「顧客が増えてきたから、情報を適切に管理したい」
「顧客情報を有効に活用できていない」
「顧客情報が一元管理できておらず、困っている」

このような課題を感じている人や組織は、自社に合った適切な方法で顧客管理をするタイミングかもしれません。

本記事では、顧客管理のメリットやポイントをふまえ、顧客管理の具体的な方法について解説します。
ぜひ自社に合った顧客管理を実行し、顧客との関係構築につなげましょう。

▶︎▶︎顧客管理ツールをお探しの方向け資料「SFA/CRM比較8選」をダウンロードする

顧客管理とは?

顧客管理とは、顧客に関するさまざまな情報を社内で一元管理することを目的に、情報共有を促進したり顧客との関係を構築したりするための仕組みを意味します。

顧客管理自体は以前から行われていた管理手法の1つですが、管理の対象となるデータは単に顧客の氏名や連絡先などの情報だけにとどまっていました。

しかし、時代が変わっていく中で顧客ニーズも変化・多様化しており、企業は顧客のニーズを見極めて時代に応じたサービスの提供が求められるようになったのです。

また少子高齢化による労働力不足に伴い、企業は限られたリソースを有効に活用し、労働生産性を向上していかなければなりません。

このような背景から、企業の成長にはデータ活用が必須となり、中でも顧客にまつわるデータは非常に価値のあるものになってきました。

単なる顧客の属性データのみならず、商談履歴や購買履歴など顧客に関するあらゆる情報を多角的に分析し、ニーズを読み取って企業活動に活用する取組みが必要になったのです。

つまり、「顧客管理」とは顧客に関する情報を管理するだけでなく、顧客情報を活用して企業の成長や顧客満足度の向上につなげる仕組みまでを指すようになっています。

顧客情報を管理できるCRMツールについては、こちらの記事で詳しく解説しています。
関連記事:【CRM比較】顧客管理システム/サービス35選|特徴から価格まで

顧客管理で管理すべき項目

先述のとおり、顧客管理で管理すべき情報は顧客の氏名や連絡先だけではありません。以下のように、顧客に紐づくさまざまな情報を管理します。

  • 顧客の属性情報:氏名、企業名、連絡先など
  • 商談履歴:商談の日時や内容など
  • 営業アクション(コンタクト)履歴:電話・メール・訪問など営業アクションを実行した日時や内容、顧客の反応など
  • 購買(受注)履歴:過去に購買した商材名や金額など
  • お問い合わせ履歴:顧客から自社に対するお問い合わせの履歴
  • サポート履歴:アフターサポートの利用履歴

BtoBの現場とBtoCの現場では対象となる顧客が変わってくるので、管理すべき項目も異なります。

BtoBでは、企業情報や担当者の情報、BtoCでは顧客情報が 必要になります。それぞれがどういうものなのか説明していきます。

企業情報

企業が顧客であるBtoBビジネスでは、企業情報を中心に管理していく必要があります。

企業情報には以下のような項目があります。

  • 企業・会社名
  • 住所・電話番号・メールアドレス
  • 代表者名
  • 資本金
  • 従業員数
  • 上場か非上場か
  • 決算月
  • 業種
  • 事業内容
  • ホームページURL・SNSアカウント

企業の名前や住所の情報などは名刺交換の際にすぐに手に入れられたり、調べればすぐに出てくるような情報です。

一方、代表者や資本金、従業員数などの情報はある程度調査する必要があります。多くの場合、取引先の返済能力などの信用度を審査する際に調査することになるものです。

また、多くの情報を効率的に集めるためにも、ホームページやSNSアカウントといった情報入手経路も把握しておくと良いでしょう。

個人情報

BtoBビジネスであれば、企業の情報の他にも、担当者個人の情報を管理することも重要になります。BtoCビジネスであれば、ユーザーの個人情報が必要です。

個人情報では、以下のような項目で管理をします。

  • 氏名
  • 年齢・性別
  • 所属会社名
  • 勤務先住所
  • 職業・部署・役職
  • 携帯電話番号・メールアドレス
  • SNSアカウント
  • 誕生日
  • 世帯人数
  • 趣味・嗜好

企業担当者の場合は上記の企業情報と同様、名刺交換などによって簡単な情報が手に入りますが、ユーザー個人の情報は問い合わせ時や契約前、購買時に登録を求めるなどして収集しましょう。

