はじめての方はこちら! ⇒ 顧客/営業管理の完全マップ【初級・中級・上級:15記事で解説】

商品が生産されてお客様の手に届くまでには、複数の人が関わり多くのステップを経る必要があります。これらを適切に管理できていなければ、需給バランスが崩れて事業の成長が止まってしまう可能性も。

そのようなリスクを回避できるのがSCM(サプライチェーンマネジメント)という考え方そしてソリューションです。

今回はSCMの概要や導入メリットに触れ、企業経営全体を効率化するためのCRM/SFAとの連携について解説します。

SCM(サプライチェーンマネジメント)とは?

サプライチェーンマネジメントの解説の前に、まずはサプライチェーンについて理解しましょう。

サプライチェーンとは「Supply=供給」「Chain=連鎖」から成る言葉で、日本語では「供給連鎖」を意味します。つまり、商品が消費者に供給されるまでのプロセスがサプライチェーンなのです。

商品が供給されるまでには多くのプロセスを踏みます。具体的には、原材料や部品の調達から始まり、製造・加工などにより商品が生産され、物流を経て販売され、消費者の手に渡ります。この連鎖がサプライチェーンです。

サプライチェーンに携わるのは、原材料を供給するサプライヤー、商品を生産するメーカー、物流を担当する運送会社、商品を消費者に届ける販売店が含まれます。一般的にはこの順序でモノ(商品)が運ばれていきますが、お金や情報は逆の方向へと流れていきます。

こうしたサプライチェーン全体を最適化する経営手法をサプライチェーンマネジメント(Supply Chain Management)=SCMと言います。

SCM全体には複数のプロセスがあり、さまざまな企業が関わります。そのため部分的な最適化をするだけでは、限界があるのです。

たとえば生産の部分のみを最適化しても、物流や販売が滞ってしまっては過剰な在庫を抱えかねません。また販売部分の情報がスムーズに共有されなければ、生産部門は適正な需要予測を立てられず、ニーズに合わない商品ばかりを生産して不要在庫を生み出してしまします。

このようなリスクを回避するために、必要なものを必要な数だけ必要なときに供給する体制構築が必要です。これがサプライチェーン全体を管理して最適化するSCMなのです。

最近ではサプライチェーンを最適化するための経営手法だけでなく、実現するためのシステム自体をSCMと呼ぶこともあります。

SCMとERPの違い

SCMと混同されがちな言葉にERPがあります。

ERPとは「Enterprise Resources Planning」の略で、「企業資源計画」と訳されます。企業資源とはヒト・モノ・カネ・情報であり、これらの資源要素を一元管理して有効活用する手法および実現するためのシステムをERPと言います。

具体的には人事管理・生産管理・在庫管理・財務管理・会計管理・営業管理など、企業の基幹的な業務が該当します。これらにまつわる情報はそれぞれの部署により管理されており本来は点在しているものですが、ERPを導入することで一元管理でき、意思決定の効率化や資源の効果的な活用を図れます。

つまりSCRは企業活動のなかでも供給プロセスとなるサプライチェーンに特化しているのに対し、ERPは企業活動全体を領域としているという違いがあります。

SCMとCRMの違い

SCMと同様に企業活動を支えるITツールには、CRMもあります。

CRMとは「Customer Relationship Management」の略で、日本語では「顧客関係管理」と訳されます。その名のとおり顧客との信頼関係を高めるためのツールで、顧客情報や顧客とのやり取りの履歴などを管理する機能が搭載されています。

さらに類似のものとしてSFA(営業支援システム)というツールもあり、CRMと同様に顧客情報の管理ができるだけでなく、営業履歴や売上管理など営業組織に特化した機能を備えています。

つまりSCMはサプライチェーン最適化のためのツールですが、CRMやSFAは顧客との関係を最適化・最大化するためのツールです。どちらも情報を一元管理し業務を効率化するためのITツールですが、目的や管理する対象・内容が異なります。

SCMを導入するメリット・デメリット

SCMはさまざまなメリットをもたらします。

SCMによって供給プロセスの情報を一元管理することで、業務の効率化が見込めます。リアルタイムで在庫状況や販売状況が可視化できるため正確な需要予測をすることができ、過剰在庫を防いで最適な量を生産できます。また需要のタイミングも把握できるので、適正なタイミングで供給ができるようになり、顧客との信頼関係も構築できるでしょう。

また情報の一元管理により、過剰在庫の発生要因や人的リソースの配置課題などが見つかりやすくなり、サプライチェーンにおいて問題となっている箇所を洗い出すことが可能になります。「過剰在庫が増えている」「人手が足りない」などの問題が大きくなるまえに対処ができ、損失を回避できるでしょう。

ただし、SCMを導入するのにはコストがかかります。仕入れから生産、流通、そして販売までの供給プロセスには、自社の関係会社や子会社などさまざまな企業が関わっていることが多いでしょう。今まで別々のシステムで管理していたものを統一するため、もちろん大規模なシステム構築が必要になるうえに、今まで使っていたシステムとの連携性や互換性も重要です。

さらにシステムの保守・運用などの管理費も膨大になります。管理費は毎月かかるものなので、規模が大きくなるほど毎月の負担も増えます。

SCM導入にかかるのは、システム自体の構築や開発の費用だけではありません。システムを利用する社員に向けたレクチャーや教育、ルールの統一、マニュアル作成などの業務も発生します。スムーズに運用させるためには、社内にSCMを推進する担当者を配置することも検討しなければいけません。

