計画的に営業活動を進めていくことは、限られたリソースを効率的に投資して最大の成果を出すための近道です。
ところが理想や目標だけを反映させた営業計画を立ててしまうと、実現が難しくなってしまい会社に不利益を出してしまいかねません。
精度の高い売上予測を基に正確な営業計画を立てていくためには、過去の営業履歴や売上実績などのデータを活用するのがポイントです。
今回は売上見込みの精度を上げ、目標を達成できる営業計画を立案していくコツ、SFA活用術をお伝えします。
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この記事の内容
営業計画とは?
営業計画とは、営業活動における課題を把握し、数値目標、KGI・KPI設定、営業戦略などの流れをまとめたものです。
営業計画は経営戦略上のポジショニング、ターゲットとする市場を踏まえ、目標から逆算したアクションプランを「営業計画書」としてまとめます。
営業活動に必要なリソース(人・モノ・お金)には限りがあるため、限られたリソースをどこに使うか(投資するか)も併せて検討する必要があるわけです。
営業計画は、営業における地図のようなものです。
航海に地図は必要不可欠ですよね。
地図である営業計画に含まれる要素には、それぞれのポイントがあります。
営業計画を立てる際の4つのポイント
実際に営業計画を立てる際にポイントとなる項目を見ていきましょう。
ここでは、
- 営業課題・ボトルネックを把握する
- 数値目標を立てる
- STP分析を行う
- 営業戦略/営業戦術を立てる
の4つに分けて解説します。
営業課題・ボトルネックを把握する
営業戦略を立てる際に、まず必要なのは「現状の把握」です。
中でも、現状の営業課題、ボトルネックになっているところを把握するのが重要です。
営業課題、特にボトルネックの解消は、営業成果に大きく直結します。
営業課題を洗い出すと共に、優先度をつけて解決に向けた営業計画を立てるようにしましょう。
数値目標を立てる
地図の目的地となる部分が数値目標です。具体的な値で数値目標を決めることが、営業関係者のやる気とモチベーションを向上させます。
目標は高すぎず、低すぎずを意識することが大事です。 以下のKPIの立て方に関する記事も参考になるかもしれません。
営業計画を遂行するには、フォーキャスト管理を実践して立てた数値目標とのギャップが広がらないように管理することも重要です。
関連記事:フォーキャストとは?営業における重要性や手順、精度を上げる4つのポイントを解説
STP分析を行う
最適な道を見つけるために大事なのがSTP分析です。
市場はどのようなグループにわかれていて(S:セグメンテーション)、自分たちはどのようなターゲット層に商品を届けるのか(T:ターゲティング)、自社の製品はどのような独自性を持ちどのようなポジションにいるのか(P:ポジショニング)、それらを明らかにするのがSTP分析の作業です。
STP分析をせずに商品を売ることは不可能であるといっても過言ではありません。
関連記事:ターゲティングとは?代表的なフレームワーク(STP分析・6R)を紹介
営業戦略/営業戦術を立てる
目的地までどのような方法で向かうのか、それを考えるのが営業戦略です。
つまり、数値目標が決まっていたとして、それにどのようにすればたどり着けるのか営業戦術を策定して実行します。
例えば、新規顧客を30社獲得するのが目標だったとしましょう。
そうしたら、
- 新規の見込み顧客を120社獲得すること
- 目標を達成したチームにボーナスの支給
- マーケティングチームと協力してイベントの開催
といった営業行動の過程が見えてくるはずです。
営業戦略の詳しい立て方については、以下の記事が参考になります。
関連記事:営業戦略の立て方 | 目標設定から顧客満足までの5つのステップ
併せて営業戦略を立てる営業マネージャーが意識すべきことをこちらの資料にまとめました。
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営業計画に必要な7つの項目
営業計画に必要な項目は7つあり、具体的な項目は以下のようなものが挙げられます。
- ミッション
- ターゲット
- チーム体制
- 予算
- 必要なツール
- 営業におけるKPI
- 具体的なアクションプラン
何もない状態から目標を設定するのではなく、目標達成に必要な、
- 営業活動に関わる内部要因(チーム体制や予算など)
