「テレアポも商談も頑張っているのに、なぜか売上に結びつかない」 「営業メンバーの努力が成果に繋がっておらず、どこを改善すべきか分からない」
このようにお悩みの営業マネージャーも多いのではないでしょうか? その原因は、努力の「量」ではなく「質」にあるかもしれません。
こうした営業の「ボトルネック」を発見し、チームの生産性を最大化する手法が「行動管理」です。
本記事では、営業組織における行動管理の重要性とメリットから、成果を出すためのPDCAサイクルの具体的な回し方、ExcelやSFA(営業支援ツール)を使った管理方法までを徹底解説します。
この記事の内容
- 営業における行動管理の定義と管理すべき数値データ
- 行動管理を行う必要性と具体的なメリット
- 成果を出すためのPDCAサイクルの回し方(KPI設定)
- ExcelとSFA(営業支援ツール)を使った具体的な管理方法の比較
この記事の内容
行動管理とは?

行動管理とは、アポ取りの電話や面談、メールなど、営業が取る行動を数値データに基づいて管理をすることです。
行動はフェーズに紐付き、またフェーズは案件に紐付きます。

見るべき、管理すべき主な数値データは、コール数、コールアポ数(率)、新規訪問数(率)、有効商談数(率)、 訪問受注数(率)などがあります。
その他にも、自社の営業スタイルに合わせて、できるだけ細かいプロセスに分けて数値を集計・分析することが必要です。
営業マネージャーの役割は、これらの指標を分析することで、各営業メンバーのボトルネックを発見し、改善策やアドバイスを実行させることで、メンバーが成果を出せるようにすることです。
関連記事:営業管理とは?営業で管理すべき6つのデータと管理方法・秘訣
営業の行動管理の必要性とメリット

行動管理なんかしなくても成果が出ているというメンバーやチームもあると思いますが、行動が思いつきや衝動的なもの、自分以外の行動の結果というのでは、どんな行動が成果に結び付くのかがわからず、再現性がありません。
そこで、「やらなければならないこと」、「やったほうがいいこと」については、やらざるを得ない仕組みをつくり、習慣化することが重要です。
そのためにも、行動管理をして行動量を把握し、成果を出すための行動パターンを見つけることが必要なのです。
これに加えて、マネジメントの立場から見ても以下の利点があるため、行動管理は必要不可欠だと言えます。
<行動管理の重要性>
- 自部門(チーム)の業績に責任を持つため
- 部下を育成・指導・統率するため
- 得意先・仕入先との信頼関係をつくるため
- 会社が目指す方向性を見失わずに、判断をするため
- 組織の活性化と人・物・金の管理を行なうため
- 問題解決を行なうため
<行動管理をするメリット>
- 部下の育成・指導がしやすくなる
- 顧客やパートナーとの関係構築がしやすくなる
- 会社の進んでいる方向性を捉えやすくなり、判断がしやすくなる
- 経営資源(ヒト・モノ・カネ)の管理がしやすくなる
関連記事:営業のタスク管理とは?方法とおすすめタスク管理ツールを紹介
行動管理のPDCAサイクル

行動管理においてPDCAを回していくことで、より効率的に営業活動ができ、成果に繋げていくことができます。
■Plan:行動ごとのKPI(重要業績評価指標)を明確にする
まず、営業プロセスを分解し、行動ごとに具体的なKPI(目標数値)を設定します。
この時、「できる営業(ハイパフォーマー)」の行動量を基準にすると、チーム全体のボトルネックが明確になります。
<営業プロセス別:行動管理KPIの設定例>
| 営業プロセス | 管理すべき行動(KGI/KPI) | 具体的な指標(例) |
| リード獲得 | ・新規架電数(コール数) | 1日100件 |
| ・アポイント獲得数(率) | 1日3件(獲得率3%) | |
| 商談化 | ・新規訪問数(商談数) | 1週間で15件 |
| ・有効商談数(率) | 1週間で10件(商談化率66%) | |
| 受注 | ・見積提出数 | 1ヶ月で20件 |
| ・受注数(率) | 1ヶ月で5件(受注率25%) |
このように、最終的な「受注数」をKGI(最終目標)とした場合、それを達成するために必要な「コール数」「訪問数」「見積提出数」などの行動量(KPI)を具体的に設定することが、行動管理の第一歩です。
これらの数値をSFA(営業支援ツール)でリアルタイムに可視化することで、マネージャーは「今週は訪問数がKPIに対して5件足りていない」といった具体的な指導が可能になります。
関連記事:KPIとは?営業のKPI設定方法とKGIとの違いを簡単に解説
■Do:営業活動を行う
■Check:数値を分析し、ボトルネックを見つける
KPIと実績数値を比較して、差が出ているところがないかどうかチェックします。
ここで差が出ている部分がボトルネックです。
■Action:改善策を立てて、実行する
どの行動がボトルネックになっているのかわかったら、それに対する改善策を立てます。
注意点としては、ボトルネックに対してさまざまな仮説・改善策が立てられるということです。
例えば、テレアポでアポが取れない場合。
キーマンにコンタクトできていないのか、それともキーマンにコンタクトしてからのアポイント率が低いのか、そもそもコール数が足りていないのか・・・など複数の可能性(仮説)が考えられます。
あらゆる可能性を考えて細かく数値データを取っておくことはもちろん、複数の仮説を立てる→一つずつ改善策を実行していくというサイクルを、繰り返すことが必要です。
※「データドリブンな指導で営業効率を上げる方法とは?」のデータ・ドリブンな指導とは?の項目で、具体例を挙げてわかりやすく説明していますので、ぜひ、合わせてご覧ください。
行動管理の方法