SCM導入の流れ

SCMは導入しただけで効果が現れるわけではありません。やみくもに導入せず、自社分析や比較検討などを行い、自社にとって最適なソリューションを選択することが大切です。SCMを導入する際には、以下の流れを意識して進めましょう。

1.自社分析と目的設定
まずは自社の状況を把握し、SCMを導入する目的を明確化します。

最初に自社の供給プロセスや関連する企業や人材配置を洗い出します。さらに現状や将来性を分析し、解決すべき課題を導きましょう。

その課題を解決するために、SCMにはどのような機能や使い勝手を求めるのかまで内容を詰められれば、その後のフローもスムーズになります。

2.SCM専任担当者を決める
SCMを導入しても、うまく運用できなければ意味がありません。円滑に運用が軌道に乗るためにも、SCMを推進する専任担当者がいると良いでしょう。

ITリテラシーが高く、自社の供給フローを熟知している人物が適任です。また一人だけでなく、複数の部署から担当者を選んでチームを構築すれば、さらに運用しやすくなるはずです。

3.情報収集
専任担当者が主導し、SCMについての情報収集を行います。インターネットで調べるとさまざまなソリューションが見つかるので、気になるものがあれば資料請求をしてみましょう。

また展示会に足を運ぶのもおすすめです。展示会ではその場で話を聞けるだけでなく、実際の画面を見ながら使い勝手を確かめることもできます。

4.ソリューションの比較検討
いくつか気になるソリューションをピックアップできたら、それぞれを比較します。この際、最初に決めたSCM導入目的に沿って、課題を解決できるかという視点で検討するとスムーズです。

またベンダーと商談の機会を設けて話を聞いたり、トライアルで実際の使い心地を試したりしてみて検討しましょう。さらに費用対効果の予測も行い、自社にとって最適なものを選定します。

5.決定
決裁者の意見だけではなく実際に利用する現場の意見も聞きながら、導入するソリューションを決定します。効果を出すためには現場が使ってくれないと意味がないので、現場のヒアリングは重要です。

導入するソリューションが決定したら契約を締結し、社内の導入体制を整えます。社員へ説明や教育をする時間を設け、導入に向けて進めましょう。

SCMとCRM/SFAの連携

これまで解説してきたとおり、SCMはサプライチェーンを最適化するためのツールです。それに対し、CRMやSFAは顧客との関係を構築して売上拡大を目指すためのツール。そのため利用される目的が異なります。

目的が異なるため、利用される部署も違います。CRM/SFAは顧客との接点が多い営業部門で使われる傾向です。一方のSCMは供給プロセスに関わる部門すべてが利用するべきではありますが、主に生産部門にて使われることが多くなっています。

しかしこれでは全体最適化にはなりにくく、部分的な改善に終わってしまうのです。たとえば企業経営が生産に偏ってしまうと、過剰在庫につながったりニーズに合わない商品を生産してしまったりしかねません。反対に営業に偏ると、生産が追い付かなくなったり最適なタイミングで生産されなかったりしてしまいます。

このような事態を回避するために、SCMとCRM/SFAのツール同士の連携が求められています。

ツール同士を連携することでデータが自動で同期され、一方通行ではなく双方向に情報が行きわたります。生産部門も営業部門もお互いの動きが可視化されるため、営業戦略や生産計画も立てやすくなるのです。

SCMとCRM/SFAの連携のメリット

SCMとCRM/SFAを連携することにより、それぞれの部署の業務効率化だけでなく企業全体の効率化が図れます。CRM/SFAによって顧客が「ほしい」と思うタイミングを把握でき、それに合わせてSCMで在庫状況などを加味しながら生産することが可能です。適切なタイミングで生産できれば、過剰在庫を抱えずに済みますし、顧客のニーズが高いうちに売れるので売上アップも期待できます。

またCRM/SFAに顧客が商品を利用したフィードバックを蓄積しておけば、既存商品を改良する際や新しい商品を開発するときの参考にもなります。生産部門はなかなか直接顧客の声を聞けないため、ツールの連携により大きなメリットをもたらすでしょう。

終わりに

SCMは、必要なときに必要なものを必要なぶんだけ供給するためにはなくてはならないツールです。「在庫の保管コストがかかりすぎている」「設備投資や人材配置を見直したい」などの悩みがあるときには、きっと役に立ってくれるでしょう。

しかしSCMの導入だけでは、企業全体に大きな効果をもたらすことは期待しにくいです。そんなときのために、SCMとCRM/SFAの連携も検討しましょう。

ツールの連携は、部門同士の連携とも言えます。部門同士をシームレスに連携し、スムーズな企業経営を目指しましょう。

セールスイネーブルメント -経営層・営業マネージャーが取り組むべき営業改革-

セールスイネーブルメントをご存知でしょうか?セールスイネーブルメントの概要や実践方法に関する資料です。

資料をダウンロードする
CRMに関する記事

セールスイネーブルメント -経営層・営業マネージャーが取り組むべき営業改革-

セールスイネーブルメントをご存知でしょうか?セールスイネーブルメントの概要や実践方法に関する資料です。