- 外部要因(ターゲット市場や競合の状況など)
を考える必要があります。
内部・外部要因の情報をもとに目標(KPI)を設定し、続いてその目標を達成するための具体的なアクションプランを設計する流れです。
「営業計画」は上記の項目に分解し、1つ1つ設計していく必要があります。
関連記事:営業アクションプランの書き方・立て方|目標達成までの道筋の描き方
営業計画の項目①ミッション
営業計画を立てる際は目標となる数字に目が行きがちですが、ミッションつまり「何のためにその営業目標を達成するのか?」を明確にするところからスタートします。
なぜミッションが重要なのかと言うと、数値目標だけでは営業パーソンのモチベーションが維持できない可能性もあるからです。
目的なき目標に向かって働き続けられる人材はほとんどいません。
まずは目標の先にあるビジョンを明確にすることが重要です。
営業計画の項目②ターゲット
次にターゲットを明確にします。ターゲットが曖昧だと、具体的な営業施策も曖昧なものになってしまいます。
そのため、ペルソナを設定し、顧客ターゲットを明確にすることが重要です。
ターゲットが決まれば、届けるメッセージや営業の戦略/戦術も変わってくるでしょう。
関連記事:ペルソナマーケティングとは?ペルソナの設定方法から注意点まで
営業計画の項目③チーム体制
次に重要なのが「チーム体制」です。
特にBtoBビジネスの営業は一人で営業活動を完結させることが難しいと言っていいでしょう。
営業部門間の連携はもちろん、マーケティング部門との連携を密にすることで営業目標を達成しなければならないケースも多々あります。
誰がどのような役割を担うのか?具体的な業務を明確にすることで、より具体性のある営業計画を作成することができるわけです。
営業計画の項目④予算
営業目標を達成するために、まずはどの程度の予算が必要なのか?またはどの程度の予算が割り当てられる予定なのか?を把握することが重要です。
なぜなら、予算の範囲の中で出来うる計画を立てなければならないからです。
営業目標を達成するために、新たな人材が必要になるケースもあるでしょうし、新たなツールが必要になるかもしれません。
洗い出せる費用項目は最初に洗い出しておきましょう。
営業計画の項目⑤必要なツール
営業計画を作成し、目標に向けて動いていく際に、人の力だけではどうにもならない場合もあります。
時間は有限なので、生産性や営業効率を上げることができたり、成果につながるツールであれば予算の範囲の中で積極的に活用するといいでしょう。
営業計画を推進する上で、例えばSFA(営業支援ツール)やCRM(顧客関係管理ツール)などを活用するのはおすすめです。
SFAやCRMを活用することで、現状の把握、進捗度合い、具体的な成果などに簡単にアクセス可能になるからです。
データを元にした営業計画の立案、実行、振り返りまでを簡単に行うことができます。
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営業計画の項目⑥営業目標(KGIとKPI)
KGIと前述のKPIも営業計画を策定する際に必要な項目です。KGIとは「目指すべき最終的な目標」であり、KGIを達成するためにKPIという指標を設定します。
仮に今期の売上をKGIとして設定したのであれば、そのKGIを達成するために必要なKPI(例えば、フィールドセールスであれば商談数、インサイドセールスであれば、架電本数など)を設定し、日々KPIを意識した営業の行動計画を想定することが重要になります。
一般的に言われているようなKGIやKPIではなく、自社の状況やビジネスモデルなども踏まえたKGI・KPI設定が大切です。
営業計画の項目⑦具体的なアクションプラン(行動計画)
そして、最後に具体的なアクションプラン(/行動計画)を作成します。初めからアクションプランを書こうと思っても、なかなかうまくいきません。
これまで紹介してきたような営業の項目を丁寧に埋めていきながら、最後にプランを作成することで、納得感の高い計画を作ることができます。
営業計画の立て方・実行方法
正しく、かつ実行可能な営業計画を立てるためには、過去の営業データを基にした目標数値やアクションを決めていく「データドリブン」な方法が最適です。
ここでは、データを活用した営業計画全体の立て方を解説します。
事前準備を行う
データドリブンな営業計画を立てるには、まず事前の準備が必要です。
活用できる過去のデータや予算などを把握できなければ、何から手もつけていいのか分からなくなります。
