「受注確度」とは、営業活動において「自社の商品やサービスを顧客に購入してもらえる可能性」を判断するための指標です。
受注確度を示す基準が明確でないと、営業担当者ごとに判断が異なり、成約の見込みが高い案件を見逃したり、見込みの低い案件にリソースを割きすぎてしまう可能性があります。
本記事では、受注確度の基本的な考え方から、基準を統一するメリットと具体的な方法、さらに効果的に受注確度を管理できるツールまでをわかりやすく解説します。
この記事の内容
受注確度とは
「受注確度」とは、営業活動において「顧客が自社の商品やサービスをどの程度の確率で購入してくれるか」を判断する基準のことです。「ヨミ」「商談確度」「案件確度」「契約確度」などとも呼ばれ、営業プロセスの中で見込み顧客の成約可能性を評価するために用いられます。
「受注確度」の判断基準が営業担当者ごとに異なる場合、以下のようなリスクが生じます。
- 営業活動の属人化: 経験や感覚に依存し、標準化された営業プロセスが確立できない。
- 適切な顧客フォローの欠如: 確度の低い案件に過剰な時間を割き、成約の可能性が高い案件へのフォローが不足する。
- 売上の機会損失: 正確な成約見込みが把握できないため、成約率の低下や営業戦略の見直しが遅れる。
上記のリスクを防ぐためには、組織全体で「受注確度」の定義を統一し、共通の判断基準を設けることが重要です。
受注確度を管理をする4つのメリット
営業活動では、受注までの時間が長引いたり、案件が失注するケースが少なくありません。こうした課題を解決するためには、受注確度を適切に管理し、営業活動の優先順位を明確にすることが重要です。
ここでは、受注確度を管理することで得られる4つの具体的なメリットを解説します。
1. 成約の確率が高い見込み顧客に集中できる
受注確度の管理を行うことで、成約見込みの高い顧客を優先的にアプローチできるようになります。 営業活動の現場では、成約見込みが低い案件に過剰なリソースを割いてしまい、本来優先すべき顧客へのフォローが手薄になるケースがあります。
受注確度を把握すると、以下のような行動が可能です。
- 成約見込みが高い顧客に早めにアプローチし、商談のスピードを加速させる
- 優先すべき顧客を可視化し、リソースを効果的に配分する
この結果、営業効率の向上や成約率の改善が期待できます。
関連記事:受注率を上げるには?受注率向上のための7つの方法とツールを紹介!
2. 成約の確率が低い見込み顧客の適切な対応が可
受注確度が低い顧客に対しても、適切な対応方針を取ることが可能です。
確度の低い案件に時間を割きすぎると、他の成約見込みの高い案件の機会損失につながります。受注確度を管理することで、以下のような判断が容易になります。
- 予算不足や興味が薄い顧客への過剰なアプローチを防止
- フォローアップの優先度を下げ、より成約見込みの高い顧客に注力
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3. 営業戦略の立案が容易になる
受注確度を把握することで、営業戦略をより精度高く立案できます。具体的なメリットは以下の通りです。
- 短期的な売上向上: 確度の高い案件を優先的にアプローチし、成果を早期に出す
- 長期的なフォローアップ: 確度の低い顧客に対しては、教育的コンテンツの配布や、段階的なフォロー戦略を採用
さらに、商談データの可視化により、「今月は確度の高い案件が多いため、既存フォローを優先しよう」といった意思決定が可能になります。
関連記事:営業戦略の立て方とは?5つのステップとフレームワークを解説
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4. 売上予測の精度向上
受注確度の管理は、正確な売上予測のためにも欠かせません。受注確度の高い案件だけを売上予測に反映させることで、以下のような効果があります。
- より精緻な売上見通しの把握: 確度の高い案件をもとにした、正確な売上見込みの算出
- 経営判断の最適化: リアルタイムなデータに基づく、予算編成やリソース配分の見直し
また、受注確度のランク付け(例:A/B/C評価)を導入することで、より客観的で精度の高い売上予測が可能になります。
関連記事:売上目標の正しい立て方とは?売上目標が未達成になる原因と3つの施策
受注確度の管理方法
受注確度を管理することで、営業活動の効率化と成約率の向上が期待できます。ここでは、具体的な管理方法を4つのステップで解説します。
1. BANT情報で基準を定める
受注確度を判断するために有効なフレームワークの一つが「BANT情報」です。BANTとは以下4つの要素の頭文字をとったものです。
- Budget(予算):顧客に十分な購入予算があるか
- Authority(決裁者):意思決定権を持つ担当者が関与しているか
- Needs(必要性):顧客の課題解決に合致したニーズがあるか
- Timeframe(導入時期):導入時期が明確であるか
