国家をあげた取組みである「働き方改革」は、生産性の向上を目的として進めていることはご存じの方も多いかと思います。
しかし、実際に生産性をどのように算出し、どのように向上させるのかがいまいちわかっていない方も多いのではないでしょうか。
今回は、生産性向上のために抑えておくべき指標や、生産性を高めるためのポイントをご紹介します。
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この記事の内容
生産性とは?
生産性とは、より少ない投入資源や労働量でより大きい成果を上げ、企業組織を成長させることです。
そもそも生産性とは、ヨーロッパ生産性本部(EPA)によると、「生産要素の有効利用の度合い」と定義されています。
企業は限られた経営資源(ヒト・カネ・モノ)を効果的に投入して、最大の利益を上げる必要があります。
生産性とは、投入した資源(インプット)に対してどのくらいの産出(アウトプット)ができたかを計る指標です。
つまり「労働生産性」を求めることで、一人ひとりの労働力(インプット)に対してどのくらいの成果(アウトプット)が出ているかを計ることができます。
労働生産性は、労働の成果を労働力で割ることで求められ、この指標が高いほど少ないインプットで大きなアウトプットができているということになり、労働生産性が高い企業だと判断することができるでしょう。
労働の成果は、売上額、利益、生産数量、営業担当者ひとりあたりの売上などの数値が用いられます。
そして労働力には、社員数、人件費、労働時間などが使われます。
労働生産性には「物的労働生産性」と「付加価値労働生産性」の二つの指標があり、それぞれ以下の式で求めることができます。
- 物的労働生産性=生産数量(売上高の場合もある)÷労働量
- 付加価値労働生産性=付加価値額÷労働量
※付加価値額は(営業利益+人件費+減価償却費)
もしくは(売上高-外部購入価値)
それぞれ「産出」として用いる指標が異なるため、企業として「単純な生産量」を基準にするのか「付加価値(≒粗利益)」を基準にするのかを考えてから数値を求めるようにします。
現在の日本は、先進国の中では労働生産性の数値が最下位になっています。
今後、少子高齢化が進んで労働人口が減っていくことで、更に労働生産性が下がってしまうことが懸念されます。
そのため、働き方改革などにより生産性を向上させるための政策が必要となっているのです。
(上記は株式会社マツリカによる2020年4月20日~4月24日実施 営業活動のリモートワークに関する調査)
働き方改革や新型ウイルス対策の一貫でリモートワークを導入する会社も増えましたが、生産性の向上までにはつながっていないようです。
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業務効率化と生産性向上の違い
しばしば生産性向上と混同されてしまうのが、業務効率化です。
業務効率化とは、業務のプロセスからムリ・ムダ・ムラな作業を省いて業務をスムーズにすることによって、限られた生産資源を効率的に活用していくことです。
具体的には、マニュアルを整備して業務フローを統一したり、長時間の会議を廃止したりする動きが業務効率化にあたります。
つまり、業務効率化を実行することによって、人件費などのコスト削減、労働時間の削減が実現します。
そのため、業務効率化を行うことで生産性が向上するという仕組みに繋がるのです。
しかし、むりやり業務効率化を進めてしまっても成果に繋がらず、逆に生産性が下がってしまうということも起こりえます。
業務効率化については、こちらの記事内でも詳しく解説しています。
関連記事:業務効率化とは?手法4つと成功事例、おすすめツールを紹介
生産性指標3種類(KPI)と計算式
生産性を分析することで、自社の効率性やどのくらいの付加価値を生み出したかを把握することができます。
経営資源を適切に活用できているかの課題が見えてくるので、企業経営にとっては欠かせない分析です。
また、社員一人ひとりがどのくらいの付加価値を生み出しているのかを数値で提示できるため、企業だけでなく社員のモチベーションアップにも繋がります。
生産性分析を行うにあたって必要となる指標は3つあるので、それぞれ説明します。
関連記事:KPIとは?営業のKPI設定方法とKGIとの違いを簡単に解説
①付加価値
付加価値とは、外部から仕入れた商品をそのまま販売するのではなく、企業独自の新しい価値を追加して利益を上げたもののことです。
つまり、他社に真似できない独自の方法で生み出した成果で、粗利益(売り上げー原価=粗利益)とも似ています。
付加価値の算出方法は下記の2つの計算方法があります。
【中小企業庁方式(控除法)】
付加価値=売上高-外部購入価値(材料費、運送費、外注費など)
【日銀方式(加算式)】
