業務の改善、そして売り上げ向上への近道として行動管理・プロセス管理は非常に重要です。けれどもなかなか時間が取れず出来ていないという方も多いのではないでしょうか。
行動管理・プロセス管理によって行動やプロセスを見直して整理し、標準化を進めていくことで、売上向上、組織の連携の強化やスキルアップに継続的な効果を期待できます
SFA(営業管理ツール)には行動管理やプロセス管理を効率的に行う機能が豊富です。
今回は、行動管理・プロセス管理についての基礎知識と、SFAを活用した行動管理・プロセス管理について解説していきます。
この記事の内容
行動管理・プロセス管理とは
プロセス管理・行動管理とは、ある業務において結果を達成するためにその過程を管理・分析し、改善させることです。
特定の分野で結果を出すためには、適切な行動やプロセスを知る必要があります。仕事においても、最適な行動やプロセスで進めなければ成果を出すことはできません。
さらにビジネスでの行動管理・プロセス管理では、各工程を細かく分析することで課題を発見し、目標達成のための改善も含まれています。
プロセス管理については、こちらの記事内で詳しく解説しています。
関連記事:プロセス管理とは | 目的やメリットから具体的な方法・注意点まで
行動管理・プロセス管理の主な指標
行動管理・プロセス管理では、特定の行動やプロセスを指標として数値化し、その改善を図ります。
数値化しやすい行動・プロセスの特徴として、以下のようなものが挙げられます。
- 大体の手順が決められている
- 繰り返し頻繁に行われる
- 複数の人や部署が連携して担当している(⇒手順の標準化が必要、情報共有が必要)
- 1業務あたりに要する時間が長い
より具体的には、以下のような営業活動もプロセス管理・行動管理の対象になります。
- 営業先リストの作成
- リストの精査とアプローチ先の決定
- 電話やDMによる初回アプローチ
- アポイントメントの獲得
- 商談
- 成約
これらのように、最終的な売上増加のために達成するべき重要な指標を「KPI」と呼びます。 このKPIを設定・分析することで、行動・プロセス管理に役立てることが可能です。
KPIとは
KPIとはKey Performance Indicator(重要業績評価指標)の略称で、設定した目標の達成度を表す「中間目標」です。
日々の業務を数値化して、どの業務の数値をいくら上げれば良いのかを判断する指標です。
関連記事:KPIとは?営業のKPI設定方法と指標例・KGIとの違いを簡単に解説
KPIとKGIの関係性
KGIとは「Key Goal Indicator」の略で「重要目標達成指標」を意味します。ビジネスにおいて最終的に達成したい目標のことです。
「KPI」はKGIを達成するための各プロセスの達成度を測るものであり、最終目標までの中間指標として重要になります。
KPIは各業務レベルの具体的な目標ですが、KGIはより企業全体の戦略的な目標設定と言えるわけです。
分かりやすく言うと、各業務レベルのKPIが達成された結果、KGIが達成されると理解しておけば良いでしょう。
行動管理・プロセス管理でわかること
前章では、行動・プロセス管理で管理すべき指標を解説しました。
行動・プロセス管理を行うことで、下記のように「行動分析を行わないとわからなかった事実」を知ることができます。加えて、その要因となっている課題について仮説を持つことができます。
架電数に対してアポイント獲得率が低い
- ターゲット顧客の適切な絞り込みができていない
- テレアポリストの精度が低い、トークスクリプトが刺さっていない
訪問数に対して受注率が低い
- 無駄な訪問が多く、生産性が落ちている
- 提案力やプレゼンテーション力が低い
テレアポが商談化しにくい
- 商談時に対面した際の印象が悪い
- 電話での事前ニーズ確認が不足している
架電数そのものが低い
- 1件あたりの対応時間が長すぎる
- 見込み顧客の優先度付けが不十分
利益率の課題
- 利益率の低い商材に偏り過ぎている
- 過度な値引きが習慣化している
解約率増加の懸念
- 商品・サービスの説明不足で期待値とのギャップが生じている
- 過剰な勧誘によって顧客に不信感を持たせている
このように、プロセス管理・行動管理を行うことで、さまざまな営業業務上の課題について、何をどのように改善したら成果を向上させられるかが明確にわかります。
関連記事:営業管理の秘訣とは?|営業で管理すべき4つのデータと管理の方法
行動管理・プロセス管理のメリット
行動管理・プロセス管理のメリットは、以下の4つに大別できます。
- 業務上の明確な指針ができる
- 進捗管理ができる
- チームの組織化が深まる
- ノウハウが蓄積する
それぞれ見ていきましょう。
業務上の明確な指針ができる
