企業にとって顧客情報は貴重な資産です。
顧客情報を管理したいけれど、どのように管理すればいいのか分からなかったり、現在の顧客情報の管理方法に限界や疑問を感じている方も多いのではないでしょうか。
今回は顧客管理方法として、Excel、CRM(顧客管理システム)、SFA(営業支援システム)、MA(マーケティングオートメーション)の4つを紹介します。
各顧客管理ツールのメリットやデメリットも紹介していますので、ぜひご覧ください。
顧客管理とは?
顧客管理とは、顧客に関するさまざまな情報を社内で一元管理することで、情報共有を促進したり顧客との関係を構築したりするための取組みを指します。
インターネットが普及する以前は、紙媒体による顧客情報のファイリングが一般的でしたが、現在ではソフトウェアを使った管理が主流となっています。
ソフトウェアを活用することで、複数の顧客情報を一元管理できるだけでなく、紙媒体では難しかった複雑なデータ解析も可能になりました。
たとえば、顧客の属性や行動パターンをソフトウェアの解析機能で可視化することで、顧客に関する多角的な情報を把握できます。
このように蓄積されたデータを活用すれば、より効果的なマーケティングや営業戦略の立案に役立てることができます。
顧客管理の目的は、必要な情報を迅速に取り出し、顧客のニーズや価値観を深く理解することです。これにより、顧客との関係を強化し、自社の売上向上につなげることが期待できます。
関連記事:顧客管理とは?基本やメリット・ツールの選び方を分かりやすく解説
顧客管理が重要な理由<
顧客管理は、新規顧客の獲得や既存顧客との接点を増やすために欠かせない重要な要素です。
新規顧客を獲得するためには、これまでのマーケティング活動や施策に対する見込み顧客の反応や、アプローチの効果を分析することが有効です。
これにより、見込み顧客の関心やニーズをより深く理解することができます。そのためには、過去の施策や見込み顧客に関する詳細なデータが必要となり、網羅的に顧客情報を管理することが重要です。
また、既存顧客に対しては、取引履歴や購買パターン、属性や行動傾向といったデータを一元管理することで、個々のニーズに合わせた効果的なアプローチが可能になります。
これにより、顧客満足度の向上を図り、長期的な関係を築くことができます。
しかし、顧客管理ではセンシティブな情報を扱うため、適切なセキュリティ対策が不可欠です。
データの漏えいや不正アクセスのリスクを常に念頭に置き、慎重な運営と管理を徹底する必要があります。
顧客管理で記録すべき情報
顧客管理で記録すべき情報は、主に以下の5つです。
基本的な連絡先情報
顧客の氏名、住所、電話番号、メールアドレスなどの基本的な連絡先情報は、顧客と連絡を取るために必要です。
企業とのやり取りにおいて、迅速かつ適切なコミュニケーションを図るため、顧客の基本情報を最新の状態に保つことが重要です。
関連記事:顧客情報とは?一元管理方法・活用術とCRM(顧客管理システム)を紹介!
