自社の売り上げを伸ばすために、営業力強化は不可欠な施策です。
しかし、やり方がわからず課題を抱えている方も多いのではないでしょうか。
営業力を強化するために、セミナーに参加したり研修を実施したりするケースも多いかもしれません。
この記事では、明日から実践できる営業力を強化する7つの方法について、お伝えします。
まずは、記事を読んでぜひ実践してみてください!
営業力とは?
営業力とは、顧客のニーズを正確に理解し、信頼関係を築きながら、製品やサービスを提案・販売する能力です。
つまり、単に売上を上げることが営業力ではなく、顧客満足度を高め、長期的なパートナーシップを育むことで、企業の成長に貢献することこそが営業力と言えます。
営業力を強化するには、コミュニケーションスキル、交渉力、問題解決力など、営業に必要なスキルを総合的に高める必要があります。
営業力には、個人レベルでの営業力と、組織レベルでの営業力の2種類が存在します。そこで、以下ではそれぞれの営業力について解説します。
関連記事:営業に必要な10のスキルとスキルアップの方法とは?
個人としての営業力
では、「営業力」とは具体的にどのような力を指すのでしょうか。ここでは、個人における営業力を5つの要素に分けて解説します。
総合的な人間力
最初に挙げられるのは「総合的な人間力」です。これは、他人に良い印象を与える対人能力のことを指します。
仕事が思うように進まなくても諦めず、向上心を持って努力する人や、愛嬌のある人は周囲に好かれやすいです。
営業の場面で言えば、自分の顧客のために誠実に尽力する姿勢が、顧客の心を動かすでしょう。
幅広い知識
次に重要なのは「幅広い知識」です。営業においては、自社の商品やサービスに関する知識だけでなく、業界全体や市場動向に関する理解が求められます。
顧客の要望や課題に適切に応えるためには、広範な知識を活用して最適な解決策を提案できることが信頼の獲得に繋がります。
コミュニケーション能力
「高いコミュニケーション能力」も欠かせません。
顧客のニーズを引き出すためには、単なる会話だけでなく、相手が話しやすいように質問を工夫し、聞き役に回ることが大切です。
これにより、顧客の表面的な要望だけでなく、潜在的な課題も明らかにすることができます。
分析力
分析力も重要な要素です。顧客の課題には顕在的なものと潜在的なものがあり、後者は顧客自身が気づいていないことも多いです。
潜在的な課題を見つけ、分析し、それに対する適切な解決策を提案することで、顧客に価値を提供できます。
組織としての営業力
次に、組織における営業力について解説します。ここでは、3つの要素に分けて解説します。
関係性の質
1つ目は「関係性の質」です。組織の営業力は、個々のスキルだけでなく、営業チーム内の連携や協力体制がどれほど強固かが重要です。
チーム内の関係性が良好であれば、情報や知識の共有がスムーズに行われ、組織全体としての営業力が強化されます。
思考の質
2つ目は「思考の質」です。良好な関係性が築かれていると、他のチームからの意見やアドバイスを受け入れる余裕が生まれます。
これにより、単一のチームの視点に依存せず、異なる視点やアイデアを取り入れ、顧客に対する対応や提案の質が向上する可能性が高まります。
行動の質
3つ目は「行動の質」です。高い思考の質が行動に反映されることで、営業活動そのものの質が向上します。
これらの要素が相互に作用し合うことで、継続的に目標を達成し、組織全体の営業力や売上向上に繋がります。
個人の営業力が低くなる原因
営業力が低下する原因にはさまざまな要因が考えられます。まずは、個人に起因する要素について解説します。
顧客視点の欠如
1つ目の原因は、顧客に寄り添っていないことです。 自分本位で物事を考え、顧客の立場を十分に理解していない場合、効果的な提案はできません。
営業活動では、顧客にとって分かりやすく、心に響く提案が重要です。専門用語を多用したり、顧客の業界や視点を無視した提案では、顧客の心を動かすことは難しいでしょう。
フォロー不足
2つ目は、顧客へのフォローが不十分であることです。 すぐに契約に結びつかない場合でも、長期的な顧客との関係構築が営業パーソンの重要な役割です。
定期的な商品やサービスの情報提供や、セミナー情報の共有など、細かなフォローが必要です。これが欠けると、関係が長続きせず、商機を逃すリスクが高まります。
関連記事:営業フォロー(後追い営業)はなぜ重要?正しいフォロー法と便利ツール紹介
振り返り不足
3つ目は、営業活動を振り返らずに進めてしまうことです。 自己評価や反省をせずに営業を続けると、問題点に気づかず、改善できないままになります。
PDCAサイクルを回し、自己の営業活動を振り返り、次回に活かすことが成長の鍵です。