具体的な目標を設定し、目標から逆算したデータドリブンな営業計画を立てるためにも、材料を集め、事前準備をしておきましょう。
営業プロセス全体を可視化する
まずは、営業活動における受注または失注までのプロセスを可視化することから始めましょう。
可能であれば、マーケティングやカスターマーサクセスなどを含めたビジネスの全体像を可視化します。
上の図はマーケティング、営業、サポートに至るまでの営業プロセスの一例です(赤枠が主に営業が担当するプロセス)。
営業プロセスは業種・業態、企業ごとに異なります。
営業プロセスの設計に問題がある場合もあれば、プロセスのどこかに課題(弱点)がある場合もあるでしょう。
いずれにしても、営業プロセスを可視化することから始めなければ、問題を特定することはできません。
プロセスが整理できたら、それぞれの数値まで可視化しておきましょう。
例えば、ある年の上期全体のアプローチ数が◯件、提案数が◯件のように、各数値を埋めていけば、プロセスの中のどこに課題があるのかが把握できます。
目標に必要なプロセス毎の数値を把握する
現状を把握できたら、全体の売上や利益などの数値目標を達成するために、各プロセスでどの程度の数字を作っていけばいいのか?を逆算して考えましょう。
営業目標から逆算して考えることで、各プロセスの中でどの程度の数字を作っていく必要があるのか?
過去のデータと比較して、どの程度伸ばしていく必要があるのか?などの示唆が得られるはずです。
注力すべき営業プロセスを特定する
営業プロセスの全体像と各プロセスの数値を可視化することで、プロセスのどこに課題があるのか見えてくるでしょう。
各プロセスの数値とその後のプロセスへの転換率として出してあげます。
例えば、100件の提案に対して、50件のクロージングができたら、転換率は50%です。
50件のクロージングに対して、5件の受注に繋がったのであれば、転換率(受注率)は10%となります。
転換率を算出することで、より注力すべき営業プロセス(ボトルネック)を把握することが可能です。
目標数値とアクションプランを考える
課題やボトルネックを特定できたら、次は具体的なアクションプランを考えます。
例えば、商談の数が足りていないのであれば、その前のヒアリングの方法や手順などを変えて、商談化率を上げる必要があるかもしれません。
商談化率は高いのであれば、マーケティング部門と連携して、質の高いリードを獲得し、ヒアリングの数をこなすことが重要になってくることもあるでしょう。
いずれにしても、アクションプランを考える際は、複数のアクションプランを立てておくことも重要です。
全てのアクションが100%結果につながるとは限りません。
複数のアクションプランを用意しておくことで、上手くいかなかった時のリカバリーまで可能になります。
SFAを活用した営業計画の立て方とモニタリング例
SFAを活用した営業計画の立て方とモニタリングの方法について解説していきます。
SFAを活用すると、営業計画を立てやすくなるだけでなく、日々のモニタリングまで可能になります。。
SFAを活用した営業計画立案
データを活用した営業計画立案には、SFA(営業支援システム)の導入がおすすめです。
SFAには顧客情報だけでなく案件の情報やプロセス毎の数値の算出・共有、営業毎のアクション内容まで蓄積できます。
売上実績とともに分析もできる、データドリブンな営業に必要なツールです。
関連記事:SFAとは?CRMとの違いは?意味・役割・主な機能をどこよりもわかりやすく解説
SFAに蓄積されているデータを基に分析するれば、
- 「一ヵ月のうちに10件の受注を取るためには、○件の新規との商談を実施しなければいけない」
- 「テレアポでの受注率が高いからテレアポは1日○件したほうがいい」
- 「リードタイムが短い案件は3回以内の訪問で受注が取れている」
などの仮説を元にしたアクションプランまで立てることができます。
これらのデータを基にして毎月の営業アクションのKPIを定め、営業計画に落とし込んでいくのです。
SFAを活用したモニタリング例
SFAを活用すれば営業計画を立てるだけでなく、数値のモニタリングも可能です。
例えば、グラフをもとに「商談件数が足りない」「ひとつの取引先に対して訪問回数が多すぎる」などの課題やボトルネックが見つかれば、解決を見越した営業行動計画の立案が可能になります
SFAではレポート機能が標準搭載されており、営業アクション分析やファネル分析(受注率の分析)などを活用することで、より課題を見つけやすくなるでしょう。
