受注確度とは「営業活動の際に自社のサービスや商品を購入してもらえるかどうかを判断する基準」を意味する言葉です。
一言で「受注確度」といっても、人それぞれの基準があるため、チーム内で基準を統一する必要があります。基準に個人差があると、売上の機会を損失したり収益性自体が低下したりするリスクがあるためです。
そこで今回は、受注確度の概要や受注確度基準を統一するメリット・方法、さらに受注確度の管理ツールまでをわかりやすく解説します。
この記事の内容
受注確度とは
受注確度とは「営業活動の際に自社のサービスや商品を購入してもらえるかどうかを判断する基準」を意味します。「ヨミ」「商談確度」「案件確度」「契約確度」とも呼ばれます。
確度は「確かさの度合い」を意味する用語です。お客様が「どの程度の確率で自社のサービスや商品を購入してくれるのか?」を判断する基準とも言えるでしょう。
受注確度を自社内で統一することなく営業活動を続けていると、営業が属人化してしまったり、見込み顧客に対して適切なフォローができず、売上の機会損失にも繋がります。
そのため、決して簡単なわけではありませんが、受注確度の基準を組織内で統一する必要があります。
受注確度を管理をする4つのメリット
営業活動を行う際には、受注までの時間が長引いたり、案件が失注になることがあります。
受注までの時間の長期化や案件の失注の問題に対処するためには、受注確度の適切な管理が重要です。以下に、受注確度を管理する4つのメリットを解説します。
1. 成約の確率が高い見込み顧客に集中できる
受注確度を管理することで、注力する顧客の取捨選択が可能になります。
売れない営業パーソンの中には、成約率が低いお客様の対応や新規開拓に追われて成約率が高いお客様を逃してしまう場合があります。
しかし、確度管理をすることで、成約する確率が高い見込み顧客に集中できるわけです。
「このお客様は成約する確率が高いので、優先してアポイントを入れて早めに成約させよう」などの対応を取りやすくなります。その結果、成約率が上がる可能性があります。
関連記事:受注率を上げるには?受注率向上のための7つの方法とツールを紹介!
2. 成約の確率が低い見込み顧客に対応できる
受注確度がわかれば、成約可能性が低い顧客に無駄に時間をさく必要もなくなります。
毎月、飲食店に向けて食材を販売する問屋や原材料を販売するメーカーの場合は顧客が商品を買うことがわかっているため、確度管理をする必要があまりないかもしません。
しかし、住宅や生命保険の営業などスポット型の営業の場合、案件の確度管理は非常に重要です。
なぜなら、 「このお客様はどのくらいの受注確度なのか?」を判断しておかなければ、買う気のないお客様に延々と営業をしてしまうかもしれないからです。
例えば、以下のような状況で判断を早めにすることができます。
- 「この客様は予算的に成約する見込みがほとんどないので次回以降の商談はやめよう」
- 「あまり買う気が見えないので、次回の商談で反応が悪かったら次に行こう」
成約の確率が低い見込み客に必要以上に時間を割いてしまい、「営業活動している割には売上が上がらない」などと思うことが少なくなります。
ここで強調したいのは、決して「買う気がないなら目の前のお客さんにあまり時間を割かない方が良い」わけではありません。
もちろん目の前のお客様には誠心誠意対応していただきたいのです。
しかし、買う気がないことがほとんどわかっているお客様に何度も相談を持ちかけるのは他の新規開拓の時間をすり減らし、機会損失になってしまうので避けた方がいいケースもあります。
以下の資料では、住宅・不動産業界向けにデータを活用して成約率の高い見込み顧客を狙う営業手法について紹介しています。
▶︎▶︎【住宅・不動産業界におすすめ】データの力で「狙って」 受注できる強い営業組織の作り方
3. 営業戦略を練りやすくなる
受注確度の管理をすることによって成約に繋がりそうな顧客の数を把握できるため、営業戦略を立てやすくなります。
受注確度の高い見込み客に対して優先的に営業活動を行えば、すぐに受注につながる可能性が高く、成果が出やすくなります。
また、受注確度が低い見込み客に対しては、営業活動の優先度を下げたり、確度を引き上げる施策を検討したりするなどの判断ができるようになります。