個人の嗜好などの情報はなかなか得にくいですが、アンケート調査やヒアリングなどを通して積極的に探っていきましょう。

その他の顧客情報

そのほかにも、顧客から問い合わせがあった時の情報や、契約時の情報、商談情報も管理すべき項目です。

問い合わせ情報は、以下のような情報を管理することで、今後の問い合わせにスムーズに対応するとともに、商品・サービスの改善に役立てられます。

  • 問い合わせ種別
  • 問い合わせ内容
  • 状況(ステータス)

商談情報は、以下のような項目を管理することで、商談の進捗状況を把握しやすくなり、営業業務の効率が大きく上がります。

  • 商談金額
  • 契約数
  • 仕入原価
  • 商談中の商品・サービス
  • 商談作成日
  • 受注予定日
  • 次に担当者がとるべき行動(ネクストアクション)
  • 一括請求か毎月請求か

契約情報は、以下のような情報を管理しておくと、次回の営業アプローチを擦るタイミングが図れるなど、アップセル・クロスセルにつなげる戦略を立てやすくなります。

  • 契約金額
  • 契約した商品・サービス
  • 契約締結日
  • 契約満了日

ほかにも商材によっては管理すべき項目が加わる場合もあります。

これらの顧客情報は、Excelやデータベース、顧客情報管理ツールや請求管理システム/会計システムなどに横断して蓄積されている企業が多いかもしれません。しかし顧客情報が社内に点在していると、なかなかデータ活用まで進めないでしょう。

そのため、「ツール同士を連携する」「同一ツールを利用する」など、社内に点在した顧客情報をいかに集約して活用するかがポイントになります。

顧客情報の集まりである顧客データベースに関する記事も併せてご覧ください。

関連記事:顧客データベースの作り方 CRMとエクセルでの顧客管理方法を解説

顧客管理のポイント

「顧客管理」とは、単に顧客の情報を管理するだけでなく、顧客に関する情報を活かして顧客との「関係」を築いていくものだと気づいた人もいるのではないでしょうか。

その通り、顧客管理とは顧客との関係を管理するものです。

顧客関係管理はCRM(Customer Relationship Management)とも言われ、現在では広く浸透している考え方です。

顧客からの信頼を得て良好な関係を構築する「顧客関係管理」において、ポイントとなるのは「情報蓄積」だけではありません。以下のポイントを意識し、良好な関係を築きましょう。

CRMについては、こちらの記事で詳しく解説しています。
関連記事:CRMとは?意味や機能・おすすめの顧客管理ツールをわかりやすく解説

顧客理解を深める

顧客とよい関係性を築くためには、顧客について深く理解することが不可欠です。

従来の基本的な顧客情報(名前、連絡先など)だけでなく、以下の情報を把握する必要があります。

個人顧客の場合

  • 購買傾向
  • 年齢層
  • 性別
  • 居住地域

法人顧客の場合

  • 業務内容
  • 社員数
  • 企業理念やポリシーなど

顧客のニーズに合った適切な提案をするためにも、こうした顧客理解が欠かせません。つまり、顧客理解は良好な顧客関係の土台となる重要な取り組みなのです。

顧客ニーズを読み取る

市場が熟成してしまっている現代では、価格競争だけでなく、いかに顧客の課題を解決できるかが生き残るためのカギとなります。

顧客から求められる企業になるためには「この会社は、私のことをわかってくれている」と思われるかどうかです。

そう思ってもらうには顧客について理解し、顧客の課題を認識した上でニーズを読み取らなければいけません。

とはいえ、顧客自身が気づいていない潜在的な課題が潜んでいる場合も少なくありません。

潜在ニーズは顧客について深く理解しなければ見つけ出せないため、表面的な付き合いではなかなか見つけ出すことが難しいでしょう。

そのため顧客との良好な関係を構築できる顧客関係管理をすることで、相手の潜在的な課題を見つけ出してニーズを掘り起こせるのです。

受注して終わりではない

顧客関係管理においてよくある間違いが、受注するまでは濃厚な関係を築いていても、クロージングしたらぱったりと連絡を取らなくなるケースです。

この場合、営業担当者は受注を獲得できたら案件が終了したと思っていますが、顧客側はそうではありません。

「商品の使い方がわからない」「システム運用がスムーズにいかない」など、クロージング後も顧客の課題があるからです。

ここでどれだけサポートできるかが、その後の顧客との関係に大きく影響します。

受注後の定期的なサポートをして良好な関係を築ければ、アップセル/クロスセルができたり、新規の顧客を紹介してくれたりするなど、営業のチャンスにつながるからです。

つまり顧客との関係を管理していくためには、受注して終了ではないことを頭に入れておかなければいけません。

顧客との関係管理で重要な「カスタマーヘルススコア」に関する考え方をこちらの記事内で解説しています。
関連記事:カスタマーヘルススコアとは?導入のメリットと5つのポイント

