近年、インサイドセールスが営業の効率化に役立つ手法として導入する企業が増えています。
しかし、インサイドセールスを導入したものの「成果が出ない」「連携が上手くいかない」などの課題に直面している企業は少なくありません。
本記事では、インサイドセールスでよくある7つの課題と、それぞれの解決策や役立つツールを解説します。
この記事の内容
インサイドセールスとは?
インサイドセールスとは、電話やメール、オンライン商談ツールなどを活用し、顧客と非対面で接点を持ちながら営業活動を行う手法です。
一般的には「内勤営業」とも呼ばれ、近年は特にBtoBビジネスを展開する企業で導入が進んでいます。
この営業手法では、マーケティング部門が獲得した見込み顧客(リード)に対して、インサイドセールスが継続的なコミュニケーションを図りながら関係性を構築していきます。
見込み顧客のニーズや温度感に応じた対応を行い、案件化の確度を高めたうえで案件化の確度を高めたうえで、フィールドセールスへ商談を引き継ぐ役割を担います。
従来のように一人の営業パーソンがすべての営業プロセスを担当するのではなく、インサイドセールスとフィールドセールスで分業を行うことで、業務の効率化と成果の最大化を目指すのが特徴です。
関連記事:インサイドセールスとは?概要やメリット、おすすめツールをわかりやすく解説!
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インサイドセールスでよくある7つの課題
インサイドセールスを導入・運用するなかで、多くの企業が共通して抱える課題が存在します。ここでは、よくある7つの課題を取り上げて説明します。
部門間連携が不十分
インサイドセールスはマーケティングやフィールドセールスなど複数の部門との連携が欠かせません。しかし、各部門の役割や情報共有のルールが明確でない場合、引き継ぎのミスや対応の重複が発生しやすくなります。
たとえば、マーケティングからの見込み顧客情報が不足していたり、商談に不十分な状態でフィールドセールスに引き継がれたりすると、営業全体の効率が低下します。
明確な情報共有のルールや業務フローの整備を行う必要があります。
具体的には、以下の点を明確にしておくと良いでしょう。
- 誰が、いつ、どのような状態の見込み顧客に、どのようなアクションを取るか
- 取得すべきリード情報(例:企業規模、業種、抱えている課題など)
- 商談化の条件
- 商談をフィールドセールスに引き継ぐ際の情報共有内容
見込み顧客の課題理解が進まない
インサイドセールスの役割は、見込み顧客のニーズや課題を正確に把握し、適切なアプローチを行うことにあります。
しかし、表面的な情報だけでアプローチしてしまうと、提案内容がずれ、商談化のチャンスを逃す可能性があります。
課題を理解するためには、見込み顧客の閲覧ページや資料ダウンロード履歴などのデータを分析し、ニーズを予測する取り組みが有効です。
また、ヒアリングや顧客インタビューを通じて得られる一次情報を活用することで、より深い顧客理解を図ることが可能です。
情報の共有ミスが起こる
部門間やチーム内での情報共有が不十分な場合、商談機会の損失や有効商談率の低下、案件の失注につながるため、注意が必要です。
特に、誰がどの見込み顧客に、いつ・どのようなアプローチを行ったのかが把握できていないと、対応の一貫性が失われてしまいます。
これを防ぐには、SFAやCRMなどのツールを活用し、営業活動の履歴を一元管理する体制を整えることが重要です。また、入力ルールやデータ連携のタイミングを明確にし、属人化を排除する工夫も必要です。
インサイドセールスは他部署との連携が重要なため、情報の共有ミスは関係性の悪化や社員のモチベーション低下にもつながりかねません。
効率的に連携を強化するためにも、積極的にツールを活用しましょう。
アポイントの質が悪い
インサイドセールスの中心的な役割のひとつは、「質の高いアポイント」を創出し、それをフィールドセールスへ引き継ぐことにあります。
ここでいう「質の高いアポイント」とは、購買意欲が高く、受注に直結する可能性のある見込み顧客との商談を指します。
