現代のビジネスシーンで欠かすことのできないデジタルテクノロジー。デジタルテクノロジーを活用してより良い社会を実現するには「デジタルトランスフォーメーション(DX)」が必要不可欠です。
今や多くの企業や領域で、DXの必要性が叫ばれています。
経済産業省を筆頭に、国をあげて推進しているデジタルトランスフォーメーション(DX)。
企業や営業組織に、デジタルトランスフォーメーションがどのような効果をもたらすのでしょうか?
今回は、特に「営業におけるDX(デジタルトランスフォーメーション)」について解説します。
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この記事の内容
営業DXとは?
営業DXとは、営業部門においてデータやデジタル技術を活用し、顧客の購買行動・購買プロセスの最適化を図り、顧客の持つ課題解決ができる組織づくりをすることです。
DXは企業全体で取り組むだけでなく、部門ごとの取組みでも効果が発揮されるものです。
すなわち、営業部門においてもDX化することは重要です。
しかし、具体的に営業部門でDXを取り入れるとどうなるのか?ピンとこない方も多いかもしれませんね。
関連記事:DX(デジタルトランスフォーメーション)とは?意味やDX推進のポイント・事例まで紹介
ここでは、営業部門でDXについて考えてみましょう。
営業部門でデジタルトランスフォーメーションを導入するということは、「営業をデジタル化する」=「営業を見える化する」ということも含まれます。
営業をデジタル化することで、営業活動に関わる情報を組織全体で共有です。
具体的には、各営業担当者の行動や案件の進捗、顧客の詳細な情報、更にはベテラン営業やデキる営業のノウハウやナレッジまでも、組織全体で共有することができます。
※担当者ごとの受注率を可視化するグラフ
例えば、営業部門にSFA/CRMを導入することで、上のグラフのように営業担当者毎の受注率が可視化されます。
受注までのプロセスから担当者の活動情報を深掘りすることで、トップ営業のノウハウを組織全体に浸透させることができます。
ノウハウの情報共有促進によって、営業の属人化が解消し、営業組織全体の営業力強化や底上げにつながるのです。
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営業DXが必要な背景
そもそも、なぜ営業DXが必要とされているのでしょうか?
営業に限らず、事業のDX化の必要性は2020年に流行した新型コロナウイルスの影響が大きいでしょう。
出社や訪問営業が難しく、リモートワーク、在宅勤務が当たり前になった世の中で、営業活動をどうオンライン化できるのか?デジタル化できるのか?注目を集めました。
もちろん、オンライン化・デジタル化に対応することがDX化のポイントではありません。
殊、営業DXの文脈では、DXにより一人一人の営業生産性を上げ、世の中の変化に対応できる体制を作っておくことが重要です。
世の中の「変化」はいつどのようなタイミングで起きるのか分かりません。自社だけでなく、他社についても同様です。
だからこそ、企業情報・顧客情報などをSFAやCRMに残し、情報共有・連携体制を整えておくことは重要です。
営業のDX化によって、見込み顧客、既存顧客問わず、顧客の状況を踏まえ、本質的な顧客の課題を解決する支援が重要になっています。
関連記事:SFAとは?CRM・MAとの違いや選び方から成功事例まで解説
日本が直面する「2025年の崖」
営業DXが必要とされる背景として、「2025年の崖」問題があります。
2018年、経済産業省デジタルトランスフォーメーションに向けた研究会が発表したDXレポートで警鐘を鳴らした「2025年の崖」という問題が話題となりました。
(経済産業省 DXレポートより)
現在、DXの必要性が高まってきたため各企業でシステムやITツールの導入が進んでいますが、複雑化・ブラックボックス化されている上に、老朽化も問題となっています。
この複雑化・ブラックボックス化・老朽化したシステムを「レガシーシステム」と言いますが、現在は約8割の企業がレガシーシステムを導入しています。
レガシーシステムの保守・運用にはコストや人手などの多大なリソースが必要です。
ですが、2025年には「IT人材不足」「21年以上稼働している基幹システムが6割」「SAPやERPのサポート終了」という問題が訪れてしまうため、デジタルトランスフォーメーションの実現は叶わなくなってしまうと言われています。
2025年の崖では、具体的に2025~2030年の間に年間で最大12兆円もの経済損失が生まれると予想されています。
2025年の崖に向けた対策として「DX実現シナリオ」を掲げており、レガシーシステムから新たなシステムへと刷新し、IT人材の育成やビジネスモデルの転換などの必要性を説いているわけです。
尚、DX戦略については、こちらの記事で詳しく解説しています。
関連記事:DX戦略とは?戦略立案・推進のポイントとDX化の成功事例を紹介!
