組織を効率的に動かすことは企業において重要なことです。

その役割を担うのが「マネジメント」です。

組織の目標を設定し、目標を達成するために業務だけでなく、お金や人といった経営資源を管理しなければなりません。

今回は、この「マネジメント」とはそもそも何なのか?といったことを考え、マネージャーの役割と仕事内容、必要なスキルについてご紹介します。

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マネジメントとは?

一言で「マネジメント」と言っても、人それぞれ捉え方や解釈が異なるかもしれません。

ここでは、ドラッカーによるマネジメントの定義をご紹介します。

ドラッカーによるマネジメントの定義

マネジメントとは「組織に成果をあげさせるための道具、機能、機関」のことであると定義されています。この言葉はアメリカの経営学者P.F.ドラッカーが生み出した概念であり、この定義をしたのもドラッカーです。

彼は著書の中でマネジメント、マネージャーを以下のように定義しました。

  • マネジメント:組織に成果を上げさせるための道具、機能、機関
  • マネージャー:組織の成果に責任を持つ者

マネジメント、という言葉はそもそも「管理」「経営」という意味を持つ単語で、組織において目標を設定し、その目標を達成するために、組織の限りある資源を効率的に活用することを指しています。

そして、その役割を果たす人物のことをマネージャーと呼びます。

組織に様々な手段を用いて働きかけながら、成果をあげていく役割を担います。

出典:P.F.ドラッカー(1999)「明日を支配するもの 21世紀のマネジメント革命」ダイヤモンド社

マネジメントとリーダーシップの違い

マネジメントとリーダーシップは、どちらも組織の成果を上げさせるという意味で目指す方向は同じですが、異なる能力を指します。

マネジメントは、成果を上げさせるための手法を考え、権限や規則に基づいて組織を管理する能力のことであり、

リーダーシップは、組織の目標達成のためにメンバーを導いていく能力です。

マネージャーや部長職といったチームを管理する立場になると、リーダーシップ能力とマネジメント能力のどちらも求められます。

従って、マネージャーは人を含め、モノ、お金を効率よく動かして、目標に向けて最大限の成果を出す人となります。

一方リーダーは、チームの先頭に立って目標を示し、メンバーを先導する人になります。

リーダーシップについては、こちらの記事内で詳しく解説しています。
関連記事:リーダーシップとは?リーダーに必要な10のスキルと取るべき8つの行動

マネジメントの種類

マネジメントの種類

「マネジメント」と聞くと、「経営者やマネージャーに必要な業務」というイメージを持たれている方も多いかもしれません。

実際には、以下の3つのレイヤー(階層)でマネジメントを分類することが可能であり、それぞれ役割も異なります。

  • トップマネジメント
  • ミドルマネジメント
  • ローアーマネジメント

それぞれ詳しく紹介していきます。

▶️▶️営業マネージャーが必ず意識すべき3ステップとは?