顧客の購入履歴
過去に顧客が購入した製品やサービスの履歴は、将来の取引や提案に役立ちます。
購入履歴を分析することで、顧客の好みや購買パターンを把握し、パーソナライズされた提案を行うことができます。
コミュニケーション履歴
営業やカスタマーサポートなど、顧客とのすべてのやり取りの記録は、顧客の状況を理解するために欠かせません。
電話、メール、チャット、対面のミーティングなどの詳細を保存することで、次回のやり取り時に迅速に状況を把握し、顧客に一貫性のある対応ができます。
問い合わせや問題履歴
顧客が過去に問い合わせた内容や、サポートを必要とした問題の履歴は、顧客満足度を向上させるために重要です。
問題解決の進捗状況や対応内容の把握により、顧客が抱える問題に迅速かつ適切に対応することが可能になります。
顧客の嗜好やニーズ
顧客が好む製品、サービス、または興味を持っている分野に関する情報を記録しておくと、顧客に合わせたサービスを提供しやすくなります。
これにより、アップセルやクロスセルの機会を増やすことができます。
適切な顧客管理を行うためのポイント
顧客の大切な情報を扱う上で、適切な顧客管理を実現するためには、次の2つのポイントが重要です。
顧客情報の定期的な更新<
顧客情報は突然変更されることが多く、例えば、長期間にわたり更新がない場合、知らないうちに住所や担当者が変更されている可能性があります。
適切な顧客管理のためには、定期的な情報の見直しと、変更があった際の迅速な更新が重要です。担当者の異動や退職といった情報も常に確認しておくことで、スムーズな顧客対応が可能になります。
セキュリティ対策
顧客管理では、個人情報を取り扱うため、情報セキュリティの強化が欠かせません。セキュリティ対策では、以下の3つの要素を確実に守ることが求められます。
- 機密性:特定の権限を持つ者だけが情報にアクセスできるようにし、誰でもアクセスできない状態にすること。
- 完全性:情報が改ざんや消去されないようにし、正確な状態を保つこと。
- 可用性:許可された情報へのアクセスが必要なときに中断なくできるようにすること。
これらの対策を徹底することで、安全かつ信頼性の高い顧客管理を実現することが可能です。
顧客管理を行えるツール
顧客管理を行えるツールとして、紙媒体以外での管理方法について解説します。
顧客管理方法として主要なツールは、主に以下の4ツールです。
- Excel
- CRM(顧客管理システム)
- SFA(営業支援ツール)
- MA(マーケティングオートメーション)
最も導入に時間もコストもかからないのは、Excelです。
現在Excelで顧客管理をしている方も多いのではないでしょうか。
Excelでは、名前・企業名・連絡先などの顧客情報だけでなく、商談履歴や進捗などの顧客データも残すことができます。
CRM(顧客管理システム)やSFA(営業支援システム)も同様に顧客情報を管理できます。
Excelと異なる点としては情報の入力や更新などの作業を効率化できる点です。
Excelでは、日々忙しくなかなか事務作業の時間を取ることのできない営業部門などは、顧客データの入力を後回しにしてしまうこともあるかもしれません。
顧客の動きによって自動で情報を配信したい場合によく使われるのはMA(マーケティングオートメーション)です。
顧客管理をした上で、顧客に情報発信をしたい場合は、MAシステムの導入が必要となります。
上記を簡単にまとめると
- 顧客のデータを残したい場合→Excel、CRM、SFA
- 顧客に自動で情報を発信したい場合→MA
となります。
関連記事:顧客データベースの作り方 CRMとエクセルでの顧客管理方法を解説
Excel
【Excelのメリット】
Excelは無料で使えて、今すぐ始められることが最大のメリットとなります。
普段の業務で使い慣れている企業が多いため、比較的スムーズに導入できます。
また、自分が見やすいようにシートを作れるため、自社の管理スタイルに合わせることも可能。
「企業名や企業の規模などの企業情報」「その企業での担当者の情報」「案件の管理」「行動の管理」など、自分が管理したい項目ごとにシートを作成することで分かりやすくなります。
関連記事:Excelで顧客管理を行う方法|顧客リストの作成方法や無料テンプレート
【Excelのデメリット】
Excelでは相互のデータが紐づかないため、同じ内容を何度も入力する必要がでてきたり、「この案件の企業はどのくらいの規模だったかな?」と思った時にそれぞれのシートを見にいかなければならなかったりと、手間がかかる面があります。
また、入力作業が多いので、更新作業にも時間がかかる点も。
担当者が変更になった場合など、登録情報を変更した場合にも、その情報をいつ・誰が変更したのかなどの履歴を追うことも難しいです。
関連記事::顧客情報の管理はExcelが最適?おすすめしたいツール3選