プロセス管理・行動管理によって、目標達成までの筋道を立てられるので、具体的にいつ何をしたら良いかの指針をもとに業務を行うことができます。
先ほども紹介したように、プロセス管理・行動管理では、KPIを設定し、目標を達成するために、業務を数値化して、どの業務の数値をどのくらい上げれば良いのかを決めます。
数値で具体的な目標ができるため、自ずと業務上の行動指針が決まってきます。
KPIの設定・モニタリングは、プロセス管理・行動管理の核となる手法です。
進捗管理ができる
行動管理・プロセス管理によってフェーズごとの進捗が見える化できるので、すぐに進捗の把握ができ、進捗に合わせた施策を行うことができます。
何か失敗があっても、細かく管理できていれば、すぐにやり直しがききます。
進捗が見える化されていることによって、マネージャーにとってもリカバリーするタイミングがわかりやすく、結果不要な契約や数字の遅れに対して早め早めの対策をとることもできます。
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チームの組織化が深まる
結果を出すための行動・プロセスは人によって異なりますが、行動・プロセス管理によって一人一人の行動を見える化することによって、「誰」が「何」をしているのか把握することができます。
これにより、チームの動きがスムーズに共有でき、同一の目標に向かう一つの組織として連携の取れた活動を行うことができます。
ノウハウが蓄積する
仕事とは本来、部署内の社員が誰でもカバーできる体制をつくっておくのが理想ですが、現実として、ノウハウが共有されずに属人化してしまっている状況は少なくないでしょう。
経験の長い人や成績の優秀な人ほど優れたノウハウを持っている人が多いです。
関連記事:ナレッジマネジメントとは?営業のナレッジ共有とおすすめツール
行動管理・プロセス管理の方法
行動管理・プロセス管理では、業務の最適化に向けて以下のような一連の流れを繰り返し行うようにします。
1. 行動・プロセスを選択する
特に成果が思うように出ていない業務から順にランク付け、プロセス管理を行っていきます。
2. 調査を行う
プロセスを調査し、誰が、いつ、何をしており、その結果がどうなっているかを明確にして、ボトルネックや重複する作業を特定します。無駄な工数を省き、業務を短縮・自動化したり、プロセスを分割して段階ごとのボリュームを軽減したり、または再割り当て等を検討します。
3. KPIを設定する
管理する行動・プロセスを定め、その行動・プロセスで現状を理解できたら、実際に管理するための具体的な数値指標「KPI」を設定しましょう。
法人営業の場合、「テレアポの件数を月間〇〇件増加させる」や「商談の成約率を〇〇%向上させる」などのKPIが考えられます。
4. プロセス・行動を再設計し、変更を実装する
変更・改善策の業務全体に及ぼす影響を踏まえながら、プロセス・行動を再設計します。また、変更を実装するまでにはプロセスを合理化する価値をすべての人に理解してもらいます。
5. メンバーに情報を伝え、トレーニングを行う
変更点をすべてのメンバーに周知します。スムーズに導入が進められるように必要なドキュメントやトレーニングを提供します。
6. 追跡し、評価と調整を行う
新しいプロセス・行動の成果の測定をすぐに開始しましょう。事前に設定したKPIを常にトラッキングすることで、プロセス管理の効果が明確になり、適切な調整を行うことができるようになります。
行動管理・プロセス管理はSFAで
SFAでは、
- 売上実績や予測
- 受注率
- 営業案件の進捗率
などを自動で数値化でき、更に
- 顧客情報
- 営業アクションの履歴
- 商談履歴
- 営業に関する社内コミュニケーションの履歴
- トレーニング履歴
- フィールドコーチング履歴
- 活用したコンテンツの履歴
などのデータを記録、保存できるため、プロセス管理・行動管理に必要な環境を整えられます。
ここでは【Mazrica Sales 】を例にSFAによるプロセス管理・行動管理を概観します。
尚、SFAについては、こちらの記事で詳しく解説しています。併せてご確認ください。
関連記事:SFAとは?CRM・MAとの違いは?意味・役割・主な機能を徹底解説
1.スケジュール管理
Mazrica Sales では一人一人のスケジュールを共有、把握することができます。
作業ごとの納期・期限を明確にすることで正確なスケジュール管理を実現しましょう。
特定のプロセス全体の納期や作業期限を軸にして、細部の各工程に割く期間や期限を決定します。
管理が容易になるだけではなく、軽微な遅れやリスクにも迅速に気がつくことができ、状況が悪化する前に対処することでリカバリー精度が向上します。
2.案件管理