ところが、アポイントの「数」ばかりを重視してしまうと、肝心な「質」が置き去りにされることがあります。
たとえば、リストに沿って一律に架電を行い、ニーズの把握が不十分なままアポイントを取得した場合、フィールドセールスが対応しても温度感が低く、失注につながるケースが少なくありません。
このような状況を避けるには、単なるテレアポではなく、見込み顧客と良好な関係を築きながら購買意欲を高める「リードナーチャリング」が重要です。
リードナーチャリングとは、信頼関係の構築を通じて関心度を段階的に高めていくアプローチを指します。
顧客のフェーズやニーズに応じて最適なタイミングで接点を持つことで、受注に直結しやすいアポイントの創出が可能になります。
関連記事:リードナーチャリングとは?7つの手法と成功のためのポイントを解説
モチベーション管理ができていない
インサイドセールスは非対面営業が中心のため、顧客の反応を直接感じにくく、孤独感が生じやすい職種でもあります。
成果が受注や売上として直接可視化されにくいため、達成感を得づらく、モチベーションの低下が問題となるケースも少なくありません。
適切なKPI設計と定期的な評価・フィードバックを行うことで、活動の意義を実感できる環境を整える必要があります。また、チーム内での情報共有やロールプレイングの実施も、目標意識の醸成に有効です。
人材育成がうまくいかない
インサイドセールスは比較的新しい職種であり、明確なスキルセットや教育体制が整っていない企業も少なくありません。
その結果、担当者ごとにパフォーマンスの差が出たり、スキル定着や育成に時間がかかる場合があります。
育成のためには、成功事例や営業トークの共有、定期的なフィードバックの機会を設けることが重要です。
また、自社での採用や育成が難しい場合、外部のインサイドセールス支援サービスや研修プログラムの導入も、育成効率の向上に役立ちます。
関連記事:売れる営業人材の育成方法|計画の立て方・ポイントを解説
効果検証が不十分
インサイドセールスの施策が成果につながっているかを検証するには、適切なKPI設計と効果測定が欠かせません。
しかし、KPIが曖昧だったり、数値の集計や分析に時間がかかる状態では、改善アクションが遅れてしまいます。
効果検証を行うためには、SFAやCRMツールを活用して営業データを可視化し、PDCAサイクルを着実に回せる環境を整えることが重要です。
定量的な行動・成果の管理により属人化を防げるだけでなく、組織全体の成果向上にもつながるでしょう。
関連記事:PDCAサイクルとは?業務改善につながる回し方のコツやOODAとの違いを解説
インサイドセールスの課題を解決する方法
インサイドセールスで生じやすい課題は、組織体制や運用方法を見直すことで解消できるケースが多くあります。ここでは、課題解決につながる具体的な方法を4つ紹介します。
部門分業の明確化と連携強化
インサイドセールスを成功させるには、マーケティング・フィールドセールスとの明確な役割分担が不可欠です。
それぞれの部門がどのフェーズで、どのような責任を持つのかをあらかじめ定義しておくことで、業務の重複や引き継ぎミスを防げます。
また、部門間の共通KGI(たとえば受注金額や商談化率など)を設定することで、全体最適を意識した連携が可能になります。
加えて、部門横断での定期的なミーティングやフィードバックの場を設けることで、見込み顧客の質や営業活動の精度について相互理解が深まり、パフォーマンス向上につながります。
オペレーションを画一化する
個人任せの営業活動では、担当者のスキルや判断力によって成果にばらつきが生じがちです。
そのため、インサイドセールスにおけるアクションやプロセスを標準化し、誰が担当しても一定水準の成果を出せる体制を整えることが重要です。
たとえば、顧客への初回アプローチ方法、商談までのフォロー回数、使用するトークスクリプトのパターンなどを定義し、全員が共通ルールのもとで営業を行えるようにします。
これにより、業務の属人化を防ぎ、スムーズな引き継ぎや育成にもつながります。
情報管理の一元化と共有を心がける
見込み顧客に関する情報が分散していたり、部門間でうまく共有されていないと、対応の抜け漏れや重複が起きやすくなります。
