BtoB営業のなかでも、特にエンタープライズ営業を行っている場合、「アカウントプラン」の作成と実行が効果的です。

本記事では、「そもそもアカウントプランとは何か」という概要から、アカウントプランの作成方法、成功ポイントなどを解説します。エンタープライズ営業やABMを実行している企業は、ぜひ参考にしてください。

アカウントプランとは

アカウントプランとは、自社の収益を最大化するために、重点顧客とどのようにして長期的な関係性を構築するかを策定した計画です。

BtoBビジネスでは、アプローチする企業により決裁フローや意思決定者が異なるため、それぞれに最適化したアプローチを行わなければ成果が得られません。

そのため、アカウントプランはアカウント(企業・団体)ごとに作成します。

アカウントプランが重要な理由-ABMとエンタープライズ営業

アカウントプランが重要な理由は、エンタープライズ営業を成功させるための戦略「ABM(アカウントベースドマーケティング)」と深く関わり合っているためです。

エンタープライズ営業とは、大企業や公的機関など大規模な組織をターゲットにする営業手法のことを意味します。

大企業や公的機関などの大規模な組織は、利用数が多いため大口の受注になることに加え、解約率が低いため安定した収益になりやすい傾向があります。

また、複数部署への展開や、複数商材の契約も期待できます。

しかしながら、意思決定権をもつ人物が複数いるため稟議プロセスが複雑になりがちです。

そのため、エンタープライズ営業ではターゲットとするアカウント(企業・団体)を絞り込み、個別に最適なアプローチを行っていくことが効果的と言えます。それが「ABM」です。

ABMを実施するにあたり、対象アカウントについて深く理解し、スケジュールやアプローチについて綿密に戦略を立てなければなりません。

したがって、事前にアカウントプランを作成して戦略的に実行していくことが重要なのです。

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アカウントプランに必要な情報

アカウントプランを作成するにあたり、以下の情報は最低限記載しましょう。

なお、自社のビジネスモデルや商材、対象アカウントに応じて、情報は適宜追加してください。

  • 業界情報
  • 対象アカウントについての情報
  • 組織図
  • 決裁者や担当者などキーパーソンの情報
  • ゴール(目標)
  • 営業戦略のシナリオ
  • 具体的なアクションプラン

ABMでは中長期的な関係構築が重要となるため、受注までのプランではなく、受注後もどのように関係性を維持して営業を展開するかプランニングしておくと良いでしょう。

アカウントプランの作り方の4ステップ

アカウントプランの作り方について、以下の4つのステップで解説します。

対象アカウントの確定と情報収集

まずは対象とするアカウントを確定します。顧客データや販売データなどを分析して自社の顧客層(業界や部署など)を抽出したうえで、具体的なアカウントをターゲティングします。

対象アカウントが決まったら、次は情報を収集して理解を深めていきます。

対象アカウントの売上金・利益や業界内での立ち位置、顧客層などを深掘りすることで、どのような課題を抱えているか分析しやすくなります。

また、組織図やキーパーソンについての情報を収集しておくと、誰にどのようにアプローチしていくのか戦略を立てやすくなるでしょう。

アカウントプランの作成

収集した情報を基にアカウントプランを作成します。前述した内容を参考にして必要な情報を埋めていき、対象アカウントの課題やニーズを把握したうえで具体的なアクションプランに落とし込みましょう。