付加価値=経常利益+人件費+賃借料+減価償却費+金融費用+租税公課
一般的に使われているのは、控除法の計算式です。
②労働生産性
労働生産性とは、先述の通り、労働量に対してどのくらいの付加価値が生まれたのかを算出する指標です。下記の計算式で求めることができます。
労働生産性=産出÷投入
このように求められるため、一般的には「生産量や売上高÷従業員数」などで計算されます。
従業員ひとりがどのくらいの利益を生み出しているのかを数値化できるため、この数値が高いほど従業員一人ひとりが効率的に付加価値を生み出せているということになります。
数式からも分かるように、労働生産性を上げるためには単純に人員を減らすか付加価値を上げるしか方法がありません。
そこで各企業は、残業時間の削減や人員削減、付加価値創出のための施策立案などの対策をとるのです。
③労働分配率
企業が生み出した付加価値のうち、どのくらいの割合が人件費に充てられているかを算出するのが労働分配率です。下記の計算式で求めることができます。
労働分配率=(人件費÷付加価値)×100
上記の式で求められ、人件費には給与・賞与のほか福利厚生費や退職金なども含まれます。
中小企業は50~60%ほどが平均値だと言われています。
労働分配率が低いほうが効率よく利益を上げて企業の手元に残る金額も多くなると思われますが、この比率が低すぎると従業員に不満が募ってしまう結果にも繋がります。
しかし、労働分配率が高ければ企業にとっては赤字になってしまいます。
よって、労働分配率が低下傾向でありながら賃金水準が高い状態であることが、企業の経営を困難にせず従業員のモチベーションを保つことに繋がるのです。
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生産性指標を運用するメリット
コスト削減
生産性向上とコスト削減はほとんど同義とも言えます。
生産性指標を元に運用することで、コスト削減におのずとつながります。
生産性指標の改善を通じて、残業代や固定費、原材料費等が減少できれば、その分を新商品の開発や労働環境の改善など業務改善の方に回すことができるでしょう。
労働時間の短縮
時間あたりの生産性が向上すれば、今までと同じ仕事量に対してかかっていた時間を縮めることができます。それによって一人当たりの労働時間を減らすことができるでしょう。
労働人口不足への対応
生産量を増やしたいときに、人を増やせば解決に繋がることがありますが、これからの時代は少子化が進み、日本の人口が減少する予測が出ています。また、人材の流動性が高まり、人材確保も喫緊の課題となっています。生産性が上がれば、人を増やすことなく生産量が伸ばせ、労働人口不足に対応することができます。
売上や利益率の改善
生産性が上がることで、投資コストに対してより多くの価値提供ができます。限られたリソースの中で高い生産性を維持することができれば、ビジネス・企業として強くなることができるでしょう。
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生産性指標の導入における注意点
生産性指標を導入する際、注意すべき点も多数あります。ここでは、その中でも特に重要だと考えられる2つの点について解説します。
多数の施策を同時に実施しない
生産性の向上には、施策の効果検証が重要になります。しかし、多数の施策を同時に実施してしまうと、実施した施策の評価が難しくなってしまいます。そのため、生産性向上施策は一つないしは少数に限定して実施しましょう。
社員の理解を得てから実施する
時間労働と同様に、従業員に負荷を与えてしまうと、結果的に生産性や人材リソースの確保に悪影響を与えることになります
したがって、説明責任を果たした上で施策を進めるのが良いでしょう。
生産性指標向上のための今すぐできる6つの取り組み
労働人口が減少している昨今では、少ない経営資源で最大の成果を上げることが求められ、生産性向上はどの企業にとっても課題となっています。
しかし、社員数を減らして大きな成果を得ることは簡単ではありません。
そのため、より効率的に業務を行える環境を整えることが急務なのです。
生産性指標を向上させるため、企業にできることはどのようなことなのでしょうか。
1. 業務を整理し見える化する
まずは、社員一人ひとりがどのような業務を抱えているのかを見える化することです。
誰がどのような業務を抱えているのか、適切に業務が振り分けられているか、優先順位が低い業務ばかりしていないか、何時まで(何日まで)にその業務を終わらせるのかなどを可視化することにより、ムダやムラがなくなります。
また、スケジュールの見える化によって長時間労働の是正が期待でき、労働投入量を抑えることにも繋がります。
関連記事:営業プロセスとは?見える化の効果と営業力強化のポイント
