドシートに用いられるテーブル構造で、エクセル中級程度のスキルが求められます。
具体的には、データのルックアップやテーブル集計、関数の活用によるデータ型変換が必要です。
エクセルの操作に苦手意識がある人は、MA運用でのデータ管理や分析に苦労する可能性が高いため、まずは基本の理解に努めましょう。
MAツールの運用に必要なスキル
MAツールの運用には、さまざまなスキルが必要です。
MAツールの基本的な操作方法
MAツールは製品によってインターフェースや機能が異なるため、操作方法を習得することが運用に必須です。
MAツールの運用に求められる基本的な操作スキルには、シナリオ設定、セグメント作成、メール配信設定、フォーム作成、ランディングページ作成が含まれます。操作マニュアルやオンラインチュートリアルを活用すれば、効果的にツールの操作方法を学べます。
MAツールについては、次の記事も参考にしてください。
関連記事:MA(マーケティングオートメーション)とは?意味や導入メリット・おすすめのツールを紹介
マーケティング能力
MAツールは導入するだけでは成果が出ないため、導入前に自社のマーケティング戦略を明確に定義しておく必要があります。
具体的に検討すべき事項は、ターゲット顧客層、MAツールの導入により促進したい行動、測定指標などです。これらを洗い出し、実行可能なシナリオに落とし込みましょう。そのためには、先述したマーケティングの基礎知識をはじめ、顧客の行動心理やデータ分析力が求められます。
コンテンツ企画・制作
MAツールを活用するには、顧客に合わせた多様なコンテンツを用意し、アプローチする必要があります。例えば、メルマガやホワイトペーパー、ブログ記事、動画などです。
これらのコンテンツにより顧客の興味関心を惹きつけ、行動を促進するには、企画や制作のスキルも必須です。また、コンテンツの質は顧客エンゲージメントやコンバージョン率に大きく影響するため、SEO対策、コピーライティング、デザインスキルなど多様なスキルも求められます。
コミュニケーション能力
MAツールを運用するには、社内外の関係者とのコミュニケーションが不可欠です。顧客への一貫した価値提供を行うには、マーケティング部門だけでなく、営業部門やシステム部門との連携が必要だからです。
また、チームとして行動する際は、キャンペーンや施策のスケジュール管理、進捗管理、課題管理などの進行管理能力も求められます。
データマネジメント・データ分析
MAツールには大量の顧客行動データや属性データを収集・蓄積させるため、データマネジメントとデータ分析のスキルも必要です。
これらのスキルがあれば、データクリーニング、セグメンテーション、統計分析、効果測定などを通じてPDCAサイクルを回し、マーケティング活動を最適化できるでしょう。
MAツールの運用で確認しておきたい効果指標
MAツールの運用で確認しておきたい重要指標は以下の通りです。
- クリック率とサイト訪問者数
- コンバージョン率とコンバージョン数
- メールマガジンの開封率
各指標の定義と、MAツール運用において重要とされる理由を解説します。
クリック率とサイト訪問者数
クリック率(CTR)とは、メールや広告のリンクがクリックされた割合です。コンテンツの訴求力やターゲット層への適合度を評価できる指標で、CTRが高いほど、ユーザーの興味を引きつけ、行動を促す効果があると評価できます。
一方、サイト訪問者数は、MAツールによる施策を実施することでWebサイトに訪れたユーザー数です。CTRとサイト訪問者数を組み合わせて測定すれば、トラフィック増加の貢献度を把握できます。
これらの指標を改善するには、魅力的な件名の設定、顧客行動を促すCTAボタンの設置、ターゲットに合わせたコンテンツの掲載が重要です。
コンバージョン率とコンバージョン数
コンバージョン率(CVR)とは、ウェブサイトを訪れたユーザーのうち、目標行動(資料請求、購入、会員登録など)を完了した割合を示す指標です。CVRが高いほど、Webサイトがユーザーに魅力的であり、行動を促す導線が効果的に設計されていることを意味します。
一方、コンバージョン数とは、実際にコンバージョンに至ったユーザー数です。CVRと組み合わせることで、MAツールによる施策のビジネス目標達成への貢献度を把握できます。
コンバージョン率とコンバージョン数を改善するにはランディングページの最適化やフォーム改善、パーソナライズされたコンテンツ配信が重要です。
メールマガジンの開封率
開封率は、配信したメールマガジンが開封された割合を示す指標です。件名の魅力度や配信タイミングの適切さを評価でき、開封率が高いほど、ユーザーにメールの内容に興味を持たれ、読まれていることを意味します。
開封率の向上には、ターゲット層に合わせたセグメント配信、パーソナライズされた件名、魅力的なコンテンツ提供が重要です。また、ターゲットが読みやすい配信時間や配信頻度の調整も効果的です。
まとめ
MAツールを運用して使いこなすには、マーケティングに関する知識・スキルとツールの基本的な操作方法の習得が欠かせません。Webならではのトラブルを解決し、顧客に最適化された施策を行うためにもHTMLやCSS、IT、データ型など、Webマーケティングならではの知識を身につけておくと良いでしょう。
効果的な施策を打つには、魅力的なコンテンツ制作力、チームや社内各部門と連携を取るためのコミュニケーション能力も必要です。また、データマネジメントや分析力があれば施策を最適化でき、顧客の興味をより喚起できます。
本記事でご紹介した効果指標を参考にMAツールを活用し、マーケティング活動にお役立てください。