ロールモデルとは自らの生き方やビジネスにおいて「お手本となる」人物やストーリーのこと。多様な選択肢が生まれ、多元主義的な現在、目標もモデルもなく生活をすることは人々にとって負担の大きいものとなっています。しかし、ロールモデルを設定してみることで、自分にとっての目標やモデルが確かになり、より成長することができます。
そこで、この記事ではロールモデルのメリットや設定方法、営業パーソン向けのロールモデルの情報について解説します。
ロールモデルの設定方法
ロールモデルとは、前述の通り生き方やビジネスにおいて「お手本」となる人物やストーリーのことです。
具体的には、自分の行動や思考、スキルをより磨くために目標となる人物を設定することがロールモデルという考え方の基本です。
ロールモデルを設定することで、自分の現状に満足するのではなく、より高いところを目指すことができます。
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ロールモデル設定のメリット
ロールモデルを設定するメリットは、目標点をしっかりと決められる点にあります。
ただ単になりたい自分像を想像して目標を立てるだけでは、往往にしてその目標が揺らいでしまうことがあります。
しかし、ロールモデルを設定することで自分の目標とする姿が具体的になり、ぐっと実現に近づくのです。
また、目標だけ設定しても目標に至る方法は数多くあり、その方法には遠回りのものもあれば、近道のものもあります。
ロールモデルを設定していると、そのロールモデルが歩んだ道のりを参考にして自分の目標に至る方法を選択できるので、無駄な回り道をする可能性が低くなります。
このように、目標が具体的になり、目標に至る方法を選択しやすくなるという点でロールモデルの設定は重要なのです。
ロールモデルの設定と活用の仕方
ロールモデルの設定と活用には、「選択・分析・実行」の3ステップがあります。
①選択
まず、ロールモデルを選択する必要があります。
ロールモデルの選択をするために、まずは自分の理想像の整理から始めてみましょう。
キャリア・ライフそれぞれのフィールドでどのような自分になっていたいか、想像してみることが第一歩です。
例えば、「ライフとキャリアの割合は3:7。部下をマネジメントする能力をきちんと身につけており、尊敬される上司でいる。子育てにも積極的に関わり、週に4回は夕食を手作りする」というようにざっくりしたものでも構いません。
そこから、自分の身近な人々で自分の理想像に当てはまっている人がいるかどうか考えます。
もし社内に当てはまる人がいなければ、他社の人でも構いませんし、外国の人でも、世界の偉人でも問題はありません。
そして、自分の理想像とあったロールモデルを選択します。
②分析
次にするべきことは分析です。
選択したロールモデルの行動についてしっかりと分析することで、ロールモデル設定の持つ本来の効果があらわれます。
ポイントは、ロールモデルの行動やロールモデルの行動の「原因・結果」をはっきりと見極めることです。
例えば、ロールモデルとしているAさんは準備や調査に力を入れているため、商談での提案力がずば抜けているとしましょう。
その際、Aさんが具体的にどのように準備や調査を行っていて、その結果どのような提案力に結びついているのかまで分析することが大事なのです。
③実行
分析まで終われば、あとはロールモデルを模倣・参考にし、様々なことを実行していくだけです。
ロールモデルのAさんが商談相手の調査をし尽くして、相手のSNSやブログ、経済誌などでの論評等をしっかりとチェックし個人的な趣味嗜好にまで肉薄していて、その結果相手の心を揺さぶる提案ができている、ということが分析で分かったとします。
そうしたら、それを真似しない手はありません。
ロールモデルをただ漫然と眺めているだけでは意味がありません。
ロールモデルの分析結果を元に自分の行動を変えてみることが大事です。
ロールモデル設定のポイント
それでは、ロールモデルを設定する際のポイントとは何でしょうか。
基本的に、ポイントは「型にはまらないロールモデルの設定が大事」ということに集約されそうです。
さっそく具体的にみていきましょう。
複数のロールモデルを持つ
ロールモデルは、何も一人だけに絞る必要はありません。
複数のロールモデルを持つことがむしろ推奨される場合もあります。
例えば、営業のロールモデルならば、初回訪問のフェーズではAさん、ヒアリングではBさん、提案ではCさん、クロージングではDさんとフェーズごとに違う人をロールモデルにしても構いません。
また、どんな人を自分のロールモデルにしたいかを考える際には、営業上の情報とナレッジの詰まっているSFAを活用することができます。
加えて、ジェンダーをミックスさせることもおすすめです。
男性であっても女性のロールモデルをあえて持ってみたり、女性であっても男性のロールモデルを持ってみることで視野を広げることができます。
ロールモデルは人に限らない
さらに、ロールモデルは人に限りません。
自分のやりたいことの数だけロールモデルの種類もあると考えていいでしょう。
例えば、お店を開こうと考えていたり、会社を設立しようと考えていた場合、他のお店や会社を自分のお店や会社のロールモデルとして用いることが可能です。
お店や会社にはそれぞれ戦略があるので、それらを分析して自分のお店や会社に応用することも可能です。
ロールモデルの設定には、狭い視野にとらわれない、自由な発想が大事です。
年代別ロールモデルの設定方法
ロールモデルを選ぶには、年代別にポイントがあります。
若手
新入社員や若手に求められていることは、まずは上司の期待する仕事をしっかりとこなすことです。