関連記事:PDCAサイクルとは?PDCAサイクルを効率的に回す3つのコツを紹介
組織の営業力が低くなる原因
営業力が低下する原因は個人だけでなく、組織に起因するものもあります。ここでは、組織の問題点を3つに分けて解説します。
過剰な競争心
1つ目の原因は、競争心が過剰であることです。 営業チームや組織内での健全な競争は必要ですが、競争心が高すぎると、互いに相談しにくい環境が生まれ、協力し合うことが難しくなります。 理想は、チームとして切磋琢磨し、互いに成長を促進できる関係です。過度な競争は、組織全体の営業力を低下させる可能性があります。
情報共有の不足
2つ目の原因は、情報共有が適切に行われていないことです。営業においては、成功事例や失敗事例をチームで共有することが重要です。 情報が共有されないと、同じミスを繰り返したり、商機を逃すリスクが増大します。また、進捗確認に時間を取られ、業務効率も低下します。常に情報が共有できる仕組みを整えることが望ましいです。
人材育成が不十分
3つ目の要因は、人材育成や部下の教育が十分でないことです。営業力を組織として強化するためには、人材の成長が欠かせません。 個々の能力や適性を引き出し、目標達成と人材育成を両立させる必要があります。 管理者は、メンバーのスキルレベルを見極め、バランスよく指導していくことが求められます。人材育成は、組織の営業力向上における重要な要素です。
営業力を強化するための7つのポイント
自社の営業力を強化するにはどのようなことが必要でしょうか。営業力を強化するための具体的なポイントを7つ紹介します。
まず、大事なことは、自社の現状を把握することです。
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①自社の現状を把握する
まずは、自社の営業組織の営業力を把握するところから始めます。
そして、そのためには、データが必要です。
ここでいうデータとは大きく分けて2つのデータです。
一つは、営業現場で抱えている課題を直接ヒアリングして集める定性的なデータ。もう一つは、営業ファネル(訪問件数や案件数、受注件数など)の定量的データです。
定性的・定量的のデータを集めることで現在、課題として抱えていることが浮き彫りになります。
営業のどのフェーズでうまくいっていないのかを定量データから推測し、それについて営業パーソンに意見を求めます。
以下が受注件数・受注率を示すファネル分析のイメージです。
営業のどのフェーズで案件が落ちてしまっているのかがわかります。どこのフェーズで、どうして落ちているのかを分析し対策を立てましょう。
ボトルネックを特定して分析するプロセスが営業力強化の第一歩になります。
②社内ナレッジを共有する
営業力強化の方法として、社内の営業に関するナレッジを共有することが考えられます。
例えば、ベストプラクティスを共有することで、その成功パターンを多くの営業が実践できるようになります。
営業の業務はどうしても属人化しがちで、ナレッジやノウハウを一人で抱えてしまいます。
普段外出が多く、営業同士で情報交換を行うことは多くありません。
しかし、営業が属人化していると営業パーソンごとにパフォーマンスのムラが出てしまいます。
社内で営業の勝ちパターンを共有して、多くの営業パーソンが使えるようになることで、営業部全体が底上げされるのです。
それでは、情報を効率的に共有するには、どのようにすれば良いのでしょうか。
方法の1つにSFAの活用が挙げられます。
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例えばSFAを活用することで以下( クラウド営業支援ツールMazrica Salesの案件ボード)のように案件進捗を営業メンバー全員で共有することができます。
SFAで日々の営業活動や案件情報を共有することで、自ずと情報が共有されます。
マネージャーが全体を見る際は以下のようなポイントでチェックすると受注率を高められるでしょう。
- 停滞している案件はないか(Mazrica Salesでは動けていない案件は青→黄色→赤と色が変わります)
- 担当案件に偏りはないか
- 契約金額や予定日は正確か
- ネクストアクションがきちんと設定されているか、内容や時期は適切か
企業によっては、SFAを活用せず、Excelなどで日報や案件を共有されてるケースもあるかと思いますが、これでは営業の勝ちパターンなどを見つけるのにかなりの工数が必要です。
営業組織を強化するには、SFAの利用をおすすめします。
▶︎▶︎成果を生むSFA/CRM活用術!営業力が強い企業が実践する方法をチェック!