こうした情報管理の課題を解決するには、SFAやCRMなどのツールを導入し、情報の一元化と可視化を行う必要があります。
また、ツールを使う際には、入力ルールやデータ管理方針を明確にし、誰もが同じ基準で活用できるようにすることが重要です。
情報共有の文化を根づかせることで、チーム内外での連携がスムーズになり、顧客対応の精度が高まるでしょう。
人材育成に注力する
インサイドセールスの成果を安定して出すためには、担当者のスキル向上が欠かせません。
まずは適切なマネジメント体制を整え、定期的な1on1面談やOJT、外部研修の導入などを通じて、業務に必要なスキルとノウハウを着実に習得できる環境を整えることが大切です。
また、トークスクリプトや成功事例の共有、ロープレによる実践力の強化も効果的です。
育成施策は一度きりで終わらせるのではなく、継続的に実施することで、属人的な業務から脱却し、チーム全体の底上げが実現します。
インサイドセールスに役立つ3つのツール
インサイドセールスを効率的かつ効果的に運用するためには、ツールの活用が不可欠です。
情報管理や顧客対応、業務プロセスの可視化など、ツールを適切に取り入れることで、営業活動の質とスピードが向上します。ここでは、インサイドセールスに役立つ3つのツールを紹介します。
SFA(セールスフォースオートメーション)
SFAとは、営業活動の履歴や進捗状況を一元管理できる営業支援ツールです。
「誰が・いつ・どのようなアクションを行ったのか」を記録し、営業プロセスを可視化することで、属人化の防止やチーム全体のパフォーマンス向上に貢献します。
また、活動量や商談化率などの指標をもとにデータ分析を行い、ボトルネックの特定や改善策の立案にも活用できます。
インサイドセールスの日々の業務においては、対応履歴の共有やタスク管理にも有効で、次のアクションを漏れなく実行するための仕組みづくりにも役立ちます。
関連記事:SFAとは?CRM・MAとの違いや選び方と営業の成功事例まで解説
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CRM(カスタマーリレーションシップマネジメント)
CRMは、顧客情報を中心に、過去の接点や問い合わせ内容、購買履歴などを管理できる「顧客関係管理ツール」です。
顧客ごとの属性や行動履歴を把握することで、パーソナライズされた提案やコミュニケーションが可能になります。
インサイドセールスにおいては、リードごとの温度感や対応履歴を蓄積することで、チーム内での情報共有が円滑になり、見込み顧客に対する対応の質が向上します。
営業活動の効率化だけでなく、顧客満足度の向上にも寄与するツールです。
関連記事:CRMとは?導入メリットや機能、ツールの選び方/活用例を解説
MAツール(マーケティングオートメーション)
MAツールは、主にマーケティング活動で使用されるツールで、見込み顧客の獲得から育成、営業への引き渡しまでのプロセスを自動化・最適化します。
具体的には、Webサイトの閲覧履歴や資料のダウンロード状況などの行動データをトラッキングし、それらの情報をもとにメール配信やシナリオ設計を自動で実行します。
こうした機能により、リードの関心度に応じたタイミングでのアプローチが可能になります。
さらに、多くのMAツールにはリードスコアリング機能が搭載されており、顧客の行動や属性に点数を付けて優先順位を可視化することが可能です。
スコアの高いリードを重点的にフォローすることで、商談化の確度を高めることができ、より戦略的なインサイドセールスの活動に役立ちます。
関連記事:MA(マーケティングオートメーション)とは?意味や導入メリット・おすすめのツールを紹介
まとめ
インサイドセールスは、営業効率の向上と商談の質を高めるための重要な役割を担っています。一方で、運用には部門連携や情報管理、人材育成など多くの課題が伴います。
こうした課題を解決するには、分業体制の明確化やオペレーションの標準化、ツールの活用が欠かせません。基盤を整えることで、インサイドセールスの効果を最大限に引き出すことができるでしょう。
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