では、具体的にどのように、数値を集計・分析していけばいいのでしょうか?
数字を扱う・管理するといったら、ぱっと思いつくのはExcelです。
最近だとSFA(営業支援ツール)を導入している企業も増えてきていますね。というわけで、この2つのツールでの行動管理の方法やメリット・デメリットを比べてみたいと思います。
①Excelで管理する
無料ですぐに使い始めることができ、合計や平均値なども簡単に出すことができる、使い勝手のいいツールです。
行動管理で使う場合には、新しいシートに、案件名、フェーズ、行動の内容・担当者・日付・施策、実施結果などを項目名として記載し、記入する用の枠を作れば完成です。
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このくらいの表であれば、誰もが簡単に作れることは大きなメリットなのですが、ここで入力したデータが案件やフェーズに紐付かないため、
- 別のシートに同じ内容を何度も入力したり、更新が大変
- 分析がしづらい
- 入力内容の変更履歴を追いづらい・・・
というデメリットがあります。
関連記事:︎なぜ脱エクセルが必要なのか?Excel以外のツール活用のメリットを解説!
▶▶営業成果の最大化のために「エクセル」から脱却すべきタイミングとは?
②SFA(営業支援ツール)を導入する

一方多くのSFAには行動管理機能があり、データがすべて自動で紐付きます。
行動が案件・フェーズに紐付くので、ボトルネックになっているフェーズが分かれば、そのフェーズで失注の要因になっている行動まで一気に把握することが可能です。
SFAに関する記事はこちら!
少しわかりづらいと思いますので、具体例を挙げてみましょう。
クロージングのフェーズに失注になることが多いというデータがあった場合。
“メール”でクロージングをすると失注しやすい、“電話”でクロージングをすると受注に結びつきやすいという行動まで把握することができれば、
- メールの内容に問題がある
- クロージングは、メール送信というアクション自体が良くない
・・・といった仮説を立てることができます。
一つひとつの行動まで落とし込んで仮説を立て、改善策を実行することができれば、効果検証もしやすく、また成果に繋がるパターンも見つけやすい、というわけです。
エクセルでの管理とは違い、複数人で編集でき、変更はリアルタイムで保存され、かつデータは自動で集計できます。
SFAがカレンダー機能を兼ね備えている場合は、各フェーズに時間をどのくらいかけたかを分析することも可能です。
導入までに時間とコストがかかるというデメリットがありますが、導入期間が比較的短いクラウド型サービスや、シンプルで基本的なプランを選ぶことで、これはある程度解決できます。
長期間にわたって行動管理を行っていく必要があるため、入力の手間や正確性、分析などの機能性をふまえ、エクセルよりもSFAを用いて行動管理を行う方が成果は出やすいでしょう。
おわりに
最後の項目で、ExcelとSFA(営業支援ツール)それぞれのツールを使った場合の行動管理の方法をお伝えしましたが、もし今、行動管理をまったくやっていないのであれば、Excelから始めてみるのがいいでしょう。
新しいことを始める時には、心理的にも、また時間や工数がかかるといった意味でも、大きな負担がかかるものです。
そんな時に、新しいツールを入れてしまうと余計に負荷がかかってしまいます。
まずは使い慣れたExcelでやってみて、そこで課題を感じたらSFAを導入する、という流れがスムーズです。
営業の行動を把握して、ボトルネックを見つけ出し、改善策を実行する、というサイクルをしっかりと回して成果に繋げていくためには、現場の協力は欠かせません。
細かいところではありますが、現場の営業メンバーが負担なく、メリットを感じられるようにするのも、マネジメントの大切な役割です。
行動管理を始める場合やSFAを導入する場合には、この点にも配慮して進めてみてください。
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