DX化とデジタル化の違い
デジタル化とは、既存のシステムをデジタルツールに置き換え、業務効率化を図ることを指します。
例えば、紙での営業日報作成・管理からExcelなどを活用し、PC上で営業日報を作成・管理することなどです。
デジタル化はツールを導入することで実現ができます。
一方、DX化はデジタル化をした上で、デジタルツールの特性を活かし、ビジネスモデルを変革したり、人々に新たな価値を提供することを指します。
つまり、デジタル化とDX化は、それぞれ目的が異なるわけです。
営業DXのメリット
なぜ、企業がデジタルトランスフォーメーション化を進めたほうがいいのでしょうか?
言わずもがな、DX化による様々なメリットがあるからに他なりません。
弊社が発行しているJapan Sales Report内の調査結果によると、DX化の一部と言ってもいい「セールステックツールの導入状況」と「業績」には、一定の相関があることが分かっています。
また、経済産業省発表の「デジタルトランスフォーメーションに向けた課題の検討」の調査結果によると、
※内訳は、リーダー企業(DX戦略があり、収益の3分の1以上をデジタル製品とデジタルサービスから得ている企業)が103名、フォロワーが1,457名。
-
- 顧客ロイヤルティ、顧客維持率の向上
- 生産性向上
- コスト削減
- 利益向上
- 新しい製品やサービスによる売上
という5つの側面で、フォロワーの約2倍ものリーダー企業が「DXの恩恵を受けている」と答えています。
つまり、DXを推進している企業はあらゆる側面でメリットや効果を実感しているため、企業がデジタルトランスフォーメーションを導入することには意義があると言えます。
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以下では、上記の5つのメリットを4つの項目にまとめて紹介します。
顧客満足度・顧客維持率の向上
CRMやSFAを活用し、顧客データを一元管理することで、顧客のニーズや関心をデータ化することができ、パーソナライズされた顧客アプローチが可能になります。
さらに、蓄積されたデータは顧客満足・維持に繋がる新たな商品・サービス作りの役にも立つでしょう。
営業生産性の向上
営業DXにより、営業データを管理・分析することで、営業生産性が向上し、効率的な営業プロセスを構築することもできます。
単なる受注・失注情報だけでなく、受注までの期間(リード獲得から受注までにどの程度の期間を要したのか?)、失注要因(なぜ、どこの営業フェーズで失注したのか?)などを明確にできるのは大きなメリットです。
さらに、営業データから成果が期待できる顧客に集中してアプローチすることで、営業効率・生産性の向上が期待できます。
コスト削減・利益向上
コスト削減と利益の向上は営業生産性向上によって達成されるものでもあります。
組織内で顧客データや営業ノウハウが共有されれば、営業スキルの標準化が可能です。
営業スキルの標準化により、特に時間的なコストは大幅に削減できます。
同時に、データから顧客理解も進み、結果的に受注率も向上するでしょう。
属人化しがちな営業を組織で行うことにより、コストを削減しながら売上や利益の向上が見込めます。
新しい製品やサービスによる売上
営業のDX化を推進できれば、コスト削減と利益が向上すると共に、営業生産性が向上することが分かります。
結果的に、新規製品やサービスの開発にかけるお金と時間が生まれることにより、早期に売上を立てることが可能になるわけです。
営業をDX化する3つの具体的な方法
※営業DXの推進の鍵はSFA/CRMに蓄積されたデータからのフィードバック
ここからは、営業をDX化するための具体的な施策について、詳しく見ていきましょう。
営業をDX化するには、以下の3つの観点が重要です。
- リード獲得のDX
- 顧客育成のDX
- 顧客分析のDX
①リード獲得のDX
まず1つ目はリード獲得のDXです。少し前まではテレアポ、もしくは飛び込み営業が一般的なリードの獲得方法でした。
しかし、テレアポや飛び込み営業にはいくつかの欠点があります。
欠点の最たるものが時間などのコストを浪費してしまうことでしょう。
また、テレアポや飛び込み営業は社員の精神衛生面からみても、決して良いものではありません。
一方、DXによりテレアポや飛び込み営業だけの手法から脱却し、効率的なリード獲得を行うことができます。
具体的には、オウンドメディアマーケティング、WEB広告などのオンラインマーケティング施策を実施するなどの方法があります。