ただし、トップ営業が持つ勝ちパターンを組織に落とし込むには、情報を共有するだけでは不十分です。
これから紹介する、他の施策も必要となります。
③部下を指導する
営業の勝ちパターンがわかったら、それを組織に落とし込むべく、マネージャーから部下へ指導を行います。
指導の方法として、一番単純な方法が定期ミーティングです。
ミーティングは、できればマネージャーと部下で1対1で行うことをおすすめします。
なぜなら、営業パーソンの実力によって、必要な指導頻度が異なってくるためです。
売上を確保して、営業予算をクリアできる営業パーソンであれば、1ヶ月に1回で問題ないかもしれません。
しかし、新人レベルになると、毎週実施した方が良いかもしれません。
関連記事:部下とのコミュニケーション7つのコツ|成長を加速させる指導術
ミーティングの目的は、データに基づいて各営業パーソンの短所を改善することです。
ここで大事なことは、あくまでデータに基づくということです。
マネージャーの感覚のみに依存する指導が営業現場で見られますが、これでは組織として営業力を強化することができません。
しかし、データに基づいて、部下の営業活動をどのように改善すれば良いかわかれば、組織の営業力強化に直接役立ちます。
例えば以下のように営業担当毎のファネル分析レポートを見てみましょう。
各担当者毎の得意・苦手を把握することで、より適切なフォローアップができるようになります。
例えばクロージングが苦手な営業担当にはマネージャーが同行することでクロージングの精度を高めます。あるいは関係構築が得意な営業には初回商談を積極的に依頼するなどです。
ちなみに、営業力強化については以下の記事も役立ちますので、ぜひ参考にしてみてください。
関連記事:データドリブン営業とは?データドリブンセールスパーソンの育成方法!
成功した社内ナレッジの共有や適切なマネジメントによって以下のような営業力が底上げされます。
このような再現性のある営業力強化の取り組みはセールスイネーブルメントと呼ばれます。
▶︎▶︎【無料ダウンロード】セールスエンゲージメントの秘訣!営業パーソンの力を最大限に引き出す秘訣とは?