営業計画通りにいかない3つの理由
会社の経営では、売上予測を立て、予測に基づいて原料の調達や人手の確保を行っていきます。
予測していた売上が入ってこないと在庫が増えてしまったり人手が余ってしまいます。
一方、予定外の売上があると原料不足になったり残業代が多くかかるということもあり得るわけです。
そのため、限られたリソースを効率的に投資していくためには、精度の高い売上予測が欠かせません。
売上予測に欠かせないのが、正確な営業計画です。
しかし、売上計画をしっかり立てたつもりでも、売上精度が低いように感じられることが多々あるはずです。
ここでは営業計画に基づく売上の精確さを阻害する要因について紹介します。
1.受注の前倒し
商談にて顧客から「社内稟議があるため正式な発注はだいたい3カ月後になりそうだ」と言われるのは、営業現場ではよくあることです。
しかし、マネージャーから「来月の売上見込が少ないからなんとか来月の受注にするよう手配してくれ」と受注の前倒しを指示されることもあるでしょう。
本来は3カ月後の受注となるものを1カ月後にするため、営業担当者は該当の顧客フォローで手一杯になってしまい、他の顧客への対応や新規開拓がないがしろになってしまいます。
1ヵ月後の受注に前倒しをするため、顧客にも無理を強いることになれば、結果として信頼感を失い、失注してしまうかもしれません。
BtoBであれば、社内の購買プロセスに時間がかかってしまうため、確実に来月の売上にできるかどうかも判断できかねます。
このように、目先の売上ばかりを追ってしまうと後々の売上予測にも影響を及ぼしてしまいますし、コストがかかってしまったり営業チャンスをロスすることにもつながるのです。
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2.顧客都合での受注遅延
先ほどの例と同じように「正式な発注は3カ月後になりそうだ」と顧客に言われていて、3カ月後に連絡をしたところ「忘れていた」「まだ社内稟議に時間がかかっている」と、顧客の都合で受注が先送りになることもあります。
受注の先送りの場合も見込んでいた売上がなくなってしまうため、売上予測が外れてしまいます。
このケースでは、営業担当者が直接的な原因ではありませんが、その間にフォローをしたり連絡をしたりする気配りがあれば、受注遅延の事態は避けられたでしょう。
3.受注予定の未報告
先ほどの例のように、3ヵ月後など先の受注予定の場合、営業担当者がマネージャーなどに報告しないことで売上予測の精度を下げている場合もあります。
確実な受注となる発注書や契約書を取り交わすまで報告を怠っていると、急な売上が発生してしまうことになるからです。
急な受注が入ってしまうと、例えばモノづくり企業の場合、生産計画が狂ってしまい人員の確保も難しくなってしまいます。
【関連記事】営業日報・営業報告書の書き方とは?例文や項目・Excelテンプレートを解説
SFAを活用したデータに基づく営業計画で目標を達成しよう
精度の高い営業計画は、効率的で健全な組織運営には欠かせません。
そのためには日々の営業活動や売上を蓄積し、多角的に分析していく必要があります。
「営業に行って終わり」ではなく、過去の営業をデータ化して活用していくことで、未来の売上につながるのです。
SFAツールの活用によって、進行中の案件の進捗管理と蓄積データの分析・予測が同時に行えるため、データに裏付けられた高精度な営業計画書を作成することが容易になります。
現在SFAを導入している企業も、顧客管理や売上管理だけでなく、これからは営業計画にもSFAを活用してみてくださいね。
こちらの資料では、本文でもご紹介した「Mazrica Sales」の機能詳細や現場での活用方法について詳しく説明していますので、「営業計画の作成に適したSFAを導入したい」と考えている方はぜひご覧ください。
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- Mazrica Business Lab.はクラウドアプリケーションMazricaの開発・提供を展開する株式会社マツリカが運営するオウンドメディアです。営業・マーケティングに関するノウハウを中心に、ビジネスに関するお役立ち情報を発信しています。
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