オウンドメディアマーケティングとは、自社で運営するサイト上で顧客の視点に立ち、製品やサービスそのもの以外のお役立ち情報を発信することで、顧客の興味を引く手法です。
オウンドメディアマーケティングを活用することで、需要があることに気が付いていない潜在顧客にアプローチすることができる可能性があります。
そこで興味を持った顧客が問い合わせを行うことで、結果的にテレアポや飛び込みを行うことなく、リードを獲得することができるのです。
関連記事:
②顧客育成のDX
2つ目は顧客育成のDXです。
顧客育成は「リードナーチャリング」とも呼ばれ、最近よく耳にする言葉になってきましたよね。
念のために、おさらいをしておくと、顧客育成とは獲得したリードに対して、購買意欲を高めるためのプロセスや手法のことを指します。
主なDXの手法としては、メールマーケティングなどが挙げられるでしょう。
関連記事:メールマーケティングとは?メルマガとの違いや実施のための5つのステップ
ここで、「メールマーケティングがDX?」と思われる方も多いかもしれませんね。
メールマーケティング自体は以前より「メルマガ」と呼ばれていたように、DXが叫ばれる前から存在していました。
しかし、これまでのメールマーケティングには大きな欠点があったわけです。
それは「メールが開封されない」という問題です。
ある調査によると、ビジネスパーソンの1日の平均メール受信数は50.12通であるという結果が出ており、一つ一つのメールにじっくりと目を通されることは期待できません。
そこで重要となるのが、顧客育成のDXです。
ITツールを使うことによって、セグメント別に内容を変えたメールやパーソナライズされたメールを効率的に配信できるようになりました。
パーソナライズされたメールによって、読んでみたくなるメールを配信することが可能になったのです。
また最近は、SFA/CRMにメール一斉配信機能が備えられているものもあります。
顧客データと連携してより効率的な配信を行ったり、手軽にリッチなHTMLメールを作成する機能がついている製品まであるのです。
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③顧客分析のDX
3つ目は顧客分析のDXです。
顧客分析とは購買率や満足度を上げるために、主に自社製品を購入した、もしくは検討している顧客の属性と行動分析を行うことです。
顧客分析はこれまではExcelなどの表計算ツールで行われることが多かったかもしれませんね。
関連記事:顧客分析とは?具体的な5つの手法からツールを用いた分析まで
しかし、Excelだけでは顧客分析のDXを実現するのは難しいのが現状です。
顧客分析をDXするためにはまず、SFA/CRMを導入することがおすすめです。
DXが進んでいる昨今では、AI機能を搭載しているSFA/CRMもあります。
データの蓄積によって、人間が手間をかけて分析を行わずとも最適な策をツールが提示してくれるのです。
クラウド営業支援ツール「Mazrica Sales」はAIを用いた営業支援ツールの代表格といえるでしょう。
成果を自動的に最大化する仕組みとは?Mazrica Sales概要資料 より
以上で説明したように、営業部門のDXにはリード獲得の段階から顧客分析の段階まで様々な方法があります。
営業DXを実現する多くの方法において、SFA/CRMは重要な役割を担っているのです。
なぜなら、SFA/CRMは営業活動と売上データのすべてを司る、いわば営業組織の活動全体を支えるプラットフォームだからです。
営業DXの中心にSFA/CRMがあり、営業DXはここから始まるのです。
すなわち、SFA/CRMがあってこそ様々なDX施策が成立し、売上や顧客満足度などの成果の向上が見込めるようになります。
営業のDX化のためにはSFA/CRMの導入は不可欠といえるのです。
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営業DXの現状と注意点
ここまでの説明で、営業DXの重要性をご理解いただけましたでしょうか。
非常に有効かつ、重要な営業DXですが、実際は営業部門でのDXが進んでいる組織は多くありません。
ボストンコンサルティンググループの調査より、「DXに成功していると回答した⽇本企業はわずか14%」しかないということが明らかになっています。
世界各国の平均が30%であるということを考えると、非常に低い割合であるといえます。