顧客管理はExcelだと難しい

エクセル管理は、多くの企業が導入している顧客管理方法です。 エクセルは普段から利用している企業も多いため、導入や運用のハードルが低く、コストもかかりません。

また自分で項目やフォーマットを自由に作成できるため、自社専用の顧客管理のデータベースが出来上がります。

しかし、エクセルでの顧客管理には限界もあります。 登録する顧客数や項目が増えるほど入力の手間がかかり、管理も大変になります。

顧客数が膨大になったり関数を入れすぎたりすると、ファイルが重くなり作業効率が非常に低下します。 また、リアルタイムで情報共有できない点もデメリットです。

ほかのメンバーが開いていると操作できなかったり、編集内容がリアルタイムで更新されずに消えてしまったりするため、顧客数やメンバー数が増えるほどストレスになるでしょう。

関連記事:顧客情報管理はExcelが最適?おすすめしたいツール3選

顧客関係管理ツール(CRM)を導入するメリット

顧客管理をエクセルだけで行うには限界があることは先述のとおりです。 エクセルに無理を強いて顧客管理を続けると、非効率性の問題だけでなく、ミスが原因で販売機会を逸したり、競合他社に遅れをとる恐れがあります。

近年、顧客管理はますます複雑化しています。 個人顧客なら購買傾向、年齢層、性別、居住地域など、法人顧客なら業務内容、社員数、企業理念やポリシーなど、従来の基本情報だけでは不十分です。

このような高度な顧客管理ニーズに対応するには、エクセルではなく、専用の顧客管理システムが不可欠となっています。

そこで、ここでは顧客関係管理システム(CRM)を導入するメリットを解説します。

顧客ニーズにマッチしたアプローチができる

インターネットの普及や新型コロナの影響などで、顧客の購買行動やニーズは変化しています。これらの変化に対応するためには、顧客が求めているものを把握して適切なタイミングでアプローチしていくことが必要です。

顧客関係管理ツールを用いれば、顧客との商談履歴から顧客の課題を読み取ったり、顧客の購買履歴からニーズを引き出したりすることができます。

顧客管理によって顧客が必要なときに必要なものを提供できるようになるのです。

顧客ニーズにマッチしたアプローチについては、こちらの記事も役に立つでしょう。
関連記事:パーソナライズの意味とは?|メリット・デメリットとツール紹介

顧客のロイヤルティが向上する

企業の成長には、新規開拓をして新規顧客を増やし続けるだけでは不十分です。

継続的な契約やアップセル/クロスセルなど、既存顧客一人ひとりのLTVを最大化しなければいけません。

そのためには顧客の詳細なデータを分析し、課題やニーズに基づいた提案を通じて信頼関係を構築してロイヤルティ(愛着心)を高める施策が必要です。

顧客管理ツールを活用すれば、ロイヤルティ向上、さらにはLTV最大化にもつながるでしょう。

LTVを最大化させる方法は、こちらの記事でも詳しく解説しています。
関連記事:LTVを最大化させるには?定義や計算方法、最大化方法を詳しく解説

商品やサービスを改良・ブラッシュアップできる

顧客関係管理ツールを活用して顧客からの生の声をフィードバックできれば、自社商品・サービスの改良やブラッシュアップにも役立ちます。

商談やお問い合わせなどの内容を記録しておくことで「商品を利用してどのような感想だったのか」「サービスを解約してしまった理由は何か」などの情報が蓄積されます。

これらの貴重な顧客の声を参考に、自社商材を改良・ブラッシュアップし、より良いものを作り出すことが可能です。

休眠顧客の掘り起こしができる

顧客関係管理ツールを活用することで、休眠顧客の掘り起こしにもつながります。

顧客のデータを蓄積しているからこそ「一度商談したが、それからアクションをしていない」「一度きりの購入で終わってしまった」という休眠顧客を見つけ出すことができるのです。

休眠顧客は一度でも自社に興味をもってくれた顧客なので、新たに開拓するよりも営業のハードルが下がります。過去の履歴も把握できるので、別のアプローチをかけることで受注につながりやすくもなります。