この4つの要素を基準に「どれだけ条件を満たしているか」を評価すれば、営業担当者ごとに異なる基準で判断してしまうリスクを防げます。
例えば、土地を商材として営業活動を行っている会社の場合、設定するBANT情報は以下のようなものが考えられるはずです。
例:土地販売の場合のBANT基準
- 予算:○○万円以上の資金がある
- 決裁者:土地購入の最終判断を下せる担当者がいる
- 必要性:住宅建設のための土地を探している
- 導入時期:1ヶ月以内に購入予定
BANT情報の要素をすべて満たしている場合、「成約確度が高い案件」と判断できるのです。
関連記事:BANTとは?営業が知っておくべきフレームワークを解説
2. ABC分析 で受注確度ごとにグループ化する
BANT条件を活用して見込み顧客の確度を評価した後、次に「ABC分析」を使って顧客を分類します。これにより、優先すべき顧客を視覚的に把握しやすくなります。
カテゴリ | 受注確度 | BANT条件の満たす条件数 | 概要 |
---|---|---|---|
A | 9割以上 | 3つ以上 |
受注確度が非常に高いため、すぐにクロージングを目指すべき案件。 |
B | 5~7割 | 2つ以上 |
条件が一部不足しているため、フォローアップが必要。 |
C | 2割程度 | 1つのみ |
成約の見込みが低いため、育成リストに登録するか、他の案件に注力。 |
ABC分析を取り入れることで、チーム内での情報共有が円滑になり、営業リソースをより効率的に配分できます。
関連記事:ABC分析とは?|在庫管理を行いやすく仕事を効率化する方法
3. グルーピングしたリストを作成・管理する
ABCランクで分類した顧客データを、一覧化したリストで管理すると効率的です。特に可視化することで、営業チーム全体での進捗管理や優先順位の把握が容易になります。
管理方法の例
- Excelでの管理:シンプルに一覧化。ただし、大量データには不向き。
- SFAツールの活用:Mazrica Salesのようなツールを活用すれば、案件の進捗状況や受注確度の自動分類が可能。
Mazrica Salesの案件ボードを利用すれば、受注確度やフェーズだけでなく、分析レポートなどを一元管理し、案件ごとの売上や粗利を可視化できます。
営業の進捗状況が案件ボードで直感的に把握できるため、対応漏れやトラブルにも早期に対応できるでしょう。
関連記事:【Mazrica Sales活用事例】Excel管理から脱却し営業活動を効率化する方法
4.複雑な営業プロセスにはMEDDICを導入する
BANT情報だけでは管理が難しい、大規模な商談や複雑な営業プロセスの場合、「MEDDIC」という高度なフレームワークの導入が効果的です。
MEDDICの6要素
- Metrics(測定指標):ビジネスの成果を測る指標
- Economic Buyer(経済的決裁者):最終的な意思決定権者
- Decision Criteria(意思決定基準):導入判断の基準
- Decision Process(意思決定プロセス):導入までの流れ
- Identify Pain(課題特定):顧客の抱える課題の特定
- Champion(擁護者):社内で提案を推進してくれる担当者
決裁者だけでなく擁護者や意思決定プロセスなども把握することで、最適なタイミングで最適な人物にアプローチできます。
受注確度の管理を効率化するおすすめツール
受注確度の管理には、以下の代表的なツールがあります。「CRMツール」「MAツール」「SFAツール」をそれぞれ紹介します。
CRMツール(顧客関係管理)
CRMとは、「Customer Relationship Management」の略で、顧客関係管理・顧客関係システム・顧客管理システムなどを意味します。
CRMを導入することで、顧客データを一元管理し、業務を効率化・最適化できる上、蓄積されたデータを分析することで、次なる施策の一手を生み出すためのインサイトを得ることができます。
関連記事:CRMとは?導入メリット・機能や選び方とツールも紹介
MAツール(マーケティングオートメーション)
MA(マーケティングオートメーション)とは、「Marketing Automation」の略称であり、CRMシステムの中でも見込み顧客を管理し、アプローチを自動化するマーケティングツールです。
見込み顧客に対して、適切なタイミングで必要な情報を提供することで、温度感の高いリードを営業に引き継ぐことが可能になります。
関連記事:MA(マーケティングオートメーション)とは?意味や導入メリット・おすすめのツールを紹介
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SFAツール(営業支援ツール)
SFAとは、「Sales Force Automation」の略語で、営業支援ツール・営業支援システムを意味します。
SFAは企業の営業活動全般を支援する方法、およびツールを指し、商談開始から受注までの営業情報の可視化と共有をサポートします。