多くの日本企業は世界のDXの波に乗り遅れてしまっているのです。
一方で、営業のDXをいち早く導入している大企業もあります。
営業DXの導入に成功した大企業の一例が自動車で有名なトヨタです。
「世界のトヨタ」と言われるほどの日本を代表する大企業トヨタも、営業に課題を抱えており、営業のDX化を実践しました。
具体的には以下の施策です。
全国に約280社もあるトヨタの販売会社は、地域や顧客の特性に合わせてそれぞれ異なる営業スタイルで自動車販売をしています。
しかし、働き方改革による労働時間減少や少子化による人手不足により、ビジネスプロセスを効率化する必要が出てきています。
そこで、各販売会社に合わせた営業支援が実現できるよう、オンプレミスのトヨタの基幹システムと、クラウドCRMのセールスフォースを連携する基盤を、販売会社の数だけ構築したのです。
これほどまでに大きな組織でも営業のDX化を行うことができたのですから、実際はDXを行うこと自体はさほど難しいことではありません。
しかし、一方でDXに対してはハードルを感じている人が多いのも現実です。
その理由は次のようなものではないでしょうか。
弊社無料ebook「これからはじめる営業DXとは」より
- DXに必要なテクノロジーが不明確
(≒どんなITツールを導入すべきかわからない) - Xプロジェクトとの成果と事業部⾨トップにとってのメリットの関連性がない
(≒DXプロジェクトの成功が現場の成功とは限らない) - 伝統的な考え⽅から抜けきれない⼈材による抵抗
(≒ ITツールの活⽤・定着が難しい)
確かにITツールの導入は様々な障壁があり、導入が遅れてしまう部分もあるでしょう。
しかし、導入による業務効率化、営業力強化のメリットが大きいのも事実。
実際のところ、営業DXの成功は5~10倍のビジネスプロセスのスピードアップや10%の顧客満足度の向上、5~10%の売上向上をもたらすといったデータもあります(マッキンゼー・デジタル・⽇本によるDXリーダー企業への調査より)。
これほどまでにメリットが大きいと理解していながら導入しないのは、もったいないですよね。
そこで、ここからは少しでも理解を深めていただくために、営業DXを促進するための3つの具体的な方法をご紹介します。
ぜひ、御社のDXの参考にしてみてください。
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ツールの導入を大前提に、より広い視野が必要
前述したように、営業をデジタル化するためには、まずSFA/CRMを始めとするツールの導入が不可欠です。
しかし、一方でツールで全てが解決し、DX化が実現できるわけではありません。
ツールはあくまでも効率的にデジタル化を実現するための手段であり、その後の戦略の設計や判断は人力によるのです。
つまり、データを見える化できるツールを導入することと同時に、ツールやデータを活用するのは自分自身であることが前提です。
上記のように案件情報を可視化すれば検索時間を削減することができます。
何らかのアクションが一定期間ない案件の色は徐々に赤色に変わるため対応漏れということもなくなります。
しかし案件情報をどう活かすかは人が考えなければなりません。
また、数あるツールのうち、自社にあったデジタルツールを選べているかも重要な視点です。
デジタルを使うことだけでよりよいビジネスや営業が実現するのではなく、あくまでも活用してこそデジタルトランスフォーメーションの本質なのです。
DXに成功した4つの企業の具体事例
実際にデジタルトランスフォーメーションを進めようと思っても「具体的に何をしていいのか分からない」という人も多いはずです。
ここでは、デジタルトランスフォーメーションを導入したことで成功した事例を紹介します。
半年で商品採用率は約2倍・データ利活用が実現【一正蒲鉾株式会社】
1965年 新潟県新潟市にて創業し、水産加工物の製造・販売を軸とした事業を展開する一正蒲鉾株式会社。
生産拠点として国内外に7工場・1センター、営業拠点として国内に8支店を構え、日本全国はもとより、海外へもこだわりの商品を届けています。
一正蒲鉾では、デジタル技術の活用によって企業の変革を推進するため、2021年6月に「DX推進部」が設立され、各部署と連動した取り組みが始動しました。
元々は、各部署の目的や困りごとに対して、情報システム課が一つ一つ個別にシステムを内製し、複雑な情報管理が行われていました。