トップマネジメント

「トップマネジメント」は組織の基本方針・運営方針などを決定し、経営計画や戦略を立てるなど、経営に関する意思決定と同時に最終的な責任を担う役割があります。

トップマネジメントとは組織の中の最高経営者陣、会長、社長、副社長、常務、専務など取締役会のメンバー、執行役員などが該当します。

ミドルマネジメント

「ミドルマネジメント」は日本で言う「中間管理者」に該当します。具体的には、部長・課長・係長・マネージャーなどの役割を担う人たちです。

ミドルマネジメントでは、経営陣の考えやビジョンを正しく理解し、部下に伝える必要があります。

部下の育成やマネジメント、経営陣と現場のメンバーとを繋ぐ役割も有し、組織内でも非常に重要な役割を担っていることが多いポジションです。

中間管理者はローアーマネジメント層を束ね、育てる役割も担います。

ローアーマネジメント

「ローアーマネジメント」はトップマネジメント、ミドルマネジメントに次ぐ位置にあるマネジメント層を指します。

主任やリーダーなどが該当します。

ローアーマネジメントは、現場のメンバーを束ね、指揮・管理する立場にあります。

現場の業務遂行をサポートし、トップやミドルマネジメントが策定した組織戦略や各種施策を現場レベルの活動へ反映させながら、会社のビジョン実現を目指す役割を担います。

マネージャーの課題 

マネージャーや管理職は自分の業務だけではなく、業務と組織を管理する能力が問われます。

成績の良かったセールスがマネージャーとしても素晴らしい能力が発揮できるとは限りません。プレイヤーからマネージャーに昇進すると、今までとは違う壁にぶつかります。

昇進したばかりの新人マネージャーの多くは部下に対する下記のような課題を感じているようです。

  • 部下の育成が出来ない、仕事を任せられない
  • 組織目標やビジョンが打ち出せず組織をまとめられない
  • 組織間の調整がうまくできない
  • 上司と部下の間に挟まれる立場になり判断に困る

部下を育てられず、いつまで経っても自分自身の業務が減りません。

結果、プレイヤーとしての負荷が高くなってしまい、マネジメントの比率が低くなってしまいます。この問題を解決するためには、マネジメントスキルを高める必要があります。

関連記事:組織マネジメントとは?組織マネジメントの基本知識と必要なスキル

マネージャーの役割と4つの業務

マネジメントとは?事例で分かるマネージャーの仕事と役割 | Mazrica (旧 Senses)  Lab. | 2

前述したように、マネージャーの役割は自分の業務だけではなく、組織を管理することです。

ドラッカーは「組織への成果」と定義しているため、売上や原価などのお金の面の管理に注力しがちになります。

しかし、お金だけではなく組織メンバーのモチベーション含めて、組織の進むべき方向に必要な力、全てを管理して「成果」に繋げることが求められます。

成果をあげる上で、特に重要なことは部下の指導と育成です。

【関連記事】営業のモチベーションを維持し向上させるには?リモートワークでのマネジメント例を紹介

ここでは、具体的にマネージャーとしての仕事内容を見ていきたいと思います。

1.部下に仕事を任せられる環境を作る

部下の育成は当たり前ですが、そのための意欲を引き出すモチベーション作りが大切。

マネージャーは部下に仕事を渡すだけではなく、部下がチーム内で働きやすいように動機づけすることが必要です。

どうしても嫌いな部下がいる場合にとるべき対処法は、こちらの記事でまとめています。
関連記事:嫌いな部下がいる時の考え方や行動とは?

2.目標を設定し組織としてビジョンを示す

自身のやっている仕事がどの方向に向かっているのか、マネージャーが示してあげる必要があります。

ビジョンを共有することで部下の組織へのコミットが高まります。

3.部下に適切な指導・育成を行う

任せた仕事に対して「なんで出来ていないんだ?」と叱咤することが指導とは言えません。

部下が成長するように業務の何が問題なのかを意識させる必要があります。

また、精神的なサポートも必要です。そのためにマネージャーは部下に仕事を任せっきりにするのではなく、業務内容を把握する必要があります。

4.目標に対するフィードバックを行う

部下と定期的に仕事内容や業務の進捗を確認し、改善ポイントをフィードバックするようにしましょう。

言いやすい組織風土を作ることで、部下とのコミュニケーションが密な組織が形成されます。

関連記事:正しいフィードバックのやり方とは?フィードバックの種類やメリット・デメリット

上記の1~4を行うことで、部下と信頼関係を築くことができ、業務遂行がしやすくなるはずです。マネージャーは正しくマネジメントを行い、自分自身を含めた人材育成に励む必要があるのです。

会社にとって最も重要な経営資源は「人材」です。

近年では「人財」と呼ぶ企業も増えてきています。

マネージャー次第で強い組織を形成する場合もあれば、強みを引き出せずに終わってしまうこともあります。

正しくマネジメントを行い、自身を含めた人材の育成に励む必要があります。

【部下の指導と育成について更にわかりやすく解説した記事はこちら↓】

目標管理の4つのコツ|部下のモチベーションを最大限引き出す

マネジメント人材に必要なスキル

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マネージャー、マネジメント人材は組織を管理する立場として多くのことが求められます。