効率的な営業活動が可能になるので、「受注確度の高い見込み客が多いから今月は新規開拓よりもヒアリングや資料づくりに専念しよう」、「受注確度が高い見込み客との商談に新人を同行させ、契約する様子を見学させよう」というように、人員の配置もしやすくなるでしょう。
例えば、以下のケースのように、状況に応じた営業戦略が立てやすくなります。
- 「今は受注確度が高い見込み顧客が少ないので、新規開拓に力を入れよう」
- 「今は受注確度が高い見込み顧客が多いため、営業部隊には新規開拓よりも資料を入念に作ったり、お客様のヒアリングをしたり、商談に注力してもらおう」
- 「受注確度が高い見込み客がいるので新人教育のために新人を同行させて契約する瞬間を見せてあげよう」
- 「受注確度が50%くらいの見込み客がいるが、月末で数字が欲しいところだからクロージング率が高い営業スタッフを担当につけよう」
関連記事:営業戦略の立て方とは?5つのステップとフレームワークを解説
▶︎▶︎【営業パーソン必見】オンラインでも売上を作り続けられる営業組織とは?
4. 売上予測がしやすくなる
自社の案件の確度管理をすることによって、「いくらの案件が上がりそうか?」の数字の見通しも立てやすくなるため、売上を予測しやすくなります。
売上予測とは、過去のデータに基づいて特定の期間の売上を見積もることを指し、企業の経営判断や予算配分、人材管理などで活用されます。
売上予測は経営判断に直結する重要なデータであるため、その精度や正確性が求められます。
ただし、受注確度の低い案件と高い案件を同じ基準で売上予測に反映すると、結果にばらつきが生じ、正確な予測が難しくなってしまいます。
そこで、受注確度のランクを設けて案件を分類することで、確実に受注できる案件のみを売上予測に反映できるようになり、より精度の高い予測が可能となります。
正確な売上予測が得られれば、営業担当者も売上目標に対して必要な案件数を把握でき、具体的な行動目標に落とし込みやすくなるでしょう。
関連記事:売上目標の正しい立て方とは?売上目標が未達成になる原因と3つの施策
受注確度の管理方法
次に、受注確度を管理する方法を解説します。
- BANT情報で基準を設定する
- ABCランクごとにグルーピングする
- グルーピングしたリストを作成・管理する
- 複雑な営業プロセスにはMEDDICを導入する
順番に見ていきましょう。
1. BANT情報で基準を定める
受注確度の基準を決める上で参考になる考え方は、以下4つの情報の頭文字を取った「BANT情報」です。
特に法人営業では、上記の4つが揃わないと成約に至らないとも言われています。ですので、受注確度は上記の4つが揃っている案件かどうか?を基準にするのがおすすめです。
基準が統一されていないと、「受注確度が高いと報告を受けていたのに、全然成約が取れない」状態にもなりかねません。また、受注確度が統一されていない状態では、正確な売上の予測や的確な営業戦略を立てることが難しいでしょう。
受注確度の統一がされていなければ、そもそも確度管理をしている意味があまりなくなってしまいます。
例えば、土地を商材として営業活動を行っている会社の場合、設定するBANT情報は以下のようなものが考えられるはずです。
- Budget(予算)…〇〇万円(土地の購入に十分な予算)
- Authority(決裁者)…土地の購入を決める権利を持っている
- Needs(必要性)…家を建てるための土地がほしい(他社には聞いていない)
- Timeframe(導入時期)…来月
BANTの内、「どれくらいの条件を満たしていれば、確度がどうなるのか?」を設定すればよいわけです。このように確度を設定していけば、営業パーソンによって基準が異なってしまっている…なんてことも起こりません。
商材が同じでも、受注確度が統一されているか否かで営業活動の効率は変わってきます。営業パーソン個人の主観に頼らずに、ぜひ確度は統一してみてくださいね。
関連記事:BANTとは?営業が知っておくべきフレームワークを解説
2. ABC分析 で受注確度ごとにグループ化する
BANT条件で基準を設定した後は、受注確度の高さごとに顧客をグルーピングします。グルーピングする際は、ランクごとに分けるのが有効です。
カテゴリ | 受注確度 | BANT条件の満たす条件数 |
---|---|---|
A | 9割以上 | 3つ以上 |
B | 5~7割 | 2つ以上 |
C | 2割程度 | 1つのみ |