アクションプランは、1カ月単位で設計したり、1年間を4期に分けて設計したりするなど、自社の戦略に沿ってください。

アカウントプランを作成しておくことで、組織内で共通認識をもつことができ、すべてのメンバーが適切に行動できるようになります。

そのため、図解や表などを用いて、理解しやすい形式で作成すると良いでしょう。

また、戦略策定にはSWOT分析などのフレームワークを活用することで、戦略の強化や改善につなげることができます。

詳細な立案方法や有用なフレームワークについて知りたい方は、以下の記事も参考にしてください。

関連記事:営業戦略の立て方とは?5つのステップとフレームワークを解説

アカウントプランの実行

いよいよアカウントプランを実行に移します。ただしアカウントプランは仮説の段階のため、必ずしもプラン通りに進むとは限りません。

アカウントプランの実行は、プランニングで洗い出した関係者や重要人物との接点を作るところから始めます。

実行のためには様々な方法がありますが、ここでは代表的な方法を2つ解説します。

リファラル営業

アプローチを開始するにあたり、紹介経由でのアプローチは信頼関係が作りやすく、最もおすすめの方法です。以下のような候補から、紹介してもらえると良いでしょう。

  • 自社の社員
  • 取引先
  • 株主・VC・銀行
  • 顧客社内の社員

関係各所に紹介してもらいたい旨を共有し、ターゲット企業と繋がりがある人物を見つけましょう。

関連記事:リファラル営業のメリット・デメリットは?導入のポイントや活用ツールも紹介

アウトバウンド営業

企業名や個人名を特定できているものの、紹介してくれる人物が見つからない場合は、直接アプローチを行います。

主な連絡手段としては、

  • テレアポ
  • メール 
  • DM送付

などが挙げられます。 アウトバウンド営業においては、ターゲット企業に興味を持ってもらえるようなコンテンツを用意した上で、営業に臨むことが重要です。

関連記事:アウトバウンド営業とは?インバウンド営業との違いや成功のコツ

定期レビュー

アカウントプランは中長期的なスケジュールで設計されているため、定期的に効果を検証して内容を見直します。

たとえば「マネージャーは1週間(1カ月)ごとにレビューする」「経営層は1カ月(3カ月)ごとにレビューする」など、レビューのサイクルを決めておくと良いでしょう。

ただし、現代のビジネスシーンは移り変わりが激しいため、変化があったらいち早く対応しなければなりません。

営業の進捗状況は、リアルタイムで共有し、素早い対応ができるようにしておくことをおすすめします。

アカウントプラン実行の際の3つのポイント

アカウントプランを実行するにあたって意識しておきたいポイントを紹介します。

下記の3つのポイントを意識しながら、効果的な営業活動を展開しましょう。

1. アクションプランの策定・実行

アカウントプランでは、いつ・誰に・どのようにアプローチするのか、などの具体的なアクションプランが必要です。

アクションプランを策定しておくことで、どのようなスケジュールで何を進めたら良いのかが明確になり、効率的に営業活動を実行できます。

しかしながら、先ほども述べた通り、プラン通りに進むとは限りません。

相手の反応が良くなかったり、対象アカウントの事業が低迷したりするなど、想定外のことが起きた場合には、アクションプランを修正しながら実行に移しましょう。

2. 部門間の連携

大企業などのエンタープライズを対象にしている場合、営業部門だけで完結するのではなく、他部門が関わり合うことも少なくありません。

たとえば、マーケティング部門に広告配信を依頼したり、受注後にカスタマーサクセス部門にフォローを引き継いだりする場合もあるでしょう。

また、当然ながら経営層の理解や協力も必要となります。

そのため、アカウントプランは営業部門だけのものではなく、他部門と連携し合いながら進めることがポイントです。

他部門にもアカウントプランを展開しておき、協力体制を構築しましょう。

3. チーム営業の実践

チーム営業とは、営業担当1人で営業活動を行わず、他部門や上司や複数の営業担当と協力して営業活動を行い、顧客への価値提案を最大化する営業手法です。営業案件に応じた適切な人・タイミングでの連携(チーム営業)で営業力強化が実現できます。アカウントプランの実行や部門間連携においてチーム営業の実践が必要です。

チーム営業によって受注率が2倍以上になるとも言われております。(出典:GONG, TEAM SELLING CHEAT SHEET

アカウントプランとチーム営業

関連記事:チーム営業(チームセリング)のメリットとは?トラブル例やおすすめツールも紹介

アカウントプラン実行後にすべきこと

アカウントプランは「実行して終わり」ではなく、次のアクションにつなげることが重要です。

具体的には、顧客と良い関係を築くための提案や、アカウントプランを最大限有効活用するためにKPIを設定することをおすすめします。

顧客の理想を実現するための提案を行う

アカウントプラン作成後は、顧客の理想を実現するための提案を継続的に行いましょう。

現状の課題を解決するだけでは、問題が解消された時点で契約が終了し、大口顧客との取引量を最大化できません。

売上を拡大するには、顧客の将来的な理想像を描き、それを共に実現するための施策を提案することが重要です。

複数の課題に対して複合的な解決策を提示することで、中長期的かつ深い関係を築けます 「今よりも良い姿とは何か」などのビジョンセリングの視点を持ちながら、提案内容の方向性を定めましょう。