Mazrica Sales では営業プロセスごとにカード形式で案件を管理できるため、直感的に案件の進捗を把握することができ、移動もドラッグ&ドロップの簡単操作で完了します。
また、アクションの期間が空くほど色が青→黄→赤と変わっていくため、受注確度や進捗の把握がスムーズに行えます。
提案件数に対して成約率はどうなっているか、結果までの過程としてクロージングの段階ではどうなっているか、などといった情報が読み取れ、容易にボトルネックを特定し、行動管理・プロセス管理を実行できます。
関連記事:案件管理とは?営業の案件/商談管理におすすめツール10選を徹底比較
3.行動管理
アクションの一覧からは、誰が何をしたのかという、メンバー一人一人の行動が 一目でわかります。
この行動管理機能によって、行動・営業プロセスの可視化・改善が可能となります。
成績の良い営業パーソンと成績が伸び悩んでいる営業パーソンの行動パターンを比較し、より良い営業手法を導き出していくことができます。
4.ファネル分析
ファネル分析によって、営業の各フェーズ間の移行率のデータから、案件が落ちているフェーズを特定し、原因を分析することができます。
Mazrica Salesでは以下のようなレポーティングが行えます。
営業の各フェーズ間の移行率のデータにより、データに基づいた営業のボトルネックを把握することが可能となり、売上の持続的な成長に役立てることができます。
また、担当者毎にも以下のようにレポーティングすることができます。
各担当者毎の得意・苦手を把握することで、より適切なフォローアップができるようになります。
例えばクロージングが苦手な営業担当にはマネージャーが同行することでクロージングの精度を高めます。あるいは関係構築が得意な営業には初回商談を積極的に依頼するなどです。
そのほかにも、売上予測や行動分析などの各種レポートを自動で作成することができます。
SFAなら必要なデータだけを簡単に抽出してレポートを作成することができるため、営業会議等の場で使う資料の作成に費やす時間の無駄を省くことができます。
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行動管理・プロセス管理をSFAで行う際の注意点
ここでは、SFAでプロセス管理・行動管理を行う方法を具体的に解説します。SFAの導入を決めるだけでは、適切なプロセス管理ができるようになるわけではありません。
注意点をよく理解し、導入後について検討を行いましょう。
関連記事:SFA(営業支援ツール)おすすめ比較10選【2024年最新】
SFAを使った行動・プロセス管理がチームに共有される仕組みを作る
トップダウンでSFAで行動管理・プロセス管理を行うように支持するだけでは定着できません。
なぜ行動管理・プロセス管理を行うのか、計画はどのようにするのか、SFAは何のために使うのかをチームでよく共有し、全員が共通認識を持った状態で業務を進めるようにしましょう。
現場でスムーズに導入・定着させるために、データの見方や使い方など、活用方法を確認できるようにしましょう。丁寧なチュートリアルが付いたSFA選んだりすることも有効です。
そして、メンバー全員に「研修やトレーニングを行う」ことが大切です。例えば行動管理・プロセス管理によって営業プロセスに変化があった場合には、その根拠や具体的なアクションについてしっかり教育を行い、メンバーが正しく理解して現場で活動できるようにしましょう。
プロセスはシンプルに
プロセスはなるべくシンプルにする必要があります。
複雑すぎたり細かすぎてしまうと、プロセスの見える化ができても、何がどこにあるのかわからなかったり、プロセス管理・行動管理にばかり時間や手間がかかってしまって、本末転倒になってしまいます。
プロセスを分割する場合は、分割方法の吟味と報告の情報量を絞って、適切なプロセス管理・行動管理を行い、職場効率を上げることが重要です。
各行動・プロセスの定義を明確にする
行動・プロセスの定義の認識がメンバー間で食い違っていると、教育やコミュニケーションにおいて大きな妨げになる他、行動・営業プロセス管理においても障害になります。
例えば、「クロージング」は「契約」を指すのか、「契約に至る過程」を指すのか、など定義を文章化して共有することが大切です。
行動管理・プロセス管理で売上アップを
いかがでしたでしょうか。
行動管理・プロセス管理についての基礎知識と、SFAを活用した行動管理・プロセス管理について整理することができました。
SFAで行動・プロセスを管理することにより、管理工数を削減できるだけでなく、行動・プロセスの理解を深め、さらに効率的に営業活動を進めていくことができます。
属人性や無駄な作業を廃し、組織全体のスキルアップ、売上アップを目指していきましょう!
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