Aランクの場合は受注確度が高いので、すぐにでも商談の機会を設けてクロージングまで進めましょう。BやCランクの場合は何かしらの条件が欠けているので、すぐにアプローチするのではなく、欠けている要素を解消するところから始めます。
ランク分けを行うことで、見込み客の受注確度を客観的に判断しやすくなり、社内での情報共有もスムーズに進みます。
企業のノウハウや指標を活用して、3段階ではなく5段階に細かくグループ分けをするなど、より精密な分類を行うのも効果的です。
受注確度を高めるためには、BANT条件の4要素すべてを満たす必要があります。自分が新しい商品やサービスを購入する立場になって考えると理解しやすいでしょう。
もしBANTのいずれかの要素が欠けていて、「B」や「C」のランクに分類される場合、すぐに売り込みをかけるのではなく、別のアプローチ方法を検討することが重要です。
多くの顧客が関心を持つのは、自社の課題解決や業務の効率化、事業拡大にどれだけ貢献できるかという点です。顧客のニーズをしっかりと引き出し、それに沿った適切な提案を行うことで、確実な受注へとつなげることができます。
たとえば、B(予算)が欠けているのであれば、担当者は導入に前向きであっても組織としてサービスに関心がない可能性があります。また、A(決裁者)が欠けている場合、決定権を持った人に商談に同席してもらうように促しましょう。
関連記事:ABC分析とは?|在庫管理を行いやすく仕事を効率化する方法
3. グルーピングしたリストを作成・管理する
なお、グルーピングした後にリストを作成すると、情報を可視化できて管理が楽になるのでおすすめです。
リストを作成する際には、Excelを使用する場合が多いでしょう。しかし、Excelではデータが散在しており見通しが悪いため、受注確度を社内で統一管理できるツールを活用することをおすすめします。
Mazrica Salesの案件ボードを利用すれば、受注確度やフェーズだけでなく、分析レポートなどを一元管理し、案件ごとの売上や粗利を可視化できます。
営業の進捗状況が案件ボードで直感的に把握できるため、対応漏れやトラブルにも早期に対応できるでしょう。
関連記事:【Mazrica Sales活用事例】Excel管理から脱却し営業活動を効率化する方法
4.複雑な営業プロセスにはMEDDICを導入する
BANT情報よりも詳しく取引先企業について理解できるフレームワークがMEDDICです。商談前のヒアリングや初回商談でBANT情報を抑えることは可能ですが、大型商談など関係者が多い場合には、MRDDICのようなフレームワークも有用です。
具体的には、以下の項目をヒアリングします。
- Metrics:測定指標
- Economic Buyer:決裁者
- Decision Criteria:意思決定基準
- Decision Process:意思決定プロセス
- Identify Pain:課題
- Champion:擁護者
決裁者だけでなく擁護者や意思決定プロセスなども把握することで、最適なタイミングで最適な人物にアプローチできます。
受注確度の管理を効率化するおすすめツール
受注確度の管理には、以下の代表的なツールがあります。「CRMツール」「MAツール」「SFAツール」をそれぞれ紹介します。
CRMツール(顧客関係管理)
CRMとは、「Customer Relationship Management」の略で、顧客関係管理・顧客関係システム・顧客管理システムなどを意味します。
CRMを導入することで、顧客データを一元管理し、業務を効率化・最適化できる上、蓄積されたデータを分析することで、次なる施策の一手を生み出すためのインサイトを得ることができます。
関連記事:CRMとは?導入メリット・機能や選び方とツールも紹介
MAツール(マーケティングオートメーション)
MA(マーケティングオートメーション)とは、「Marketing Automation」の略称であり、CRMシステムの中でも見込み顧客を管理し、アプローチを自動化するマーケティングツールです。
見込み顧客に対して、適切なタイミングで必要な情報を提供することで、温度感の高いリードを営業に引き継ぐことが可能になります。
関連記事:MA(マーケティングオートメーション)とは?意味や導入メリット・おすすめのツールを紹介
▶︎▶︎【無料ダウンロード】BtoBビジネスのためのMAツールの選び方とは?