2. 不必要な業務を排除する
今やっている業務を洗い出し、「これは何のためにやっているのか?」と自問しましょう。
そして、業務目標と照らし合わせて無駄だと感じるようなら省いてしまいましょう。また、ルーティンワークとなっている部分で、自動化が可能かどうかを検討し、ツールに導入を行うこともおすすめです。
3. 人材開発や社員のスキルアップを図る
人材開発や社員のスキルアップは生産性向上のためには必須の取り組みです。社員一人一人の能力が上がれば、当然ですが時間あたりの生産性は向上します。
そのため、社員研修や外部へのセミナー参加を促したり、社員の特性を理解して、仕事の適切な割り振りを行うマネジメントスキルの向上が必要となります。
一般社員や管理職に対して、定期的に勉強会などを行ってスキルの増強を図ることをおすすめします。
外部から優秀な人材を確保することも一つの施策としてあり得ますが、人材の確保には時間を要する上、能力の高い人材を確保することは簡単ではありません。
現在いる社員の能力を伸ばす施策を行うことが最優先でしょう。
関連記事:マネジメント能力とは?必要な4つのスキルと能力を高める方法を解説
4. 複数部署で行われている業務を統合する
複数の部署で作業を分割しすぎてかえって伝達の手間が発生していることがあります。
作業分担を見直し、似たような業務はまとめてしまえば業務効率は大幅に改善されるでしょう。
5. 既存の業務をより効率的な方法に変更する
日々、タスクは数多くあると思います。
しかし、それらをそれぞれグループ分けしたりセグメント化したりすることで、業務が整理され、作業効率が上がります。
複雑な業務は、だれでもわかるフローに落とし込んでマニュアル化するなどしてできるだけ簡素化してみましょう。
6. アウトソーシングやツールの導入を検討する
予算に余裕があれば、専門に特化した外部の人材に業務を委託することで、自社が力を入れるべき業務に集中することができます。
また、連絡手段一つとってみても、社内のコミュニケーションを効率化できるツールは数多くあります。ツールの導入の検討も有効な手段です。
関連記事:【最新】営業代行会社・営業アウトソーシングサービス比較13選!料金・特徴を解説
SFA/CRM活用による営業生産性向上のメリット
当社が提供しているクラウド型の営業支援ツール「Mazrica Sales」を導入した企業では、一人あたりの売上が平均で39.6%向上したというデータがあります。
営業生産性の向上が実現した企業は、どのようにMazrica Salesを活用して成果を得たのでしょうか。
営業活動の見える化
Mazrica Sales の「案件ボード」では、各営業担当者の案件の進捗状況をカード形式で可視化することができます。
営業プロセスのどこにどんな案件があるのかが分かると、マネージャーは指示やアドバイスを出しやすくなりますし、営業担当者自身も案件に対しての意識が高まります。
また、案件ごとに営業担当者がどんなアクション(行動)を取ったのかを入力・管理することによって、成約に繋がりやすいアクションを効果的なタイミングで実行することができるようになるのです。
データドリブンな仕組みの構築
経験や勘に頼った営業活動では、なかなか成約を取ることが難しくなってきています。
そこで、データドリブンな営業組織を構築することが求められています。
Mazrica Sales上に顧客や営業活動のデータを蓄積していくことで、経験や勘に頼らない数値化された裏付けデータを基にした営業活動を行うことができるようになります。
分析やレポート出力は簡単な操作だけで完了するため、細かいデータもすぐに確認することができ、PDCAサイクルを回しやすくなります。
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部門間の連携
以前は営業部が全て行っていた業務も、分業することで効率的に行うことができるようになります。
そのため、近年はマーケティング部門やインサイドセールス部門、カスタマーサクセス部門と営業部門が連携して仕事を進めている企業が増えてきています。
たとえば、まずインサイドセールス部門が電話営業などでリードの課題や悩みをヒアリングしてアポイントを取ります。
するとその内容をMazrica Salesに入力しておくことで、実際に商談へ行く営業担当者は顧客の正確な情報を基にした提案ができるのです。
また、アフターサポートをして継続的な利用を促すカスタマーサクセス部門と営業部門の連携も大事です。
顧客の課題や反応などをMazrica Salesに入力しておくことによって、カスタマーサクセス部門は適切なアプローチをすることができるのです。
関連記事:マーケティング・営業の連携の秘訣とは?メリット・トラブル解決策を解説!