CRM(顧客管理システム)
【CRMのメリット】
企業にとって宝の山である顧客情報を一元管理することができる点が、最大のメリットとなります。
今まで属人化していた顧客管理が、社内や部門全体で共有し管理することができるようになると、顧客情報を有効的に活用して営業成績にもつなげることができます。
また、住所やメールアドレスなどの属性が登録でき、更にセグメントにも分けることができるので、顧客の属性やセグメントに合わせてプロモーションすることもできるようになります。
例えば、関東地方在住者に対してのみキャンペーン情報を配信したり、既存顧客に対してのみイベントの案内を配信したりできます。
関連記事:CRMとは?導入メリット・機能や選び方とツールも紹介
【CRMのデメリット】
いま所有している顧客情報を全て入力しなければならないため、導入してから運用開始をするまで時間がかかってしまいます。
また、使い方を覚えなければ有効に活用できないので、きちんと使い方を覚えて継続して使い続けられる仕組みにしなければ、導入しても失敗してしまいます。
更に、システムによっては導入に際する初期投資が高い場合があり、予算の負担になってしまう場合もあります。
多くの製品が流通しているため、内容やコストなどきちんと比較検討して自社に合ったものを選ぶ必要があるのです。
CRMについて詳しく知りたい方は以下の記事を参考にしてください。
関連記事:CRMツールおすすめ14選! 主要機能や選び方を徹底解説【比較表あり】
SFA(営業支援システム)
【SFAのメリット】
SFAは、企業情報を案件情報に紐づけたり、担当者情報と企業情報を紐づけたり、それぞれの項目に登録された内容が必要な情報同士で自動的に紐づく仕組みになっています。
また、Excelほど登録作業が多くないこともメリットとして挙げられるでしょう。
SFAではメンバー同士でコメントを残したりできる機能もあるので、メンバー間のコミュニケーションや情報共有がスムーズにいきます。
SFAについての詳細はこちらの記事内で解説しています。
関連記事:
【SFAのデメリット】
CRM同様、導入から運用開始までに時間がかかること、使い方を覚える必要があることがデメリットになります。
また、SFAもシステムによっては初期投資が高額なものもあります。
関連記事:SFAの選び方|失敗しない営業支援システム導入のポイント
MA(マーケティングオートメーション)
【MAのメリット】
リードの属性や興味関心の度合い、行動履歴などによって自動で情報配信することができることが、MA最大の特徴です。
MA導入により、手動でメールを一件一件送信する必要がなくなり、マーケティング部門の工数を減らすことができ、業務効率も改善されるでしょう。
関連記事:MA(マーケティングオートメーション)とは?意味や導入メリット・おすすめのツールを紹介
【MAのデメリット】
顧客がどのような行動をしたらどの情報を配信するかといった、細かい配信シナリオを構築するため、運用開始までに工数がかかってしまいます。
新しくコンテンツを作ったり、ツールを設定したりなど、運用開始までに結構な量の作業が必要となります。
関連記事:MA(マーケティングオートメーション)ツールの選び方5選!自社に合うMAとは?
どの顧客管理ソフトを導入すればいいか?
ここまでエクセルやCRMなど、各ツール(顧客管理ソフト)の特徴を説明しましたが、結局どのツールが最適なのか?再度整理してみましょう。
前述した通り、顧客の動きや温度感によって自動で情報を発信したい場合はMAが唯一の選択肢となります。
売り込み営業のメルマガだけでなく、顧客にとって価値ある情報を配信して信頼感を確立したり、競合他社との差別化を謳って問い合わせを増やしたりなど、多用な使い方ができます。
“顧客データを残したい”場合は、ExcelかCRMかSFAという選択肢があります。
コストをかけずに無料でやりたい方には、Excelがおすすめです。しかし、案件数や顧客数が増えたときに大変になってしまうこともある、ことを念頭に置いておきましょう。
効率的に顧客管理をしたい場合は、CRMやSFAの導入が良いでしょう。
まずは自社の課題を洗い出し、課題がより解決できそうなツールを選択してくださいね。
尚、CRMツールは各社から展開されていますが、Mazrica Sales Lab.ではSFA/CRMベンダー主要9社の費用・機能・向いている企業を比較したコンテンツを作成しています。
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まとめ
どのような視点で、どの顧客管理方法を選べば良いのか、おわかりいただけましたか?
顧客管理の目的によって、選ぶ方法が異なります。
まずは課題を洗い出すことがポイントです。
課題にマッチする方法を選ぶことで、課題解決にもつながりますし、ツールを有効的に活用することにもつながりますよ。