先述したように、一担当者として遂行していた業務と、管理職としてマネージャーの業務では求められる質が異なります。マネージャーならではの壁にぶつかることも出てきます。

ドラッカーの「マネジメントに必要なスキル」を参考に4つのポイントでご紹介します。

マネージャーとしての評価が気になる方にはこちらの記事がオススメです。
関連記事:管理職に求められるスキル3つと高め方

1.的確な意思決定を行う

人は何かを判断しなければならないとき、価値観や理念を軸に物事を考えます。

マネージャーの判断がぶれると部下への不信感を与えてしまいます。

また、マネージャー自身が自己ビジョンを強く持ち、それに基づいて意思決定をすることで組織を引っ張る力が増加します。

2.コミュニケーション能力を磨く

当たり前ですがコミュニケーションは相手がいて初めて成立します。

発信する立場の人間は、受信する側の立場も理解しなければなりません。

受け手は理解してくれているか、そもそも受け入れられるのか、何を期待しているのか。

コミュニケーションの受け側が部下でも、取引先でも同様ですが、「受信する側」について理解してコミュニケーションを取ることが重要です。

関連記事:部下の褒め方のコツとは?|部下とのコミュニケーションの手法とポイント

3.管理能力(マネジメント能力)を高める

管理能力といってもいきなり難しいことをするのではなく、実績に対する評価を行います。

組織が立てた目標に対して、現状を把握し軌道修正が必要なのかどうかを判断します。

「管理する」とは仕事を部下に与えて、あとは叱咤激励するのではなく、現状を把握し今後の軌道を修正することを指しています。

4.経営に関する知識を活用する

オペレーター時代とは異なりマネージャーには最低限の経営に関する知識が必要です。

過去からの積み重ねで、現代においては経営に関する知識が数多く残されてきています。

経営の知識を使えば全て物事が上手くいくことはありませんが、経営課題を認識しその本質を見る力が必要です。

これさえ学べば素晴らしいマネージャーに慣れるという万能薬はありません。複数の要素が関係してきます。

少なくとも1~4を意識して一つひとつマネージャーに必要なスキルを学んでいきましょう。

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マネジメントスキルを高める方法

マネジメントスキルを高める方法としては、以下の4つを磨いていくと良いでしょう。

  1. 現状の分析力と問題解決力を高める
  2. プロジェクトマネジメント力を高める
  3. リーダーシップと意思決定力を高める
  4. コーチング力(コミュニケーションスキル)を高める

上記4つのスキルを磨いていくことで、結果的にマネジメント能力も上がっていくわけです。

4つのスキルを磨いていくための具体的な方法は、以下の記事内で詳しく紹介しています。

関連記事:マネジメント能力とは?必要なスキルと高め方を徹底解説

事例で分かるマネージャーの仕事

マネジメントとは?事例で分かるマネージャーの仕事と役割 | Mazrica (旧 Senses)  Lab. | 4

マネジメントは複数の要素が絡み合っているなかで、経営課題を解決に導かなくてはなりません。

人の資源はその中でも重要な割合を占めます。

人材におけるマネージャーの役割を事例で見ていきましょう。

Aさんは営業として、自分の企画提案力に自信があり、それを中心に既存顧客からのアップセルを中心に売上を組み立てたいと考えています。

しかし、会社側もビジネスがあり、Aさんのやりたいこと全てを受け入れることはできません。

受け入れた場合には、売上目標を達成するためのマイルストーンが現実的なものにならないケースがあります。

そのため、会社側の意向として、Aさんの業務を新規顧客の開拓に割り振ってしまうこともあるでしょう。

すると、Aさんのモチベーションは低下してしまうのです。

ここで、会社やマネージャーはどのように対処すればよかったのでしょうか。

その答えは、「お互いのメリットが重なり合う点にうまく調整する」ということになります。

「Aさんのやりたいこと(ここでは、既存顧客へのアップセル提案)」と「会社側がやらせたいこと(新規顧客の開拓)」が重なり合うポイントに業務を変更したり、削ったり、時には組織を再構成したりする必要があったのです。