営業生産性向上に成功した2つの事例
ここでは、SFA/CRMの導入によって実際に生産性向上に成功した企業様の事例をご紹介します。具体的な事例を知ることで、自社に導入する際のイメージや構想を膨らませましょう。
オフィスナビ株式会社
“営業工数の増加” と “営業活動のブラックボックス化” という大きな課題を抱えていたオフィスナビ株式会社様。MazricaSaleの導入によってどのような変化があったのでしょうか。
「導入1年後に実施したアンケートでは、“Mazrica Sales導入によって自身や周囲の行動が変化したか” という問いに対し、70〜80%の社員が “自分も、仲間も変わった” と回答しました。案件の現状や自分の努力が見える化されたことで、次の行動を起こしやすく、また行動するモチベーションも高まったのでしょう。」
組織体制が大きく変化し縮小した時期でも前年以上の売上を維持できるなど、実際に定量的な成果も見えており、営業活動の生産性が高まったことを実感しています。
詳細記事:既存SFA/CRM・MAツールからのリプレイスで、8割の営業担当が営業活動の変化を実感。マーケティング施策の精度向上も同軸で実現!
株式会社パフ
元々、Excel管理でリアルタイムで数値が追えない・提案からクロージングまでのリードタイムが長いという課題を抱えていた株式会社パフ様。
特にリードタイムの問題は深刻で、クロージングまで平均3ヶ月もかかってしまっており、温度感の低下による失注も少なくありませんでしたが、Mazrica Salesの導入でどのような変化があったのでしょうか?
なんと、導入によってリードタイムがなんと1カ月に短縮されました。
「当社の事業は営業も納品に関わるため、営業がどうしても目の前にある納品タスクを優先しがち。クライアント様への営業としてのフォローや連絡が後手になりリードタイムが伸びていました。今はMazrica Salesでアクション予定登録を徹底し、その予定が実行できているかをペアでチェックする仕組みを作りました。これにより、お客様への連絡を忘れずに実行するようになり、リードタイムの短縮につながったんです。」
このように、営業の各アクションを管理することで、営業活動の生産性を大きく向上させることに寄与しました。
詳細記事:リードタイムが1/3に!Mazrica Salesへの乗り換えで実現した営業効率の大幅UP
終わりに|生産性指標を理解して、効率的な組織を目指そう
少ない労働量で最大の成果を得るためには、単純な人員削減などではなく、企業独自の工夫が必要です。
特に売上に直結する営業部門は、どうやって営業生産性を向上させるかが課題となります。
働く環境を整えるだけでなく、SFAなどのITツールの導入などで成果に繋がる仕組みを作りましょう。
SFAの導入で、営業組織の生産性指標を可視化し、生産性向上がより楽に可能になります。
生産性向上に課題を感じている企業は、ぜひ導入を検討してみてください。
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