営業領域では商談日報の管理システム以外にも営業関連の多数のシステムが存在しています。システム一つひとつに情報を入力したり、情報集約のため報告資料を作る等、事務作業に時間を割かれる状況が続いていたようです。
営業dxの一環でSFA/CRM Mazrica Salesを導入してからは、導入後半年間で、既存顧客への営業活動における商品の採用率がおおよそ2倍にまで伸びるという成果があがり、現在も効果を継続できているそうです。
事例記事:半年で商品採用率は約2倍に!Mazrica Sales導入で効率的かつ効果的なデータ利活用が実現
DXでオムニチャネル化に成功した【Best Buy(ベストバイ)】
アメリカで店舗を展開している大手家電量販店「Best Buy」。
ここ数年、Amazonを始めとするネット通販の発展により、実店舗の家電の売上だけでは業績を維持できなくなっていました。
そこで着目したのが、実店舗販売とWEBサービスを掛け合わせた事業展開です。
Best Buyが提供しているサービスは以下のようなものがあります。
- ネットで注文した商品を店頭で受け取れる「フリーストアピックアップ」
- 顧客が店舗で見た商品をネットで調べてより安い値段だった場合、価格を提示することで同じ値段で購入できる「プライスマッチングポリシー」
- 店舗在庫を即座に反映させたり、少ないクリック数で購入まで至ることができたりするよう、ショッピングサイトの改善
- 24時間、年中無休で対応してくれるテクニカルサポート集団「Geek Squad」を配置
上記のDX戦略は着手当時の2012年から着実に効果が現れ始めており、2017年後半には400億ドルの収益だったのが2019年には430億ドルまで上がりました。
DXで売上を飛躍的に伸ばした【Microsoft(マイクロソフト)】
WindowsやOfficeシリーズで世界各国にユーザーのいる「Microsoft」ですが、競合他社との競争激化により、戦略の再考を行いました。
売り切りのソフトウェア販売から、クラウドネットワークサービスへと移行したのです。
主力サービスのOffice365をクラウドサービスとして提供したことで利便性が飛躍的にアップし、ユーザー数を伸ばすことに成功。
それに伴って収益も増加し、2014年の935億ドルから2019年には1,220億ドルまで伸ばすことができたのです。
また、2019年、Microsoftは時価総額1兆ドルを獲得しました。
DXで生産から販売までデジタル化に成功した【フォルクスワーゲン】
ドイツの自動車メーカー「フォルクスワーゲン」でもデジタル変革が行われています。
自社内にソフトウェア部門を設立し、2025年までに車両関連サービス用ソフトウェアの内製率を60%にすることを目標にしています。
また、2020年からは欧州での新車販売をデジタル化し、顧客IDに基づいて細かなサポートを展開する予定です。
新車購入、ファイナンス、支払い、中古車取引などを共同インターネットプラットフォームで展開できるサービスも開発中。
更に、インターネットを介したカーシェアリングサービスや駐車場サービスの展開によって、2025年までに約11億ドルの売り上げを予想しています。
営業DXの導入から成果を出す6つのポイント
ここからは営業DXの導入検討から実際に成果を出すまでのポイントを6つに分けて解説します。
関連記事:DXの進め方とは?始め方から推進まで6つのステップに分けて解説
営業DX導入の目的を明確にする
まずは、なぜ営業をDX化をするのか?目的を定めることから始めましょう。DXの目的が不明確な場合、方向性が定まらず、社内の共通意識が作れず、舵取りが難しくなり、思うようにDX化が進みません。
目的を明確にする際のポイントは、目的を設定する前に自社の営業課題から紐解くと良いでしょう。営業課題を解決するために、どのようなデジタル技術をどのように活用するべきか考えます。
DX化はあくまでも目的を達成するための手段であり、DX化そのものが目的ではありません。手段と目的を分けて考えると共に、明確な目的の設定から始めましょう。
プロジェクトチームを作る
営業DX導入の目的を明確にできたら、次にプロジェクトチームを作ります。
一人の意思と行動だけでは、組織的なDX化は困難です。
まず、プロジェクト全体のリーダーを選定し、営業、IT、データ分析、マーケティングなど、各部門から適任者を選抜します。
チームは定期的にミーティングを行い、進捗状況を共有すると共に、必要なツールや教育などを提供し、データドリブンな意思決定を推進します。
営業プロセスの可視化