④営業パーソンを褒める
営業パーソンによっては、褒められて伸びるタイプもいることでしょう。
そうなると、「褒める」という行為を行うことで、部下との関係が良くなりマネージャーの意見に、より耳を傾けるようになるでしょう。
改善点を指摘して、営業活動の質を上げることも重要ですが、併せてうまくいっているところに目を向ければ、良い部分を伸ばすことにも繋がります。
また、「褒める」ことで部下もやる気が出ます。
褒めても売上が上がらなければ意味がないと考える方もいらっしゃるかもしれませんが、部下のモチベーションが落ちてしまっては、日々の業務に前向きに取り組めなくなってしまいます。
改善点をしっかり伝えることも大事ですが、些細なことでも良いので「褒める」という行為も忘れないでください。
関連記事:効果的な部下の褒め方とは?成長を加速させる褒め方やタイミング解説
⑤マネージャー自身がお手本を見せる
組織の営業力を強化するために、OJTの一環でマネージャーが部下に営業の手本を見せることも大事です。
ミーティングや売上などの定量データだけを見て、部下の方へ指示を出しているマネージャーの方も多いかと思います。
マネージャーになると多忙で、なかなか部下の方と同行する機会が少なくなりがちですが、週に1回など定期的に同行して、営業の見本を見せることも重要です。
「百聞は一見に如かず」と言いますが、営業も手本を見せることで言葉で伝える以上の効果を生むことがあります。
また、マネージャーが現場で汗をかく姿を見ると、部下もやる気が出ることでしょう。
さらに、現場へ同行することで、マネージャーも現場の定性データを把握することができます。
お客様の声などは、直にお客様に会わないとその温度感もわかりません。
これにより、部下により有効なアドバイスができるようになるでしょう。
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⑥社内の連携を強める
営業部隊内部の連携が進んだら、今度は他の部隊との連携を強めましょう。
特に、営業部隊の場合は、マーケティング部隊との連携を強化することが欠かせません。
営業が普段、商談でお客様に伝えていることと、マーケティング部隊が制作するWebページなどの内容に違いがないかなど一つひとつ確認しましょう。
例えば、お客様からWebサイトを通じてお問い合わせがあったとします。
そして、問い合わせに対して営業が訪問し、製品について説明を行ったとしましょう。
しかし、ここでお客様の製品に対する期待とズレがあったとします。
ズレが発生してしまうと、せっかく引き合いを受けたにも関わらず、クロージングができなくなってしまいます。
なぜズレが発生してしまうのでしょうか?
原因の1つが、Webサイト上に記載されている製品情報と、営業のセールストークの内容にギャップがあることです。
そして、ギャップが生まれないようにするにはマーケティング部隊と営業部隊の密な連携が不可欠です。
インターネットが発達し、お客様が能動的に欲しいものを検索する時代に、Webサイトからの問い合わせは、ぜひ受注に繋げたい引き合いです。
マーケティング部隊と営業部隊のシームレスな連携は、今後ますます重要になるでしょう。
実はSFAを活用することで営業とマーケティングの連携も強化されます。
例えばファネル分析レポートをチャネル(顧客の流入経路)毎に見ることができます。
このレポートを参考にすることで、どのマーケティング施策がうまくいっているのかを明確にすることができます。SFAを用いた営業とマーケティングの連携については以下の資料も参考にどうぞ!
関連記事:社内連携を強化する5つの方法を紹介!マーケティング、営業、開発が社内連携するメリットとは
⑦自立性を考えて育てる
ここまで指導法についてお伝えしてきましたが、指導の際に大切にしたいのが、営業パーソンの「自立」を念頭に置いて行うことです。
「なぜ上司はこのようなアドバイスをするのか?」という意図を部下が考えるようにならないと、営業パーソンとして自立して売上を上げることができません。
言われたことを「真似する」というフェーズも必要ですが、その先にある「行動の意図」を理解させる必要があります。
営業パーソンがこのように考えられるように、マネージャーは営業活動の方針を明確に伝えることが重要です。
方針がしっかり伝わると、部下も日々の営業活動の意図を理解できるようになります。
営業パーソンがデータと営業方針に基づいて、自ら行動できるように、日々の指導を心がけましょう。
まとめ
ここまで、営業力を強化する7つの方法をお伝えしてきました。
大事なことは、まずデータに基づいて自社の営業課題を的確に捉えることです。
そして、それに基づいて、部下への指導やマーケティング部隊との連携を進めると、効率的に営業力を強化できます。
そして最後は、一人ひとりの営業パーソンが会社の営業方針やデータに基づいて、自立することで理想の営業組織が立ち上がるのです。
ここで紹介した6つの方法を、ぜひ実践してみてはいかがでしょうか。
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