関連記事:SFAとは?CRM・MAとの違いや選び方と営業の成功事例まで解説
弊社で開発しているSFA/CRM「Mazrica Sales」は、SFAとCRMの機能を併せ持つツールです。
管理者だけでなく現場の入力負荷も軽減し、直感的なわかりやすいデザインのため、ITツールが得意でない方でも簡単に操作することができます。
特にMazrica Salesで特徴的なのは以下の「案件ボード」とAI機能です。
案件ボードは上記のように案件がカードごとにまとめられたものであり、一目で案件の情報を直感的に確認することができます。 アクションの期間が空くほど色が青→黄→赤と変わっていくので顧客フォローの見逃しもありえません。
また、受注確度の確認にぴったりなのがAIの機能の1つ「インサイト」機能です。
正式なリリース前の試験期間に92%の正確性を叩き出した、AIによる受注予測判断機能です。 AIの機能としては主に3つあります。
- 契約確度の予測
営業案件の現状の契約確度を分析し、想定されるリスク要因とともに提示 - 類似案件の抽出
過去の事例を情報として活用し、類似の受注案件を提示 - 次のアクションをおすすめ
現状から受注に近づけるために有効な、次のアクションを提示
「それぞれにおいて受注率を判断し、受注率を上げるためにどうすればいいか?」の考えに立ってAIが次のアクションの提示を行ってくれます。
SFAツールは、受注確度の管理を効果的にサポートし、ビジネスプロセスを効率的に改善することが期待できます。
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受注確度を高める3つのコツ
受注確度を高めるコツは以下の3つです。
- 自社と顧客の情報を整理する
- 顧客と積極的にコミュニケーションを取る
- 管理ツールを導入する
順番に解説します。
1. 自社と顧客の情報を整理する
まずは、マーケット(市場)の需要や競合、自社のポジションを把握しましょう。競合と比較して欠けている点や、改善の余地があるところを探します。
質の低いサービスを提供しても受注確度は上がらないためです。
続いて、顧客の属性やニーズを整理するフェーズに入ります。
顧客の悩みを把握していないと、自社のサービスが適しているかわかりません。課題を解決できるのか論理的に説明することで、成約につなげられるでしょう。
営業の質を高めるためには、営業リスト作成ツールの活用が効果的です。
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2. 顧客と積極的にコミュニケーションを取る
受注確度を高めるためには、顧客に信頼してもらうことが不可欠です。
積極的にコミュニケーションを取って信頼を獲得していれば、サービスを導入してもらえる可能性を高められるでしょう。
また、顧客の情報を整理して悩みやニーズを拾う意味でも、ヒアリングが大切です。積極的にコミュニケーションをとることを心がけてみてください。
3. 受注確度管理ツールを導入する
最後に、受注確度を高めるためには、営業プロセスを可視化し、効果的に管理できるツールの導入が欠かせません。情報の整理やコミュニケーションだけでは、日々の営業活動のすべてを把握しきれない場合があります。そのため、専用の受注確度管理ツールを使って、商談状況や顧客の関心度を一目で把握できるようにすることが大切です。
たとえば、「Mazrica Sales」のような案件管理ツールを活用すれば、成約見込みの高い顧客を一元管理できるだけでなく、案件の進捗状況も視覚的に確認できます。これにより、成約確度の高い案件を優先的にフォローし、効率的な営業活動が実現できます。
また、受注確度管理ツールの導入によって、チーム全体での情報共有がスムーズになります。営業担当者ごとに異なる判断基準で行動するのではなく、データに基づいて誰でも同じ基準で案件を評価できるようになるため、営業成果のばらつきも抑えられます。
導入の第一歩としては、無料トライアルの活用がおすすめです。最初に顧客情報をツールに入力し、ABCランクなどで分類することで、案件の優先順位が可視化され、すぐに効果を実感できるでしょう。
【無料トライアル】
SFA/CRM・営業支援ツール『Mazrica Sales』は無料トライアルが可能です。以下のリンクよりお申し込みください。
受注確度を社内で統一管理するならMazrica Sales
どこの企業も営業リソースは限られているため、できるだけ有効に使いたいところです。
受注確度の基準を決めて活動していれば、成約の確率が高いお客様に時間を集中して使ったり、 成約の確率がほとんどないお客様に必要以上に時間をかけてしまうミスを防ぐことができます。
SFAのようなツールを使えば、社内で統一した基準のもと受注管理ができるようになります。「受注確度の管理を取り入れたいけど、なかなか社内に考え方が定着しない」方はSFAへ投資してみてはいかがでしょうか。
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