多少背伸びすることも大事ですが、必要以上のことをするとミスをまねく可能性があります。
若手や新入社員のうちは「やるべきことをしっかりとやる」ということが基本です。
それゆえに、ロールモデルとしてふさわしい人は、身近な先輩や上司などです。
特に、その中でも視野が広い先輩や仕事ぶりの堅実な先輩を真似してみるといいでしょう。
始めから奇をてらったようなことをする必要はないのです。
中堅
中堅ともなると教育やマネジメントが必要とされます。
そのため、ロールモデルにする相手の視野をグッと広げてさらなるステップアップを目指すことが必要となります。
そこで、社外社内を問わず組織の中心で生き生きと結果を出し続けている人をロールモデルにすることがおすすめです。
さらに、中堅は若手の時とは違い、仕事の勝手も分かってきて余裕が生まれてきている時だと思います。
そこで、さらなるキャリアアップのための自己鍛錬が不可欠です。
仕事に直接的には関係がなくても、自分の市場価値を磨くことのできるような人をロールお出るにしてみることもいいでしょう。
関連記事:営業の業務改善方法を3つの軸で解説|おすすめツールと事例紹介
役員
役員は、組織のリーダーであり自分のことだけではなくて組織・チーム全体のことを感上げなくてはなりません。
ゆえに、国内外の幅広いリーダーをロールモデルとすることがおすすめです。
有名なリーダーは本やオンラインで積極的に情報発信を行っていますから、情報集めも容易でしょう。
また、管理職はチームを引っ張っていくだけが仕事ではありません。会社のリスクに対応するリスク管理の能力も非常に重要となります。
他の会社や他のリーダーたちがどのようにリスクを乗り越えてきたのか、ロールモデルの姿から学ぶことが重要です。
関連記事:業績改善・業績向上とは?強い営業組織を作るための4つの条件と成功のポイント
ロールモデルと営業パーソン
営業パーソンにとってもロールモデルの設定はとても重要です。
また、営業パーソンだからこそのロールモデルを設定するメリットも存在します。
営業パーソンがロールモデルを持つメリット
営業パーソンにとっては、良くも悪くもノルマが重要な位置を占めています。
そのため、他の業種よりも目標を立てて精進することが重要です。
それゆえに、ロールモデルと営業パーソンは非常に相性がいいのです。目標を具現化するロールモデルを持つことで、自分自身の営業のモチベーションが上がりますし、デキる営業をロールモデルとしていれば営業力も上がります。
さらに、ナレッジをSFAに蓄積していれば、自分のロールモデルの営業スタイルを真似することも容易です。
ロールモデルを持つことで、営業パーソンはより成長することができるでしょう。
営業支援に特化したツール、SFA(営業支援ツール)に関する記事はこちら:
営業のロールモデルにおすすめな人物
ここでは、タイプに合わせて営業のロールモデルにおすすめな3人をご紹介します。
それぞれチェックしてみてください。
・営業パーソンから企業を目指す人向け
営業パーソンという立場から企業を目指す人にはクラウドワークス社長の吉田浩一郎氏がロールモデルとしておすすめです。
吉田さんは、電機メーカーパイオニアで関東圏トップの成績を叩き出した後、外資系企業での営業経験や株式会社ドリコムの役員を経て2007年には一度目の企業。しかし、その企業に失敗したのちにもう一度起業を果たし、それが現在の会社クラウドワークスです。
吉田さんは、ドリコムの役員をクビになったり、一度目の会社を潰してしまったりと失敗も多くあったと言います。
しかし、現在では150人もの企業を抱える有名企業の社長。見事に失敗をバネに成功しています。
また、吉田さんは、インタビューでも営業力という強みの一歩先に進んだことが現在の成功の鍵になったと話しています。
こうした失敗からの成功や営業力の一歩先のスキルという彼のストーリーは、企業を目指す営業パーソンにとって非常に参考になるものだと考えられます。
・女性の営業パーソン向け
20歳に結婚、23歳に出産、32歳からリクルートで働き出し3年連続TOP営業となった西良旺子さんは、どちらかというと破天荒な経歴ではあるものの、女性のロールモデルにおすすめです。
仕事を始めてから出産したわけではないものの、子育てと仕事を両立したという面では参考になるはずです。
また、西さんは本も出版されているため、参考にしやすく女性のロールモデルに向いていると言えそうです。
・国際的に通用する営業パーソンになりたい人向け
国際的に活躍したい営業パーソンには、アメリカの自動車セールスとして有名なジョー・ジラードをロールモデルにするのがおすすめです。
彼は、12年間全米トップの売上を誇り、ギネスブックにも掲載されるなど、華々しい記録を多く残しました。
しかし、彼の人生は決して楽なものではありませんでした。
父親の教育のせいで自尊心はボロボロ、犯罪も犯し子供に食べさせるものもなく営業の仕事を始めたのです。
彼の仕事の特徴はアフターフォローを充実させたこと。「もう一度彼から買いたい」と思わせることが彼の仕事の成功の秘訣だったようです。
ぜひ国際的に活躍したいと思う営業パーソンの方は、海外の営業パーソンの知見も取り入れられるよう、ロールモデル選びを海外の人からも行ってみてください。
終わりに
「お手本」となるロールモデルを持つことで、自分のやりたいことや進むべき道がはっきりと見えてきます。
公私ともにロールモデルを持つことは決して損にはなりません。
ロールモデルを持って、なりたい自分に近づきましょう。
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