KPIを管理する

アカウントプラン作成後は、進捗の可視化やKPIの管理も重要です。 アカウントプランの実行状況を定期的に確認し、必要に応じて見直しを行うためです。

管理すべきKPIは大きく2つに分けられます。

  1. 総取引の見込み金額
  2. 既に取引された合計金額

営業活動の進捗入力・共有をスムーズに進めるためには、SFA(営業支援システム)などのツール導入がおすすめです。

各ツールの役割や使い方について詳しく知りたい方は、こちらの記事もぜひご覧ください。

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アカウントプランの実行におすすめのツール

アカウントプランを効率的に実行して成果をあげるためには、ツールの活用をおすすめします。

ここでは、アカウントプランを実行するために導入すべきおすすめツールについて解説します。

DealPods(ディールポッズ)-日本初のデジタルセールスルーム

DealPods-top

DealPodsは、自社と顧客のみがアクセスできる専用のポータルサイトで、営業資料や議事録、見積書、契約書など、営業活動に必要な情報を顧客と共有できるツールです。

DealPodsでは、各商談の専用ページ内で簡単にアカウントプランを作成し、ホワイトボード機能を駆使して直感的に人脈相関図を作ることが可能です。

顧客社内のキーパーソンや組織図を作成できるため、パワーバランスや商談への関わり方などを可視化し、誰にアプローチすべきか明確になります。

また、受注までのスケジュールとタスクを顧客と共有でき、お互いに次に何をすべきか明確になるためスムーズにプロセスを進めることが可能です。

失注分析とは?失注要因や4つの分析方法・便利なツールも紹介|DealPodsライブラリー機能

顧客社内の誰が資料をいつ、どのくらい閲覧したのかをレポート化することもできます。レポート化によってキーパーソンの興味度合いを可視化することができます。

営業フォロー(後追い営業)はなぜ重要?正しいフォロー法と便利ツール紹介|DealPodsエンゲージメントレポート

Mazrica Sales(マツリカセールス)-誰でも使えるSFA/CRM

SFA/CRMのMazrica Salesを活用すると、案件の進捗状況を一目で把握できるようになり、停滞している案件は色分けでアラートが表示されるためスピーディにリカバリーできます。

商談履歴やメールの内容などの具体的な営業アクションも蓄積でき、アカウントプランに沿って実行できているかレビューしやすくなります。

また、レポート機能も充実しているため、目標までの進捗状況や達成度もスピーディに分析することで、改善策やネクストアクションの立案が高速化できます。

▶▶90秒で理解するMazrica Sales【デモ動画】はこちら!

スピーダ 顧客企業分析(旧FORCAS)-対象アカウントの情報分析

スピーダ 顧客企業分析

スピーダ 顧客企業分析とは、既存顧客リストを分析して受注しやすい企業の傾向を抽出してくれるうえに、傾向に沿った企業のリストを自動で作成してくれるツールです。アカウントについての業界情報やキーパーソン情報なども自動で分析されるため、対象アカウントについての情報収集が容易になり業務効率化につながります。

スピーダ 顧客企業分析(旧FORCAS)
https://jp.ub-speeda.com/

アカウントプラン作成に使える無料テンプレート集

アカウントプランは具体的に明文化することが重要ですが、作成するには時間も手間もかかります。

そこで、テンプレートを活用して効率化しましょう。

Mazrica|案件管理テンプレート

案件管理テンプレート

Quip|アカウントプランのテンプレート

アカウントプランのテンプレート

BeMARKE|KPI管理のテンプレート

KPI管理のテンプレート

 

それぞれ、テンプレートの形式や必要な項目が異なるので、自社の戦略に合ったテンプレートを活用しましょう。

終わりに

アカウントプランは、ABMを実行するために欠かせません。アプローチしたいアカウントがあるならば、アカウントプランを作成して戦略的に営業しましょう。

アカウントプランの実行には、ツールを活用した効率化や分析が必要です。

当社、マツリカでは営業をサポートするさまざまなツールを提供しているので、ご相談いただければお悩みやニーズにマッチしたツールを提案させていただきます。ぜひ一度お問い合わせください。

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Mazrica Business Lab. 編集部
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