休眠顧客の掘り起こし方法については、こちらの記事で詳しく解説しています。
関連記事:休眠顧客の掘り起こしとは?アプローチ方法・営業で活用できるツールや事例を紹介

社内の業務が効率化できる

顧客関係管理ツールの導入によって、業務の効率化も実現します。

社内に顧客に関する情報が点在していると情報共有や部門連係が滞ってしまい、ミスやトラブルを引き起こしかねません。

また顧客情報の管理が属人化していると、担当者の異動や退職などの際にうまく引き継げず、失注してしまう可能性も高まります。

しかし、適切に顧客関係管理ツールが活用できていれば社内の連携がスムーズになり、業務の効率化が見込めます。

業務効率化については、こちらの記事内で詳しく解説しています。
関連記事:業務効率化の手法4つと成功事例、おすすめツール紹介

顧客関係管理ツールを選ぶ際のポイント

ここまで顧客関係管理ツールのメリットを紹介して来ましたが、現在多数の顧客管理システムが提供されています。

自社にあったシステムを選ぶためには、ポイントを理解しておかなければなりません。顧客管理システムを選ぶうえで重要となるポイントを3つご紹介します

関連記事:顧客管理方法で適切なツールはどれ?4つの顧客管理ソフトのメリット・デメリット紹介

現場が使いやすい製品か

顧客管理システムを導入する際、現場の社員が実際に使いやすいかどうかが大きな検討ポイントになります。

社員によっての、IT・ソフトウェアへの習熟度は個人差が大きいからです。現場での使い勝手が悪いと、以下のような問題が発生する可能性があります。

  • 社員教育にコストがかかる
  • システムが活用されず定着しない
  • 操作ミスが多発する

実際に現場の社員が使いやすいUI,UXになっているかは確認が必要不可欠です。 ITリテラシーの高い社員だけでなく、誰もが容易に活用できるシステムであることが、導入の前提条件と言えるでしょう。

自社の目的に合った機能を搭載しているか

“自社に合うものを選ぶ”際に着目すべきなのが、「なぜ、CRMを導入するのか」「導入することで、何を達成したいのか」です。

例えば、現状の課題が「一度しか利用していない顧客に営業活動ができていない」で、目的が「その“一度しか利用していない顧客”にキャンペーンを打ちたい」だとします。

その課題と目的に対して、CRMの顧客管理機能を用いることで、対象者を簡単に抽出することができ、MA機能もカバーしているCRMシステムであればメルマガの配信も行えます。 しかし、上記と同様の課題であっても、目的が「その“一度しか利用していない顧客”に営業がアフターフォローの訪問や、追加の提案に行きたい」となれば、選ぶ製品が違ってきます。

営業を強化したい目的があれば、営業支援システムであるSFA機能が搭載された製品が適しているからです。

自社の課題を明確にし、その課題を解決するためにCRMを使って、どのような戦略をとっていくのかを具体的に洗い出し、CRM活用の目的を見失わないようにしましょう。

▶︎▶︎40以上の製品から自社にあったCRMが見つかる分類チャートはこちらから

導入コストに見合うか

顧客管理システムを導入する際は、必ずコストがかかります。業務効率化などのメリットは期待できますが、そのコストが回収できるかどうかは慎重に判断する必要があります。

失敗事例として、不要な高価な機能を多数搭載したオーバースペックなシステムを導入し、過剰なコストを払ってしまうケースがあります。

導入で失敗するリスクを避けるため、導入前には必ず入念なコストシミュレーションを行い、本当に必要な機能とコストを精査することが重要です。

コストパフォーマンスを考慮し、組織に最適な顧客管理システムを適正な投資額で導入することが肝心です。

終わりに

顧客管理とは単にデータを管理するだけでなく、データを活用して顧客のニーズを読み取って最適な提案を行い、顧客との関係を構築していくためのものです。

その本質を忘れないことで、顧客のデータを有効に活用して自社の成長につなげることができるでしょう。

そのためには、まず自社にとって最適な顧客管理方法を見つけることが重要です。

顧客管理に特化したCRMシステムを導入するのがおすすめですが「新しいツールを導入するのは抵抗がある」という人は、まずはCRMの機能や使い勝手について理解することから始めましょう。

SFA/CRM徹底比較8選

SFA/CRM徹底比較8選

SFA、CRMを導入したいけど、ツールの種類がたくさんありすぎて、それぞれの特徴や自社に合ったものがわからない…という方向けに、SFA/CRMツールを8つピックアップし、それぞれの特徴をまとめてみました。

資料をダウンロードする
マーケティングスキルアップに関する記事

SFA/CRM徹底比較8選

SFA、CRMを導入したいけど、ツールの種類がたくさんありすぎて、それぞれの特徴や自社に合ったものがわからない…という方向けに、SFA/CRMツールを8つピックアップし、  …詳細を見る

広告ブロックツールが有効になっています!

広告ブロックツールが有効になっているため、フォームが非表示になっている可能性があります。

フォームを使用する際には広告ブロックツールを無効にした状態で、ページの再読み込みをお試しください。