「営業プロセスの可視化(見える化)」とは、リード(見込み客)の獲得からリードへの訪問や商談を経てクロージング、受注(または失注)に至るまでの一連の営業プロセスを可視化することをいいます。
見える化(可視化)することによって「受注した案件はどのようなプロセスで進めたのか」「失注してしまった案件のプロセスに問題がなかったか」などが明確になるわけです。
関連記事:営業プロセスの見える化とは?可視化の3ステップを解説
課題の洗い出し
営業プロセスを可視化できたら、営業課題を洗い出します。
営業課題を洗い出す際は「課題を具体化(明確に)する」のがポイントです。
課題が明確になれば、解決策も立てやすくなるからです。
例えば、「営業プロセスが最適化されていない」という課題より「営業担当者が顧客情報を手動で管理しており、情報の重複や誤入力が頻発し、成約までのリードタイムが平均2週間長くなっている」の方が課題が明確であり、解決策も考えやすくなります。
課題解決に向けた解決策の実行
課題を洗い出し、具体化ができたら、解決策を考え実行します。
ポイントは自社の営業課題を把握した上で、それぞれに優先順位をつけることです。優先順位をつけないまま、課題をリストアップした順に解決(または取り組みやすさだけを重視)しても、成果を出すまでに時間がかかるケースがあります。
課題の優先順位が決まったら、ツール等を用いて解決できるポイントがないか検討していきましょう。
導入後の効果検証の実施
営業DXを推進し、日々業務に取り組んでいても、必ず定期的な効果検証、振り返りは行うようにしましょう。
定期的に施策に対する効果検証をすることで、ツールなどの導入でどのような効果が得られたのか?改善すべき点があるのか?などが分かります。
効果検証とプロセスの修正や見直しを繰り返しすことで、新しい気付きが生まれ、効果的な営業活動に繋がるでしょう。
営業DXに失敗する要因・DX推進の注意点
もちろん、デジタルトランスフォーメーションを導入して成功している企業ばかりなかりではありません。
具体的なDX推進活動と共に、自社内の環境整備や意識改革なども並行して行う必要があるため、「よし、DXを進めよう!」と思ってもなかなかうまく進まない企業が多いことも事実です。
ここでは、営業DXに失敗する要因について解説します。
尚、営業DXに必要なSFAの導入に失敗しないために、こちらの資料もご覧ください。
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社内の理解が得られていない
社内の理解が得られず、環境が整っていない状態でデジタルトランスフォーメーションを推し進めようとすると、どうしても途中で躓いてしまい、失敗に終わってしまいます。
DX推進のためには、営業DXの必要性をよく理解・納得し、組織全体で実行につなげる必要があります。
ツールの導入で満足してしまう
営業DXの導入・推進にツールは必要不可欠です。
ですが、ツールを導入したからと言って、営業DXが成功するとは限りません。
ツール導入はあくまで手段であり、「ツールを活用」できて初めてDX化に繋がるわけです。
ツール導入の際は、目指したい姿から逆算した設計、そして運用までのサポートがあるツールを選ぶようにしましょう。
新しいことや変化に対応できない
営業を含めたDXは、決して一人の力で実現することができません。
各所の理解・協力が必要不可欠です。
ですが、中には今までのやり方に固執して(慣れてしまっていて)新しいことに取り組むことや、変化を受け入れられず、DXの動きに対応できない、協力してくれないメンバーも出てくるかもしれません。
誰もが少しずつ変化を受け入れられるよう、ステップバイステップで実行するようにしましょう。
営業DXを浸透させるには営業DXの本質を理解することが重要!
IT技術が発展している現代では、どの企業もビジネスにデジタルを導入して、効率化・簡素化を図っています。
それぞれの業界でDXの取り組みが進んでデジタル改革が推進されることで、ビジネスだけでなく日常生活の側面でも変化が生まれてくるでしょう。
DXを推進する意味を考え、本質をきちんと理解して、デジタル化を進めることがポイントです。
ツールを導入するだけでなくきちんと活用してこそ、ビジネスにおけるデジタルトランスフォーメーションの実現が近づくのではないでしょうか。
こちらの資料では、営業DXの実態や必要性、進め方を図解で分かりやすく説明しています。
営業DXの本質を理解するため、是非この機会にご一読ください!