マネジメントの事例を一つとっても、かなりの労力が必要になってきます。

関連記事:営業マネージャーの仕事と役割とは?事例でわかりやすく説明

今、話題のセールスイネーブルメントという考え方

最近、特に営業部門において「セールスイネーブルメント」と呼ばれる考え方が浸透してきました。

セールスイネーブルメントとは、営業パーソン個人ではなく、組織の強化・改善を促す手法です。

関連記事:セールスイネーブルメントとは?意味や事例・運用方法を紹介

具体的な特長は、取り組みや行動の成果をデータ化、定量的に評価をしてPDCAを行い、組織を改善していくことです。

この考え方は、非常に汎用的でさまざまな組織で応用可能なため、マネジメントでお困りであれば頭に入れておくと良いでしょう。

▶️▶️経営層・営業マネージャーが取り組むべき営業改革 セールスイネーブルメントの実践に必要なこととは?

営業マネージャーから見たSFA導入の3つの効果

効果的なマネジメントを行うために、ツールを活用するという手段もあります。

今回は、営業活動の効率化をはかるためのツール、SFA(営業支援ツール)を用いることにより、営業マネージャーが得るメリットを3点ご紹介したいと思います。

SFAについては、こちらの資料で詳しく解説しています。
▶️▶️【入門編】劇的に営業効率が変わる!SFAとは?

①営業活動が見える化される

SFAでは、以下のようなことを把握できることで、受注確度の判断やより的確なアドバイスができます。

  • 顧客の予算や競合といったデータ
  • 見積書提出、デモの実施など、案件がどのフェーズにいるのか
  • 必要なアクションが行えているのか
  • 各営業が、どのフェーズや行動に時間をかけているのか

案件ボード(Mazrica)

②イレギュラーを発見しやすい

進捗が止まったままの案件や、値引額が大きすぎるなど、通常とは違う状態の商談や案件を、早期に見つけることが可能です。

見つけ次第すぐに、原因を分析して見直しや改善をすることで、最小限の影響(被害)に留めることができます。

③数字をすぐに把握できる

業績報告や会議の際には、数値レポートが必要になります。

各営業メンバーへのヒアリングや日報から拾ってくることもできますが、これにはかなりの時間と労力がかかります。

SFAであれば、定形フォームへの入力が多いので、内容に大きなばらつきが出ることがなく、数値データを簡単に集計・分析することができます。

これまで2時間ほどかかっていた集計作業が、たった4分でできるようになったという事例もあります。

的確な戦略や、評価を要求される営業マネージャーにとって、データをスピーディーに分析し、管理することができるSFAは、非常に役にたつでしょう。

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【営業マネジメントについて、更に詳しく分析したこちらの記事も合わせてご覧ください】
関連記事:営業マネジメントの5つの施策!強い営業組織の作り方とは ?

終わりに|マネジメントスキルを高めて、営業組織を引っ張ろう

今回は、マネジメントとは何か、マネージャーが担う仕事と役割に関してご紹介しました。

組織を管理するマネージャーには、オペレーター時代とは異なる高いレベルのビジョンを持って部下を指導し、組織を引っ張っていかなければなりません。

ただし、組織を引っ張ることは簡単ではありません。

まずは今回ご紹介したようなマネジメントスキルを高めることからはじめてみてはいかがでしょうか。

投稿者プロフィール

Mazrica Business Lab.編集部
Mazrica Business Lab.編集部
Mazrica Business Lab.はクラウドアプリケーションMazricaの開発・提供を展開する株式会社マツリカが運営するオウンドメディアです。営業・マーケティングに関するノウハウを中心に、ビジネスに関するお役立ち情報を発信しています。
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