SFAツール(営業支援ツール)
SFAとは、「Sales Force Automation」の略語で、営業支援ツール・営業支援システムを意味します。
SFAは企業の営業活動全般を支援する方法、およびツールを指し、商談開始から受注までの営業情報の可視化と共有をサポートします。
関連記事:SFAとは?CRM・MAとの違いや選び方と営業の成功事例まで解説
弊社で開発しているSFA/CRM「Mazrica Sales」は、SFAとCRMの機能を併せ持つツールです。
管理者だけでなく現場の入力負荷も軽減し、直感的なわかりやすいデザインのため、ITツールが得意でない方でも簡単に操作することができます。
特にMazrica Salesで特徴的なのは以下の「案件ボード」とAI機能です。
案件ボードは上記のように案件がカードごとにまとめられたものであり、一目で案件の情報を直感的に確認することができます。 アクションの期間が空くほど色が青→黄→赤と変わっていくので顧客フォローの見逃しもありえません。
また、受注確度の確認にぴったりなのがAIの機能の1つ「インサイト」機能です。
正式なリリース前の試験期間に92%の正確性を叩き出した、AIによる受注予測判断機能です。 AIの機能としては主に3つあります。
- 契約確度の予測
営業案件の現状の契約確度を分析し、想定されるリスク要因とともに提示 - 類似案件の抽出
過去の事例を情報として活用し、類似の受注案件を提示 - 次のアクションをおすすめ
現状から受注に近づけるために有効な、次のアクションを提示
「それぞれにおいて受注率を判断し、受注率を上げるためにどうすればいいか?」の考えに立ってAIが次のアクションの提示を行ってくれます。
SFAツールは、受注確度の管理を効果的にサポートし、ビジネスプロセスを効率的に改善することが期待できます。
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受注確度を高める3つのコツ
受注確度を高めるコツは以下の3つです。
- 自社と顧客の情報を整理する
- 顧客と積極的にコミュニケーションを取る
- 管理ツールを導入する
順番に解説します。
1. 自社と顧客の情報を整理する
まずは、マーケット(市場)の需要や競合、自社のポジションを把握しましょう。競合と比較して欠けている点や、改善の余地があるところを探します。
質の低いサービスを提供しても受注確度は上がらないためです。
続いて、顧客の属性やニーズを整理するフェーズに入ります。
顧客の悩みを把握していないと、自社のサービスが適しているかわかりません。課題を解決できるのか論理的に説明することで、成約につなげられるでしょう。
営業の質を高めるためには、営業リスト作成ツールの活用が効果的です。
関連記事:営業リスト作成ツール9選!選び方や活用方法を解説【無料あり】
2. 顧客と積極的にコミュニケーションを取る
受注確度を高めるためには、顧客に信頼してもらうことが不可欠です。
積極的にコミュニケーションを取って信頼を獲得していれば、サービスを導入してもらえる可能性を高められるでしょう。
また、顧客の情報を整理して悩みやニーズを拾う意味でも、ヒアリングが大切です。積極的にコミュニケーションをとることを心がけてみてください。
受注確度を社内で統一管理するならMazrica Sales
どこの企業も営業リソースは限られているため、できるだけ有効に使いたいところです。
受注確度の基準を決めて活動していれば、成約の確率が高いお客様に時間を集中して使ったり、 成約の確率がほとんどないお客様に必要以上に時間をかけてしまうミスを防ぐことができます。
SFAのようなツールを使えば、社内で統一した基準のもと受注管理ができるようになります。「受注確度の管理を取り入れたいけど、なかなか社内に考え方が定着しない」方はSFAへ投資してみてはいかがでしょうか。
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